サイボウズの“本気PR”の成果「チームワークが価値だと一生言い続ける」

第1部「ブランディングとPR・メディアとの関係」 #3/3

2015年8月20日、サイボウズ株式会社の新オフィスで「BtoB/IT広報勉強会」が開かれました。勉強会の第1部では、同社ビジネスマーケティング本部・コーポレートブランディング部の椋田亜砂美氏が「ブランディングとPR・メディアとの関係」をテーマに、サイボウズの事業内容やPR活動を紹介します。本パートでは、サイボウズの価値である「チームワーク」と「働き方」が社内外に定着するまでの取り組みと、定着後の成果をまとめました。

サイボウズの社外と社内の評価はどう変わったか

椋田:成果というところは、「働きやすさ」というところに取り組んできた結果、働きがいのある会社というランキングで3位になったりとか。

実はサイボウズ式っていうのは、製品のところとはまったく関係なく運営しているんですけども、サイボウズ式を知って「cybozu.com」といううちの製品を買いましたという人が今6パーセントぐらいいたりとかですね。

変な広告を打つよりはすごく高い数値なので、これも一定の成果が出ているのかなと思ってます。

あとサイボウズ式をしていて一番感じるのは、インナーブランディングですね。ここに書いてあるんですけれども、「いつも思うけど、うちの会社のこういうスタンスが私の日々の仕事へのモチベーションを高めてくれます」みたいなことを、社員が社内だけでなく公でつぶやいてくれたり。

社長の対談など、いろんな人がこんなことを話してるっていうのをメディアを受けて間接的に知ることで、より自分の会社を知ることができて、そこに対してより共感を生むということができてきている。

このインナーブランディングの効果はまったく想定外だったんですけども、一番効果を感じているところでもあります。

東京・大阪で開催される「cybozu.com カンファレンス」

あと最近では、「cybozu.com カンファレンス」というのを毎年、東京、大阪で行っているんですけども。これは製品のほうのイベントですね。

こういうところにもプロモーションをアシストするということで、基調講演に来ていただく方々と対談して、記事を載せたりすることで、これ自体がよりおもしろい記事として、サイボウズへ興味をもってもらうというような流し方をしています。

あとはサイボウズの採用ですね。結構「サイボウズ式を読んで感銘を受けました」っていう人が毎年増えていっている感じですね。

製品のほうも1,000社から10,000社に伸びていって、ありがたいことに売上も伸びていきましたというふうになってきてます。

SNS・メディア露出の成功事例

なので、ブランドジャパンという、今まであんまりブランドというところでは出なかったんですけども、ここに初めてサイボウズがでてきたりとか。

あとPR、露出でいうと、去年の年末に「働き方に2006年から向き合ってきた私たちは、そろそろ世の中に何か言ってもいいんじゃないか」ということもあって、一番自分たちが自信をもって言えるのはそこだろうということでつくったムービーが、いろんなメディアに取り上げていただいて。

「これは何だ」と。「何でこの会社はこんなことをやってるんだ?」ということを含めて、取り上げていただいたりとか。

もちろんこれはソーシャル上でかなりの評判を呼びまして、120万か再生していただいたり、台湾のほうでも100万回見ていただいたりっていうふうに広まりつつあります。

チームワークのほうにおいても、そういった移住フェスの取り組みが取り上げられたり、高校生に教える活動がテレビに取り上げられたり。

先日高校生のイベントも行ったんですけれども、それが新聞に取り上げられたりという形でPRの露出のほうにもうまくつながっていると。

まとめますけれども、やっぱりここですね。まずは今まで奇抜なところを狙ってやってきたんだけども、横ばいになったところで、「自分たちはそろそろこちらの層(一般層)に訴えかける何かが必要じゃないか?」ということでやってきたという。

こういうコミュニケーション手法が全然違うところを、自分たちがどこにいるのかというのを考えながら、マーケティング、製品、広報と考えていくことが重要じゃないかなと思っています。

長年の取り組みによる成果

サイボウズに足りなかったのはストーリーというところなので、私たちはここの部分をしっかりと補えるように、ブランディング部という体制を整えてやってきていますと。

まず最初に出た、グループウェアの検索数は当然いまだにないんですけども、サイボウズという企業に対しては興味を持っていただていてることが、一定数増えてきているという形になっています。

