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こんまりが、世界を魅了した秘密はリズム感!?ビジネスで心を揺さぶるには?#2(全2記事)

こんまり流・ふだんの片づけをラクにする「祭りの片づけ」 わかっていてもできない「使ったら戻す」を習慣化するには

さまざまな社会課題や未来予想に対して「イノベーション」をキーワードに経営学者・入山章栄氏が多様なジャンルのトップランナーとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」。今回はショートショート作家の田丸雅智氏、片づけコンサルタントの近藤麻理恵(こんまり)氏、プロデューサーの川原卓巳氏をゲストに迎え、片付けを習慣化する方法や、空想や妄想の力についてお話しします。 ■動画コンテンツはこちら

企業向けにショートショートのワークショップを行う、田丸雅智氏

入山章栄氏(以下、入山):『浜松町Innovation Culture Cafe』。今週も常連さんに、ショートショート作家の田丸雅智さん。そしてお客さまに、もう世界的に有名ですが、こんまりさんこと片づけコンサルタントの近藤麻理恵さん。そして、プロデューサーの川原卓巳さんをお迎えしました。田丸さん、こんまりさん、川原さん、よろしくお願いします。

田丸雅智氏(以下、田丸):お願いします。

田ケ原恵美(以下、田ケ原):田丸さんは2011年に作家デビューされ、その翌年には樹立社ショートショートコンテストで『海酒』が最優秀賞を受賞。また、2020年度からは小学4年生、2021年度からは中学1年生の国語の教科書に、それぞれ作品が掲載されています。

現在、執筆活動のほか、坊っちゃん文学賞では審査員長を務め、ショートショートの書き方講座、企業向けのワークショップ「ショートショート発想法」なども開催され、幅広く活動されるほか、先日、初のビジネス書『ビジネスと空想 空想からとんでもないアイデアを生みだす思考法』を発売されました。

入山:というわけで田丸さん、今週もよろしくお願いします。

田丸:はい、お願いします。

入山:田丸さんは、もう浜カフェの常連でいらっしゃって、日本を代表するショートショート分野の旗手ということなんですが。あらためて、ショートショートって結局どういうもので、今までどういうことをやってきたのかを教えていただけますか。

田丸:はい。ショートショートは簡単に言うと、短くて不思議なお話だと思っていただくと、だいぶ近いとは思うんですけど。

入山:有名なのは星新一さんですよね。

田丸:はい。アイデアがあるお話ですね。僕自身、当然執筆活動は基本なんですけども、それだけではなくて、普及活動として書き方講座ですとか、何かの賞ですとか、そういったことをいろいろやっている作家です。

今の日本のビジネス界には、空想や妄想が足りていない

入山:そして田丸さん、先週ももちろんご紹介いただいたんですが、今月発売された新しい田丸さんの『ビジネスと空想 空想からとんでもないアイデアを生みだす思考法』という本があるんですよね。これはどういう本なんでしょうか?

田丸:僕が書き方講座をアレンジしたものを、企業向けにショートショート発想法としてやっているんですけれども、ショートショートを使って自社にまつわるお話を考えていただく。そこから、実際にどんなサービスとか商品が生まれるだろうかという読み解きをすると。

そんなワークショップをやっているんですけど、その詳細と、アイデアや空想に関して、僕が意識していることとか考え方もご紹介している本になります。

入山:僕も若干関わっているのでなんとなく知っているんですけど、田丸さんの問題意識は、今日本のビジネスの世界で、空想や妄想が足りていないんじゃないかと。だからこそショートショートを使って空想したり妄想することが大事だから、こういう活動をされているという理解でよろしいですか。

田丸:そうですね。入山さんに「そうだ」と言っていただいて、僕は自信を持っているところです。

入山:今週もぜひ、いろいろとおもしろい話をお願いします。

田丸:お願いします。

「世界中を片づける」活動をする近藤麻理恵氏

田ケ原:続いて、こんまりさんのプロフィールです。5歳から主婦雑誌を愛読し、中学生の時に片づけの研究を開始。大学在学中に片づけコンサルティング業務をスタートし、独自の片づけ法「こんまりメソッド」を考案されました。2010年に出版した『人生がときめく片づけの魔法』はシリーズ累計1,400万部を超える世界的大ベストセラーに。

その他にも、アメリカ『TIME』誌の「世界で最も影響力のある100人」への選出、2019年にNetflixでスタートした冠番組『KonMari—人生がときめく片づけの魔法—』が世界で放映され、エミー賞2部門にノミネート。2021年公開の新シリーズではテレビ界のアカデミー賞、デイタイム・エミー賞を受賞され、世界から注目を集めています。

