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The Science of Lying(全1記事)

ウソつきの言葉に表れる3つの特徴

嘘つきの特徴を知って、騙されることをなくしたいとは思いませんか? サイエンスチャンネル「SciShow」が今回解説するのは、「嘘の科学」です。嘘は良くないもの……と思いつつも、これまでまったく嘘をついたことのない人はいないはず。ある研究によると、人は生後6カ月から自然に嘘をつくようになり、また、嘘をつくのは人間だけではなく、社会性のある動物には共通して見られる「自然な」行動だということです。後半では病的虚言者の脳の特徴や、嘘をついている人の言動に表れる特徴を解説。相手の嘘を見破るコツもお教えします。(SciShowより)

人は初対面の人と話す時、10分で3回嘘をつく

ハンク・グリーン氏(以下、ハンク):今日はみんなに「嘘」についての真実を教えるよ。これから僕が言うことの中から、嘘を選んでね。

「僕の家には普通の水を炭酸水にする機械がある」「僕はカードゲーム『セット』がとても下手だ」「マイケル・ジャクソンは僕の叔母だ」

嘘だってバレバレだよね。

スタッフ:確かに。

ハンク:ああ、僕は本当にゲームがへたくそだ!

さて、「嘘」についてです。人は多くの嘘をつきますし、自分で思うよりも嘘が上手です。僕が認めたように「マイケル・ジャクソンは僕の叔母」などの嘘もすぐにわかってしまいますよね。

ちなみに「僕は嘘が下手だ」と言うのは嘘です。

人は、初対面の相手と話す時に、10分間で平均3回嘘をつくと言われています。嘘についての研究によれば、こういった嘘はほぼ無自覚のようです。

では、なぜ、どのような目的で、人は嘘をつくのでしょうか。

嘘をつくのは人間だけではない

まず知覚の観点から見て行きますと、まず注目したいのは、自然界で嘘をつくのは人間だけではないと言うことです。

人間以外がつく嘘で、僕の印象に残っている逸話があります。1970年代、手話を教えられた雌ゴリラのココは、ペットの子ネコを「洗面台を壁から引きはがして壊した」と叱った、というのです。「まあ、なんて悪いピンポン玉でしょう!」

このように、自然界では嘘はありふれたものなのです。しかし、なぜ人間だけが、これほどまでに多くの嘘をつくのでしょう?

以前の「SciShow」でお話ししたように、人間は最初にして最も顕著な社会的動物です。人間同士で常に交流し、そのための巨大な脳を持っています。人間にとって、うまく社会交流することは、うまく生きるための鍵なのです。

第1位のボスに警戒しつつ、複雑な社会構造をうまく回すには、嘘は大変うまい手段なのです。

属している社会をハッピーにできれば、食糧や高い地位、よりたくさんのより良いセックス・パートナーを得るなどの利益を獲得することができます。

例えば「君のその腰布、おしりが大きく見えるね」とか、「あなたがマストドン狩りに行っている最中、私はあなたの弟とセックスしていたの。だから洞窟で育てているその子は、実はあなたの甥なのよね」などと言ったら、恐らく友達はできないし周りの人にも話を聞いてもらえなくなるでしょう。

ですから、嘘をつく能力と嘘を見抜く能力は、初期の人類には大切なことだったのです。嘘をつくことは、脳にとって簡単なことではありません。お互いに巧みな嘘をつくために競ったため、人間はますます嘘をつくことがうまくなりました。

巧みに嘘をつく者は、よりよい獲物を手に入れます。こうして、コミュニティの中でよりよい立場に残れる者は、嘘を見抜くのが巧みな者で、伴侶に浮気をされたりラクダの交易でだまされたりすることが遥かに少ないのです。

こうして人間はますます嘘をつくことがうまくなり、下手な嘘を見抜くことがうまくなりました。

人は生後6カ月から嘘をつきはじめる

一方で、社会が洗練されてくると、「もう嘘はたくさんだ!」ということになってきます。なぜなら、結束の固いコミュニティや構造が安定した社会で暮らす方が、ずっとメリットが多いからです。

しかし、厚顔無恥な嘘がまかり通り、育てているのが自分の子か、買ったばかりのラクダが「事故車」かがわからない社会は、安定しているとは言えません。無政府状態です!

そこで人間は、社会を整備するにあたり警戒を解き、宗教は「神は正直者に褒美を与えて慈しみ、嘘つきを罰する」と強調し始めました。こうして神は、お払い箱にされる危険を免れました。

真実を言う限り神は味方です。あからさまな嘘をつけば、中世ヨーロッパの裁判制度が待っています。これはとても面白い代物なのですが。

現代でも、虚言を禁じる法は存在します。言論の自由より優先され、法に基づいて収監される例もあります。軍の名誉勲章を受賞したと虚言するなどがそれです。悪人でなくても、みなさんはやってはいけませんよ! なぜそんなことをする人がいるのでしょうね。

要するに、嘘は良くないのです。しかし人間は嘘が上手です。そして脳は嘘をつくことに意欲的です。

人間は、ごく幼いうちから嘘をつきます。研究者によれば、すでに生後6カ月から嘘をつき始めます。赤ちゃんの嘘泣きを見たことがあるでしょう? わかりやすいですよね。赤ちゃんは泣いて見て、誰かが慰めに来てくれないか、探しますよね。そして「もっと泣くぞ!」とがんばります。

