日本人もトルコ人も元々は匈奴?

アキ先生:元々、冒頭にもエルトゥールル号の話が出たんですけど、元々ですよ? 今までの話からかなりさかのぼりますが、匈奴(きょうど)という遊牧民族を聞いたことはありますか?

まき君:あります。

おおたに君:中国にも攻めいったような人たち。

アキ先生:そうです!

まき君:そうですよね。中国の歴史で出てきましたよね。

アキ先生:そうですね。その匈奴が西に行ったのがトルコ人、東に行ったのが日本人なんていうふうにもいわれてるんですよね。

やすやす君:トルコ人って蒙古斑はありますかね?

アキ先生:ちょっとチェックしたことはないですね(笑)。

やすやす君:日本人だと蒙古斑があるかどうかで、「どこかでつながっているんだろうな」感が持てるんですけどね。

アキ先生:オックスフォード大学の博士が、日本人はヒッタイト王国の血を引いているというような。

まき君:ヒッタイトですか!? けっこう遠くないですか?

アキ先生:遠いです。近年、そういうことも発表しているみたいですね。

やすやす君:ヒッタイトって、元々トルコ、アナトリアに起こった民族だよね。めちゃ強かったはずでしょ?

アキ先生:はい。初めて鉄を用いた人たちですね。

やすやす君:昔、世界史でやりましたよね。

アキ先生:やりますよね。トルコは昔にさかのぼると、紀元前8000年くらいの時から歴史がありまして、その時は新石器時代とか青銅器時代といわれていますね。それからヒッタイト王国になっていったのが、それでも紀元前2000年頃で。

ヒッタイトを舞台にしたマンガ『王家の紋章』

アキ先生:まきさんはマンガとか読みます?

まき君:はい、読みます。

アキ先生:ここら辺。ヒッタイトが出てくるマンガがあるんですよ。知ってます?

まき君:普通のマンガですか?

アキ先生:はい。でも、時代がどうなのかな?

まき君:ヒッタイト? マンガは読むんですけど、ちょっと知らないですね。なんていうマンガですか?

アキ先生:『王家の紋章』というマンガ。

まき君:『王家の紋章』。読んだ。

おおたに君:出てくるんだ。『王家の紋章』、読みましたよ。

アキ先生:読みましたか!?

おおたに君:現代と過去を行き来するんですよね。

アキ先生:はい。そうなんですよ。

まき君:うちの母が読んだことがあると。

おおたに君:たぶん同じ年代でしょう。

やすやす君:『王家の紋章』は少女漫画だよね。

アキ先生:たしか今でもまだ続いていて、まだ終わっていないんですよね。

やすやす君:続いているんだ(笑)。

アキ先生:たしか五十何巻(※2015年7月/60巻発売)とかまであって。

やすやす君:そう……。

アキ先生:元々エジプトに主人公がタイムスリップするところから始まるマンガなんですが。

やすやす君:すごい革新的なマンガですね。これ、少女マンガってすごいですね!

アキ先生:おもしろいですよ。

やすやす君:おもしろいんだ(笑)。五十何巻まで続いていますもんね。

アキ先生:ちょっと時代が必ずしも一致しない部分もあるんですけど、こういったところにヒッタイト王国が出てきたり、バビロニアとか。

やすやす君:そのマンガの中でちょっと史実と錯誤があるということね。

アキ先生:そうです。

やすやす君:本当は同時に存在しないはずの文明も描いちゃっているところもある、と。

アキ先生:はい。

やすやす君:それはファンタジーだからしかたがないですね。

アキ先生:そうですね。でも、それはすごく楽しく読めるところで、「なるほどな」と思わせるようなところもあるんですよ。ヒッタイト王国とエジプトの関わりとか、そういったことも実は描いてあったりして。それもおもしろくて。紀元前1000年くらいですね。その時はけっこういろいろなところで都市国家ができてきたり、あとはペルシア帝国に支配されていたり、アレキサンダー大王がやってきたりして。

アレキサンダー大王を描いた『ヒストリエ』もオススメ

やすやす君:アレキサンダーね。

アキ先生:この時代はけっこうごたごたしていますね。イスタンブールにアレキサンダー大王の棺が残っているということで。やすやすさん、行ったことはありますか?