先ほどの成果のところでも出たんですけども、長年の取り組みがまとまってくると、本当にブランディングが全方位に効いてくるんですね。

先ほどのインナーブランディングっていうところもありますし、パートナーさんがサイボウズ式を読んでとか。ニュースを見て、より信頼感を持ってくれたりとか。

株主さんとか、あとはまったく今まで接点のなかったワーキングマザーさんとか学校とか、そういった社会とも関わりができてくるし、採用もできてきますし、そういった中から当然、将来のお客様となる人たちとも出会えてくるだろうし。

既存のお客様も「やっぱりサイボウズ使ってよかったな」というふうに、全方位にブランディングが効いてくるので、ブランディングの重要さを自分たちも初めて、やっと何となく実感しつつあるっていうのが現在のところです。

企業のPRで一番大事なこと

私自身が2006年から入って、人事も行ってPRもしてきた中で、ずっとやってきてよかったなというか、「一番大事なのは何だろうな?」と思うのは、やっぱり継続ですね。

あと、わからないことを社内外の先人に聞いて、そのままやるみたいな愚直さと、公明正大な出し方。公明正大にやるっていうことが、信頼につながってくるんじゃないかなと思ってます。

サイボウズはどちらかというと、奇抜なPRとか宣伝をやっていたときは、継続がまったくできない会社だったんですね。

先ほど点で露出しているというのと同じように、一発ドーンとやって「ああ良かった、成功した~」みたいなことを毎回毎回繰り返してたんですけれども。

先ほどのチームワークアワードのように、とにかく毎年やってみるというふうになってくると、ベストチームは今年ももちろん行うんですけども、第8回目とか9回目とかになってくると「知らなかったけど、そんなにやってるんだったら出ますよ」みたいな形になってきたりとかですね。

継続は力なりっていうのは本当なんだなということを本当に実感する毎日なので、ここの部分は非常に地道で苦しい道のりもあるんだけども、一番重要だなと。

正攻法なんだけども、一番そこが踏み外せないというか、真っ当な道なのかなというふうに思っています。

あとは社会とつながり続けること。一過性のものではなくて、もう「チームワーク」っていうのを私たちは一生言い続けますし、あと働き方っていうところもずっと向き合っていく会社ですよと。

そういう姿勢を出し続けていくっていう、今だけやってますよというふうな見られ方ではなくて、そこに対してずっとやっていきますという姿勢を見せるっていうのは、すごく重要かなと思っています。

ブランディングとPR活動の目的

ブランディングをする理由っていうのは、やはり多くの人にこういうふうに思ってもらいたいというものが根本にあるわけなので、当然メディアとかPRというところがまったく欠かせないわけで、知らない人に知ってもらうためには、そのメディアとPRとの今までのノウハウも活きてきますし。

あとメディアとのお付き合いとかも出てきますし、先ほどの高校生の働き方みたいに、こういうことやってるんですよと。製品では伝えられなかった文脈を、ブランディングだとより一般的な内容で伝えられるので、そこの部分はすごく強みかなと思っています。

例えば、以前に高校生向けに1日授業をここで行ったんですけども、こういうことをやりますよってなると、製品の「サイボウズ」っていう文言だと伝わらない。

ブランディングっていう観点で、そういったことも社会に貢献するというか、価値のあることをやってるんですよ、ということを言えるっていうのは、大きなネタの1つになるんですね。

「何でそういうことをやってるんですか?」みたいなことから興味を持っていただけたりするので、そういってより一般的なネタが提供できるっていうのはブランディングの大きな強みかなとも思ってます。

ちょうど50分ぐらいたったので、予めいただいていた質問に2つだけ答えると、一貫しているのは、まずもうお話した通りなんですけども、サイボウズスキーム、私たちブランディング部の「編集して発信する」ということを意識して、気をつけているからというところですかね。

「KPI何ですか?」というのをよく聞かれるんですけども、KPIはありません。まったくないです。何か数値とかを広告換算とかを狙いにいくと、それが目的になってしまうのでしないっていうのと、先ほどみたいにやっぱりブランディングは全方位に効くこともわかってきたので、立てようがないんですよね。

KPIの立て方は難しいからやらないみたいなところもあったりするので、その辺りはまったくないっていうのが答えになります。ダダダッとしゃべっちゃったので、もし質問とかがあれば。

社内の評価制度は?

質問者1:KPIがなくて、椋田さんの評価はどうやって評価されるんですか?

