
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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司会:「若い世代へノーベル賞科学者からの提言 科学技術で次の時代を切り開け」を開始いたします。ご登壇の皆さまにどうぞ大きな拍手をお願いいたします。
(会場拍手)
司会:名城大学終身教授、名古屋大学特別教授・名誉教授の赤﨑勇様です。
(会場拍手)
司会:赤﨑先生、本日はよろしくお願いいたします。続きまして、京都大学iPS細胞研究所所長・教授の山中伸弥様です。
(会場拍手)
司会:山中先生、お願いいたします。そして、本日のモデレーターをお願いしておりますのは、科学ジャーナリストの辻篤子様です。
(会場拍手)
司会:辻様、お願いいたします。それでは、この後の進行はモデレーターの辻様にお願いいたします。辻様、お願いいたします。
辻篤子氏(以下、辻):ご紹介ありがとうございました。皆さま、こんにちは。本日は赤﨑勇先生と山中伸弥先生をお招きして、これから2時間弱になりますが対談をしていただきます。私はその進行役をさせていただきます、辻篤子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
(会場拍手)
辻:お二人の業績は、皆さま本当にもうよくご存知だと思いますけれども、赤﨑先生は、不可能だと言われていた青色発光ダイオードを生み出され、照明の世界に革命をもたらしたということで、2014年のノーベル物理学賞を受賞されました。
山中先生は、大人の皮膚などの細胞にたった4つの遺伝子を入れるだけで、iPS細胞というどんな組織にでもなれる全く新しい細胞を生み出し、これからの医療に本当に大きな可能性を開いたということで、2012年のノーベル生理学医学賞を受賞されました。
いずれも、昨日までの不可能を可能に変えた、先生方だけでなく人類にとっての夢が実現したというお仕事だったかと思います。
先生方は、実は大変お忙しいんですけれども、ここに「若い世代へ」とありますように、若い方たちのためならということでご都合を付けて、そしてようやく今日の対談が実現しました。
これから、お二人のそうした素晴らしい研究成果がどのようにして生まれてきたのか。とりわけ、困難にどうやって向き合って乗り越えてこられたのか。そういったことを少し振り返っていただきながら将来を展望していただいて。
最後に、若い方たちへのメッセージをいただきたいと思っております。先生方のお言葉から多くを学び取っていただきたいと思っています。
辻:お二人の先生は研究分野も、それから世代も大きく違うんですけれども、実は科学の研究を考える上でとても大切な共通点があるというふうに私は思っております。それが、おいおい明らかになっていくと思います。
今日の対談は、お二人の先生方にとってはこうやってお話される初めての機会ということで、お二人も大変楽しみにしておられますし、お話がどう展開していくか、皆さまもぜひ楽しみにお聞きいただければと思っています。
それからちょっと硬いことですけれども、科学技術が今日の世界で果たす役割の大きさは、もう言うまでもありません。そうした科学技術を支える基礎研究、それは社会の支えっていうのがあってこそなんです。
これからも、お二人の先生が生み出されたような素晴らしい研究成果が日本から次々に生まれていく、そういう社会であり続ける、そういうことができるかどうかは、私たち一人ひとりにかかっているという面もあるかと思います。
そんなことも考えながら、これからのお話に耳を傾けていただきたいと思います。今日の対談はニコニコ動画で全国に中継されておりますので、ここの会場に来られなかった全国の方々にも同じ思いを共有していただければというふうに思っております。
では、これから対談を始めさせていただきます。赤﨑先生、山中先生、どうぞよろしくお願いいたします。
辻:それでは、最初にノーベル賞の授賞式のことをちょっと振り返ってお伺いしたいと思います。先日の大村先生、梶田先生の授賞式もご覧になって、先生方もまた思いを新たにした部分もあるかと思います。
