2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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山田玲司氏(以下、山田):団鬼六ってSMの王様であるんだけど、この人は何かを守ってたんだよ。何かのために闘ってたんだよ。何を守ってたかって話なんだよ。これは、あれですよあなた。
おっくん:守ってたの?
山田:そう。団さんは日本の何かを守ろうとした人なの。それは何か? あなた(おっくん)、日本人が下着を履くようになった有名な事件あんじゃん。
おっくん:下着?
山田:日本の女の人って昔ノーパンだったでしょ?
おっくん:うん。
山田:下着履かなかったでしょ。でも履くようになったきっかけになった事件があんだよ。
おっくん:事件?
山田:はい。銀座白木屋事件(注:昭和7年)だよな!? (ニンニン氏に向かって)知ってるわけないよな!
おっくん:笑。その時何才?
山田:生まれてなーい! 白木屋ってとこで火事があって、上の階にいた女の人が飛び降りなきゃいけない。火が回ってる。そんとき下着着てない。下に人がいっぱいいる。
「見られたらだめだ」と思って焼死しちゃった事件があるの。それがきっかけで下着履くようになったって言われてんの。それくらい蝶々が言ったような「私、パンツ履いてないんだ」ってことを、ゲームのように言えるような人たちじゃなかったの。
おっくん:まあまあ。
山田:「見ないで」っていうものが成立するものだったの。そもそも性、エロって何かっていうと、隠すことによって成り立ってる。全てが。
おっくん:うん。
山田:イスラムとか顔まで隠すじゃん。目しか見えないみたいな。ああいう社会に、サウジアラビアに米軍が行って好き放題やったからその反感買ったみたいな話あんじゃん。そういうの、いろんな文化で隠すことによって盛り上がるっていうのがあって。
日本も実に上手かった。そういうものが消えようとしていってた時代だったんだよ。それで、ここに書かれてる太陽族ですわ。
おっくん:ここですよ、50年代。
山田:50年代太陽族と言えば誰ですか?
おっくん:(石原)裕次郎。慎太郎、裕次郎。
山田:そう、慎太郎って何を書いたか。
おっくん:『太陽の季節』。
山田:そう。何ですかそれは? どんなとこが有名でしたか?
おっくん:あの、あれでしょ。襖(ふすま)の。
山田:障子ですね。
おっくん:あ、障子だ。
山田:だから、我々の先祖の人たちは紙1枚の向こう側で何かが起こってるっていうのを、影や気配で感じるエロチシズムっていうのを平安からずーっと築いてきたのに、やつはそれを破るわけですわ! 何で破るかって話ですわ!
おっくん:うん。
山田:そこで1つ何かを終わらせてしまうわけ。慎太郎のやつが。
おっくん:あー! ここでね。
山田:そう、ここから何かが終わってしまうわけだよね。
おっくん:じゃあここ結構大事なんですね。太陽族。
山田:ジャパニーズビートニクって言われるわけだよね。反抗する若者達なんだけど、同時にエロも解放されるわけだよ。団さんはその時代を生きてるんだけど。でもこっから何が失われてるかっていうとこれが失われてるわけ。
「秘すれば花」。
おっくん:なるほどなるほど。
山田:ここからですわ、60年代入って、太陽族、みゆき族、カミナリ族っていろいろあってそんで60年代って何かっつったらいわゆるリブですね。ウーマンリブ。それから学生運動。要するに性の解放が個人の解放と被るっていうやつで。ここで出てきますね、永井豪先生の『ハレンチ学園』。
おっくん:60年代。
山田:これ見てもらえればわかるけど、戦って破れてます。これはもう戦いです! エロは。これも見てください、もう撃ちますからね! 戦ってますからね。戦うんです。
おっくん:笑。え、こんな漫画だったの?
