2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
Stanford Graduate School of Business Former Manchester United Manager Sir Alex Ferguson: Practice, Practice, Practice(全3記事)
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マイケル・モリッツ氏(以下、マイケル):では、話が少し変わりますが、報酬についてお伺いしたいと思います。明らかに、選手の中には多額の報酬を受け取っている人がいるわけですが、監督それにはどのように対応しているのでしょうか?
あなたの事をお話ししているのではありません。なぜならあなたはプレミアリーグの中でも高報酬の方ですから。しかし他のクラブには監督の報酬が選手より少ない場合があります。そんな中、監督はクラブでどのように権力を誇示するのでしょうか?
アレックス・ファーガソン氏(以下、アレックス):ほとんどの場合、私の場合はケースが異なっていたと思います。なぜなら私はマンチェスターユナイテッドの監督として、一番高収入であるべきだと感じていたからです。
このことは重要です。クラブの監督としての責任は非常に大きいからです。誰よりも長く働きました。誰よりも重い責任を背負っていました。ですからそれはいつも目にとめられているべきだと感じていました。何年か、ではなく、方法が、です。しかし同意を得るには長い期間かかりましたよ。
会場:(笑)。
アレックス:しかし、他の監督の視点からすると、彼らは、最高のトップ選手の報酬は自分より高額になると予期していると思います。私自身はトップ選手がそう扱われるのに問題はないと思います。なぜだかわかりますか? ゴルファーを見てください。
マイケル:もちろんです。
アレックス:アメリカンフットボール選手、バスケットボール選手、
マイケル:資金頭のマスターたちですね。
アレックス:(笑)。その通りです。彼らは未来の金持ち老人たちですよ。でも私たちは何ら問題ないと思うのです。なぜなら彼らの努力のおかげで75,000人が集まるのですから。
マイケル:確かにそうですね。では選手にお別れを言うことに関してはどうでしょうか? 選手の年齢が例え16、17、18歳であったとしても、あなたが無理だと思われた場合。まずその事を伺って、それからあなたの下で見事にプレーしましたが、その後別れなければいけなくなった選手について伺いたいと思います。その件はいかがですか?
アレックス:どんな監督でもそうですが、若い選手にユナイテッドでは無理だと伝える役目は難しいですね。我々がクラブに少年を連れてくるとき、両親にはいつも同じ内容の事をお伝えします。
我々は、あなたのお子さんが75,000人の観客の前でプレーすることを望んでいますが、そうでなくとも、お子さんが試合でキャリアを積めるように助けられる自信があります。今日でも、イングランド、スコットランド、デンマークそしてドイツの約90名の選手はマンチェスターの地元でキャリアを開始しました。10〜15年ほどその状態が続いています。
それを伝えるのは難しいですけどね。私はまだ若い監督だった時に馬鹿なことをしでかしましたよ。録画されていたのですが、ある少年に、彼が不十分であると伝えることを非常に恐れていまして、5人まとめて伝えることにしたのです。
マイケル:5名一緒に、ですか?
アレックス:それで私は伝えました。そのうち1人が泣き出しました。二度とあのような形はとりません。二度と。
マイケル:そうでしたか。
アレックス:あの時は辛かったです。簡単ではありませんでした。
マイケル:では、昔の選手で、あなたの下で非常に良く働いた後、あなたが彼らを去らせなければならなかったときはどうでしたか?
アレックス:それも同様につらかったです。なぜなら、私は彼らの父親のようになっていたからです。マンチェスターユナイテッドはその点、家族の様だからです。例えば94のチームは何年も私たちと共に働きました。
1967年から91年頃、デニス・ローやスティーブ・ブルース、ブライアン・ロブソン、ガリー・パリスターたちがいて、彼らは皆90年までプレーしたがっていました。彼らは実際老いてきているということに気が付いていなかったのです。私がそれに気が付くのです。なぜならフィールドでそれが分かるからです。
私が彼らにしてやれたのは、フリーで移籍させることでした。それでボブをフリーにし、デニスはウェールズに行き、スティーブ・ブルースはバーミンガムに行きました。ブライアン・ロブソンはミドルズブラの監督になりました。そしてガリー・パリスターは彼と共にミドルズブラへ行きました。
ポール・パーカーも同様でした。彼にもフリーで移籍できるようにしました。彼らはウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンに所属しました。ポールはフラムへ行きました。ですから我々は彼らに良くしてやりました。彼らがそれに対して反応してくれることが、私は大切だと考えるのです。
選手が自分の10年を捧げるとき、重要なのは金銭ではありません。最善の方法、唯一の方法、有効な方法は、彼らに対して正直であることです。それしかありません。彼らに対して負い目を感じたくありませんからね。
マイケル:そうですね。
アレックス:彼らをプロとして、忠実だからです。
マイケル:話題は変わりますが、多くの人たちが、監督などになろうと目指していると思いますが、あなたが30歳、32歳の頃、スコットランドで監督を始めたころに知っていたかったと思うのはどんなことですか?
