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インド(全3記事)

次世代の最注目国インドの歴史を駆け足で紹介 王朝の名前、いくつわかる?

世界各国の歴史をゆる〜い雰囲気でお伝えするPodcast番組「世界一周!チラ見の世界史」が今回取り上げるのはインド。インド料理でもお馴染みですが、最近はITの分野でも注目を集めているアジアの大国です。このパートでは、インドの地理や人口などの基本的な情報から、たくさんの王朝や宗教を抱えてきた長い歴史を駆け足で紹介します。

授業の前の確認事項

おおたに先生:(以下、おおたに)では、これから世界史の授業を始めます。では、出席を取ります。まき君!

まき君:(以下、まき)はい。

おおたに:ちょっと声が小さいかな。

まき:はーい(笑)。これくらいで大丈夫ですか?

おおたに:はいー(笑)。たけちよ君。

たけちよ君:(以下、たけちよ)はい。

まき:それと、おおたに先生の3人ですね。

おおたに:そうですね。全員揃っていますね。それでは今日の授業を始めましょう。授業を始める前に確認事項があるけど、覚えているかな? まき君、どうでしょう?

まき:いや、これはたけちよさんに。たけちよさんお願いしまーす(笑)

たけちよ:はーい。ここにいる3人は歴史の専門家ではなく、むしろ素人です。なので、間違えたりすることもありますが、歴史を楽しむという視点で聞いてください。間違えていた時は、あとでこっそりメールで教えてください。

おおたに:はい、よろしくおねがいしまーす(笑)

まき:よろしくお願いします。

たけちよ:よろしくお願いしまーす。

おおたに:では、今日の国はわかるかな? まき君。

まき:今日の国は……バックパッカーの聖地と呼ばれているインド、ですか?

おおたに:そうですね。

まき:よし!

おおたに:国名がインドですね。共和国とか何もつかないですね。

まき:「インド」が国名なんですか?

おおたに:インドと外務省の資料には書いてあったよ。

たけちよ:そうですね、はい。

12億の人口と21の公認言語

おおたに:ここは人口も多いし国も大きい。面積は328万7469平方キロメートルだって。

たけちよ:おー! どれくらい広いのか。

おおたに:日本は38万平方キロメートルくらいだっけ? だから、10倍近くでかい。グリーンランドって地図だとけっこうでかく見えるじゃない? だけど、グリーンランドよりも全然でかいよ。北のほうって地図が広げられちゃってるじゃん。

たけちよ:のびちゃっているんですよね。

おおたに:だからもちろんアラスカよりも大きいし。人口はちょっと古い2011年の資料でも12億人いますね。その代わり1人あたりのGDPが1627ドルで149位だから下のほうだね。だからまだ貧しい国かな。公用語はヒンドゥー語だって。でも他に憲法で公認されている州の言語は21個もあるそうですよ。

たけちよ:へぇー! 21個!

おおたに:憲法で公認されてるんだって。

たけちよ:ふーん。

おおたに:これは大変だね。それで宗教のほうはヒンドゥー教徒が80パーセント、イスラム教徒が13パーセント、あとキリスト教徒とか仏教徒とか、シーク教徒とか数少ない人たちがいますね。民族は、インドアーリア族、ドラビダ族、モンゴロイド族だって。モンゴロイドというのは我々の仲間かな。

たけちよ:そう……ですよね。

おおたに:インドは歴史が大変なんで、今日ははしょってちゃちゃっといくからね。

まき:はいー!