赤ちゃんは、こうしてうまく嘘をつく練習をしているのです。お座りができるくらいになると、ママとのやり取りのうち5回に1回は、嘘をつきます。

僕には、この数字は少なすぎますね。大学時代の経験からすれば、赤ちゃんが嘘をつくのは5回中5回です。今どきの子供はそんなものです。今どきではなく昔からかもしれませんが。

病的虚言者の脳内で起きていること

こうして、大人になるころには、人間は嘘が非常に上達します。自分自身すら非常にうまくだませるようになります。自分を欺瞞する方法とは、2つの相反する情報を同時に頭の中に置き、一方に注目して、もう一方は無視するということです。

嘘のうまい人は、複数の相反する情報が、同時に頭の中にあり、そのすべてを上手に管理します。例えば病的虚言者は、実質的・強迫的に、人に嘘をつき、人をだまし、操る者を指します。病的虚言者は、極めて巧みに自分をだまします。嘘をついた瞬間に、心底から自分の嘘を信じ込んでしまうのです。

興味深いことに、普通の人と病的虚言者とでは、脳の前頭前皮質という場所に違いがあります。

多くの科学的研究は、脳で情報を処理する灰白質にばかり注目します。しかし、ヒトの脳は白質が半分近くを占めていて、この箇所は、ニューロンの集団と集団とを、電気信号で繋ぐ組織でできています。

つまり灰白質が情報を処理し、白質が脳のさまざまな箇所を繋いでいるわけです。

南カリフォルニア大学による研究によれば、病的虚言者の前頭前皮質には、通常の人に比べて25パーセントもの多くの白質があります。

病的虚言者は、脳の多くの箇所が、極めて迅速に繋がるため、嘘を維持するのに必要な情報をうまく管理し、嘘をつく相手の感情をうまく抑制して、相手を誘導できるのです。何にもまして、多分ですが、自分の嘘を真実だと信じ込んでしまいます。

では、なぜ病的虚言者が世界を征服していないのでしょうか? 彼らは一段階、進化した人類のように見えます。

実は病的虚言者は、より多くの白質を持つ一方で、灰白質が通常の人より約14パーセントも少ないのです。灰白質では、クリティカル・シンキングが行なわれます。

つまり、白質で「ジムに、『俺は戦闘機パイロットだったと言いたい!』」と考え、灰白質で「ジムに『俺は戦闘機パイロットだった』と言うべきではない。なぜなら、タミーとの関係が危険にさらされるからだ」と考えるのです。

つまり、大嘘つきの人には、恋愛関係を維持することや職を継続することがとても困難です。なぜなら、そのうち周りに嘘がばれ、相手に振られたり、仕事をクビになったりするからです。これは、当人にとって理想的とは言えませんね。他の人には大円団ですが。

嘘をついている人の3つの特徴

では、実際に大嘘つきがいたとしたら、どのようにすれば騙されているとわかるのでしょうか。

嘘発見機は、通常の人が嘘をつくと起こる、声の変化や心拍数の上昇、発汗などのサインを検出することができます。しかし、嘘がとてもじょうずな人には、これらの症状が出ないかもしれません。

さて、どんなに嘘が上手な人でも、嘘をつくと、ボディランゲージや言葉の選択に、それが表れ出てしまうことがあります。例文を見てみましょう。

「屁をして、あの映画館をもぬけの空にしたのは俺ではないよ。信じてくれる?」

多分、皆さんは信じないでしょう。なぜなら、僕は、例文を言う間に、映画館から人を追い出した人物は僕だと皆さんが確信するような、3つの行動をしたからです。

その1。僕は「信じてくれる?」と言いましたね。これは「正直に話そう」とか、リチャード・ニクソンの得意文句「率直に申し上げて」と並んで、嘘つきの常套句です。

その2。僕は突然、短縮形を使うことをやめましたね。嘘つきは、自分のやったことを否定する時に、しばしばフォーマルな言葉を使います。

その3。僕は「あの(the)映画館」ではなく、「あちらの(that)映画館」と言いましたね。自分の身を、状況から遠ざけようとしたのです。

嘘つきには、そわそわと落ち着かないイメージがありますが、実際は嘘をつく人は上半身を固定します。また、アイコンタクトは少なくはなく、多くなります。嘘を取りつくろうために、過剰なほど増えます。

また、嘘つきの行動としては、「イエス」と言う時に首を横に振ったり、恐ろしい内容であっても、話し終えた時ににやりと笑ったりします。

このような言葉や身体のサインの読み取りは、嘘を探知する訓練の特徴でもあります。警察官も、将来犯罪を犯す恐れのある者を、虚言で取り締まるために、このような訓練を受けます。

もちろん、さまざまな新しい道具が、次々と開発されています。旧式の嘘発見テスト装置は、視線追尾デバイスやMRI脳スキャナーなどにとって代わられています。

では、実験として、今から脳スキャナーについて、本当のことを2つ、嘘を1つ言います……。

スタッフ:なんだか結果が目に見えていますね。

ハンク:まあね。僕は嘘が下手だからね。ははは。

このインフュージョンをご視聴いただきありがとうございました。内容は全て真実です。これは保証します。でもチェックしたいと言う方は、引用や文献がありますから探して見てください。僕らはれっきとした科学者ですから(その点はご安心ください)。

今後とりあげてもらいたいエピソードやインフュージョンのアイデアがある方は、コメントやFacebook、Twitterでご連絡ください。質問も大歓迎です。ではまた次回お会いしましょう!

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