アレックス:ハーバードでも聞かれましたね。これに対する答えはしばらく考えなくてはなりませんでした。一番簡単な答えは「コミュニケーション、称賛」で、これは本当に重要です。私が32歳だった時、世界を治めたいと思っていました。ほとんどの選手は32歳でもまだプレーしていましたから、私は若い監督でした。私は鼠蹊部を負傷したため監督に転身したのです。
マイケル:けがをしたのは肘ではなかったのですね?
アレックス:違いましたね、肘はぴんぴんしていましたよ。
一同:(笑)。
アレックス:私は競技場管理人のために芝の肥料を、監督室でパイを持って、土曜日の番組を見ていました。監督の方法を忘れていました。会長がフルタイムになると、わかりますか──
マイケル:うーん、そうですね。
アレックス:自分が何をしているのか気が付いていませんでした。
マイケル:なるほど。
アレックス:そんなことではクビになりますからね。実際クビにしたことが──
マイケル:ではここで2つの点について話し合いましょう。1つは、委任することをどのように学ばれましたか?
アレックス:委任することが自然になったのは、私の場合は、考えられるに、60歳くらいになるまで正式に認識していませんでした。
マイケル:そうですか。
アレックス:私が認識するようになったのは、自分のエネルギーをキープするために、そうしなければならなくなったからです。そして信頼しなければなりません。そうなったときには、自分のスタッフを皆、信頼できるようになっていました。
それは自然なことで、エネルギーがあって、何かを長い間やっていると、それがずっと続くと思ってしまうのです。しかし、老化がそれを変えるのです。そして、私は人に任せるのがずっと上手になりました。実際その後はたくさん委任するようになりました。
エネルギーの事に関してはこれを聞いているすべての人にとって、重要なことです。私がユナイテッドにいた43、44歳の時ですが、湧き立つようなエネルギー、純粋に湧き立つようなエネルギーがなくなっていくのです。それでも60歳になってもそれを感じられると期待してしまうのです。
マイケル:なるほど。
アレックス:それで、エネルギーに関しては自分を見つめなければなりませんでした。自分が若い監督だった時、睡眠が4、5時間でも大丈夫でした。60歳になった時、6、7時間は必要になりました。それで早く寝るようになるのです。
食事にも気を使いますし、試合の後には家に帰ります。めったに遅くなりませんでした。人々はエネルギーを見たいと思っていますから、自分のエネルギーについて吟味しなければなりませんでした。とても重要な点です。
マイケル:そうですね。2つ目の点は、今言及された点ですが、オーナーと失敗することに関してですが。
アレックス:はい。
マイケル:昨今の監督たちに対して、自分のクラブオーナーとの関係で相談されたら、どんなアドバイスをされますか?
アレックス:自分自身で見つけなければなりませんね。自分が相手をどう思うかなどは関係がありません。よいハーモニーを生み出せるか、一緒に協力できるかを自身で見極めなければなりません。そして双方が同じほうに歩まなければなりません。
もし相手とうまくやっていく方法をみつけても、相手はそっちの方へ、自分はあっちの方へと進んでいったらうまくいきません。ですから自分がする仕事と、クラブが行く方向性とがうまく調和しているかどうかを見極めなければなりません。
それを言うならば、コミュニケーションは非常に大切です。自分に奉仕してくれている人々に感謝しなければなりません。彼らの名前を覚え、朝にはきちんと挨拶をするのです。私の監督で、選手がもし「おはよう」が言えなければ、無視する人がいましたね。
マイケル:なるほど。
アレックス:自信がないとか、理由は様々かもしれませんが、いずれにせよ、働いてくれている人たちを認識しなければなりません。
マイケル:そうですね。
アレックス:そして大会優勝したりトロフィーを受け取ったら、選手と共に、すべてのスタッフ、食堂のスタッフや、ランドリーのスタッフ、競技場管理者などみんなが勝ち取ったということなのです。彼らもチームの一部分なのです。
マイケル:では、ご自身もお祝いするのがお好きでしたか?
