2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
Stanford Graduate School of Business Former Manchester United Manager Sir Alex Ferguson: Practice, Practice, Practice(全3記事)
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アレックス・ファーガソン氏(以下、アレックス):それから、同じ情熱を持ったそのグループの7、8人が、よく知られるようになった選手について話すようになりました。ギグス、スコールズ、バット、ネヴィル兄弟とデビットです。他に2人の有能な選手がいたのですが、怪我により彼らのキャリアは絶たれてしまいました。クリス・キャスパーとベン・トーンリーは突出していました。とにかく彼らは皆練習しました。
マイケル・モリッツ氏(以下、マイケル):ごどれくらい彼らが一生懸命だったか詳しくお話しいただけますか?
アレックス:トレーニングは10時から12時でした。他の選手は常に午後の練習に出ているか、基礎トレーニングのためにユースのコーチと共にいました。デビッドに関して言うならば、彼は他の少年たち同様ゴスリングさんの宿舎に住んでおり、夜間にも学校に行って、コーチのヘルプをしていました。他の若い選手と一緒に。
彼の願望は強く、更に彼はよく練習をしました。練習に練習を重ねていました。ですから私がどんな若者にでもアドバイスをするとすれば、誰でもサッカーはできます。誰でも、です。しかし、練習が本物の選手を作り出すのです。日曜日の試合を見てください。パブゲームです。サッカーの試合が大好きで。本物の選手は練習の倫理を知っています。何年も前にグラスゴーでランチをしていた時の事をまだ覚えているのですが、ゲイリー・プレイヤーがゲストとして来ていました。
マイケル:ゴルファーの?
アレックス:そうです、ゴルファーのです。皆は彼にこう質問しました。「なぜバンカーからの練習を続けているのですか?」彼はバンカーで有名ですからね。彼は言いました。「私は試合で1回はバンカーに当たるのを知っている。いや、1試合で2回あるかもしれないが、その度に穴に入れなければいけないから。だから私は練習に練習を重ねるのです」
トップ選手になるための、素晴らしい手本です。デビッドや他の少年たちも同様でした。ユナイテッドの若い選手たちは皆よく練習をしました。
マイケル:他のよく知られた選手ですが、クリスティアーノ・ロナウドは、初めてお会いになった時いくつでしたか?
アレックス:彼は17歳でしたね。
マイケル:初め、彼はどのようにあなたのレーダーにかかったのでしょうか?
アレックス:それはとてもいい話です。私のアシスタントがポルトガル人で、リスボンでスポーツ交流をしようというアイディアを持ちかけてきました。子供の時彼はリスボンで育ったからです。そこで彼はセットアップをしまして、その時私たちはコーチシェアリングをしていました。
ジム・ライアンが当時のユース部門のリーダーだったのですが、ユースのスカウトをしていました。彼は戻ってきて言いました。「選手を発見した。彼はユースチームのセンターでプレーしている」クリスティアーノ・ロナウドです。それで私は、そこでいい関係を築いた方がいいかもしれないと言いました。
それで彼は学長に話をした結果、翌年は獲得できないが、2年目に獲得できることになりました。それから翌年、我々は彼と交流を通して約束し、関係を築き、新しいスタジアムをオファーしました。
マイケル:スポルティング・リスボンですか?