ストックホルムのコンサートホール、そこで開かれたノーベル賞授賞式。この舞台に立たれたときの気持ちというのはどうだったでしょうか。まず赤﨑先生、お聞かせいただけますでしょうか。
赤崎勇氏(以下、赤﨑):私は17人の受賞者の中で最初に立つ立場にありましたので、リハーサルで教わった通りの所作をどうしようかなということと、もう1つは国王陛下にどんなごあいさつを申し上げたらいいのかを考えながら、少し緊張しておりました。
名前を呼ばれて、メダルと賞状をいただいた後で、国王陛下やアカデミーの方々に続いて、客席のほうにごあいさつ申し上げたときに、万雷の拍手を浴びたとき、初めて何とも言えない感無量の感じがいたしました。万雷の拍手の中で何か一瞬、我を忘れたような感じで、少し長く立ちすぎたような感じがしました。
辻:山中先生はいかがでしたか。
山中伸弥氏(以下、山中):先生のときもそうだったと思うんですが、授賞式の直前というのは受賞者だけが控室に入れられて。普段は通訳の人たちや関係者がいるんですが、授賞式の前っていうのは本当、受賞者だけなんです。
私たちのときは時間になっても始まらなかったんです。どうしたのかなと思ったら、ノーベル財団の方が来られて、国王が遅刻していると。
(会場笑)
山中:だから始めることができない。僕たちは納得したんですが、私たちのときの文学賞の受賞者がモー・イエンさんといわれる中国の方で、彼は英語は全くしゃべれない。ですから、普段は通訳の方がいるんですが、そこは通訳の方がいないものですから、どうやってイエンさんに「なぜ時間になっても始まらないのか」を説明したらいいかなと思って。
英語はしゃべれないし、僕はもちろん中国語しゃべれないですし。最初、筆談だったら日本人と中国人、筆談だったら……
(音声停止)
山中:……下りて。先生はどなたと一緒に?
赤﨑:実は、私はそれでアテンダントの方が直接。
山中:そうですか。私はプリンセスのお一人、次女の方。彼女は世界の王室の中でも最も美しい女性で知られて、本当に美しい女性なんですが。非常にラッキーなことに、その方を一応エスコートして階段を下りるということになって。
でも、上で並んでていざ行ってくださいってなったら、その王女様が「Here we go!」とか言って、「さあ、行くわよ」っていう感じで私を連れて行ってくれて。
(会場笑)
山中:次の日の新聞に、一面に写真が出たんです。やっぱり一番美しいプリンセスだから。横に僕がいてるんですが、どう見ても僕がエスコートしているというよりはプリンセスに猿がエスコートされてるというか。
(会場笑)
山中:ぶら下がってるような形で。というのは、階段が急だから下ばっかり見てるんですよ。プリンセスは前をパッと見てて。
その後、日本のテレビで秘密明かしをされていて、みんな何も考えないと下を向いちゃうと、でもこの階段の前の壁に印があって、何べんもされてる方はそれを見てずっと下りるから前を向いて、僕たちは下を向いて。
そんなこと言ってくれないとわからないなと思って、先生にお伝えしたかったんですけどそういう機会もなく。
赤﨑:そうですか。
(会場笑)
山中:一応、今年大村先生にはお伝えしたんですけれど。
(会場笑)
赤﨑:控室の話が出ましたので。実は控室にいるときに、確か生理学医学か、あるいは科学者の方だったと思うんですが。その所作についてなんですけど。
「プロフェッサー赤﨑がやるとおりやればいいんだよ」って言ったら、他の人が「そうだよね」なんて言ってたんです。それを聞いて、私プレッシャーを感じまして。
何かいよいよというときに舞台の左手の裏側に並んでたんですけど、そこでちょっと立ってる間に少し緊張が解けなかったもんですから、黙ってるとなお緊張すると思って、「私が受賞者の中で最高齢ですか?」ってお聞きしたんです。
そしたら、すぐ「今年の受賞者の中ではね」って言われて。すぐポケットから手帳を出して、記録を持ってるらしくて「過去には90歳で受賞された方も、89歳とか」なんとかということをおっしゃってました。
少しほぐれたところで呼び出しがかかったんです。そういうことがありました。