アレックス:いえいえいえ。
(会場笑)
アレックス:なぜなら私とってゲームは約1時間半しか持ちません。そして私は次の日の事を考えるのです。それでただ──
マイケル:1999後ですら、三大会制覇した有名なシーズンですが?
アレックス:私は夕飯を食べて寝ましたよ。クラブの後、私は寝ました。
マイケル:次の日目覚めた時は悪い気分でしたか、それとも?
一同:(笑)。
アレックス:私は疲れ果てていました。実はチームがカップを手渡されている時、私は散歩に行っていました。
マイケル:なるほど。
アレックス:私が、バスのある通路や小道を通り抜けて行ったとき、アバディーンからきた友人にばったり出会いました。彼も私と同様に我慢できませんでした。彼は監督から呼ばれるのを待っていました。私たちが共に通路を歩いていると、バギーが来るのが見えました。乗っている人は私を探していました。「記者会見に出てください」と言われました。試合から約1時間半後の事でした。30分ぐらい祝いましたが、それだけです。
マイケル:そうでしたか。では、どのように自己満足や独りよがりに浸るのを避けられましたか?
アレックス:それは病気のようなものですからね。いつもハーフタイムで勝つとその気持ちが現れます。どうしようもありません。自己満足に関しては。ユナイテッドではいつも異なりましたが、彼らも人間ですからね。忠告はしていましたが。ハーフタイムで勝っている時自己満足に陥るのです。病気です。レイダーカップ、ヨーロッパでのレイダーカップで私がチームにこのことを話しました。
マイケル:イギリスのチームにですか?
アレックス:そうです。私は言いました。2年前のメディナの事を考えなさい、と。
マイケル:なるほど。
アレックス:サタデーナイトの試合で10対6でした。彼らは10対6でアメリカに勝っていました。そして私は座って夕飯を食べていました。互いに話して4.5ポイントで勝つと話していました。それは大きな誘惑です。4.5ポイントです。後に偶然が響き渡りました。ファーストポイントでは勝ちません。セカンドポイントで勝ち、少し混乱があり、サードポイントでパニックになり、それから降伏です。
マイケル:なるほど。
アレックス:幸いなことに、そのメッセージのおかげで前半10対6でヨーロッパが買ったのです。素晴らしかったです。
マイケル:そうですね。
アレックス:それは病気ですからね。エバートンとの試合では、そのせいで負けたのです。4対2で残り7分で2ゴール失点したのです。選手たちも弱い人間ですから、何度も忠告しなければならないのです。自己満足ですべてを失うかもしれないのです。根付いてしまうと対処法はありません。ほんとうにどうしようもありません。
マイケル:私からのもう1つの質問です。それから聴衆からの質問があります。あなたは前代未聞の素晴らしい記録を持っておられますが、もっと優勝しておけばよかったと思われたことはありますか?
アレックス:もちろんです。正直にそう思います。ヨーロピアンカップは私の一番の後悔です。あるときは不運でしたし、ある時は対するものに悪い決断をしましたし、またある時は単に十分にプレーしなかったのです。
マイケル:なるほど。
アレックス:そして3つの敗北した準決勝に関してですが、97年の対ドルトムント戦と2001年の対レバークーゼンの2戦は、勝てたはずだと思いますね。
マイケル:今でもそのことで後悔されますか?
アレックス:そうですね。私は、過去を振り返って後悔するべきではないとは思うのですが、そう聞かれると、いつも後悔していると言わざるを得ませんね。でも苦々しい気持ちはありません。サッカーですから、そこでキャリアを積んできましたし、とても楽しみました。でも先ほどのような質問をされますと、我々はヨーロッパ・チャンピオンシップでもっと優勝できたはずだと思います。我々のラストシーズンのレアルマドリードの試合でのトルコ人の審判ですよ!
会場:(笑)
マイケル:彼についてはどう思われますか?
