2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会者:それでは時間になりましたので、オンライン共催セミナーを開催いたします。本日進行を務めさせていただきます、NTT PARAVITA株式会社の原田と申します。最後までどうぞよろしくお願いいたします。
本日のセミナーは、株式会社フェアワークとNTT PARAVITA株式会社との2社共催で、「500人のデータから浮かび上がる、睡眠とプレゼンティーズムの関係性」をテーマにお送りさせていただきます。
続きまして、タイムテーブルをご紹介させていただきます。まず最初に登壇者のご紹介をさせていただき、本日のセミナーテーマに移ります。最後に質疑応答の時間を設けておりますので、質問やご意見等がございましたら、チャットまたはQ&Aよりご投稿をお願いいたします。
それでは、本日の登壇者のご紹介に移らせていただきます。まず始めに、株式会社フェアワークの吉田健一さまは、医療界での卓越したご経歴をお持ちです。1999年に千葉大学医学部をご卒業後、精神科医としてのキャリアを築かれました。2010年には医療法人社団惟心会の理事長に就任され、さらには2019年にフェアワークを創業されています。
2021年には経産省後援のHRテクノロジー大賞において「注目スタートアップ賞」を受賞され、その2年後にオンライン社内診療所フェアクリニックオンラインをプロデュースされるなど、多岐に渡りご活躍されています。
続きまして、弊社の猪原祥博は、NTT西日本の新規事業の創出組織に所属し、複数領域で戦略的子会社を3社連続して立ち上げ、数年かけて業界シェアナンバーワンに育て上げ本社に舞い戻るというキャリアを21年間継続しています。
現在はNTT PARAVITAのマーケティング部長として、事業全体の推進に従事しています。
司会者:それでは、ここからセミナーのテーマに移らせていただきます。さっそくですが吉田さん、猪原さん、よろしくお願いします。
吉田健一氏(以下、吉田):よろしくお願いいたします。では、私から投影資料に沿ってお話しさせていただきます。初めましての方もいらっしゃるかと思いますが、ご紹介いただきました、株式会社フェアワーク代表の吉田と申します。精神科の産業医で、元参議院事務局産業医という肩書きでやっております。本日はよろしくお願いいたします。
まず、今日のタイトルにもありますように、「プレゼンティーズム」という言葉はみなさまご存じかと思いますが、あらためてそれについてお話しするところから始めたいと思います。社員さんが体調が万全ではない状態で働いていることによる労働損失のことを、プレゼンティーズムと呼んでおります。
これと対になる言葉として、「アブセンティーズム」というものがございます。こちらもご存じの方はいらっしゃるかと思いますし、「absent」という言葉は中学生で習う英単語なので、覚えてらっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、休んでいるという意味ですね。
確か「absent from」という言葉が付いたと思いますが、「今日は学校が休みです」を「absent from school」という言い方をしたかもしれません。つまり、会社を休んでいる状態のことがアブセンティーズム。会社には来ているけれども、調子がイマイチなので100パーセントの力は出ていないよねということを、プレゼンティーズムと呼んでおります。
吉田:じゃあ、プレゼンティーズムはどういった体調不良によって起こっているのかというと、(スライド)左側から順番に、女性特有の問題であるとか、それから男女問わず更年期ですね。あと、私たちがふだん専門にしているような不眠症やメンタル不調。場合によっては花粉症、睡眠時無呼吸、それから肩こり・腰痛、眼精疲労。
さまざまな体調不良がプレゼンティーズムの原因になると言われておりますが、左下の円グラフをご覧ください。働いている方の健康関連総コストのうち、なんとプレゼンティーズムは67パーセント、3分の2以上を占めていると言われています。
