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【2024年ベスト本】経済的自由が欲しいなら欲望の正体を知れ!(全1記事)

“貯金2億円でも不安”と語る人がいるのはなぜ 資産運用のプロが教える、お金に依存しない人生のヒント [2/2]

欲望と「欲求」を切り分ける大切さ

けれども、僕自身はこれはあんまり正しくないと思っています。実際にルーク・バージスも「この考え方は違うよね。欲求の大部分が生理的欲求と安全欲求だとして、これ以上のものは順序なんてなくて、ただごちゃ混ぜに欲望が渦巻いているよね」と考えているんですね。

これはエピクロスの欲望の説明とまったく一緒です。エピクロスは3つに分類したんですね。自然で、かつ、満たさなければならないものとかで分類しています。例えば僕たちは、別に自分が欲しがろうと思っていなくても、眠たくなったりお腹が空いたりする。これは動物として満たすべきものですね。これが1つ目の欲求だと。

そして2つ目は、自然に起こるものだけれども必ずしも満たさなければならないものではない。つまり性欲などですよね。自然に発生するものだけど必ず満たさなければいけないものではない、というのが2つ目ですね。

そして3つ目というのは、自然でもなければ満たす必要もないものですね。これが欲望なので、先ほどの図とほぼ一緒なんですよ。

つまり、エピクロスは、「自然かつ満たさなければならないものを本当の欲求」としており、「それ以外はほぼ欲望だよね」と考えているので、僕たちは欲求以外はすべて欲望だと認識するほうが正しい認識なんじゃないかなと思います。

“誰かが欲しがっているから欲しい”

「じゃあ、この欲望ってどこから生まれるの?」という話です。例えば僕たちは時計をただただ直線上で欲しがっているように思っています。けれどもルーク・バージスは「それは虚偽だよ。僕たちは常に、それが欲しいわけではない」と言っているんですね。自分が欲しい対象を欲しがるのではなくて、誰かが欲しがる対象を欲しがっている。

つまり、どういうことかと言うと、まず「時計を欲しがる『誰か』」のことを欲望の模倣モデルと言います。「この人が『これ』を欲しがっている」と知って、「『自分』もそれを欲しい」となります。

こういうふうに、「常に僕たちの欲望には誰か対象がいてるよね」というのを、ルネ・ジラールは「欲望の三角形」と言います。何かしらのモデルを介して、僕たちは物やステータスを欲しがるということですね。

この考え方はちょっと「んっ?」と思う部分があるかもしれないんですが、僕たち人間は模倣する生き物なんですね。人の真似をする生き物で、だからこそここまで文化が発展している。模倣する能力がなかったら文化って残らないんですね。

他者の存在が買うモノを選択させる

実際に、この本の中の実験を紹介します。生後18ヶ月の赤ちゃんを前にして、卒業証書みたいに(接合部が)ポンと抜ける筒を大人が抜こうとするけれども抜けない、みたいな行動を取ります。

要は筒でただ遊んでいるように見せています。その後にその筒を渡したら、赤ちゃんは大人の真似をするんじゃなくて、ちゃんとポンと抜いて、「できたよ」みたいなアクションをしたと書かれていました。

これは何かと言ったら、赤ちゃんはその大人がやろうとしていた、「欲しがっているもの」を察知する能力があるということなんですね。つまり僕たち人間は、相手が何を欲しがっているかという、その先まで読む能力があると言われていて、ルネ・ジラールはこれを「横取りの模倣」と言ったりします。

ライバルが欲しがっているものを先に手にしようとする気持ちですね。ライバル関係にある人たちを想像するとわかりやすいと思うんですが、「こいつがBMWに乗るんだったら、俺はベンツに乗る」みたいな感じです。

これは例えば、僕は物質主義的な方はあんまり好まない傾向があるので、「物質主義的な方たちが乗る車がこんなのだったら、絶対にこういう系の車は乗らないで、こういう車に乗ってこういうライフスタイルにしよう」と考えます。こういうふうに逆側を取るのを「負の模倣」と言うんですが、僕らが欲しがるものには何かしらモデルがいてるという考え方なわけですね。

ライバルが似て見える理由

その中でルネ・ジラールは、「模倣する対象をしっかり見定めないといけないよね」と。これは前回の動画でも説明した内容ですが、近い存在と遠い存在の比較をして、「近い存在を模倣するのではなくて、遠い存在を模倣しましょうよ」と言っているんですね。

ルネ・ジラールは、近い人を模倣する場合は「広くを照らさず1つを照らす」、遠い存在を模倣する場合は「1つを照らさず、広く照らす」と言っています。懐中電灯を壁に近づけていけばいくほど円が狭くなっていく一方で、壁から離していけば広くを照らすような感覚ですね。

近い人を模倣する場合、それは持ち物だったりライフスタイルだったり、お金で手にできるようなものを模倣する傾向があるわけですね。だからこそおもしろいなと思うのは、例えば自分たちがライバル関係にある時はそう思わないけれども、遠くからライバル関係にある2人を見た時に、「2人ってすごく似ているな」と感じることがあると思うんですね。でも、この2人はぜんぜん違うと思っています。

その違いは外から見たら小さな差異なんです。「俺のほうがちょっとだけグレードがいいやつを使っている」という、小さな差異です。嫌い合っているんだけれどもお互いに近づき合っていく部分があるわけですね。これもジラールの理論です。

でも、この関係ってすごくしんどいですし、あんまり望ましいものだと思わないと思うんです。けれども、日常的に考えてみれば、僕らは常に何かを欲することを自然だと思っています。資本主義というのは、「それを満たすためには稼ぐほうがいいじゃない」という発想ですね。

その欲求は、本当に自分の内側から生まれたものか

だから、僕たちは常に自分が欲しいものを探しているんですね。自分に足りないものを探している。それを教えてくれる人を存在として求めている。だからこそインフルエンサーという存在がとても大切なわけです。しかしその道には終わりがないですし、その道の中で経済的自由を達成しようと思うと、かなり大量のお金が必要になってくる。

一方で、欲望が小さい人は、例えば「リタイア後に(月)15万円あれば、別に我慢しているわけでもなく、十分満たされて幸せだ」と言う方と、「30万円なんて絶対無理だ」と言っている人では、経済的自由に必要なお金の量がまったく違うわけです。

「じゃあ、どっちのほうが好ましいですか?」という時に、本当にその上乗せされたお金の部分って、本当に自分の内から出たものなのかを考えます。もしライバルがいるから生まれた欲望だったら、それを削ったらもっと楽に生活できます。もっと言ったら、今、貯蓄や積立投資しなければいけない金額設定を下げても経済的自由を達成できるんだったら、僕はそのほうが望ましいと思うんですね。

だからこそ、ルーク・バージスはこの本の中で、「自分の本当の深い欲望って何なのかをちゃんと考えましょうよ」と言っているので、ぜひ興味がある方はこの本を読まれてみるといいんじゃないかなと思います。

正直、ルネ・ジラールの本は難しいので、あんまり読まなくていいかなと思っています。けれども、とりあえずこの本を読んでみて、おもしろかったら読んでいいかなと思います。かなりおもしろかったので、興味がある方はぜひ読んでください。

自分の薄っぺらい欲望を剥がしていったら、生活水準を下げても苦じゃなくなるし、そして本当の欲望に使えるリソースを増やせるので、ぜひ興味がある方は読んでみてください。

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