辻:楽しいお話をありがとうございました。ここで、ちょっとノーベル賞のメダルというものに少し注目していただきたいんですけれども。これは、表側はアルフレッド・ノーベルの肖像で、裏側に各賞ごとに違うデザインになっています。
左側が赤﨑先生の物理学。科学賞も一緒ですけれども、左側に立っている自然の女神が神秘のベールをかぶっている。それを右側の科学の女神が少し剥がそうとしている。完全に剥がされていない、少し剥がそうとしている。
右側の生理学医学賞のほうは、左側に座っているのが医学の女神で膝の上に本を開き、右側に立っている病気の少女のために泉の水を器で受け止めているという、そんな絵が書かれています。
それからもう1つ、賞状というのもあるんですが、これは赤﨑先生の賞状です。街角が明るくなっていて、本当に心が温まる情景が書かれていて、ノーベル財団も心のこもったデザインのメダルとか賞状を用意しているな思います。
先ほどのメダルのところなんですけれども。山中先生はかつて、「私たちの研究は自然の真理のベールを少しずつ剥がしていくようなものだ」とおっしゃっていたことを、物理学賞のこのメダルを見て思い出しました。
山中:全ての科学は、真実はあります。いろんなベールに隠されて見えないんですが、たくさんのベールがあって、そのベールを1枚1枚研究者が順番に剥がしていくという作業の繰り返しで。
多くの場合は1枚剥がしてもまた次のベールが出てくるだけで、なかなか真実に到達しないんですけれども、非常に幸運な科学者はたまたま最後の1枚に当たって、それを剥がしたらワーっと真実が見えてびっくりということで。
そういうことを20年ぐらい前の朝日新聞だったような気がしますが、書かせていただいたことがありました。
ですから、どの1枚も等しく重要だと思うんです。最後の1枚だけが重要じゃなくて、全部、何十年、何百年以上、何十人という科学者が、ずっと1枚1枚剥がしてきたことのおかげで最後の1枚にたどり着くわけですから。
そのときは、最後の1枚を剥がした人だけが注目を浴びたり、賞をもらうのはどうなんだろうと、全部大切だということを書いた覚えがあるんです。
そのとき、まさか自分が将来こういう賞をいただくなんて夢にも、もちろん思っていませんでしたが、今でも気持ちは一緒です。
僕たちはたまたま最後の1枚をめくることができて、こういう賞をいただきましたが。でも、それまでの人の基礎的な研究がなかったら絶対たどり着かなかったですから。
ですから、今もこのベールを1枚1枚大事に、慎重に剥がしていくというのが本当に大切だと思ってます。
辻:そうですね。本当に科学研究っていうのは、そういうことだなと思います。これ賞状、生理学医学はなぜかシンプルで絵がないんです。
山中:これどうしてなんですかね。僕も他の賞の賞状初めて今見ましたが、先生のはすごくきれいで絵まで書いてあって。僕のはメダルはきれいですけども、ディプロマのほうは随分あっさりしてるなというのが、なんでかわからないんですけど。
辻:赤﨑先生は賞状をご覧になったときはどんなふうに思われましたか。
赤﨑:2014年の物理学賞の受賞者の3人の賞状の絵柄は非常に3人ともよく似てますが、どれも明るい白色を強調するかのようで。
しかも、これはだいぶ意識されたんだと思うんですが、日本の墨絵調に描かれてますね。それで私どもとしては、「有名なデザイナーらしいんですが、随分日本の墨絵なんかも研究された方が描いてくださったんだな」と感じました。
辻:生理学医学賞のほうでiPSの絵というと、ちょっと難しかったかもしれないですね。
山中:例えば、今年の大村先生のほうには絵が描いてあるんですか。
辻:描いてないんです。
山中:やっぱ描いてないんですか。
辻:生理学医学賞は一切なしで、このシンプルなデザインということのようです。
山中:なんだか不満なんですけど。
(会場笑)
辻:今日は赤﨑先生のおられる名城大学のご好意で、ロビーにノーベル賞のメダルのレプリカとディプロマを展示してありますので、まだご覧になってない方は、ぜひお帰りにご覧になっていただきたいと思います。
大変きれいなものが、大変貴重なものを展示していただいてますので、お楽しみにご覧いただきたいと思います。
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