2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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おっくん氏(以下、おっくん):今日は記念すべき第21回ということで、おかげさまで無事、第20回の3時間を乗り越えて、ここまでやって参りました! 新しい主題歌、どうでしょうか。
山田玲司氏(以下、山田):前回はあの後、朝の4時、5時までいきましたね。上野のすしざんまいでずっとアッコショー続いてたからね。(放送は)第1部って感じだったよね。あのまま放送続けてれば良かったのかなって。
そして出ましたよ名言、「乙女をねじ伏せろ!!」。そういう生き方もあるんだって俺初めてわかった。だから俺らも少年の心をねじ伏せないと大人になれないのかもね。おまえの乙女もめんどくさいもんな。クソめんどくさい(笑)。「オタクをねじ伏せる!」っていうのも良いんじゃない?
今回は、天才編集者の柿内(芳文)くんがいよいよここにやって来るわけですけど。カゴでお馴染みの。さっきから「カゴの人」「カゴの人」って(笑)。そうだね、カゴの話もちょっとした方がいいかもね。まず柿内くん伝説からいっていい?
おっくん:そうですね、今までも(放送のなかで)何回か柿内くんのことを、まあネタにしてというか、いろいろイジってきましたけども。実際本人が登場なんでね。どういう人かっていうのを軽く。
山田:あのね、これ言わせて。今日来るのは編集者なんですわ。俺は漫画家。彼は編集者。編集者が仕事を回してる。俺は漫画家やって、かれこれ30年近いですわ。もう29年目ですわ、プロになって。だから編集者っていう人たちとの付き合いももう30年やってるの。
おっくん:ほー。TUBEも30周年なんですよ。
山田:それで、歴代のいろんな編集者見てきたわけだよ。それこそ「手塚番」(注:手塚治虫氏の編集担当者)からいるからね。編集長クラスの人だけど。でも「俺、手塚先生のネーム見たときさー」って話するわけよ。
おっくん:おー。それは言われちゃうとなんか……。
山田:「俺、タッチ作った時さあ」っていう人とか、レジェンドみたいな人もいるわけ。でも、いろんな編集者がいて、そりゃ合わない人もいっぱいいるわ。
おっくん:ああ、やっぱりいるんですね。相性が。
山田:で、だいたいがこっちの問題なんだよ。若気の至り的な。「テメーコノヤロー! スーツ野郎! テメエら定期的にお金貰ってんだろ、コノヤロー!」って。そういうことが言いたい思春期の頃はやっぱぶつかりますよ、皆さん。
おっくん:はいはい。「このリア充が」と。
山田:「このクソリア充スーツ野郎が」「大企業が」みたいな。「みんな高学歴か? え、高学歴か!?」みたいなさ(笑)。「お前も東大か!?」みたいな奴いっぱいいますから。
おっくん:ひねくれてますねー(笑)。
山田:ほんと、みなさんこじらせてますよ。まあまあそれはともかく、だんだん1人の人間として付き合えるようになってくるわけだよ。売れたりして息が整ってくると。酸素が脳みそに入ってくるみたいな。
「あれ? 相手も人間なんだぁ」みたいな感じで、いろんな編集者がいっぱいいるんだなーってあって。歴代編集者で何人も好きな人いるんだよ。でもね、やっぱね、振り返ってみて、コイツやっぱ一番すげえなって思う編集者が今日のゲスト。
おっくん:ほー。ほぼ30年のキャリアの中で。
山田:うん。こいつが一番すげえ。もうスーツ野郎じゃねえって。これもうスーツ野郎超えてるぞっていう。
おっくん:スーツ野郎を超えたスーツ野郎が。
山田:それでね、最初すごかった。(彼は)光文社にいたの。俺は『絶望に効くクスリ』を小学館でやってたの。出版社って一橋組と音羽組にわかれてんの。一橋組っていうのが、集英社、小学館。
小学館の子会社・集英社、みたいのがあって。もう1つは講談社を中心とした、講談社ブロックっていうのがあって。光文社とかキングレコードがグループになってやってる。
おっくん:キングレコード?