続けて、川原さんのプロフィールです。大学卒業後、人材系コンサルティング会社に入社。キャリアコンサルティングや企業向けのビジネス構築・人材戦略に携わります。学生時代からの友人・近藤麻理恵さんと公私共にパートナーになり、「こんまりメソッド」の世界展開をプロデュース。

NetflixオリジナルTVシリーズ『KonMari〜“もっと”人生がときめく片づけの魔法〜』のエグゼクティブプロデューサーを担当されました。こんまりさんをプロデュースされる傍ら、2020年には、世界に1つしかない自分の魅力の見つけ方を書いた『Be Yourself 自分らしく輝いて人生を変える』を出版されています。

入山:というわけで、こんまりさん、川原さん、どうぞよろしくお願いします。

川原卓巳氏(以下、川原):よろしくお願いしまーす。

近藤麻理恵氏(以下、近藤):よろしくお願いします。

入山:先週は、こんまりさんが最近どういう活動をしているかということで、世界中でこんまりさんに、啓蒙を受けた方々をさらに力強くして、「世界中を片づける」活動をしているとおっしゃったんですが。パートナーでありプロデューサーである川原さんは、今プロデューサーというお立場で、例えばこんまりさんとの活動以外にも、最近はいろんなことをされているということでよろしいですか?

川原:いろいろやらせていただいております。その中で今一番力を入れているのは、次世代のプロデューサーを育てる学校を開校したことです。

これからの日本に必要な「プロデューサー」の存在

入山:へえ。それは逆に言うと、川原さんの問題意識として、日本にはプロデューサーが足りなくて、そしてこれからはプロデューサーが大事だということですね。

川原:これはアメリカに住むようになって強く感じたことで、恐らく入山先生も感じていらっしゃると思うんですけど、海外から見た時の日本の存在感がほぼないと。ただ一方で、じゃあ価値がないのかと言うとまったくそうではなく、日本にはすばらしい価値観やメソッドや会社や人や景色があるにもかかわらず、それがうまく届いていない。

それはなぜかと言うと、私はプロデュース不足、プロデューサーの欠如だと考えています。なのでプロデューサーを増やすことによって、日本の価値を見いだし、それが世界まで届く状態を作るのを、今野望として掲げています。

入山:川原さんのプロデューサーの学校は、「ここのウェブサイトを見たら応募できるよ」みたいなものはあるんですか?

川原:あります。一番情報が集まっているのは最近僕が始めた公式LINEで、ご登録いただくと、最新情報をすべて見ていただけるようになっています。

入山:じゃあLINEで検索すれば。

川原:はい、ぜひ。あとは、「川原卓巳 プロデュースの学校」で検索いただくと、そのまま出てくるかと思います。

入山:先週に引き続きまして、ここからこんなお三方と「心を揺さぶるとは何か?」というテーマで、田丸さん、こんまりさん、川原さんからお話をうかがっていきたいんですが。特に今週は「ビジネスで心を揺さぶるには?」ということで議論していきたいんですけど。

逆に言うと、心を揺さぶることをビジネスにしたり、もっと言うとシンプルに成果ですよね。単純に揺さぶるだけじゃなくて、そこから何か新しいかたちを得る。それがお金でなくてもいいと思うんですけど、それには何をするかだと思うんですが。

田丸氏が語る、空想や妄想の力

入山:まず田丸さんからおうかがいしてみましょうかね。田丸さんはショートショートをやられて、「妄想とか空想が大事だ」とされていて、どのへんに問題意識をお持ちなんですか?

田丸:そうですね。極端な話、それこそ未来を作っていくためにも空想の力が必要だと思いますし、だからこそ人は進化できたというか、今があると僕は勝手に思っているんですけど。にもかかわらず、個人の空想って、特に日本ではまったくフィーチャーされてきてなかったといいますか。

「子どもは空想が大事だ」「想像力は大事だ」とかはよくあるんですけど。でも、ちょっと前までの日本で言うと、「いや、大人になるのにそういうのは要らないから」みたいな。でもそれって健全じゃないというか、おかしくないかって。

そういうことを抜きにしても、やはり空想の力って僕もすごく好きですし、信じているので、もっともっとみなさんができるようになると生きやすくもなる。僕自身も生きやすくなると思っています。

入山:なるほどね。子どもの頃から、僕は今も空想しまくってますからね。タガエミちゃんは、妄想とか空想はする?

