CLOSE

「すぐやる人」に変わる!「先延ばし」をなくす習慣(全2記事)

本人も気づかない「朝起きられない」という悩みの裏にあるもの ストレスを抱え込んでしまう人にありがちな思い込み

目の前のタスクや勉強などをつい後回しにしてしまう…そんな悩みを持つ方に向けて、「すぐやる人」に変わる方法を解説した本イベント。本記事では、習慣化コンサルティング株式会社代表取締役で習慣化コンサルタントの古川武士氏と、同社執行役員/講師、国際コーチング連盟アソシエイト認定コーチ(ACC)の島名祐紀氏が、先延ばしを根本から解決するヒントをお伝えしました。

前回の記事はこちら

夜更かし、お酒、スマホ…「悪い習慣」の根源にあるもの

島名祐紀氏(以下、島名)ちょっと次のテーマを聞いてみたいんですけど、なぜ先延ばしをやめたほうがいいのか。もちろんストレスが溜まってくるとかはあると思うんですけど、そこはどうでしょうか。

古川武士氏(以下、古川):これは結論から言うと、「悪い習慣とかやめたい習慣の根源になるから」と説明しているんですね。例えば、代表格として「スマホをやめたいです」とか「お酒をやめたいです」「夜更かしをやめたいです」という悩みがくるわけですね。

それって、一見ぜんぜん別に見えますよね。だけどけっこう多いのは、現実がしんどいのではけ口としてスマホを見たり、お酒を飲むことによってフワッとした感じで現実逃避したい。あと夜更かしもそうなんですね。朝が来ちゃうと仕事のことを考えないといけなくなるから、夜の自由タイムで現実逃避してみたりするじゃないですか。

現実逃避したいっていうエネルギーから起きているとすると、「あれを出してない」「いろいろ言われているんだけどまだやっていない」みたいなのが現実の仕事でいっぱいあって、大きなストレスのはけ口として悪い習慣が起きるんですね。

その温床はけっこう(すごくて)、いろんなことが処理できない。後回しになってぐちゃぐちゃになって、溜め込んで、もうTo Doリストから異臭が放たれるくらい(笑)。

島名:(笑)。

古川:そうなったらすごくストレスですよね。実は先延ばしストレスからいろんな負の状態が出てくることが悪いんですよね。

島名:ああ、確かに。僕もよく習慣化の学校で「フューチャーペーシング」というワークをやるんですけれども。それで「先延ばしした現在から近い未来はどうなる?」と言ったら、どんどん悪いことが積み重なっていく。「ああ、こんな未来は嫌だ」と、本当に何回もみんなから聞いたことがあります。

古川:そうですよね。だからどんどん健康が損なわれていくのもあるし、「このままやりたいことに何も手をつけずにいたら、どうなるんだろう」「このまま組織の中で居場所がなくなっちゃうかもな」となってくると思うんですよね。

島名:先延ばしが溜まっていった先のことをイメージするのも大事ということですかね。

古川:そうですね。悪いと思っている習慣の原因が先延ばしによるストレスから起きているという人は、そこを解決しないと。はけ口の部分を禁止してもだめで、大切なのはそこの根っこだという。

本人も気づかない「朝起きられない」という悩みの裏にあるもの

島名:なるほど。ありがとうございます。古川さん、これまで習慣化の学校に来られた方、受講生の方で印象に残っている先延ばしの例というか、困っていた人の例って何かありますか?

古川:イメージしやすい方の例をお話したいんですけど、その方はエンジニアをやられていて、「朝起きられない」というテーマで来られたんですね。ところが、すぐにそこで早起きの技術を教えるのではありません。

「何で早起きがテーマなんですか?」と聞くと、「仕事が膨大にあって処理できないのにもかかわらず、朝ギリギリまで布団を被って寝てしまう。もっと朝早くから始めたら先延ばしがなくなるのに」と言ってたんです。

でも「何でそんなに寝たいんですか?」と聞くと、「ストレスが大き過ぎて向き合いたくないから」と。睡眠不足じゃないんですよ。いくら睡眠をとっても布団から出たくないのは、実は現実と向き合いたくないからなんですね。

「じゃあ何でそんなにたくさんのTo Doが溜まるんですか」と言って、そこから一緒に記録を取っていったんですね。我々は「ジャーニー」というのをよくやるんですけど、ジャーナリングとコーチングを重ねながら、本人の原因を見つけていくんです。そして見ていくと、ポイントは「仕事を断れない」ということだったんですよ。

島名:へえ!