アレックス:はい、その通りです。そして我々はここからリスボンまで飛んで、試合をしました。そしてクリスティアーノは外側のレフトでジョン・オシェアと戦いまして、哀れにも拷問にかかった状態でしたね。正直彼は完全に完敗していました。私は立ち上がって叫んで「ジョン! 立ち上がるんだ!」と言いましたが、ジョンは言いました。「無理です」
会場:(笑)
アレックス:それで私はキットマネジャーを呼んで、「監督席に行って、ハーフタイムに真っ先にピーター・ケニオンを呼んでくれ」と言いました。そしてピーター・ケニオンがやってきて、私は彼に言いました。「我々はここから帰りませんよ」
マイケル:ピーター・メニオンはその時──
アレックス:最高責任者でした。
マイケル:ユナイテッドの最高責任者ですか。
アレックス:その時はそうでしたね。それで私は言いました。「私たちはただ立ち去って、あなた方の試合に手を振るわけにはいきません」それで試合が終わってから小さな部屋を用意して、リスボンの校長、彼のエージェント、弁護士とその少年と話し合いをしました。そして私は彼に言いました。「我々と一緒にマンチェスターに戻ってほしい」
あれはテストでした。もし彼が来たくないと言ったら、チームに入りたくないという意味ですから。彼はこう答えました。「ええ、行きたいですけど、母も一緒にお願いします」
マイケル:なるほど。
アレックス:それで私は了承しました。翌朝、彼の母、姉妹、兄弟皆が揃いました。そして私は彼に言いました。「私は一つ約束しよう。ここではあなたができる限りの最高の教育を受けられるようにしよう。しかし、毎週プレーはできませんよ」
彼はこんな風に驚いて、感心して言いました。「こんな予想していませんでした」私は言いました。「プレミアリーグは非常に難しいですよ。たまに補欠でプレーしてもらうかもしれませんし、臨時の試合に出てもらうかもしれませんし、若い選手がたくさんいるリーグカップに入ってもらうかもしれません」
すると彼は言いました。「ファーストチームにいつ入れてもらえるのでしょうか?」実際、マンチェスターユナイテッドのレベルを持っている選手であれば、私が止めることはできません。自分で決めてもらうのです。それで彼は自分のファーストゲームに出場しました。
シーズン初めのボルトン対戦に補欠で出場し、ハーフタイムで出たのですが、観衆は本当に熱狂しました。彼が本当に素晴らしかったから。彼は勇敢にボールを取りに行きました。優秀な選手にはこのような勇気があるのです。
マイケル:なるほど。
アレックス:何事も彼らを怖気づかせることはできません。
マイケル:そうですね。
アレックス:彼らは何も恐れないのです。クリスティアーノもそうでした。
マイケル:ところで、彼がマンチェスターに初めてやってきたとき、たしか、彼は母親と母親の姉妹と来たのだとか。
アレックス:そうです。
マイケル:その時点で彼は、毎日の習慣の面でどれほど鍛錬されていましたか?
アレックス:彼は私が知る中でも随一の練習家でした。しかし彼には、何と言いますか、ラテンアメリカの欠陥がありまして。
会場:(笑)。
マイケル:カリフォルニア州でそんなことを発言したら逮捕されますよ。
一同:(笑)。
アレックス:それは取り除くことができる単純な欠陥でしたよ。もし彼に正しい欲求があり、鍛錬を受け、私たちのいうことに聞き従えば。彼は若かったし、ダイビングしてました。
マイケル:ためしに飛び込んで行ってペナルティを受けると。
アレックス:その通りです。選手たちは彼に良く接していました。いつも彼がダウンして叫んでいると、選手たちは彼に叫び返してやっていましたよ。起き上がれ、とね。
会場:(笑)。
アレックス:私は昔そのことで彼の悪口をよく言ってましたよ。しかし、彼は本当に優秀な選手でしたから、それは不運なことでしたよ。マスコミはその状況で彼を放っておきませんでしたからね。1年、1年半後にはそれは一度も起きませんでした。
しかし私たちが失敗するたびに、誰かがいつも知ったかして、興味本位で「ああ、彼はダイブするんだ」とか言うのです。しかし、それは本当ではありません。ディファンダーに向かっていくとき、少し押し合いますよね、そしてスコアして転ぶんですよ。でもそれはダイブではありませんから。
マイケル:批評家は彼に悪評をしましたか?
アレックス:いやいや、私はその時期が彼から過ぎ去っていった頃を覚えているのですが、シーズンがオフになり、もう戻らないと彼は言いました。それで私はポルトガルまで飛んで行って、彼がリアルマドリードに行きたいと言っていると伝えました。それは彼の人生の目標でした。
それで私は彼に言いました。「私にあと1年くれ、そしたら私は気持ちよくあなたをリアルマドリードに送り出すから」彼は良くやってくれました。でも初試合は対チャールトン戦でした。
私が監督席を見ると、あの男が私の目の前にいたわけです。彼は立ち上がり、口汚く叫びました。しかし、ハーフタイムから約5分後に、クリスティアーノはボールを取ると、3人抜き、バーの下方に当てました。その人は2度と立ち上がりませんでした。終了です。クリスティアーノにはそれをするだけの勇気があったのです。
マイケル:それから何年も経って、今日のクリスティアーノがあるわけですが、彼は今でも同様のやり方や規範を持っていますか?
アレックス:正直、私は彼のような人を他に知りません。数か月前に彼の家で夕飯を共にしたのですが、彼のサービス精神が彼をベストプレーヤーにしたと言っても過言ではないと思います。
マイケル:どのように、ですか?
