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【稲盛和夫】自分流の哲学を持て!ベストセラー『生き方』解説(全1記事)

能力も熱意もあるのに、なぜ結果が出ないのか 稲盛和夫氏が最も重視したもの

【3行要約】
・キャリアを積む中で「そもそも仕事は何のためにするのか」と立ち止まる瞬間が、多くの人に訪れます。
・経営破綻したJALを再建した稲盛和夫氏は、考え方×熱意×能力の公式で結果が決まると説いています。
・稲盛氏は利他の精神と継続的な努力を重視し、より広い視野で他者の幸せを考える姿勢が重要だと提言します。

京セラ創業者・稲盛和夫氏が遺した『生き方』

浅井隆志氏:今日は『生き方』についてお話しします。著者は稲盛和夫さんです。私が解説するのは本当に畏れ多いのですが、まず念のため、稲盛和夫さんをご存じない方のためにご紹介します。

稲盛和夫さんは1932年生まれ。京セラの創業者であり、KDDIの設立にも関わりました。みなさんもauをお使いかもしれません。そして経営破綻した日本航空、いわゆるJALの再建を成し遂げた、日本を代表する経営者です。稲盛和夫先生とお呼びしてもよい存在かもしれません。

また、「盛和塾」という経営塾を全国で開催し、海外にも展開していました。現在は終了していますが、稲盛さんの経営哲学を学ぶ場として、多くの経営者が稲盛哲学を学び続けてきました。

実は私も、営業マン時代にこの『生き方』と出会い、非常に感銘を受けました。今でも繰り返し読んでいます。本当にすばらしい一冊です。多くの経営者に支持されている理由がよくわかります。経営者に限らず、生き方に悩んでいる方、仕事で壁にぶつかっている方など、すべての方にヒントや勇気を与えてくれる良書だと思っています。

内容は非常に多岐にわたっていますので、私なりにまとめた中から、特に感銘を受けた部分をピックアップしてお届けします。今日の解説が『生き方』のすべてではありません。もしかすると、この本の素晴らしさの5点か10点ほどしか表現できていないかもしれませんが、私が強く心を動かされた部分をご紹介します。

30代40代が直面する「人間は何のために生きるのか」という問い

まず、稲盛和夫さんがどのような提言をしているのか。この本は、私にとっては提言の書です。「こういう生き方がある」「こういう生き方が大事だ」「こういうことが起こり得る」という提言です。

最初に提示されるのが、「人間は何のために生きるのか」という問いです。この問いは、30歳から40歳にかけて多くの方が直面するものではないでしょうか。大学を出て就職し、毎日仕事に打ち込む。それが当たり前だとされる中で、「そもそも仕事は何のためにするのだろう」とふと立ち止まる時があります。

「自分は何のために仕事をしているのか」と考え始めると、宗教や政治、日本人のルーツなど、より根源的なテーマに思考が広がることもあります。「人間はなぜ生まれてきたのか」「なぜ一生懸命がんばるのか」。こうした問いに迷いが生じる時期が、私の感覚では30歳から40歳くらいです。私も30代前半で『生き方』と出会い、深く考えさせられました。

確かに明確な答えはないかもしれません。ただ、「自分は何のために生きるのか」と問い続け、自分なりの答えを見つけていくことが大事なのではないか。私はこの本から、そうした投げ掛けを受け取りました。

結局、自分が何のために生きるのかという問いは、アイデンティティの問題です。信念や想い、自分の哲学を持つこと。稲盛さんの言葉で言えば「フィロソフィ」です。

自分の中に哲学をつくる。それが判断基準になり、感情に影響し、性格と結びつき、行動となり、成果を生む。だからこそ、「何のために生きるのか」という問いから逃げずに向き合うことが大切だという提言だと感じています。

稲盛さんなりの答えは、「人間は魂を持って生まれてきている。だから魂を磨き続けることが、生きるテーマではないか」というものです。

「より多くお金を稼ぎたい」という目標もありますが、墓場までお金は持っていけません。家を建てても、自分が亡くなったら関係なくなる。生きている時も死んだ後も引き継がれるものは何かといえば、魂ではないかという考えです。

稲盛さんは仏教の信仰を持たれており、宗教的な視点も背景にあります。以前お話しした新渡戸稲造のように、偉人と呼ばれる方は抽象度の高い思想や考えを大切にしている傾向があると感じます。

宗教や哲学を突き詰めていくと、結局は「自分の人生は何のためにあるのか」という問いに行き着きます。そこを考え抜くことが重要だと私は感じています。

「人格」は性格と哲学でできている

さらに稲盛さんは、「人格は性格と哲学でできている」と述べています。人格=性格+哲学という考え方です。

性格は生まれ持った資質です。短気、せっかち、粘り強い、飽きっぽいなど、先天的な要素があります。これはなかなか変えづらい。しかし人格は、性格だけでなく、その人が持つ哲学によって形づくられます。哲学は後天的に磨くことができる。だからこそ、自分の哲学を育てることが重要だという話です。

確かに、物事がうまくいかない時に「ああ、もう嫌だ」と感情が先に立つことがあります。ああいう性格は、直そうと思ってもなかなか直らないですよね。ただ、そこに上塗りできる哲学を持つことで、理性的になれますし、人間力を高めることができる。

