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(2025年再掲版)休みたいあなたのための「休み方」講座(全2記事)

「慢性的な疲労」に気づかずがんばり続ける人のリスク 「病気になる前のシグナル」を見逃さないために [1/2]

【3行要約】
・8割の人が「疲れている」と感じる現代社会で、疲労を単に休むだけでは不十分という新たな視点が注目されています。
・20年間「休み方」について研究している片野秀樹氏は、疲労の対義語として「活力」を位置づけ、充電不足のまま活動を繰り返す危険性を警告。
・高いパフォーマンスを発揮するためには、休養を「準備」と捉え、7つのタイプから自分に合った「攻めの休養」を選ぶことが重要です。

本記事では、特に反響が多くあった同イベントの2記事目を再掲します。

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疲労は病気になる前のシグナル

片野秀樹氏(以下、片野):疲労感はマスキング(masking:覆い隠す)できるんですね。例えば、栄養ドリンクを飲んで「今日、がんばろう」という方もいらっしゃるかもしれません。あるいは何かモチベーションを持って、「自分が使命感を持ってやらなければならない」となると、一時は疲労感をマスキングできるんです。

その時の活動能力は下がっているんですが、マスキングしながら活動してしまう。がんばらなければならない時もあると思うので、これは一時的には必要だと思うんですが、ずっと続けると乖離が広がって、もう近づかなくなるんですよ。そうすると慢性疲労の状態、あるいはメンタルの障害になってしまうんですね。

ですから、「疲労は病気になる前のシグナルですよ」と冒頭で申し上げたように、自分自身で疲労を感じたなら素直に受け止めて、「休まなければならない」と思っていただかねばならないということです。

長野弘樹氏(以下、長野):なるほど。まず、「疲労」と「疲労感」は違う。そこに差が出てくるから、何かしら病気を患ったり、状態がよくなかったりする。

片野:そうですね。それも1つあります。

長野:休養を学ぶには、まずは疲労から知らないといけないということですね。

片野:そうですね。じゃあ、何のために私たちは休まなければならないのか。私たちが疲労を考える時に、ふだんはこういったサイクルで回していませんか? ということで、三角形(日内サイクル)を書かせていただきました。

まず、活動します。日常で何かしらの活動をされていると思うんですが、疲労の定義にあったように、活動をすると活動能力が落ちます。それが疲労の状態です。「疲労の状態の時には休養の願望が出ます」というのが、先ほどの疲労の定義だったと思います。

みなさんは「休養しました」と言って、翌日また活動に戻ったり、そのあと少し休んでから活動に戻ったりしていないですか? ほとんどの人が、この3つのサイクルで回されているんじゃないのかなと思います。

長野:はい。

疲れを残したまま活動してしまう人たち

片野:その時に“電池”を考えていただきたいんです。仮に自分の体の中に電池があるとすれば、休養によって100パーセント、あるいは充電がたくさん増えた状態で活動に戻っていますか?

冒頭で(紹介した調査結果では)、8割の方が「疲れている」と答えたじゃないですか。疲れていることの裏返しなんですが、電池がまだ充電されていない状態で次の活動をしている。そんな日々を送っていらっしゃるんじゃないのかなと思います。そういう方が非常に多くなって、将来的に8割を超えてしまうんじゃないかという不安を持っているんですね。

ここで、みなさんにぜひ考えていただきたいのは対義語です。「活動」の対義語は何でしょう?

長野:「活動」の対義語……それこそ「休養」ですよね。

片野:「休養」の対義語は「活動」ですよね。一方で、「疲労」の対義語は何でしょう?

長野:私は知ってしまっているので(笑)。

片野:そうですよね。「疲労」の対義語は「休養」と言う方がいらっしゃるんですが、「休養」の対義語は「活動」ですよね。

長野:あれ?

片野:この3つのサイクルだと、「疲労」の対義語がないんですね。そのポイントは何かというと、活動能力を減退しているのが疲労であるならば、活動能力を上昇しているものが疲労の対義語でなければならない。ということで、本来は「活力」がなければならない。

活力が加わることによって、減少して増えて、減少して増えて……というサステナブルなサイクル、エコシステムみたいなものが出来上がるんですが、この「活力」を見落としがちなんですよね。

長野:そうですね。

なぜかずっと疲れている人に足りないもの

長野:「『休養』は休むことなんだろうな。『活動』は実際にアクションすることなんだろうな。そこで疲れが溜まることが『疲労』なんだろうな」と、この三角形はみなさんもけっこうイメージしやすいのかなと思いました。ただ、私は初めてこの本を読んだ時に、「『活力』とは何ぞや?」と思いました。

片野:まさにいいポイントなんですが、「なんでこのサイクルで回しちゃっているのか?」ということです。若い時は、寝れば翌朝には元気になって、また活動に戻れるという経験をほとんどの方がお持ちだと思うんです。

長野:はい。

片野:その時のサイクルがこのサイクルなんですね。休んで寝れば、もとに戻る。ですから、何も考えずに、電池がいつも充電されているんです。でも、人は年齢を重ねていくと、だんだんと若い時とは違った体になってくるんですね。もちろん電池もだんだん劣化してきます。

その時に、何を取り入れなければならないか。しっかり「増進する」ことを考え始めなければならないんですね。疲れを朝に感じて、それから活動しなければならない。「やだな」と思いながら活動しなければならない方が考えなくてはいけないのは、「活力をいかに高めるか」です。

この、活動能力の増進の部分を「攻めの休養」といいます。じゃあ、攻めの休養はどうやったらいいんだろう? というところを、この本(『休養学』)に書かせていただいています。結果的には、みなさんが100パーセントに近い充電で生活を回していくことが理想なのかなと思います。

長野:めちゃくちゃわかりやすいですね。これだけで表せるんだと。

片野:そうなんですよね。ですから、活力をリセットして自分自身が100パーセント充電した状態で仕事に臨んだり、自分の活動の前にしっかり充電されているかを意識したりしていらっしゃらないと思うんですよね。

長野:確かにそうですね。あまり考えていなかったというか。

片野:「朝起きたら、いつも元気なんだ」って思い込んでいる。

長野:そう思いがちだし、この概念のようなものを学んでいない。だから、「なんか疲れているなぁ」みたいなことは、けっこうあったりしますね。

片野:はい。

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