例えばこのブルーの帯の部分、医療費が24パーセントなのに比べると、とてつもなく大きい。先ほどアブセンティーズムという言葉を申し上げましたが、これは一番小さな帯でグレーのところになります。
実は欠勤による損失は3パーセントぐらいしかなくて、見えにくい損失としてプレゼンティーズムが非常に大きな存在を占めているということに、ぜひご注目いただきたいと思います。
一説によると、日本国内のプレゼンティーズムの総額は、なんと19.2兆円にもなると言われております。働いている方、就業者は六千数百万人いらっしゃるかと思いますが、割ると働いている方1人あたり年額で30万円ぐらい、プレゼンティーズムで失われているんだということをご認識いただければと思います。
私たちも産業医をやっていると、感覚的にはやっぱりそれぐらいあるかな、あるいはもっとあるんじゃないか? と思う時もあります。いずれにしましても、社員さんの不調は企業にとって大きな損失なんだということを、ぜひご認識いただければと思っております。
吉田:次が健康経営度調査です。来年度のエントリーがそろそろ始まったのかな? というニュースを、こないだ見たような気がします。
今年の春公表された健康経営優良法人、あるいは健康経営銘柄の調査をするにあたっての調査項目は毎年秋、確か10月に項目が発表されます。今年もあと2ヶ月ぐらいで令和7年度の項目発表になるので、みなさん注目されているかと思います。
その中で今、プレゼンティーズムが健康経営における重要な指標になってきていますよということを、ここでは申し上げたいと思います。健康関連の最終的な目標指標のうち、特にパフォーマンス指標について開示していますか? と書いてあります。開示ということは、調べてるのは大前提ってことですね。
それをどうやって外部に出してますか? つまり、マーケット、株主、銀行、あるいは社員に対して公表して、見られるようなところに置いていますか? ということが問われているということです。
アブセンティーズム、プレゼンティーズム、ワーク・エンゲイジメント。今、この3つの項目が非常に重要視されているということをご認識いただければと思います。
そして、下の星印のところが開示しているURL。「どこで開示してますか?」というところまで聞かれているということですね。小文字のaと書いてあるところが、「睡眠障害や、業務中の眠気による生産性の低下予防」。どんなことをしていますか? ということも聞かれるようになってきてるということですね。
一応読み上げておきますが、リフレッシュルームや仮眠室を設置している。これが必ずしもいいかどうかはわかりませんが、やっていますか? と聞かれているということです。
それから「パワーナップ等仮眠制度を導入している」。パワーナップ、つまりお昼寝ですね。(以降の項目としては)睡眠に関するセミナーを実施している。SAS、睡眠時無呼吸の検査を費用補助を含むかたちで実施している。睡眠改善に関するアプリ等を利用できるようにしている。産業医等による睡眠関連の指導を実施している。その他。
こういうかたちになっていますので、睡眠障害に対する意識が(高まっている)。これは経済産業省が主導してきた調査ですので、経済産業省の観点から見ても、非常に重要になってきているということです。
吉田:(次のテーマが)睡眠の投資対効果。先ほどから経済産業省と言ってますが、経産省の「健康投資管理会計ガイドライン」をお読みになった方もいらっしゃるかと思います。経産省は、この「健康経営」という言葉を10年ぐらい提唱してきた。
つまり、社員さんの健康に対してどれだけ投資してますか? そのリターンがどれぐらいかを、社内の計算方法でいいので見える化してますか? それを社外に出すようにしていきましょう、ということです。今日は睡眠の話ですので、睡眠の投資対効果という話で進めていきたいと思います。
ちょっとこれは古いデータではありますが、平成28年の健康寿命延伸産業創出推進事業というものの中での調査です。従業員の方の健康を支援することが、今、どれだけ注目されているかというお話でこのグラフをお出ししております。
赤で囲った部分、「従業員の健康や働き方に配慮している」が非常に高い値になっていますが、赤のグラフと青のグラフは、それぞれ就活生の親に対するアンケートです。自分の子どもたちにどういう会社で働いてほしいか。就活生はまさに当事者なので、どういう会社で働きたいかです。