だから稲盛さんが言うのは、「人格を磨くというのは、性格をすべて理由にしないこと」。よい哲学、自分にとってポジティブな哲学を持つことが重要だという提言です。

稲盛和夫氏が能力や熱意よりも重視したもの

それから、稲盛さんといえば有名なのが「結果の公式」です。結果は何で決まるのかというと、まず「考え方」。どこに意識を向けているのか、どの方向に進もうとしているのか、目標や目的をどう捉えているのか。これがベースにあります。

そこに掛け算で「熱意」。これは足し算ではなく掛け算です。モチベーションや意欲、気持ちの強さ。そして、「能力」。この3つの掛け算で結果が決まる、という考え方です。

後ろから説明すると、「能力」は生まれ持った要素があります。「そんなに努力していないのにできてしまう」ということ、ありますよね。歌が特別にうまい人、運動神経が抜群にいい人、特別なトレーニングをしていなくても足が速い人。これは能力です。遺伝的、先天的な要素があるのは否定できません。

一方で「熱意」は後天的なものです。想いや気持ち、モチベーションは自分で高めることができます。

ただ、いちばん大事なのは「考え方」だと稲盛さんは言います。能力があって、熱意もあって、「よし、やってやるぞ」と思っても、その考え方が悪い方向に向けば、例えば詐欺のように人を不幸にする使い方もできてしまう。だから、どの方向に考え方を持っていくのかが重要なのです。

「能力」や「熱意」にはプラスの側面がありますが、「考え方」にはマイナスにも振れる可能性がある。マイナス方向に使ってしまうと、すべてがマイナスに動いてしまう。だからこそ、考え方には気をつけなければならない、という提言です。

「継続」とは昨日より前進すること

次に出てくるのが、「狂」がつくほど強く想って努力することの大切さです。努力、努力、努力。私の勝手な印象ですが、稲盛さんは「努力の人」というイメージがあります。「やれー!」という感じですね。

もともと技術者の方ですから、とにかく没頭する。没頭して、没頭して、没頭していると、ある瞬間にアイデアが降ってくる。集中し続けていると、まるで神が降りてきたかのようにひらめく。そういう体験を語られています。

「アイデアは天から降ってくる」とよく言いますが、稲盛さんは「徹底的に没頭して集中し、一生懸命やり抜いていると、人類の叡智にアクセスできるような瞬間がある」という言い方をされています。

それから、「反復」と「継続」の違いについても触れています。「継続は力なり」という言葉がありますが、ただ同じことを繰り返すのは継続ではない、と。反復は同じことを繰り返すこと。継続は日々前進していくこと。昨日より今日、今日より明日、少しでも工夫を重ねて進歩していくことが継続だという考え方です。

毎日同じ業務をこなすだけではなく、「今日はここをもう少し効率化してみよう」「もう一工夫してみよう」という積み重ねが、本当の意味での継続だという提言です。

経営者として“自社の社員を幸せにしたい”は利他的ではない?

そして代表的なキーワードが「利他」です。利己と利他。利己は自分中心の考え方。利他は他者の幸せやメリットに目を向けることです。

例えば私が会社を経営していて、「社員の給料を上げてあげたい」「社員を幸せにしたい」と思う。これは一見すると利他的に見えますが、稲盛さんは「それも視野が狭ければエゴになり得る」と言います。

「自分の社員さえよければいい」という発想は、他を排除している可能性がある。だからこそ視野を広げ、「働く人全体を幸せにするにはどうすればいいのか」と考えることが大切だということです。つまり、利他とは単に身近な人のためということではなく、より広い視野で他者の幸せを考える姿勢だという提言です。

「働く人を幸せにしていこう」と言った時に、「じゃあ働かない人はどうでもいいのか」という話になりますよね。そうなると、それもまた利己的です。だから利他という思想は、だんだんと抽象度が上がっていく。「人類を幸せにしていこう」というくらいまで視野を広げていく。自分の見る視野や視座を高めていくことが大事だという提言です。

これは私の個人的な考えですが、もちろん、順番はあると思っています。自分が衣食住に困っている状態で、他人の幸せを本気で考えるのは難しい。だからまずは自分を満たす。次に身近な人を幸せにする。1人、2人と広げていく。その延長線上に利他があるのではないかと感じています。

ただ稲盛さんは、出発点が利己的であってもいいけれど、最終的には利他を大事にし、より広い視点で物事を捉えようと提言しています。

他者には嘘をつけても自分には嘘をつけない

それから、「天網恢恢疎にして漏らさず」という言葉があります。人は誰も見ていないと、ついズルをしたり、誤魔化したりすることがある。でも天は見ている、という考え方です。

天が本当にあるかどうかは私にはわかりません。ただ、ズルをしたり誤魔化したりすれば、自分自身はそれを知っています。人には嘘をつけても、自分には嘘をつけない。その記憶はどこかに残る。私はそれが巡り巡って、自分に返ってくるのではないかと解釈しています。

例えば、電車で鼻くそをほじって座席の裏に付けたとして、誰にも見られていなかったとしても、自分はそれを知っている。その積み重ねが、どこかで自分に返ってくるという感覚です。

この本にある提言の中から、自分にとって必要な1つを掴んでほしい。そして「自分はどうするのか」を考えるきっかけにしてほしいと思っています。

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