2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
「日経平均10万円」時代が来る! その根拠とは?(全1記事)
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藤野英人氏(以下、藤野):だんだんと日本の会社の経営者が変わってきて、「自分の好きを大切にする」「自分たちがやろうと思っているコアに集中する」ということが増えてきたんじゃないかなと思います。
アメリカのイーロン・マスクさんなんかもそうですが、アメリカの会社は共通して、コアのビジネスに集中して付加価値を上げてきています。
例えば味の素さん※も、「私たちがやることは、アミノ酸という事業をベースにアミノ酸を科学することなんだ。アミノ酸の魅力を世界中にお届けすることなんだ。そこに自分たちの価値があるんだ」と言っています。
実際に私自身が味の素※の経営者とお会いすると、アミノ酸の話を涙目でする副社長とかがいて、「そんなに情熱を持って1つのことをやれるかな」と思いました。でも、そういう人がトップになっています。一番大事なのは、コアの価値・成長したいといったパッションだと思います。
そういう面で見ると、「成功者だから、あとは無難に自分の社長の任期が終わればいい」というタイプではない人たちが、明らかに日本の大企業で現れてきています。
ナレーター:では、何をきっかけに日本の企業は変化していったのでしょうか。
藤野:「これがあったから大きく変わった」ということはなくて、日本人はゆっくり、ちょっとずつ変わると思います。ただ、一番大きかったのが、2014年の夏に伊藤邦雄先生が作った「伊藤レポート」です。
ナレーター:「伊藤レポート」とは、当時一橋大学の教授であった伊藤邦雄さんを座長として、企業が将来的に成長を続けるための指針を具体的に示した報告書。
藤野:「伊藤レポート」が出て、「伊藤レポート1.0」「2.0」「3.0」とバージョンアップしていき、官僚さんや産業界の経営者、投資家、学者など多くの人が集まって議論をしながら、価値協創ガイダンスを作ったり。「こうやって僕らは真面目に生きるんだよ。成長するんだよ」ということをやり始めた。
コロナの3年間を経て、10年間やってきた取り組みが、日本の中でいよいよ目に見えるほど変化してきた。その変化に最初に気がついた人が、バークシャー・ハサウェイの総帥かつファンドマネージャーのウォーレン・バフェットさんです。
「日本、けっこう良くなってきたね」「眠たい社長さんばっかりいた会社がだいぶ変わったね。だから僕らは日本の会社に投資したんだ」「日本、イケるじゃないか」という雰囲気が、今は広がってきているんです。
さらにもう1つあるのは、東京証券取引所です。会社の価値がまるで評価されていない状態になって、東京証券取引所が「これはおかしいよね」「なんとかせい」「なんとかすべきだ」ということを言い出したんです。
東京証券取引所の業績を上げるためには株価を上げたい。株価と業績を上げるためには、日本の上場している会社の収益が上がらないといけないので、株価が上がらないといけない。日本の株価が上がることは、日本人の誰にとってもいいし、だから僕らが率先して日本の会社に影響力を与えるんだと言ったんです。そのおかげでかなり良かったなと思いますね。
ナレーター:では、今、投資の世界ではどのような流れが起きているのでしょうか。
藤野:日本に限らず、世界的な投資の流れが短期投資に向かってきています。ヘッジファンド、超高速取引、コンピューター取引が盛んになってきたところがあるんですが、もう1つあるのはAIです。
AIが普及してきて、会社の業績もAIが瞬時に評価し、売買指示をする。AIのレベルもどんどん上がってきているので、短期的な目線での投資がなかなか効かなくなってきた。有効でなくなってきたところがあります。
ただ一方で、世の中の流れは大きく変化して、技術の革新度も上がってきた。10年後、20年後がどうなるかは誰にもわからないし、たぶんAIもわからない。日経平均も、10年前を見ると1万円ちょっとぐらいですが、このデフレの環境下の中で10年間で3倍になってるんですよ。
でも、これから10年間インフレの環境下になるんだったら、3倍以上になる可能性は十分ある。日経平均は、3万円台から10万円以上になる可能性すらあると思うんですね。
そういう目線の中で、僕らは「10年後の勝ち組企業はどうなるのか?」というところを考えて投資をするようになったほうが、たぶん打率も高いと思います。
これは「アクティブ投信」という投資スタイルですが、アクティブ投信で最も大事なことは、未来の選択肢を提示し、それを選択し、そのために未来を創造することです。
アクティブというのは「未来を創造する」という意味合いなんです。そういうふうに僕らがアクティブ投信の会社として進化することができたら、お客さまにリターンをお届けできるんじゃないかなと考えています。
ナレーター:そんな藤野さんが大切にしている価値観「ウェルビーイング」とは。
藤野:ウェルビーイングというと、「よくわからないな」「投資と関係ないじゃないか」と思っている人も多いと思います。ウェルビーイングとはどういう状態かというと、良い状態を作り出すことがそもそも大事なんです。
ウェルビーイングであることは、本当に僕らの価値観の中心だと思います。いろんな学説があるんですが、私が好きなのは「PERMA」が大事だと言っている学説です。
ナレーター:「PERMA」とは、ウェルビーイングを高めるための5つの要素を指します。これらに積極的に取り組むことでウェルビーイングが高まり、心理的な苦痛も減少すると言われています。
藤野:今の若い人はこの考え方に共鳴しやすくて、自分がいかに「PERMA」であるか、「PERMA」であることを理解できるかが大事になってくると思います。
そのため私たちが投資をする時にも、これからウェルビーイングを作り出そうとしているし、顧客とのコミュニケーションがより「PERMA」である会社に投資をすることが大事なのではないかと思います。それが、最近流行りのESGやSDGs、ダイバーシティ経営につながった話であると思っています。
(ひふみシリーズには)100万人以上のお客さまがいて、1兆円以上の運用残高があります。すごく社会的責任がありますよね。みなさんから集めたお金を、ただ金儲けだけをするような会社に投資をしたら、世の中のためにはならないということではないかなと思います。
実際に、最近はさまざまな会社の不祥事が出て、不祥事が出たら業績がどーんと下がり株価もひどいことになったりするわけですよね。でもその代わり、「ちゃんとしてた」ということになったら、業績が評価されたり株が上がったりします。
ですから私たちは、お客さまのお金を良い会社に投資をして良い社会を作っていき、結果的に良い成績を上げて、お客さまにお返しをするという循環を作る。僕らはそのために生きているんだというところが大事だと思っています。
長期的にこの10年という目線で、良い会社に投資をして、良いリターンをお返しすることができたらと考えていますので、ぜひみなさんに期待していただきたいと思いますね。
※個別銘柄を推奨するものではありません。
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