やすやす君:博物館系は、ほぼ行ったことがないですね。

アキ先生:なるほど(笑)。かなり大きな棺があるんですよ。「これは絶対にアレキサンダー大王のなんだろうな」というくらい、圧巻な棺です。石に彫られているんでけど、彫刻されているものを見ても、「もうこれはアレキサンダー大王の棺でしょ」というふうに思ってしまうようなスケールのものが置いてあります。

やすやす君:へぇー。

まき君:アレキサンダー大王なんですけど、アレキサンダー大王のマンガがあるんですよ。

アキ先生:えー! なんていう本ですか?

まき君:そうなんですよ。私、一番好きなマンガなんですが、『ヒストリエ』ってみなさんご存知ですか?

やすやす君:ヒストリエ?

アキ先生:知らないです。

おおたに君:知らないな。

まき君:少女マンガじゃなくて、今度それは青年漫画になるんですけど、今(2013年)7巻(※2015年5月/9巻)くらい出ていて、一応話が、主人公がアレキサンダー大王ではなくて、アレキサンダー大王の秘書官だったエウメネスという人の生涯について書いたマンガです。ちょっとグロテスクなところもあるんですけど、すごくおもしろいので、ぜひぜひみなさん読んでください(笑)。

やすやす君:ちょっと検索してみました。『寄生獣』を描いている人ね。

まき君:そうです、そうです! 『寄生獣』もありました。

やすやす君:マンガ界もいろんなところからテーマを掘ってくるよね。楽しみですね。

トルコの起源は紀元前3世紀くらいまでさかのぼれる

アキ先生:楽しみですね。それでさっきお話した紀元前1世紀頃の匈奴が出てくるんですよ。トルコの起源といわれているのが匈奴で、中国に『魏書』(ぎしょ)という本が残っていて、そこにもけっこう書かれているみたいです。

その人たちのことを北方では敕勒(ちょくろく)といういい方をしたり、中国では高車・丁零(こうしゃ・ていれい)と呼ばれたりして、どちらもトルコの「トゥルク」をうつしたものと考えられるので、トルコの起源は紀元前3世紀くらいとかまでさかのぼることができるといわれています。

やすやす君:当時は、中国に攻め入るくらいの本当に広い版図があったということだね。

アキ先生:そうですね。ここで住んで遊牧生活をしていた人たちがどんどん西へ東へ行って、それで匈奴がどんどん西の方へ進んでいくとゴート族。ゲルマンの人たちですね。そういう人たちにあたるんですよ。どんどん、どんどん東ゴート、西ゴートという感じで、その時はフン族と呼ばれている人たちになるんですけど。匈奴も最初中国のというか、モンゴルから出てきて、それで移動していくうちに混血になっていくというか。

やすやす君:へぇー!

アキ先生:白人のコーカソイドの人たち。白人の人種とのコーカソイド人種というのと混血が進んでいくんですね。そういう人種がいろいろ出てきて、西へ西へと行くことで、東ゴート族の人たちは西ゴート族の人たちのところへ攻め入るので、なのでゲルマン民族の大移動が始まる、ということです。ずーと、ずーと追い立てられるんです。

やすやす君:あれは追われて移動し始めるんだ。

アキ先生:そういうことみたいなんです。

やすやす君:へぇー!

アキ先生:けっこういろいろな民族が出てきて、ここの部分もまたおもしろいですね。それで445年にアッティラという人が出てくるんですけど、そのアッティラがフン王国という大帝国を築くと。これが西ローマ帝国崩壊の原因になるふうにいわれていますね。

遊牧民はなぜイスラム教を取り入れたのか

やすやす君:じゃあ、トルコはずっと長くにわたって世界の歴史と相当深く関わっているんだね。

アキ先生:関わっていますね。このアッティラもやはりトルコから発生した民族というか、そういうふうにいわれている人なので、トゥルク系民族の人なんですよね。

おおたに君:ヨーロッパ、アジア、アフリカ、どこへ行くにも通りますもんね。

アキ先生:そうですね。

おおたに君:中心ですもんね。

やすやす君:民族が移動し始めたり、領土を拡大していくうえで、トルコはどうしても引っかかってくるところだから、なんでしょうね。

アキ先生:そうでしょうね。それで西へ西へと進んでいくうちに、この遊牧民族はイスラム教を受け入れるんですよ。それでそういうイスラム教……これは私も疑問に思うんですけど、なぜイスラム教を受け入れるのかなっていう。マレーシアでもそうなんですけど、普通に生活していて、別にわざわざイスラム教を取り入れなくてもと思うんですけど、生活に取り入れていくんですよね。

