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The 2 Secrets to Sending People to Mars(全1記事)

人類が火星に降り立つまでに乗り越えなくてはならない2つの壁

人類が火星に降り立つのは、いつになるでしょうか? 火星探査機からの報告はありますが、実際に宇宙飛行士を乗せた宇宙船が火星に向かうところまでは進んでいません。サイエンス・チャンネル「SciShow」によれば、この夢が現実になるまでには、乗り越えなくてはいけない大きな2つの壁があるそうです。1つは、宇宙空間に降り注ぐ放射線。そしてもう1つは、宇宙船の速度です。NASAは「2030年」を目標として掲げていますが、果たして実現可能なのでしょうか?

人類が火星に到達するのは、まだ難しい?

ハンク・グリーン氏:この間(2013年)の8月に世界中がマーズサイエンスラボトリーが火星に出発するのを見守っていたのを覚えていますか? あれは火星探索の歴史において最もワクワクした日でしたね。そして僕個人的にも最もワクワクした日でした。

そしてそれは成功しました。キュリオシティは今僕が話をしているこの瞬間もゲールクレーターを探索しています。それにはこのようなカメラやX線分析装置といった素晴らしいツールが搭載されていますよ。

このキュリオシティによって我々は火星について多くを学ぶことになるでしょう。将来の火星移住に役立つデータを収集できることを祈っています。

しかし、もし僕がマーズサイエンスラボトリーはすでにいくつかの最も重要な情報を人類に提供しているのだと言ったらどうでしょう? 少なくとも人類を火星に送るのに必要な情報をそれが火星に到着するまでに収集していたと言ったら? 実はこのデータ、火星への望みはあまり高くないことを示しているのですが。

火星にたどり着くまでに大量の放射能を浴びてしまう

火星に人類を送る、という話になった時に、どのような議論になったか覚えていますか? 火星探索は人類の夢です。以来火星への人類着陸は人類の憧れであり続けています。安全に効果的に人類が火星へ到着するにはいくつかの問題を解決せねばなりません。

中でも最も厄介なのが放射線です。もちろん実際に人類が火星に到着した時に放射線は大問題となりますが、火星に到着するまでに宇宙飛行士が浴びる放射線量です。昨年キュリオシティのおかげでこの事について多くが明らかになりました。キュリオシティには放射線探知機が設置されています。

エンジニアはこのようにトースターと同じくらいのサイズの機器を開発し、火星到着後にその表面で使おうとしていました。しかしある科学者はこれを火星への道のりでも作動させ、火星到達までに人間はどの程度の放射能を浴びることになるか測定すべきだと提案したのです。

マーズサイエンスラボトリーを守るシールドは恐らく人類が乗ることになる未来の宇宙船のシールドと同等となるはずであるので、そのデータは必要不可欠であろうということです。

放射線はシーベルトという単位で計測されますが2013年の5月に発表された結果によると、宇宙飛行士は火星への往復でおよそ2/3シーベルトの放射線を浴びることになるそうです。

これはものすごい放射線量です。地球上で人類は毎年1/1000シーベルトほどの放射線を地球外から浴びています。他に地球上の人間が放射線を浴びる可能性としてはX線やCTスキャンなどの人工的措置によるものが考えられます。

宇宙飛行士が火星へ行くときの死亡率

マーズサイエンスラボトリーのセンサーがキャッチした放射線量は、しっかりと放射線対策がされているにも状態で、1日に1.84ミリシーベルトです。この量の放射線を浴びるには5日に一度は病院で全身CTスキャンを受けねばなりません。

全米癌研究所によれば12カ月から16カ月の宇宙旅行に出た宇宙飛行士の癌で命を落とす確率は21パーセントから24パーセントにもなるというのです。これはとても無視できない数字ですよ。

火星へ向かう過程と火星で過ごす時間で浴びる放射線量は、癌で死亡する確率を3パーセント以上上げてはならないというNASAの現在のガイドラインで定められている量を超えるのです。

放射線は人間の身体に多くの害を与えます。多大な放射線量は癌発症のリスクを上昇させるだけではなく、感染症への免疫力を低下させ、短期間の記憶能力の低下や失明、心臓病のリスクの上昇などがあります。

これら症状は火星探索のミッション中に発症する可能性があります。更に火星へ向かう途中に太陽や深い宇宙からの放射線大量流出、といった予期せぬ宇宙での事故に合う可能性もあり、現在あるデータ以上の放射線量を宇宙飛行士が浴びてしまう可能性もあるのです。

すると内臓が突然機能しなくなり、最悪に苦しみながら命を落とす急性放射線症候群に繋がります。地球から3,000,000,000キロも離れた場所で宇宙飛行士にそんなことになってほしくないですよね。

宇宙飛行士を襲う放射線には2種類ある

では、このような事態を避けるために我々はどうしたらよいのでしょうか? ここでの放射線問題は2種類あります。まず第一に太陽エネルギー粒子線、これは太陽の表面が大きな爆発を起こすことによって放出されます。

これは太陽フレア、コロナ質量放出として知られています。このような現象は太陽の11年のサイクルのうち太陽活動が活発でない時期にはあまり頻繁に起きることではありません。マーズサイエンスラボトリーはもちろん太陽が静かな時期に出発しますが、それでも5回の太陽エネルギー粒子線放出を記録しています。

そしてもっと厄介なのが銀河宇宙線、これは太陽系外部やブラックホール付近から、大抵の場合星の爆発によって起こります。

これは太陽系の動きが静かな時期により容易に通過する上に、前出の放射線より容易に人間の細胞組織に浸透し我々のDNAを破壊します。厚さ30センチのアルミニウムの空間をつくってもあまり放射線防御策にならないようです。科学者はアルミニウムポリエチレンでさらに層を追加し、水を入れた容器も追加することで太陽熱の放射線汚染率は低下させることができるものの、銀河宇宙線率は変わらないと言います。

火星の表面の放射線被害は、それに比べると少しはマシなようです。キュリオシティのデータによれば、宇宙飛行士が火星の表面で浴びる1日の放射線量は0.7ミリシーベルトです。もちろんこれでも非常に多いのですがこれはISSの人々が毎日浴びている放射線量と同等です。

より高速な宇宙船を開発するのも難しい?