田ケ原:でも確かに、日頃からというよりは、きっかけがあってする感覚のほうが近いかもしれないですね。なので、お二人の話を聞いていると、日常的にもっとやるべきなんだなとは思うかもしれない。

入山:ああそっか。だから空想とか妄想を常態化、習慣化したいんだ。

田丸:はい、習慣化したいんです。常にじゃなくていいんですが、当たり前にその時間がある状態。今は「少なくともこの時間だけはいいよ」っていう、それすらないじゃないですか。だから最初はそこを作りたいと思ってますね。

ふだんの片づけをラクにする「祭りの片づけ」

入山:これももしかしたら、こんまりさん、川原さん、お二方との1つの共通点なんですかね。お二方も、世界を片づけたいという時に、1回片づけてもそのあと散らかったら意味がないから、習慣化ってきっと大事ですよね。

近藤:そうですね。「こんまり®メソッド」の場合って、片づけには2種類あるとお伝えしているんですけれども、それが「日常の片づけ」と「祭りの片づけ」。

入山:おお。

近藤:「日常の片づけ」が、「使ったら元に戻す」っていうまさに習慣化したものですね。この習慣って、「じゃあやりましょう」と言ってやるのはけっこう難しいんですね。

私がお伝えしている「こんまり®メソッド」って、実は後者の「祭りの片づけ」のほうで、今持っているものを全部見直し切ってみて、ときめくものだけ残すという「片づけ切りましょう」という短期間のプロジェクトなんですよ。これを1回やっていくと、習慣化がしやすくなってくるという順番で実は考えているんです。

入山:へえ。「祭り」が先で、祭りをやり切ると習慣になる。

近藤:習慣がすごく楽になって、(片付けを)やりたくなっちゃう。

入山:なるほど。

川原:あと1つの観点でうかがっていてめちゃくちゃ思ったのが、なんで今日本が、こんなに鬱々として衰退をしてしまっているかって言うと、僕は1つは空想を殺してきたからだと思うんですね。

入山:そうですか。

川原:入山先生の前で言うのは非常にあれですけど、産業革命以降の日本のお家芸というのは、工業化で高い製品のものをいかに安く、いかに効率的に人を部品化して育てるかっていう、まさに言うことを聞かせて「妄想している場合じゃねえ」と。ラインに並べて「やることやれ」っていう人を育ててきたじゃないですか。

入山:おっしゃる通りです。

川原:しかし、これだけものがあふれ、差別化が生まれない状態で、じゃあ何が違いを作るのかって言うと、僕は空想であり、夢を語ること、描くことだと思うんですよね。これを2016年にシリコンバレーに移住してから、僕はとても強く確信をしていて。

あそこってカフェとか至るところで、虚言と言ってもいいぐらいの妄想をみんながばんばかしゃべるわけじゃないですか。これが日本に最近来る機会が増えて、ぜんぜん違うなと感じていて。

近藤麻理恵氏が掲げる大きなビジョン

入山:やはりアメリカにいると、空想とか妄想とか変なことを言う人がいっぱいいるわけですよね。ただ問題は、アメリカはそれが、多くのものはうまくいかないかもしれないけど、一部はちゃんとビジネスとして結果が出てくるということですよね。

こんまりさんはいかがですか? 日本で生まれ育って、妄想・空想とか異常なこだわりをこれだけのビジネスにされたっていうプレイヤーとしては、たぶんこんまりさんって、日本というか世界屈指だと思うんですよ。ご自身ではどう考えられていますか?

近藤:私の場合は、初めから世界に出る妄想をしていたわけではないです。こんなに世界で広がるとは思ってもみなかったところから、実はスタートしているんですよね。ただ、もともとは「日本を片づける」という大きなビジョンがあって、その目的に向かってやってはいたんですね。

だから世界に出てみたら思った以上に反響があって、「世界でも片づけってこんなに求められているんだ」という現状を知って。かつ、実際に「こんまりメソッド」で片づけられた方の変化を世界中で目の当たりにするようになってから、「これは世界中に広げなければならない。Organize the World」と言っています。

入山:(笑)。

近藤:「世界を助ける」という大きい目標が見えた時に、私の場合は「世界を片づけるってどうしたらいいですか? ねえ卓巳」って。

川原:そうね、だいたい僕のほうに、なんかどでかいパスが来るんですよね。想いがどーんとあって、「え、じゃあ現実はどうするんだっけ」ってやってます。

入山:(笑)。「世界を片づけたいけど、どうすればいいんですか?」と言われるんですか?

川原:(笑)。

田丸:最高ですね。

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