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The Door to Hell(全1記事)

40年以上燃え続ける「地獄の門」は、なぜ生まれたか

地獄の門と呼ばれる燃え続ける大穴がトルクメニスタンにあることを知っていますか? ダルヴァザのガスクレーターとも呼ばれるこの穴は、1971年に発見された天然ガスの採掘中に起きた事故をきっかけに生まれた「人口の」穴です。当初数週間でメタンガスは燃え尽き、火も収まると考えられていましたが、なんと40年以上経った今も火が消える気配はなく、赤々と燃え続けているのです。サイエンスチャンネル「SciShow」の解説を見てみましょう(SciShowより)。

トルクメニスタンで発掘された天然ガス

ハンク・グリーン氏:名前の由来について深入りするつもりはないけど、「地獄の門」といったら、このくらいの外観じゃないと説得力ないよね?

この迫力なら、誰もがネーミングに納得だろうな。

地獄の門は、「ダルヴァザのガスクレーター」としても知られている。でも正確には自然現象ではなく、自然はただ原料を差し出しただけで、何十年も続く見世物環境をつくったのは人間なんだ。その発端はいささか謎に包まれているものの、原因となった科学についてははっきりしている。

1971年のこと、旧ソ連の石油地質学者団がトルクメニスタンにあるカラクム砂漠で調査を開始した。油田の探索が主目的だったんだけど、そのエリアは天然ガスも豊富な場所だった。石油もガスも同じ地質過程の産物だからね。すなわち、太古からの有機物が長い時間をかけて非常にゆっくりかつ強力に圧縮された結果として、できあがったものだ。

調査開始後に起こったことの公式な報告書はないんだけど、大方の見方としてはこうだ。砂漠の探索当初、天然ガスの埋蔵量の推定値のあまりの大きさに勢いづいた地質学者たちは、すぐさま掘削装置の設置に着手。だけど図らずも、設置場所は天然ガスに満ちた大きな空洞状の穴のちょうど真上だったものだから、掘削を開始した直後に崩落したんだ。

地面が掘削装置もろとも崩れ落ちた結果、直径60メートル、深さ20メートルという巨大なくぼみができあがった。奇跡的に死傷者は出なかったとのことなんだけど、ここでもうひとつ問題が生じた。天然ガスの主成分はメタンガス。無色・無臭のガスで、毒性はない。でも酸素を希釈することから、近くに存在していたら息苦しく感じる。

そして、そもそも皆がメタンガスのことを愛してやまないのは、メタンガスには非常に爆発しやすいっていう特性があるからだ。空気中で可燃混合気を5パーセントまで生成することができるんだ。加えて、当時はまだ地球温暖化に対する認識がなかったものの、メタンガスが二酸化炭素の20倍も強力な温室効果ガスであるってことは、指摘に値するだろう。

数週間のつもりが40年

そんなわけで、もしも石油・ガスの掘削作業場で、放出した天然ガスを捕獲できない場合は、「フレアリング」と呼ばれる方法で焼却処分されることになる。

たしかにこの方法でも何トンっていう二酸化炭素が排出されるけど、二酸化炭素はメタンガスよりは悪質じゃないからね。

ともかく、70名の旧ソ連科学者団は選択を迫られたわけだ。ひとつの選択肢は、危険なメタンガスを大気中に放出させたままにし、地元の人々や環境を危険にさらし続ける。もうひとつは、クレーターに火をつけ、すべてのガスを燃やし尽くしてしまう! 科学者たちはその期間を数週間と予測した。

科学者たちは後者を選び……、42年後の今もクレーターは燃え続けている。そして今や、地獄の門はちょっとした観光名所のようなところになっているんだ。

夜中でも何キロも先から見える不気味な光、そしてひどい腐卵臭を放っている地獄の門。この臭いは天然ガスとは関係がないよ。覚えているかな、天然ガスには臭いがないからね。正体は地中にある硫化水素だ。いやあ、早く行ってみたくてしょうがないよ!(笑)

視聴者のみんなも地獄の門を訪ねてみたいかい? 十中八九、しばらくは時間があるとみていいと思うよ。火は炎の供給源となっている天然ガスの鉱床がすべて燃やし尽くされるまで燃え続けるし、終わりがいつになるか誰にもわからないんだ。

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