科学者たちは人類が火星に到着するまでの放射線量を下げるための宇宙船シールドを開発しようとしていますが、火星へ到達するまでの放射線汚染量を下げる最も有効な方法は火星までより速いスピードで到着する宇宙船を開発することです。ここでもまた解決せねばならない問題があります。推進力です。

アポロ以来の従来の方法に則り、液体水素と酸素によって稼働する化学ロケットエンジンで宇宙へ行くという方法を取ってこれを解決しようとすると大きな難題に直面します。それは主に、「そんなに多くの量を燃料をどこに保管するのか?」という問題です。

従来の宇宙船の重さの90パーセントは燃料が占めています。燃料が重い、つまり費用にしてもエネルギーにしても、この燃料を動かすのが非常に高くつくということです。

さらに火星に到着するまでに多くの燃料を消費します。宇宙船は特に地球圏内で著しい気温の変化にさらされますが、これによりロケット内の燃料は多くが蒸発してしまうのです。更に水素は漏れやすいことで知られています。その流出量は1カ月に4パーセントにもなるそうです。

では従来とは違った方法ではどうでしょうか? 「ワープ」などという言葉は出てきませんよ。ソーラー発電、原子力発電推進はいかがでしょうか?

まず初めに、これは卓上の理論ではありません。現在ソーラー発電エンジンの可能性が探求されています。太陽電池により電力発電をする、これは中性原子を燃料に変えるために用いられる方法ですが、大抵の場合希ガスをイオンに変え、それが磁力によって速力を増し、エンジンが回るという仕組みです。

NASAのドーン探査機はセレスとベスタを調査するために2007年に打ち上げられましたが、これも太陽電池によって発電されました。

このタイプのエンジンは長期的抗力を持ちますが、短所は力が弱いということです。現在の太陽電気推進の技術では宇宙船が火星にたどり着くまでに2、3年の年月がかかってしまいます。先ほども言った通り、火星到着までにそんなに時間をかけていられないのです。

原子力発電推進エンジン技術はまだまだ宇宙船を飛ばすところまで発達していません。核分裂には大きな装置が必要ですし、水素燃料も必要ですが先ほど触れた通り長期に渡ってこれを保存するのは難しいことなのです。

ではハイブリッドはどうでしょう? 従来の化学推進要素と太陽電気推進を合わせるとどのくらい火星への旅行時間を短縮できるのかは未だ明らかになっていません。

理想的には、化学ロケットで宇宙船を地球圏外まで飛ばした後に、太陽電気推進を使って火星を目指すことでしょう。そうしたとしても、宇宙船の速度を上げるためにはより強い太陽光線が必要であると同時に、放射能汚染の程度を下げる必要もあるのです。

NASAは「2030年」を目標に掲げているが……

ここまでお話しましたが、まだ火星を実際に探索することができていません。私は火星へ到達するというミッションをあまり楽観視してはいませんが、多くの団体が火星に目を付けていますね。火星協会が昨年発足されましたし、他にも様々な組織が火星を目指して立ち上がっています。

中でも「インスピレーション・マーズ・ファウンデーション」のゴールは火星に2人のアメリカ人を送り、このように火星を周り、地球に帰還させることです。

その予定日は2018年の1月5日、この日に出発すると地球、惑星の配列の関係で501日でミッション達成できるそうです。このNPOは従来の技術でこれを達成しようとしており、これから5年以内に資金繰りをして実現させようとしています。彼らよりも前向きに動いているのが「マーズ・ワン」という団体です。

彼らは2023年に4人が滞在できるコロニーを火星に設立しようとしています。その予算は60億ドルです。皆さんもこの団体のことを耳にしたことがあるかもしれません。というのは彼らの計画には人が火星から帰還することが含まれていない上に、76,000人がそのプロジェクトに参加しようと応募したというのです。2016年には後で到着する人々が必要とするであろう物品を先行して火星に無人で送り込み、様々な放送権を売って資金を集めているらしいです。

僕個人としては10年以内に火星に人類が到着するなどあり得ないと思っています。火星付近を浮遊するという目標のほうがはるかに現実感がありますが、それでもあと5年は必要なのではないでしょうか。

NASAが掲げた「2030年に火星に人類を送る」という目標ですら現実的であるかどうか疑わしいところですが、このようなNPOの火星への情熱と非常に前向きなビジョンはとても興味深いです。

人類は宇宙、火星への夢を追い続け、やっと人類が火星に行く、火星に住む、というところまで計画できるようになったのです。そして人類は火星表面に少しでも触れるために、二度と地球に帰還できないかもしれないというリスクまで背負おうとしているのです。

皆さんはどう思いますか? 皆さんだったらそこまでして火星に行きたいと思うでしょうか? ほかに何か良い方法はありますか?

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