2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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教育ニュースレター「Discover Edu!」の創刊記念イベントが開催され、『自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』著者の島村華子氏と、『夢をかなえるゾウ』シリーズ著者の水野敬也氏が登壇しました。本記事では、親子関係を良好にするための“視点の持ち方”について解説します。
島村華子氏(以下、島村):「30パーセントvs9パーセント」というのは、親御さんのジェンダーによって、子どもに対する行動の違いを調べた研究です。
例えば、科学の展示館に子どもと一緒に行った時に、息子さんを持っている親御さんと、娘さんを持っている親御さんで、会話の内容がどう違うのかを検証した研究なんですね。
息子さんを持っている親御さんは、会話の30パーセントを科学の内容の説明に使うのに対して、娘さんがいる親御さんは、会話の9パーセントしか説明に費やさないことがわかったんですね。
どちらも会話量に違いはなかったんです。だから、男の子なのか女の子かによって、親子の会話内容が変わってくるんです。
例えばいろんな車を見た時に、「この車はこうだ」というのを息子さんには話すけれど、娘さんには話さないみたいな。水野さんも、自分の中でふと思いつくようなバイアスってあったりします?
水野敬也氏(以下、水野):ありますね。工事現場でクレーンを見ている時に、息子には説明をする。でも、男の子のほうが(よりクレーンを)見ている気もするので。
島村:確かに。
水野:そうなんですよ。でも、クレーンに対して「あれ、すごいね」みたいな説明は、やっぱり息子のほうに多くしていますね。それも、なんか混ざっているような気もしますね。
島村:でもおっしゃる通りで、確かに研究を見てみると、男の子のほうが電車や車に興味を示すという結果は出てるんです。ただ、その研究結果にたどり着くまでの年齢に、どこまで大人や周りの影響があったかがちょっとわかりにくいですよね。
最初から大人が「男の子だから電車が好きだろう」と思って、ずっと電車のおもちゃを与えていたかもしれない。だから、本当にジェンダーの違いなのか、それとも社会的な要因、それこそ親御さんの影響がどういうものなのかを確実に検証するのは、すごく難しいんです。
ただ水野さんもおっしゃったように、息子さんには娘さんよりも車のことについて話していて、もしふわふわした動物がいたら、ひょっとしたら娘さんに対してはもうちょっと説明しているかもしれないんですね。
水野:あり得ますね。
島村:じゃあ、こういう行動がどういう影響を与えるのかと言うと、実際に退学される子どもたちの行く末は悲しいものです。学力が低くなったり、学校へのネガティブな気持ちが大きくなるとか、少年院に入る率が高いこともわかっています。
あとは、生徒の学力にどんどん差が出てくる。要は、先生が最初から「できない」と決めつけている生徒に対しては、先生の扱いにもすごく違いが出てきてしまうんですよね。先生もそういうつもりはないのかもしれないけれども、「この子のほうができる」と思い込んでいる子のほうに力を入れるんですよ。
あとはさっきも言ったんですが、実際は女子生徒のほうが、平均的にはSTEMに対する学力は高いにもかかわらず、女子生徒がSTEM科目を選んだり、STEMの職業を選ぶ確率はかなり低いんですよ。なので、優秀な能力レベルと職業選択がまったく見合っていない。
これはやはり、社会的に植え付けられたイメージから出ている影響もあるんじゃないかということですね。
なのでこういうところを踏まえて、私たちがふだん、子どもたちのことをどう思っているかというのが、かなり無意識のうちに言動に表れているということを認識するのがすっごく大事です。本の中では短い部分ではあるんですが、一番大事な部分として紹介させてもらいました。
田中亜紀氏(以下、田中):島村さん、ありがとうございます。
田中:水野さん、あらためて聞いていかがですか?