たけちよ:はーい。

おおたに:基本資料はこんなところで、おしながきは紀元前から始まるんで。インド人の先祖と思われる民族から始まって、インドの四大古代宗教とか最初の統一王朝ができて、イスラム王朝とかムガール帝国までが1つのかたまりとして一気にいきます。2番目はイギリスがきて、それで独立するまでの話をします。最後は独立以降で、近代とカシミール問題とか、印パ戦争とかを話そうかなと思っています。

紀元前5300年、四大文明発祥より前の時代のインド

おおたに:さっそくですが、紀元前の一番古いところからいくと、モノの資料によれば、紀元前5300年頃、ドラビダ人という人たちがアフリカの東海岸からインドにやってきたそうです。

たけちよ:お! 元々いた人たち、じゃないところからですか。

おおたに:原始人の人たちは数万年前とかからいたかもしれないけど、それにしたって人類発祥はアフリカじゃないですか。

たけちよ:そうですね。

おおたに:民族的に1つのかたまりとして認識されるのがドラビダ人という人たちで、紀元前5300年頃やってきた。その人たちがインダス文明を紀元前2600年頃起こしたとされています。四大文明ってあるじゃないですか。

まき:ね。

おおたに:お、まきちゃんいえるか?

まき:私、四大文明は、古代エジプトと……。あと、どこだろう? どこでしたっけ? 習ったのに全然忘れちゃって(笑)。

おおたに:中国の黄河文明とインダス文明と、もう1つは?

たけちよ:マヤですか?

おおたに:いやいや、それはずっと新しい国(笑)。

たけちよ:カット、カット。

おおたに:メソポタミア。

まき:出たー!

おおたに:チグリス・ユーフラテス川のあたり?

まき:やりましたね。

たけちよ:あー、全然。全然思い出せないですね(笑)

まき:私も全然思い出せなかった。聞いて「あー」という感じでしたね(笑)

たけちよ:はい……。

おおたに:もしかしたら小学校でやった内容かもしれないしね。

まき:あー、そうかもしれない!

たけちよ:前過ぎて。

おおたに:そう。あえて中学、高校でやらないから忘れちゃってるのかね。でも、インダス文明もなぜか滅んで都市が放棄されちゃったんですね。紀元前1800年〜1500年頃、気候の変化が理由だといわれてるけれども、本当の理由がそれかどうかというのは、はっきりはしてないみたいですね。1つの要因が気候の変更じゃないかといわれています。さあ、どんどんテンポをあげていくぞ!

たけちよ:はい。

インドにおける弥生人と縄文人とは!?

おおたに:紀元前1500年頃、アーリア人。聞いたことあるでしょ? アーリア人という人たちが。

まきちゃん:聞いたことあります。

たけちよ:ありますね。

おおたに:イラン高原からインド北西部にやってきました。その人たちがまだ今でも北部のほうに残っているんだけどね。先にいたドラビダ人の人たちは、今南部の方に残っているかな。

北部に多いアーリア人と、南部に多いドラビダ人の末裔の写真を見た時の私の感想なんだけどね。日本でいえばアーリア人は弥生人、ドラビダ人は縄文人のようなものだと思えばイメージしやすいかもしれません。これは学説ではなく私見ですけどね。

アーリア人というのはイランから来たんだけれども、そのまた元は東欧のあたりから来てたらしいですね。それでも紀元前の話ですからね。このアーリア人の人たちがカースト制度を作ったらしいですね。

たけちよ:そんな昔からなんですね。

おおたに:うん。だから上のほうの階級をアーリア人が占めて、下のほうの階級をドラビダ人にしたらしいですね。でも実際はそんなはっきりしたものではなくて、いろいろ入り組んでたらしいけどね。

さらにいくと紀元前6世紀、5世紀頃、大きい区分では「十六大国の時代」というのがありますね。16個の大きい国に集まってきて、カンボージャとかガンダーラとかクルとかパンチャーラー、シューラセーナ、コーサラ、バツ、マッラといっぱいあるんだけど(笑)。

たけちよ:国の名前ですか?