古川:仕事ができる人だったら「これ、よろしく」ってもっといっぱい来るんですね。来たものを断らずに全部受けちゃうから、To Doが多くなって心身ともに疲れてヘロヘロになっているんです。だとすると、「早起き」がテーマなんじゃなくて、「断れない」ことが大きなテーマになってくるんですね。

島名:「早起きしたい」と言ってこられた方が、そこまでいくんですね。

自分を追い込む「心の声」を変える

古川:「なぜ断れないんですか?」というところに入っていくのが、本当のテーマなんですよ。そこを聞いて何が出てきたかと言うと、仕事を断ると、「お前は使えない奴だ」「いらない奴だ」と言われてしまうかもしれない恐怖が走っちゃうと。(仕事を)受けちゃったほうが楽だから受けちゃうんですよね。それによって苦しいんですけど、でもそのサイクルを自分で止められないんです。

じゃあ、何で仕事を断ると「ダメな奴だ」と思われるかと言うと、やはり自分に自信がなかったりするわけですよね。自分のことを「仕事ができない奴だ」と思っている。だけど成果を出して「よくやってくれた」という言葉があったら落ち着くわけですよ。

だから受けるんですけど、いつの間にか「それ以上受けられない」となった時に、心の声のところを変えていかないと。我々は思考の習慣を「ビリーフ」と呼んでいるんですが。「来たものを全部受けるのが仕事ができる奴だ」「断るのは仕事ができない奴だ」というビリーフを変えないと、このサイクルを止められないんです。

島名:いやぁ、僕もすごくわかります。頼まれると断れないのが僕もずっとあって、それは強みの裏返しでもあるんですけど。でもそうなると、ずっと自分がタスクのボールを抱えていて、うさアリの方とか、ポンポンポンってすぐに返してくる人もいるんですけど。確かに「断わってはいけない」というのが強そうですね。

古川:そうですよね。その時に大切なことは、裏にある恐れを見ることなんですね。

島名:なるほど。

本当の原因にたどりつけば、問題は8割解決する

古川:何を恐れているかと考えると、やはり仕事を断ること。「二度と必要とされなくなったらどうしよう」とか、「自分に価値がないかもしれない」という怖さなんですね。じゃあそれって本当なんでしょうかと。だってめちゃめちゃ実績残している人だし。

島名:そうですよね。

古川:それで(心の声を)見つめていったら、仕事を全部受けることが「仕事ができる」ということではないと。「きちっと高い成果を出し続けるために時には断らないと、別のものに波及しちゃう」と気づきつつあったわけですよね。

だから「仕事の力の入れどころと抜きどころの強弱をつけられる人間が、本当に仕事ができる人間なんだ」と、ビリーフを置き換えたんです。納期の責任が持てない場合には、きちっと断ることも誠意なんだと置き換えたら断れるようになったんです。そうすると、自分で(仕事量を)調整できるようになった。

島名:深いですね。古川さんから「先延ばしは複雑骨折みたいなもんですよ」と聞いていたので、そういうことなのかなって。

古川:そうなんです。だから心因が、もちろん行動のレイヤーで解決できることもあるし、今みたいな実は深い部分のものが作用していることもあるので、すごく深いテーマなのかなと。まさに複雑骨折です。

島名:(笑)。早起きとかあまり関係なく、深いところが原因だったということですよね。

古川:『イシューからはじめよ』という有名な本がありますけど、どんな問題も本当の原因にたどり着いてしまえば8割は解決するんですよ。ただ、問題はぜんぜん違うテーマを扱っているから。延々に先延ばしのストレスと問題が解決していかないのは、技術論をやっているからなんです。