水野:どうしても聞きたい話が1個出ちゃったんですが、確証バイアスがめちゃくちゃあって。これは子どもだけじゃないですが、例えばうちの子に「お風呂の蛇口を勝手に回さないで。水がもったいないからやめてくれ」と言うんですが、すっごい回す子がいて。「またあいつだ」みたいな感じで(風呂場へ)行くと違っていたり。
これだけならいいんですが、「この子は親の言うことを聞かないぞ」というスイッチが入っちゃうと、いつもその色眼鏡で見て、関係がどんどん悪くなっていく。
これって会社でもあるなと思って。例えば「この部下は人の言うことを聞かない」とか、もっと言うと「できない人だ」みたいになると、一挙手一投足にイライラし始める。脳のバグだと思うんですが、これが人間関係をめちゃくちゃ悪化させているなというのは、子どもとの関係でも感じるので。
確証バイアスがばーんとなっちゃった時、脱出するにはどうすればいいんですか?
島村:確かに。これ(確証バイアス)はみんな持っているものなので難しいですよね。脳は自分に優位に働くようにできているものなので、もし(自分には)そういう傾向があると気づいた時に、そうじゃない時にも注目するという意識を前面に持っていかないと、自分が気になるところしか目に付かなくなるんですよね。
水野:なるほど。
島村:「嫌いだな、その人」って思っていると、「嫌いだな」という情報しか集めないように脳はできているので。
水野:いや、本当にそうですよね。
島村:どんどん嫌いな情報を集めて、「やっぱり私って正しいよね」と思う。だから私たちに必要なのは、「いつも“科学者”でいる」ということです。科学者でいる条件とは、いろんなエビデンスを自分のテーブルの目の前に置いて「どれが正しいのかな」と、きちんと検証できる立場なんですよね。
水野:なるほど。
島村:なので、スタンスとしては「科学者でいよう」とか、私の本で言っているのは「裁判官じゃなくて探偵になろう」という言葉なんですが、「なんでかな?」「どうしてかな?」という気持ちを持つようにしておく。
上司や会社の人とか、ひょっとしたらこれから関わらなくてもいい人だったら、けっこうどうでもいい時もあるかもしれないんですが、お子さんとなると関係性は大事なので。科学者、あるいは探偵でいるような心持ちを覚えておくのは大事ですよね。
水野:「科学者」。そうですね。いい面をちゃんと拾ってきてあげないと、どんどん悪い探偵になっていくんじゃないかなと。「こいつが犯人だ」みたいな(笑)。
島村:確かに(笑)。
水野:優秀な探偵は科学者とイコールになると思いますが、愚かな探偵になってくると「またあいつが」「また言うことを聞かない」みたいな。
島村:「悪いところを見つけてやる」って。
水野:そうなんですよ。「お前が犯人だ」って、違う人にやっちゃうことがあるので。この話が聞けただけでも、本当に僕は良かったなというか。
島村:それで言うと、アダム・グラントさんって知ってます?
水野:いや、知らないです。ちょっとメモっていいですか。
島村:すごくいい本をいっぱい書いている方なんですが、オーガナイゼーショナルサイコロジーといって、会社や組織の心理学を調べている人なんですね。今、私が言っていたことは、彼が言う「再思考方法のヒエラルキー」なんです。
水野:うわ、これはしびれますね。
島村:私が言っていたのは、科学者でいることが、親としても先生としてもすごく大事ということです。「私って間違っているかも?」と思えるかどうか。でもそれって、謙遜の気持ちがすごく必要じゃないですか。
先生や親御さんは自分に権威があると思ってしまいがちなので、「私が正しい」と思っているから、「私が間違っているかも」という気持ちはあんまり生まれない時が多いんです。
なので、「私が間違っているかも」と思って、違う意見を持つ専門家なども探して、証拠を再検証する。水野さんが(子育て本を)100冊読んでいるのって、科学者になる道のりそのものなんですよね。
水野:なるほど、ありがとうございます。
島村:本当に。一番危ないのは、「私はいつも正しいから、自分しか正しいことは言ってない」というカルトリーダー。クリティカルシンカーになるのも大事なんですが、一番目指したいのは科学者なんですよね。
水野:なるほど、すごいな。おもしろいですね。やばい、これは話が止まらないですね。
島村:すみません(笑)。
水野:質問に行ったほうがいいかもしれないです。