山田:そう、同じ一派。それでいろいろあるんだけど、角川別組みたいなのもあるんだよ。だから、俺は音羽っていう講談社から蹴られて、一橋の小学館に拾われたの。音羽にフラれて一橋に拾われた男なの。
おっくん:はいはい。
山田:彼(柿内氏)は音羽の人なの。俺は一橋の小学館で『絶望に効くクスリ』やってたの。で、俺はさとひゅ(注:『絶望に効くクスリ』に登場するライター)と一緒に「次だれいく? オノ・ヨーコさんいく?」みたいな話をしてたわけよ。
で、オノ・ヨーコの並びで彼が選んだのが柿内くんで、「ウチの編集部で、柿内くんってヤバい奴いるんだけど、『絶望に効くクスリ』に出そうよ」って。
おっくん:え! オノ・ヨーコさん……と柿内くん!?
山田:オノ・ヨーコさんの並びで。あの人に厳しいさとひゅが、オノヨーコと柿内くんを並べたからね! それで「オファー出して良いかなー」つって。これ一橋的には気に入らないわけですわ。
一橋のスーツ野郎を差し置いて、なんで音羽のスーツ野郎、しかも新入社員風情に、まだ当時入って数年だったから、「何なのそれは?」っつって止められまして。
おっくん:あ、止められたんですね(笑)。
山田:それの企画叶わずでコノヤロウと思いますわな。で、俺が「非属の才能」って言葉を思いついて、迫害されてる人ほど才能あるよねっていう。いじめられっ子ほど、上手くいってるよね、成功してるよね。
それではみ出し者の本を出そうと思って。「非属」って言葉を思いついて、これ誰とやろうかなあって思った時に、「柿内くんしかいねえ、これ柿内くんと会うしかねえ」と。それで俺と会うわけ。
おっくん:そこで最初の出会いなんですね。
山田:10年位前。そんで、話作るわけよ。一発かましましょうよって話になって。それが本屋大賞とるんですよ。
おっくん:ほうほう。
山田:本屋大賞だけどコレ、本屋大賞だけど!中2賞を受賞っていうねww
おっくん:中2部門。
山田:中2部門。これ文庫になるときに星海社でタイトル変えて出して。『ハミ出す自分を信じよう』ってこれ、ハミ出してる本なんですけど。
これも柿内くんが星海社に移った時にこれ作ったの。これのもともとの新書っていうのが『非属の才能』っつって光文社から出してるんだけど、これが中2大賞、本屋大賞とりました。大騒ぎですよ。
おっくん:さすが中2魔王だと。
山田:中2魔王の晴れ舞台ですわ! まさかの、スタッフが俺に連絡ミスで。
おっくん:え?
山田:俺知らなかったの(笑)。
おっくん:え、どゆこと?
山田:俺何も知らないで、あるそば屋でネーム考えてたら電話がかかってきて。「山田さん、ほんとすいません。今日授賞式でした」。
おっくん:(笑)。
山田:「パードゥーン? ホワッツウロング?」。
おっくん:ははは。
山田:それすごくね?
おっくん:それめっちゃおもしろいじゃないですか。
山田:そんでね、この光文社の担当者大騒ぎですわ。上にもうコテンパテンですわ。
おっくん:そりゃそうでしょうね。
山田:土下座してこいですわ。
おっくん:魔王にひざまずけと。
山田:そしたら、天才柿内くんが「山田さん、この機に乗じて再販ですよ。一発かましましょう」と。
おっくん:はいはい。
山田:帯変えましょうと。普通の帯やめましょうよと。
おっくん:普通の帯やめて。
山田:帯がどんどんでかくなってた時代だったの。帯が表紙にどんとん近づいていった時だったの。
おっくん:はい。
山田:それで、柿内くんが言いました。「山田さん、全部帯にしちゃいましょう」。
おっくん:え?
山田:これです、これ。これが、歴史的初めての全部帯! これ、見えます? これ外すと、帯ですから。
おっくん:え!? 表紙じゃないのこれ!