アレックス:彼のジムは大体ここの半分くらいの大きさで、そこにすべて揃っていました。プールが2つあって、1つは暖かいの、もう1つは冷たいのです。それにマイナス160度にまでなる広間があり、毎試合後にはそこに10分入るのです。信じられませんね。
彼は私に言いました。「35歳で引退するつもりなんです」私は「35で引退しないでしょう。あなたなら40歳までプレイできますよ。楽に」ライアン・ギグズは41歳までプレイしましたからね。しかし彼は「いやいや、私はそのつもりです。過去5年間自分のベスト体重より3キログラム下回るようにしているのです」と言いました。素晴らしいです。
マイケル:なるほど。
アレックス:素晴らしい。
マイケル:なるほど。これらすべての人々、素晴らしい弾丸のような選手たち、エッカーマン、アルドブなどのあなたの下にいた選手たちですけど、規律を保持するために、どのような道具を用いられましたか?
アレックス:そうですね、一番重要なことは自分を首尾一貫して、かわらないようにすることでしょうね。私はずっと変わりませんし、規律を武器として選手たちに対して振りかざすこともありませんでした。
何らかの理由でラインからはみ出した時に彼らが罰を受けることはありましたけど、例えば馬鹿げた退場をしたり、グラウンド外で悪いことをしたり、ということでしょうか。しかし、私は罰を長々と武器のように彼らに対して振りかざしたことはありません。
マイケル:そうですか。
アレックス:あなたは罰を受けました。それで終わりです。次に行きます。じきに彼らもすべて受け入れます。彼らはあなたが誰なのか理解してくれます。それが一番重要なことなのです。
なぜなら、それがリーダーであるということだからです。彼らはそれを理解します。あなたが首尾一貫していれば、彼らはあなたが正しいとして信頼してくれますし、彼らを監督するためにそれは不可欠で、疑問の余地もありません。
しかし実際、あなたは非常に高給取りの選手を相手にしている訳です。もし選手によって規律を変えたりしたら、あなたは間違っています。すべての相手に同じ規律が必要なわけです。私は誰かを特別扱いしたりしたことはありません。
マイケル:では、選手たちが恐れる罰とは何でしょうか。罰金ですか、それともどこかに飛ばされるという脅しでしょうか、またはスタンドに配置されてゲーム観戦することでしょうか。
アレックス:どんな選手でも出場したいと思っていると思いますよ。はっきりとしている訳ではありませんが、罰と言えばスタンド入りでしょうね。また選手をスタンド入りさせなければいけないのは他にも理由がありますよね。24名選手がいるうち、1チーム11選手を選ばねばなりませんからね。それは難しいことですよ。
私が以前やっていた方法はというと、私は昔自分が選手だった経験を基に考えました。スコティッシュカップ決勝で自分が出場していなかったのに、キックオフから50分後に呼ばれたことがありました。
私はトップでゴールを決める選手でしたし、補欠も当時はいませんでした。ですからそれを基に、出場していない選手に対してもどのように接するべきかをいつも考慮していました。
それで、私は選手一人ひとりを全員呼び出し、彼らが出場しない理由を説明しました。時間がたつにつれて容易になりました。なぜなら彼らは24のチームメイトを知り、リーグで勝利するのはそのうちの11名だけではない、大会やリーグで勝つのは24人であるということがわかるからです。
それに疑問の余地はありません。それに関して重要なのは、どんなチームにおいても彼らを信頼するということです。勝者のベストプレーヤーに対するように、彼らも貢献したんだということを感じさせるのです。
マイケル:では、サー・アレックス。では、大きいスターとなった選手に対しては、彼らもチームの一部であって、彼らがすべてではないということを明確にするのですか?
アレックス:ベストプレーヤーは、もっと勝ちたいという気持ちがある人たちだと私は思います。ベストプレーヤーにはそのようなエゴがあるので、勝利が重要なのです。私はそれは好きですね。そういう自信がある選手は、私は好きですね。
マイケル:でも、選手たちがユナイテッドチームより、自分個人の価値があると考えたりしないように、どうされているのですか?
アレックス:選手に言えるのは、彼らがベストであると証明すること、みんなと同じか、それ以上に努力をすること。それが彼らに伝えられる事ですね。フィールドでその証明がされます。ベストプレーヤーは期待にそえないと気落ちするのです。自分自身に課した期待に、です。ですから私は心配する必要がありません。
マイケル:なるほど。
アレックス:競争があるのはもちろん助けになりますが、ユナイテッドに来る選手たちは、ユナイテッドは素晴らしいクラブですし、バスに乗り過ごしたくないと思うのです。いつも乗っていたいと思うのです。私はそれが非常に大切なことだと思うのです。
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