田中:ありがとうございます。
島村:この表はおもしろいので、ずっと話せますよね。
水野:すみません、質問に行きましょう。
田中:ありがとうございます。
田中:では、さっそく質問に移ってまいりたいと思います。今回、本当にたくさんのご質問をいただきました。大まかに分類すると、(スライドを指しながら)このようなご質問が多かったです。
編集部でも、私たちが一つひとつ読ませていただいて、「あるある!」という共感ばかりでした。今日は時間の許す限りお話ししていきたいと思います。
じゃあ、最初の質問はこちらです。「やるべきことをやろうと声をかけると、『言われたらやる気がなくなった』と答えます。でも言わないと絶対にやりません」。
あとは「起きない、食べない、着替えない、ハミガキしない、保育園行かない、お風呂入らない、寝ない……いろいろ試すと初日は成功するものの、その後は全滅です」。
2歳のお子さんがいる方は「育児本などを参考にしていますが、何度説明しても堂々巡りになり、イライラしてしまいます。どうしたらいいでしょうか?」。よくあるシーンだと思うんですが、島村さん、水野さん、回答をお願いしてもいいでしょうか。
水野:まさに昨日、うちの娘が「宿題をやりたくない」と言って、めちゃめちゃ机を叩いていたんですよ。
島村:一番上の小2のお姉さんでしたっけ。
水野:そうです。一番上は7歳の子なんですが、成す術がないというか。とりあえずしゃべったらけんかになるので、僕はもう「無」になっていましたから(笑)。
島村:息も吸えない、みたいな。
水野:もう本当に(笑)。「無」というか。どうしたらいいですかね?
島村:そうですね。宿題に関しては、私はけっこう特殊というか、宿題自体が本当に必要ないものだと思っているので。
島村:まず背景として、私が認識しておきたいなと思うのが、大人が「やるべきだ」と思っていることが、必ずしも子どもの目にそう映っているとは限らないということなんです。宿題ってその典型だと思うんですよ。
でも大人も、「なんでやらなきゃいけないのかわからないけど、学校が『やれ』と言っているから、やらなきゃいけないもの」という認識の人がたぶん多いと思うんですよね。
「なんでやるんだっけ?」という目的が、誰にとってもあまりクリアじゃないものって、子どもに押し付けるのはけっこう無理があると思っているんですね。なので私は宿題に関しては、「誰の問題なのか」という責任の分別はすごく大事だと思っています。
宿題をやらなくて困るのは、本当は親御さんではなくて子どもなんですよね。しかも、私の中では実際にはあんまり困らないと思うんですが、学校生活の中で先生に怒られるという意味では困るということですね。
なので、子どもがやらないことで学校でトラブルになったとしても、親御さんの責任ではなくて、本来は子どもが処理する問題です。子どもがやろうと思った時に「手助けするよ」というスタンスは見せつつも、私は子どもがやらないんだったら放っておくタイプなんですよ。
島村:でも、それも性格によるんじゃないかなと思うんですが、水野さんは放っておけるタイプですか? それとも、どうしてもやらせたいタイプですか?
水野:これも長くなりますね。僕もまさに「宿題をやる必要はない」という本も読んだりして、めっちゃ悩んでいて。なぜ今、宿題をやらなきゃいけないのかって、例えば「漢字が書けるとこういう本が読めたり、なんなら僕の本も読めるぞ」とか。そこで「うん。漢字やる」みたいに盛り上がっている時もあったんです。
でも現状の結論は、そもそも漢字とか掛け算がまったくできない人もいるとは思うんですが、やはり最後には掛け算と漢字は使うぞという思いがあるので。
島村:確かにね(笑)。
水野:でも昨日は結局、ハイチュウを食べさせてみたりしたんですが(笑)。ただ、「ハイチュウのために勉強をやっているのか」というのも良くないって本に書いてあったりして、まったくその通りなので。
僕は(宿題終わりにあげるのを)「お疲れハイチュウ」って呼んでいるんですが、「お疲れハイチュウ」をちょっと前倒しにして食べさせるというか。何を言っているのか(笑)。本当に今、愚かな親を出しているだけなので。
島村:いえいえ、とんでもないです。
水野:そうなんですよ。
島村:「お疲れハイチュウ」、流行るかもしれないです。
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