おおたに:そう。王朝。それが16個あったから「十六大国の時代」。この間やったネパールは、リッチャビ王朝からマッラ王朝に変わっていたから、それもこの辺一緒ですね。とくに今の国境でわかれてないので、十六大国のうちの1つ、2つがネパールの地域にもありましたということだね。

ネパールの時もいったけど、紀元前5世紀、ゴーダマ・シッダールタさんがネパール領土内ルンビニに生まれたとかね。お釈迦さまがね。

たけちよ:この辺、つながるんですね。

おおたに:うん。ちょっとつながりますね。だからリッチャビ王朝、マッラ王朝というのをネパールの時に話しているはずだから、また復習してみてください。

一同:はい。

紀元前5世紀ころに生まれた四大宗教

おおたに:次は、紀元前5世紀あたりに四大宗教、古い宗教が生まれています。その4つはバラモン教、ジャイナ教、アージーヴィカ教、仏教ですね。

まき:アージーヴィカ教……。

おおたに:このアージーヴィカ教っていうのは、今は残ってないみたいですね。最初は仏教とかジャイナ教が人気があったらしいのですが、その後、バラモン教はそのへんの宗教を吸収しながら今のヒンドゥー教に発展していったらしいんですよ。今はメインがヒンドゥー教でしょ。

いよいよ今度は王朝の話に移っていくんですけど、最初にわかっている王朝は、マガダ国なんていうのもあったけれども、紀元前317年にチャンドラ・グプタさんがマガダ国を倒して、北インド全体を統一してマウリア朝というのを造ります。最初の王朝ですね。

マウリア朝って紀元前317年から180年なので、百数十年続いているんだけど、そのなかでの最盛期は三代目のアショーカ王だって。これ、聞いたことあるでしょ。

たけちよ:あるような、ないような。

おおたに:そうですか(笑)。私、名前だけ覚えてて、「いつの時代かな」と思っていたら、紀元前の人だったんですね。これからそういう昔の有名人がちょこちょこ出てきます。

先が長いのでどんどん概要だけをはしょっていくと、最初北インドに文明とかができていたんだけど、北インドのあたりって、イランのほうから、ギリシャ人なんかも侵入してきたんだって。だけど1世紀頃、やっと紀元後になりましたね。アフガニスタンにクシャーナ朝が興て。

たけちよ:聞いたことがあります。

おおたに:ありますか!?

まき:はい。

おおたに:それが西北インドに侵入してきて、クシャーナ朝をインドの地域に展開しました。ここでの有名人はカニシカ王。聞いたことあるかな?

たけちよ:ないです(笑)。

おおたに:このカニシカ王様は、中央アジアから発生してガンジス川流域を支配したんだけれど、仏教を熱く信じて、最初は仏教が大いに栄えたそうです。

インドの王朝の歴史を駆け足で紹介!

おおたに:3世紀に入ると今度はクシャーナ王朝がだんだん衰えてきて、せっかく統一された北インドはまた分裂状態になっちゃいます。このへんは分裂とか統一を繰り返すんだけど、4世紀前半にチャンドラグプタ1世という人が……聞いたことあるかな? これを統一してグプタ王朝、グプタ朝をつくります。

まき:世界史に出てきますね。

おおたに:見たことある? 最盛期はチャンドラグプタ2世。この時に中国からお坊さんが来たりしていますね。仏教美術とかグプタ様式というインド式の美術とかが完成した頃です。というのがアジャンタ石窟寺院の壁画だって。

たけちよ:中国からお坊さんって、三蔵法師ですか?

おおたに:法顕と書いてあるけど、仏法の法に、顕は顕(あき)らか。この頃からだんだん仏教からヒンドゥー教が増えてきました。そしてまたまたこのグプタ朝も崩壊してしまい、分裂していろんな政権ができたんだけど、今度606年にハルシャ・ヴァルダナという人がもう1回統一します。それでヴァルダナ朝。606年から647年。

だけどこの短い期間だけで、ハルシャ・ヴァルダナさんが死んじゃったら、また分裂しちゃうんですね。このあとは数世紀にわたって小国家乱立の時代になっちゃいますね。606年は7世紀でしょ。このへんでイスラム教徒の侵入が始まってくるんですよ。イスラム教、おきたでしょ?