そうじゃなくて、本当のテーマが何なのかは、行動とか思考とか感情とかビリーフとか本質、いろんなレイヤーがあるんです。このへんはちょっと深いので、ここだけで全部説明できないんですが、本当に人生を変えていく「習慣化の学校」というプログラムもやっています。

自分を整えるというところで、行動とか思考とかビリーフをやっています。入学体験説明会も随時開催していますので、そちらを聞きに来ていただければなと思うんですけど、とにかく複雑な要因があるということです。原因さえ突き止めれば簡単なんですよね。

先延ばしは「生活レベル」と「人生レベル」で考える

島名:ありがとうございます。たぶん今お聞きなっている方も、根深い先延ばしは行動だけじゃなくて、そういうのも絡んでいるんだとわかるだけで少し気が楽になったというか。自分がダメなんじゃないと、そこを見つめればいいんだと気づいた方も多いんじゃないかなと思います。

では、古川さん。どうしたらいいの? というのがあると思うんですけど。ここまで聞いているといろんな「先延ばし」があるイメージで、先延ばしのレイヤーとか、そういうレベル感とかあるんですか?

古川:そうですね。2つくらいにレイヤーを分けるとわかりやすいかなと思うんですけど。生活とか行動レベルのものと、もう1つは人生レベルというのが挙げられるかなと思います。

島名:なるほど。「生活、行動レベル」が1つ。2つ目が「人生レベル」。1つ目の「生活レベル」からちょっと聞いてもいいですか?

古川:「生活レベル」ということでいくと、例えば報告書を今日やらなきゃいけないのに、先延ばしして帰ってきちゃったみたいな。

島名:はい(笑)。

古川:「明日やれるかな。やばいな。また怒られるかもしれないけど」と言いながらお酒を飲んで頭が痛いみたいなのとか。「ちゃんと運動しようと思っているけど、今日は寒くて行かなかった」みたいな感じですね。このような状態は行動のレイヤーで解決できるんですけど、自分に合った先延ばしを撲滅するというか、やり繰りしていくための習慣を作っていく必要があるんですね。

さっきもお話ししたように、自分の特性と自分に合った習慣を、自分の中で発見していくしかなくて。技術論をバーッと見ても自分にははまらなかったりするので、結局オーダーメイドでやらないといけないという。

島名:なるほど。

古川:仕事も違うし、生活環境も違うし、降ってくるタスクも違うから、時間の管理の仕方とか処理の仕方とか。運動に行こうと思ったら子どもが「遊んで」と言ってきて行きにくいとか、いろんな状況があるじゃないですか。

だから、生活のディテールを見て「どうチューニングしていくとより良くなっていくのか」なんですよね。これを防ぐためにはちょっと時間が掛かるというか、ちゃんと向き合っていくとできるようになる感じなんですよね。

土日も仕事が頭から離れなかった、古川氏の会社員時代

島名:ありがとうございます。2つ目の「人生レベル」というのを教えてもらってもいいですか?

古川:これは「自分にとって大切なことが何なのか」という問いを解くということですね。もし今の人生の中で充実感が欠けているとしたら、大切なことを中心に生きられていないことが、大きなイシューだと僕は思うんですね。

自分にとって大切なことは何なのかを理解する。例えば私のケースで言うと、28、29歳くらいの頃とかは、すごく先延ばしのTo Doが多すぎて、本当に土日もずっと頭の中を離れないんですよね。

島名:会社員時代の話ですね。

古川:それを処理するためにいろんなテクニックを勉強して、だけど降り積もるTo Doの中でふと、「これって本当にやりたいことなんだろうか」と気づいたんですね。もちろん自分の隣にいる主任とか課長とか部長とか、すばらしい人たちだったし、仕事もできるし「こんなふうになれたらいいな」と思わないわけじゃなかったんだけど。

でも、自分の長い人生をずっとフューチャーぺーシングしていくと、どうもここで出世して活躍できるイメージが、自分の中に持てなかったんですよね。

自分のポテンシャルとか力は、ここじゃない何かのほうが活かせると。本当は合っていないことをやっているから、うまくできなくてすごくストレスが大きくて、だからTo Doが多くて、という相性の悪さ。

