2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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高橋健太郎氏(以下、高橋):最終的には、法律をなんとかしなきゃいけないっていうところまで来るとね。
三野明洋氏(以下、三野):法律ってなかなか難しいですよね。
高橋:難しいですよね。僕も、ずっと放送局が音楽出版社を持ってしまうことが最終的にも音楽産業の首を絞めると思っています。その場面、場面では、ヒット曲を売り、そこで儲かる人たち、それで生き残れるミュージシャンだとかがいるとして。
そういう例はたくさんあると思うんだけども、全体としてみたら、最終的には音楽業界の首を締めると思ってるんですよ。そのビジネスのやり方でやってると。実はアメリカでは法律で禁じられていることで。日本でだけずっと続いてしまってる。
だんだんそれが機能しなくなってくるっていう状況も今はあるけども、内部から、それいうのは難しくて。ぶっちゃけ、世話になってるわけだから。JASRACにだって散々もう。
僕は、2004年の著作権法改正の時に、反対の立場で、国会に参考人招致されているんですね。そのとき輸入権っていう支分権が作られることになって。僕はそのとき完全に業界人で、レーベルもやってれば、音楽出版でもからんでたりするから、権利的にはマス側なんですね。
つまり、僕が外国の作品を僕のレーベルで出したときに、それの輸入盤を止める権利が僕に手に入る法律だったんで。基本的に僕の立場だったら、それで権利が増える法改正だったんですよ。
でも、ユーザーとの関係を考えた時に、音楽産業が「これやったらまずいだろう」と思って反対したところ、あれよあれよという間に国会行って、依田(巽。元avex会長兼社長)さんと対決スピーチをする羽目に陥って。
僕はavexにはめちゃめちゃ世話になってて、バンドでデビューもしているし、依田さんと一緒にニューヨーク行ったりもしてるんです。でも、レコード業界が進めようとしてる輸入権の創設に反対するスピーチをするっていうことになってしまって。
そのときの僕の基本的な弁論も、「ここまで保護しちゃったら活性化しないです」「次の時代のミュージシャンが、これやると出てこないです」っていうスピーチだったんですけども。でも、業界のなかから、そういうことを言うのは本当に難しい。
戸田誠司氏(以下、戸田):それは本当、法律のところまでいくと「議員会館をどうやって回るか」とか、そういうことまで踏み込まなきゃいけなくなってしまうので。
三野:政治は難しいですよ。
高橋:難しいです。
戸田:嫌いですか?
高橋:三野さんはそういうの嫌いですよね?
三野:大嫌いです。
高橋:議員先生とかにお願いしたりしないんですか?
三野:一度ね、呼ばれたあとに話したということはあるんですけど。
高橋:議員先生にお願いにいかないで、よくこれだけ潰してきたなと。
三野:だって議員ってわからないですよ。著作権の話なんてチンプンカンプンで、本に書いてる表面的なことしか言わないし。そしたら無理ですよ。法律改正は別に、議員だけがやることじゃないから全然問題ないですから。
会食したりしましたよ。「この人たちと話すことはないな」と思って、すぐやめました。
高橋:時間も迫ってきて、もう終了の時間なんですけども。質問を2つぐらい、なにかありましたら。
質問者1:余談の質問なんですけども。著作権の話なんですが、今年のいつだったか忘れたんですけども、ある歌手の楽曲のカバーをするという(話があって)。自分は楽曲の権利を持ってないんですけども、「ほかの歌手が歌うのは嫌だ」と言って断った事件があったんですけども。
そういうのって多分、業界の慣習によって止めた、止める、止めないって話だと思うんですが。そういうこと、どうお考えになりますか。
三野:ご存知の通り、著作権のなかには財産権と人格権があって。財産権っていうのは、あくまでもビジネス的なやりとりですから、JASRACがイエスと言えば、もうオリジナル権限者がイエスという権利がないわけです。
ただ、アメリカなんかはそうではなくて。ご存知の通り、アメリカでは「強制許諾」っていって、1回世の中にリリースされると、翌日から自由に使えるんですね。自由に使えるんですが、逆にいうと、ここはアーティストの主張によって止めることが一般的に行われてるんです。
質問者1:なるほど。
三野:はい、アメリカで。ですから、「自分の曲をカバーしてもらっちゃやーよ」と言うと止まっちゃう。それは出版社がそういう処理をしてるんですよ。日本はそこらへんのルールが不明確なんですね。だから、音楽出版社も止められるのか、止められないのか。
戸田:っていうか、それ誰も知らないですよ。
三野:アーティストも言っていいのか、悪いのかわからない。
高橋:ただ今の例は自作曲じゃないんですよね。
三野:ボーカリストがってことですか?