恐らく就活生は22歳ぐらいの大学生なので、親御さんは50歳ぐらいですかね。ほぼほぼ私と同世代です。就活生の親世代となると、自分の周りでも体が不調になってしまってうまく働けない同僚、あるいは昔の同級生をよくご存じだったりするかと思います。
となると、従業員の健康や働き方に配慮してる会社がどれだけありがたいかというのを、ひしひしと感じているということです。
就活生もそうで、ここ(従業員の健康や働き方に配慮している)の値が上がってきています。「福利厚生が充実」が1位ですが、ほぼ僅差の2位で、就活生もこの項目を非常に重要視しているということです。(従業員の健康を支援することで)採用ブランディング効果が上がるということが言えるかと思います。
吉田:これは私も方々で言っていますし、ご存じの方も多いかと思います。OECD、先進国クラブと言われたりしますが、一定の統計が取れる中進国以上の準先進国、あるいは先進国が入っている国々です。
33ヶ国で調査をしたところ、日本人の睡眠時間は今や最下位になってしまったということです。(日本人の平均睡眠時間が)7時間22分ということですが、実は数年前まで韓国が一番短かったんです。
私も産業医として睡眠指導をする時に、「実は今、日本はOECDで2位なんです。下から2位なんですよね。一番短い1位はどこかわかりますか?」というクイズをよく出していて、「韓国なんですよ」って言うと、「ああ!」ってみんな言っていたんですが、なんと今は日本が一番短くなってしまったということです。
ひょっとすると、睡眠の短さと労働生産性って関係あるのかな? と、このグラフでも思います。たくさん寝てる国はどこですかね。下のほうの南アフリカはすごく長いですが、今は世界1位と2位の経済大国の中国とアメリカは、日本人よりも相当長く寝てるということを、ぜひ知っておいていただければと思います。
じゃあ、睡眠に関する悩みってどんなものがあるのか。睡眠障害と言われるものをだいたい4つ挙げています。一般的に不眠症と言われるのは、寝入りが悪い入眠障害。それから、途中で目が覚めてしまって、その後なかなか眠れない中途覚醒。朝すごく早く目が覚めてしまって、その後眠れない早朝覚醒。
それから熟眠障害。睡眠時間は取れてると思うんだけど、ぐっすり寝た気がしなくて、もう日中だるくてしょうがない、みたいなことがあり得ると思います。もし不眠症があるとご自覚なさってる方については、どのタイプに当てはまるのか、自分でも考えていただけるといいのかなと思います。2番目の過眠症は、寝過ぎてしまうということですね。
吉田:確か3番目は睡眠時無呼吸症候群だったかと思いますが、これも非常に大きな問題かと思います。日本人の、特に50代、60代になってくると、10人に1人ぐらいは無呼吸があると言われてます。
中年期以降は女性にも増えてくると言われてますので、「これ、あるかなぁ?」と思った方は、ぜひ検査を受けてしかるべき治療を(行ってください)。それはダイエットかもしれないし、マウスピースを付けるかもしれないし、あるいはCPAPという機械を付けることかもしれません。
有名な話で言えば、確か去年(2023年)だったかな。バイデン大統領がCPAPの機械のゴムバンドの跡が残ったままテレビ会見に臨んでいて、「あの跡はなんだ?」と話題になって。昔から公表してたらしいんですが、実はCPAPを付けて寝ているんだということが、あらためて注目されることがありました。日本の政治家でも、ひょっとしたら付けてる方はいらっしゃるかもしれないですね。
4番目はレム睡眠行動障害。例えば、寝てる時に隣の人を殴っちゃったりとか。これは行動障害なので、ご本人にはまったく意識がないわけですが、そういった行動面での障害で、睡眠パートナー、主に奥さんなどに連れられて、睡眠外来にいらっしゃる方もいます。
こういったいろんな悩みがありますが、いずれにしても睡眠を改善させることでプレゼンティーズムを改善していきましょう、という観点で聞いていていただければと思います。
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