山田:『ハレンチ学園』からあの人『けっこう仮面』までそうなんだけど、抑圧された学園生活から自由になる、学園紛争なんだよ。『ゲッターロボ』とかすごいよ。石川賢が書いてんだけど。学生運動真っ只中の話だから。
おっくん:あっ、そういう背景なんだあ。俺ロボット対戦でしかやったことないから。原作知らないんだよね。
山田:だから原作はその時代にできてるから、その、カウンターカルチャー、いわゆる。
おっくん:マジンガーは?
山田:マジンガーはちょっと出てこないけどね、同時期の話だけど。まあ、そういう要素が常にあるって話なんだよ。で、出ました『愛のコリーダ』ですわ。
おっくん:来たきたあ。
山田:これもその時代の話。ここもね、やっぱどっかしら奥ゆかしいところが残ってんだよ。
おっくん:まあ、湿っぽいですよね。
山田:そうそう。そしてですよ! 我らが若松孝二。若松孝二といえば『処女ゲバゲバ』ですよね。って知らないよね。
おっくん:いや、僕会ったことあるんで。
山田:うそ! なんで?
おっくん:あの、(和歌山県)新宮で。
山田:新宮で? どういうこと?
おっくん:これ話すと長いんで。
山田:俺も若松さん大好きで、若松孝二さんのロケに同行してオーストラリアに行った時期があったりとか。
おっくん:えー! そんな話初めて聞いた。
山田:あと『キャタピラー』のときに取材も行ってるし。『俺は手を汚す』っていう自伝を、和田さんから貰って「ヤバいオヤジいるなー!」と思ったの。
おっくん:へー。
山田:足立正生は北朝鮮行って帰ってこないの。要するに、「相棒は北朝鮮に行って帰って来れない。ゲリラになってるからね」っていう学生運動の中心だった。そこで何が描きたかったかっていうと、エロを使って表現してたの。
これね、どんどん秘すらない。これで当時、いろんなアートが出てくんの。ストリーキングとか。要するに「裸アート」ってオノ・ヨーコ、ジョン・レノンのヌートピア。全部解放なんだよ。だから見せる方、見せる方にいくわけ。完全にね。かつての日本は古いものだってことになっていく。
おっくん:あーなるほど。ちょっと、整理していいですか。つまり、ここ以前。50年代ってことは45年に終戦だからそれまでは、あれなんですよ、教育勅語の時代になるんですよ。あとで時間があったら話すんですけど『夜這いの民俗学』っちゅー本がありましてね……まあいいや。
50年代にその「新しい日本」みたいな価値というか。ガァンと、なんかその、隠すようなものを、タブーを打ち破ったのがこの太陽族という話で。石原慎太郎と裕次郎。その次の世代の60年代になったときに『平凡パンチ』が出るんですよね。『ねじ式』があって『ハレンチ学園』になるんですよ。それで裕次郎全盛期。アイドルは谷ナオミさん。
山田:まあ、谷さんはアイドルというよりは団さんが見つけたSMの女優さんで。初代女王なの。
おっくん:60年代から日活ロマンポルノが始まる。
山田:まあその時におもしろいのが、政治的なことをやりたい人たちがいっぱいポルノに集まるんだよ。とにかく裸が出てくれば何をやったって良い。って言われてた時代があったわけ。
おっくん:へー! 自由。
山田:だから若松さんはそこで一番暴れた人。だから「裸さえ出せば良いんだろう」って。やりたかったのは、政治だったの。実はこれ『ウルトラマン』につながるの。だから「怪獣出せばいいんだろ」って言って政治的なもの入れる。
おっくん・ニンニン:あー。
山田:だから60年代の流れでいろんな人たちが、言いたい。俺の3パーセント理論(注:本当に言いたいことは作品の中に3パーセント程度しか入れないこと)。エロを出しときゃOK、お客さん来てくれるから言いたいことをやるっていう時代。
おっくん:全共闘運動の流れで文化的にはそういう方にいったってことですね。エロとか、特撮を隠れみのにして。
山田:そうそう。まあそんな感じ。
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