高橋:そうそう。
質問者1:だから自分は歌ったんだけど、作詞作曲はしてない。
戸田:だから最初の実演家が、次の実演家をはじく。
三野:そうか、そうか。ごめんなさい。
質問者1:実演家は反対したんですけども、逆にいうと作家はそれに対してなにも答えてあげないんです。
三野:そこだとするならば、止められる要因は、なにがそこに加筆されてるか、変更されてるか。なんらかの追加の著作権が発生してれば、可能性があります。
ただ、まったくそれがないんであれば、これはもう……著作権とはあくまで作詞家、作曲家のクリエイティブに対しての権利ですから。いくら実演しても、その実演家にそれぞれの権利はないというのが基本です。
多分アメリカなんかは、昔からスタンダード曲なんて皆、誰もかもが、どんどん歌ってますよね。
戸田:だから90年ぐらい前は、歌っていうのは歌で独立してたんですけども。90年よりもっと前かもしれないけど。70年、80年くらい(前)からは、歌とアーティストがイコールになっちゃったじゃないですか。
三野:シンガーソングライター対応ですね。
戸田:そうですね。だからロックが出て、フォークが出て。そこで「自分のものだ」っていう気持ちは皆わかるし。聞いてる人も、ファンの人も「この曲はあの人の歌だ」って、精神的にあると思うんですけど。それはでも、文句言ったら「度量狭いよね」っていうのが。やっぱり今のところあれぐらいじゃないですかね?
高橋:それこそやっぱり結局、活性化の問題なんだよね。
戸田:そうですね。
三野:でも、「どうやったらヒットするか」っていうの考えたら。
例えば毎月、各レコード会社の新譜が出るわけじゃないですか。そのベスト10の曲を、即日(ほかのアーティストが)カバーしてアルバムにしたら、そこそこ売れるんですよ。
高橋:60年代のアメリカもそればっかりだったよね。
三野:そう。日本ってそういうのやったことないんですよ。「なんでやんないのかな?」といつも思うんだけど。レコード会社の新譜表見てて「これ売れそうだな」と思ったら、すぐそれをカバーして。今なんて1週間でできちゃうんですよ。
戸田:演歌はそれやったじゃないですか。演歌の、昔だけどアルバムのB面って。
三野:演歌はそうじゃないですよ。演歌は作家が強いんですよ。ボーカリストはあくまで実演家。
戸田:あ、そうか。歌わせていただいてる。
三野:そうなんですよ。作家が強いですよ。森進一さんの事件とかあるじゃないですか。作家の意志で作品が再現されてるんです。
戸田:昔の。70年、60年、50年ぐらい前。
三野:そういう部分では、これからカバーっていう曲の扱い方も、非常におもしろい権利処理になると僕は思いますけどね。
作った途端にたくさんのアーティストに説明して、「歌ってよ、歌ってよ」って言って、たくさん売ったほうが身入りは多くなるわけじゃないですか。そういうの考えるの、決して不思議なことではないと思いますけどね。
高橋:ほかにどなたかご質問がありますでしょうか? なければ、これで予定の時間になってしまいましたので、今日のトークイベントはこれでおしまいになります。講座のほうは2月下旬から始まります。第1回、三野さんどっからやりますか?
三野:本当は、1回目は質問からやりたいんですよ。参加される方が、まずそれまでに質問をたくさん考えておいて、そこからスタートすれば。普通は質問は最後なんですか?
高橋:はい。
三野:変な話ですけど、僕は大学の最初の授業は掃除するんですよ。教室の掃除。それをやると、学生が引き締まるんです。「掃除やったこと初めてです」って。15分、掃除して。もうすごいですよ。
それから質問を出させて。まず質問を全部整理するんですよ。講座の一番最後に、もう1回その質問を出し直して、今度は学生のなかからその答えを。これやると、一周して問題点が解決すると。
おそらく今度の講座も、参加者が決まったら事前に質問を、最低限1人50個考えていただいて、それを持ってきてくることが。
高橋:敷居高いですね。
戸田:それじゃあ敷居高い(笑)。
三野:いや、そんなことないですよ。いつも疑問に思ってることをメモすればいいんだから。
戸田:わからないから来るのに(笑)。
三野:わかんないからこそ逆に。ネットにもあり、自分の身近にあるCDの裏を開いてみたら著作権って書いてある、読んでみたらよくわかんなかった。それを質問にすればいいんで。その努力なしに学校を探すっていうのはナンセンスですよ。。参加する方は、質問を考えてから参加する。これは当たり前です。
講座っていうのは、喋るほうも重要ですけど、聞く方も重要なんで。これがインタラクティブなんで。
高橋:では、ということで2月からの講座にご期待ください。
三野:ぜひ、参加してください。
高橋:よろしくお願いいたします。
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