やすやす君:そういうことですね。取り入れた人たちが増えてきたのか、どっちが先かわかりませんけど。

アキ先生:はい。それでイスラムの人たちがどんどん社会に進出していくというか、いいことをいわれてイスラム教に改宗していくんですかね。

やすやす君:まあ、いろんな理由があるんでしょうね。ここでイスラム教について語る時間はありませんけれども、またどこかの国で機会があればイスラム教についても、少しアキ先生がやる、という。

(一同笑)

アキ先生:わかりました。ちょっと嬉しいです(笑)。

やすやす君:まあでも、イスラム教についてはアンチテーゼという点が、広がる理由の一つだと僕は思いますね。それまでの……。

おおたに君:ユダヤ教、キリスト教ですか?

やすやす君:その考え方であるとか、教会に所属している人はすごく特別な地位にあったりするとか、そういうものに対する反発心で広がりやすかったという背景は、ちょっと思ったりしますけどね。何かきっかけがあればこれも話してみたいと思いますね、アキ先生が(笑)。

アキ先生:わかりました(笑)。さらに勉強を重ねていきます。

やすやす君:そうですね。

オスマン帝国時代のはじまり

アキ先生:その大移動があったあと、ローマ時代がきますね。西ローマの中にトルコの国土があった。そのあとにビザンチン帝国時代というのがきて、ビザンチン帝国というのはローマ帝国から宗教上の意見の不一致などで別れた東ローマ帝国。

おおたに君:そうですね。

アキ先生:はい。それはコンスタンチノープル、今のイスタンブールを首都として、自分たちの文化を確立していったと。

やすやす君:ここでやっとさっきまで話していた話とつながっていったんだ。

アキ先生:そうですね。それが200年くらいですかね。

やすやす君:そのビザンツ帝国をやっつけたのがオスマントルコ?

アキ先生:ビザンチンのあとに、セルジューク朝というのもあるんですよ。

やすやす君:そのセルジューク朝が強かったんですよね。そうでした。

アキ先生:セルジューク朝、それがイラン、イラク、トルクメニスタンとか、そういった地域を国としていた人たちですね。

やすやす君:そのセルジューク朝がトルコにイスラム教を持ち込んだんですね。

アキ先生:そうです。そのあとですね。そのあとにオスマン帝国がくる。

やすやす君:1回モンゴルにやられるんですけど、そのあとオスマンになりますね。

アキ先生:はい。なりますね。

おおにた君:オスマンが広く支配ちゃうんですね。

アキ先生:広く。そのオスマン朝の最初の歴史はよくわかっていないふうにどの本にも書いてあったんですけど、だいたい1299年に初代君主のオスマン=ベイが建国を宣言したとされていて、それがオスマン朝の建国の年とされているらしいです。資料の裏付けはないらしいですが。

やすやす君:そっちのほうが夢があっておもしろいですねどね。

アキ先生:そうですね。

「地中海にものを投げ込めない」とまで言われたオスマン帝国

おおたに君:私が聞いたのは、オスマン帝国が広く支配したために、イギリスとかスペインがアジアに進出できないので、それで大航海時代になっていったと聞きましたけどね。

やすやす君:オスマントルコがでかすぎて倒すことができないから、海で迂回したということですか?

おおたに君:そうそう。それで船が発達した。それで逆に植民地とかが広くスペインとかポルトガルに取られていって、オスマントルコが取り残されて衰退の道を歩むみたいな。

やすやす君:強すぎたがゆえに、か。

アキ先生:圧勝の時代がありましたね。地中海も全部オスマン帝国が支配していた時代があったので、なのでヨーロッパの人たちは地中海に物を投げ込めないとか(笑)。

やすやす君:そんな冗談が通るくらいの世界があったということね。

アキ先生:そうです、そうです。これからのトルコも非常に楽しみではありますので。

やすやす君:これからもっとトルコに行く日本人が増えると思うし、増えてほしいなと思います。

おおたに君:そのうちの一人です(笑)。

まき君:来年行きます!

おおたに君:いいな、いいな!