まき:そうですね。

おおたに:今度はいろんなイスラム王朝が侵入してきて、総称でデリースルタン朝という、デリーを首都とするイスラム王朝がいくつもくり返しますね。約300年の間の、奴隷王朝、ハルジー朝、トゥグルク朝、サイイド朝、ロディー朝の5王朝のことをデリー・スルタン朝と呼ぶんだそうです。

だからこの頃は仏教からヒンドゥー教に移ったけど、そのヒンドゥー教とイスラム教が両方あったような時代ですね。さあ、一気にすごいスピードで来たけど(笑)。それぞれの王朝が終わった頃ですね。1398年にはティムール帝国にデリーを侵略されています。ティムール帝国は聞いたことあるでしょ?

一同:あります。

おおたに:これは最近モンゴルの授業をやったたけちよ君は知ってるかな? ティムールってモンゴルの末裔の帝国でしょ(笑)。シーンとなっていますね(笑)。

たけちよ:あれ?

おおたに:そうなんですよ。

たけちよ:チャガタイから独立したのがティムールでしたっけ?

おおたに:そうですね。そのティムールさんは強い王様で、戦争に強くて、いくさには一度も負けたことがなかったということですね。

たけちよ:すごーい。やっぱりモンゴル帝国の強さを持っていたということですかね。

イスラムとヒンドゥーの融和を図った皇帝アクバル

おおたに:チンギス・ハーンの帝国を再建しようといっていた人ですね。そのあとは今度ムガール帝国になるでしょ。ムガールというのはモンゴルということだからね。

たけちよ:はい。ペルシャ語のなまりでしたっけ?

おおたに:そうですか? 

たけちよ:はい。

おおたに:それでムガール帝国も有名だけど、有名な人は三代皇帝アクバルです。これは聞いたことあるよね。

たけちよ:あります。アフガニスタンから北インドにかけての広大な地域を支配していますね。この人はイスラム教徒なんだけど、ヒンドゥー教徒の娘と結婚して、イスラムとヒンドゥーの融和を図ったんですね。仲良くしようよということですね。

たけちよ:皇帝自ら。

おおたに:うん。範を示してね。この結果、社会は少し安定したらしいですよ。

たけちよ:やりますね。

おおたに:うん。いい王様かな。ティムールは戦いできたけど、ムガールは統治できたのかもしれないね。ヨーロッパ諸国とも交易をして発展したらしいね。だから、本当の意味でインドに統一王朝ができたのは、最初にあったマウリア朝。

紀元前300年頃以降久々の統一王朝で、ムガール帝国は300年にわたって繁栄したそうですね。ここまでが初期の古代王朝時代かな。古代といっても、1300年から1500年まできてるからね。ちなみに、ムガール帝国の時に有名なタージマハールも造られているらしいね。

さまざまな文化を吸収してきたインドの歴史

おおたに:ここまでをまとめておくと、最初はドラビダ人がいて、そこからアーリア人がやってきて、それから十六大国の時代になって、そのあとは次々に王朝がマウリア朝、クシャーナ朝、グプタ朝、バルダナ朝、それからデリースルタン朝で、イスラム系の王朝があって、ティムール帝国、ムガール帝国という感じかな。

まき:いろんな王朝ができては滅んで、いろんな人がいてという感じで、これだけ見ても激動ですね。

おおたに:うん。でも王朝だけでも紀元前300年からだから、けっこう1600年の間にいろいろ起きたわけだからね。一気にいったけど、それぞれの王朝はけっこう数百年とかに渡ってね。わかっていることだけだからね。

まき:いろんな文化を吸収してそうですね。

おおたに:そうですね。中国からも来るしね。

たけちよ:そうですね。

まき:アラブの方からも来るし、融合もありましたもんね。

おおたに:ヨーロッパの方からも来るしモンゴルからも来るしね(笑)。たぶん、鄭和さんが船で通ったかもしれないしね。シルクロードも通っているしね。

たけちよ:そうですよね。

おおたに:シルクロードは、インドは通ってないのか。ヒマラヤの北側を通っているのか。

たけちよ:「そうですよね」っていってしまった(笑)

おおたに:一本だけじゃないかもしれないからね。

たけちよ:でも、ムガール帝国の時、交易も盛んだったら道はありそうですよね。

おおたに:あるでしょうね。

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