山田:帯です! 帯on帯(笑)。もうね、帯の上に帯を重ねて売りますからねこれ。
おっくん:帯びてますねぇ~。だいぶ帯びてるそれ。
山田:これが! 柿内クオリティ。こんなん普通通んないよ、やったことないんだもん誰も。
おっくん:うん。
山田:そしたら、「山田さん、大丈夫です。僕、土下座する気持ちでいますから、通します」。
おっくん:あー。
山田:このタイミングで、「交渉しますから」って言った張本人の柿内芳文にご登場願いましょう!
おっくん:すごいフリですね(笑)。
柿内芳文氏(以下、柿内):懐かしいですね。
山田:見て、この盛り上がり。ニコ生出んの初めてなんだよね。
おっくん:そう、カバーだと思ったよねー。
柿内:そう、中2賞とったときには、僕は光文社を離れて、星海社行ってたから。僕も、神楽坂のそば屋でメシ食ってたんですよ。
山田:え、まじで!? あんときそば食ってたの!
柿内:僕が作家さんと飯を食ってたんですね、そしたら山田さんから電話がかかってきたんですよ。「あ、久々に山田さんだ。なんだろー?」って電話とったら「なんか俺賞とったらしいけど」って言って「はい?」みたいな感じで。
「どうやら俺、賞とったらしいんだけど詳しいこと知ってる?」ってなって、「いや、賞とるはずないすけどねー」って感じで。本屋大賞とか言ってるから、小説書いてないし、何を言ってるんだろう、山田さん?(って思いながらも)「じゃあ念のため聞いてみますね」って言って電話をしたら、授賞式だったんですよね。
山田:そうなの、その夜なの。
柿内:僕も、担当編集も知らない、作家も知らない、どうなってんじゃこりゃー!? ってなって。
山田:そうそう。
おっくん:これは普通、怒りますよね。
柿内:怒るというか、何が起きてるかよくわかんないから、前の会社の編集長に聞いてみたんですね。そしたら「あれ、言ってなかったっけ?」って言ってたつもりだったみたいなんですね。
山田:そういうこと起こるんだよ、たまに。
柿内:だから会場に用意されてたんですよね。
おっくん:来ると思って。
山田:本物の中2の人が選んでくれたんだよ、俺のこと。
おっくん:え!?
山田:大事なことじゃんそれって。
柿内:中2が感動した中2の賞なんですよ。
おっくん:逆に行かないっていうのが中2って感じ……。
柿内:いや、行きたかった。行きたかった!
山田:もうちょっと悩ませてよ。あえて行かないとか言わせてよ。知らないでそば食ってんだぜ。
柿内:だから会場もびっくりですよ。「あれ、来ない?」みたいな感じになって。……といういきさつがありまして、「どうしよっかなー」みたいになってたんだけど僕は心の中で「良いチャンスだな」と。
とにかく、終わったことはしょうがないんで、これからのことを考えるってときに、賞をとったら普通、こういったときに本屋大賞の権威を使わない手はないんで、(帯に)本屋大賞受賞ってやったらばーんとまた売れるかもしれないじゃないですか。やっぱこれね、1人でも多くの人に読んでもらいたいわけですから。
おっくん:そうですね。
柿内:そもそもね、(もともとの帯が)「行列なんかに並びたくないあなた、おめでとうございます」。ってこれが非属感。
山田:もうねーキレキレっすよ。
おっくん:この文章作ったんすか?