アレックス:彼は試合を全く持って掌握していましたよ。あのときは選手がいませんでした。残り10分で2ゴール決めていました。2から1ダウンしたときでさえ、我々がチャンスを作っていましたから。ですからがっかりでしたけど、でも先ほど言いましたけど、苦々しくは思いません。
マイケル:ではここで、ニーヴ・ギヴンさんをお呼びいたしましょう。彼女が聴衆の質問を持っているようです。この聴衆の中にはサッカー選手はどれくらいいらっしゃいますか? いいですね。
アレックス:なかなかですね。
マイケル:NCAA(注:全米大学体育協会)のサッカー選手は? 素晴らしい。
ニーヴ・ギヴン(以下、ニーヴ):私が特権にも初めの質問をさせていただきます。始めの方ですでにお話しされていましたが、ここわたしたちの間では模範的なサッカー選手に相当するのは、優秀なエンジニアです。彼らは一番高収入で、ライバルの技術系の会社に引き抜かれていきますが、GBS(注:スタンフォード大学ビジネススクール)のほとんどの学生は経営に進みます。
初期の段階で、技術者でなくとも尊敬を集め、コントロールを失わず、また、チームや組織よりも個人が大きな存在にならないよう、どんなアドバイスをされますか?
アレックス:私たちは自我が強く裕福な、偉大なスターでもある選手を相手にしています。正直言うと、そのような人たちはいつでも純粋に勝者なんだと思います。ですから彼らは今の場所にいるわけです。
そうですね、時には彼らも自分の舞台から滑り落ちて独りよがりになったりすることもあります。しかし、彼らにとって、誰が勝者かを思い出すのは簡単です。彼らにとって、どのようにそこにたどり着いたのか、自分に期待していたことを思い出させることは簡単です。
そうするのは大切です。彼らは大きなスケールで事故を象徴するのですから、いつもそういったことを思い出させるのは大切です。
ニーヴ:自分が持っていたら、と思う監督としての特質は何ですか? また、それをどのように補われましたか?
アレックス:言語、絶対に言語です。なぜならユナイテッドが変わった時、アカデミーのシステムが変わった時、スカウトの条件が大きく変わりました。ヨーロッパからの選手がさらに入ってくるようになりましたし、南アメリカ、フランス、スペイン、ドイツなどからも来ました。
ある年は特に21の国籍の選手がクラブに一緒にいました。私はフランス語とドイツ語を学校で勉強しました。しかし、卒業して使う機会がないと、言語は忘れてしまいます。
ですから私が選手とどうコミュニケーションをとるか考えた時に、特にフランス人の選手とか、簡単ではありません。言語は本当に大切です。私は自分の息子マークに言いました。
何年も前に彼が学生の頃でしたが、言語を勉強するように言いました。彼はあれもしたい、これもしたいと言っていましたが、今、言語を勉強するように、と励ましました。それから20年。彼ら自身の言語でコミュニケーションを取るのは本当に重要です。
ですから私はカルロス・ケイロスを連れてきました。彼は4、5か国語話すことができますからね。素晴らしいですよ。いろんな国の人がいるのにコミュニケーションが簡単に取れるのですから。カルロスはそれができますからね。私もわずかなフランス語を使いますよ。
私たちにはドイツ人の選手が1人だけいました。少年で、ロン=ロベルト・ツィーラー。今はハノーファーにいますね。ドイツ語で私がコミュニケーションを取る必要があったのは彼1人でした。私が重要だと思うのは、言語ですね。
ニーヴ:私も同感します。私は何とか英語をマスターしただけですから。あなたからはもっと、レースとかワインに関する助言を頂けると思っていましたので、驚きました。あなたのトラック記録は多くの人同様に良いようですね。
アレックス:レースに関する助言は忘れてください。
ニーヴ:残念なことに、聴衆は怒るでしょうけど、残り時間が2分しかありません。ですから、お二人両方に1つ質問をしたいと思います。申請時に私たちが答えなければならなかったので、GBSと同義の事ですが、最も大事なことは何ですか、そしてなぜですか?
アレックス:それはいい質問ですね。
(会場笑)
ネイ:そうですね。
アレックス:しつけだと思いますよ。私の受けたしつけは素晴らしかったと思います。私の両親は良い規律と良いアドバイスを与えてくれました。遅刻するな、ズルをするな、盗むな、うそをつくな。それらの事は一生響きました。
望むのは、その基礎的なことを自分の子供に伝えていきたいですし、子供も自分の子供に伝えていってほしいと思います。それが遺産となります。そして自分にとってそれが重要だと思います。
ニーヴ:最高な代々の財産ですね。マイケルさんは?
マイケル:自分の本能に従う。
ニーヴ:短くていいですね。
(会場笑)
ニーヴ:以上になります。みなさんご一緒に感謝を表しましょう。マイケル氏とアレックス氏でした。
会場:(拍手)
アレックス:よかったですよ。
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