自分にとってやりたいこととか自分の価値観、やりがいのある仕事っていうところに「合っていないな」と思ったんですね。このズレからストレスが起きて先延ばしにしちゃってるんだったら、ズレを戻さないとそれを一生やり続けることになる。そう考えた時に、僕はもう「無理無理」と思ったんですね。

その時に初めて自分の真実に気づけたんです。「自分って何が大切なんだろう」「これから何を本気でやっていきたいんだろう」と思った時に「雇われない生き方」というコピーをパッと見て「これだ!」と思ったんです。

根本的な問題解決のために必要な考え方

古川:正直その真実に向き合うのは、人間怖いもんなんですよね。だって安定した生活、すばらしい会社、もしかしたらすべてを手放さないといけないかもしれない。だけどその真実にバンと向き合った瞬間に、自分は雇われない生き方をしたいと。そうしたら「コーチ」という生き方が入ってきて、独立をして今こうふうにやっているんですけど。

もちろん日々の生活の中で、大量のプロジェクトを抱えているから、先延ばしがないわけではぜんぜんないんですね。だけど、自分のやりたいことの中で、先延ばしを少しずつ解消しようと思っていることと、自分に根本的に合っていないことや、やらされ感の中で先延ばしを解消しようとするのはぜんぜん違うんで。

もし自分が大切にしたい働き方とかやりたいことの中心からズレが起きているならば、自分にとって大切なことを追求することですね。自分にとって、「本当にやりたいことを中心に生きるとは何なのか」という主題に戻らないと、さっきのようなイシューは解決しないんですよね。

島名:そうですね。確かにそこが見つかれば、先延ばしへの考え方もぜんぜん変わってきそうですね。やりたいことで生きているというか。ちょっと古川さん、聞いてみたいんですけど、今、「人生レベル」という話が出て、今日は「先延ばし」がテーマなんですけど。

やはり一度きりの人生、「このままじゃダメだ。人生を変えていきたい」と思っている人はめちゃくちゃ多いと思うんですけれども、そういう人はどうすればいいんでしょうか。

古川:「自分にとって大切なことを中心に生きる」と、この瞬間から決意することを、ぜひお勧めしたいと思います。つまり、「人生における大切なこと」って言われても、いきなり見えないじゃないですか。

小さな選択や習慣の連続が、自分の10年後を作る

古川:だから今日1日は自分にとって大切なことをやろうと。例えば運動することだとしたら、15分でもいいからその時間をとると、今日から決意する。1週間の中で大切にしたいこととして「家族へのサービスをしたい」と思っているんだったら、その時間をちゃんと優先すること。

そうすると必ず、今やっている選択が10年後を作るわけですね。だから例えば起業とか副業とかそのための準備とかを先延ばしし続けた10年後と、そのことを優先してしっかりと時間を取っていった10年後はどう違うかと。それは自分の選択とか習慣の連続になってくると思うんですね。

だからまずは「自分にとって大切な、小さなものを中心に生きよう」ってやると、より大きな大切なことを中心に(据えて)生きていける。だからそれを決意するということですね。あとはさっき言ったように、自分の価値観とかやりたいことは深いところにあるんで、それを探求していくには、いろんな内省と行動を繰り返しながら向き合うことがすごく重要になります。

我々は今さっき言ったような、自分を整えていく行動とか思考そのものを、2ヶ月くらいでやれますし、より自分の深い大切なことの本質に気づくというのには、ちょっと時間が掛かるんですけれども。それがやりきれるような人生を変えるプログラムもやっているので、自分の人生を変えていきたいなという方は、説明会を聞きに来ていただければなと思います。

島名:古川さん、ありがとうございます。「なぜ先延ばしをやめたほうがいいのか」ということから始まり、最後は行動レベル、人生レベルという深いお話まで聞いてきました。やはり先延ばしは複雑骨折で、簡単に行動だけ見ていけばいいやという話じゃないと僕は学びました。

古川:本当にそうですね。だからより広い文脈で、人生と生活をより良くしていくことですよね。

島名:ありがとうございます。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • “力を抜くこと”がリーダーにとって重要な理由 「人間の達人」タモリさんから学んだ自然体の大切さ

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!