山田:そうに決まってんじゃん。
おっくん:へー! すげーすげー。
柿内:最初からこんな感じなんですけど。最初、僕も無邪気に「中2賞受賞!」ってやろうかなーと思ってたんすよ。……非属じゃないなと。
山田:そうそう、俺ら普通じゃん。
柿内:これなんか、BLANKEY JET CITYがミュージックステーション出たみたいな。赤いタンバリン歌った時すごい残念だったんですね、僕。
おっくん:あー、何かが壊れるみたいな。
柿内:僕ブランキー大好きなんで。まあなんか嫌な気持ち思い出して。あこれダメだと。何やってんだという話をして、「じゃあどうしましょうか」っていう話を恵比寿のアトレの喫茶店で。
おっくん:めっちゃ細かいな。
柿内:いっそのこと非属なことやんないとダメだってなって、さっき言ってたみたいに帯でいろんなことしてたんですよね。ちょっと上げたり、下げたりみたいなのもあって。
みんな本の下のほうの宣伝スペースでやってるけど、もう上まで上げちゃえば良いんじゃないのって、その時思いついたんですよね。思いついて、もうやっちゃおうってなって。上の許可とってないけどやっちゃえと。事後報告でいいやと。絶対、負い目があるから通るだろうと。
おっくん:多少の無理は通るだろうと。
柿内:このスペースはキャンバスだと。このときオーダーしたのは、これをキャンバスだと見立てて、好きなもん描いてくれと。だからこれ一枚絵なんですね。
おっくん:はー!なるほど。開いて見たことなかった。
柿内:だから、これをキャンバスだと見立てて山田さんに「非属な感覚をぶつけてくれ」っていうふうな感じで言ったんすよ。それで出てきたのがこれで。これ山田さんに言ってないんですけど、出てきた時正直、困ったんすよ。
おっくん:俺も今、それちょっと思いましたよ(笑)。
柿内:思ったより非属できたなと思って。
山田:(笑)。だって非属合戦でしょ。
柿内:そうそう、そうなんですよ。何が一番困ったかって、ここにタイトル入れなきゃいけないんすよ。要するにこういうデザインなんで。ここにタイトル入れたら、一番メインの日本列島のところが隠れちゃうんですね。だからこれ逆にするしかなくて。ここまで非属なんですね、実は。
おっくん:あー、なるほどね。
柿内:僕一切オーダー出さなかったんですよ。ここにタイトルが入るからここを避けて描いてくださいとか、ここにバーコードが入るからここ避けてくださいとか。そうじゃなくてこれがキャンバスだからって。
で、ここにちっちゃく、本屋大賞中2賞受賞って。
山田:あえて見えない(笑)。
おっくん:非属すぎるでしょ。
柿内:でしょ。こんな権威に媚びることないですから。
おっくん:でも一応書くことは書くんだ。
柿内:使えるとこは使って、みたいな。書店さんにわかれば良いかなみたいな。っていうふうにやったんですね。さっき「全帯は初めて」って話だったんですけど、実は文庫では当たり前だったんです。新書では無かったんですね。帯って、どうやらここ2ミリ残せば帯びらしいんですね。
山田:そいういうルールあったんだ。
柿内:そう、だから2ミリ残ってる。
柿内:これ2ミリ残さないとカバーになっちゃうらしくて。カバーが2枚になっちゃうから、管理上は一応2ミリは空けてくれーって。
山田:ギリまで攻めたんだ。
柿内:そうですね、だから2ミリ分が非属になりきれなかったところですね。
おっくん:どこまで入れれば童貞卒業かみたいな……。
山田:これで出版界が変わったんだよ、全帯が流行るんだよね。今、書店行ったらみんなこれのパクリすわ。
おっくん:みんなこれ表紙としか思ってないです。
柿内:これ取ったら、普通のレーベルなんで、統一のデザインがあるわけですよ。だからこれを無くすわけにはいかない。新書ってレーベル単位で売ってるんで。でもこれで一線越えちゃったから、他社も真似しだしたんですね。今はけっこう全帯多いんですよ。で、一時期コラムニストか評論家が、「いかがなものか」みたいな評論を書いてたりして(笑)。
おっくん:紙の無駄遣いだろみたいな。
柿内:いや、新書の歴史があるのを破壊して単行本化、軽くなってるって言われて。
山田:やったぜ! 破壊してやったぜえ~!
おっくん:出版の歴史を変えたわけですね。
柿内:でもみんなやり出すと、逆にこれやるの非属じゃなくなるんですね。
山田:そうなんだよ。
柿内:だからむしろ今は明朝体の方が新しい。
山田:思いっきりここに本屋大賞って書くからね!
柿内:こん時にはもう悪びれず書いてるんですね。
おっくん:属してますねー。
柿内:こんときは、はみ出してここまではみ出るっていう。
おっくん:ちょっとだけね。
柿内:もうはみ出しまくりみたいなね。
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