椋田:大槻さんに聞いてほしいです(笑)。うちの評価って、全社員一緒なんですよ。開発も企画も人事もバックオフィスも。何だろう、公明正大かとか。

先ほどのサイボウズの「チームワーク豊かな社会にする」ということに対して、自分の役割がどれだけ果たせたかみたいなところをやっているのと、あとうちの給与って社内に比較して決まらなくて、「あなたが今転職したらいくらになりますか?」っていうところで給与が決まるので。

なので、社内で比較することをやめて、「あなたが出たら社外でいくらか?」っていうところで全社員評価されています。

こないだ『クローズアップ現代』に出たときも、これは「うわわー」って言われましたね(笑)。すいません、あんまり答えになってないと思うんですけど。

質問者2:ブランディングは全方位に効くってお話だったんですけど、各指定のフォルダによってメッセージをわけているとか、気をつけているっていう部分もあったりしますか?

椋田:うーん。ないですね。その働き方ならこれを出そうとか、チームワークならこういうことをやってみようっていう。

サイボウズ式はメディアなのでサイボウズの、製品の話をしないっていうことだけを決めています。

定着期までの大きなハードル

質問者3:定着までで2年ほどってことだったんですけれども、その定着までの間で抵抗っていうとイメージ悪いんですけども……一番大きなハードルってどういうところだったんですか?

椋田:例えば、働き方とチームワークについては、まさに私は定着に関わっていたので言えるんですけど。働き方でいうと、例えばワーク重視だとフルタイムで働くわけですよね。

フルタイムで働く人と、時短とか週4とかで働く人とどういうふうに評価をすればいいんだとか。当時は市場評価じゃなかったので。

どういうふうなマネジメントすればいいかとか、仕事の分担をどうするかとか、そういった細かいことをみんなで共有し合うというかぶつけ合って、こうすればいいんじゃないか、ああすればいいんじゃないかっていうのを1泊2日の合宿でやり合いました。

本当に答えがないことをみんなで話し合うんですけれども、その過程をとにかく続けるっていうことなんですよね。当時人事をしていて「こういう人事制度やります、つくりましたよ」って、人が来なくなるまで説明会をやったんですよね。

人が来なくなるっていうのは、まあそこに興味関心がなくなるか、もうどうでもいいやと思うか、どっちかだと思うんですけども。でもそこまで説明会を徹底してやる。人が来ない、けど人事担当者が2人ぽつんといるみたいな(笑)。そこまで徹底してやったっていうのが1つあったかなと思います。

「チームワーク」という言葉への抵抗とはがゆさ

チームワークに関しては、ソフトウェア会社がそういった「チームワーク」というごく一般的な言葉を言うことへの抵抗とかはがゆさ、「何?チームワークって?(笑)」みたいな感じとかもあるので、そこも結構ありました。半年から1年ぐらいありましたね。そこも勉強会みたいな。

「サイボウズはチームワークっていうことを価値としてずっと言っていこうと思ってるんですけども、そこに対して何か意見のある人、お寿司用意するんで勉強会やりまーす」みたいな感じでやると、20〜30人集まってきて(笑)。

そういうので、喧々諤々と「チームワークっていう言葉はどうだ」「これそっちのほうがいいんじゃないかとか」そういうのを何回かやりまして。

2ヵ月に1回とかずっと(勉強会を)やっていて。もちろん青野さんも入ってもらって、何でチームワークっていうことを言いたいかとかいうことも語ってもらいながら、一緒に話し合いながらやっていったっていうのがそこですね。なのでそれを「こいつら本気なんだな」って思うまでやるっていうところですね。

やってる本人は大変なんですよ、人が来なくなるまでやるなんて。まあ今思い出しても涙するレベルぐらい辛いんですけども(笑)。

あとチームワークのほうも、文献研究とかもしていて、「本当にこれでいいのかな?」みたいな。やっている2年間はやっぱ辛いですよね。出口が見えないっていうか。本当に答えがないことをずっとやることの大変さっていうのはあったんですけども。

それを打破したのが、アワードをとにかくずっとやり続けていくこととか、人事制度のほうも様々な働き方をする人が徐々に増えていったりとか。

喧々諤々やってる一方で、制度を使ってくれる人が増えていって、だんだんノウハウがたまっていって「まあいいんじゃないかな」みたいな感じになっていきました。

この本気度をずっと一緒に見せ続けるっていうところが、大事かなって。ベタなんですけど、そこかなと思います。

質問者3:ありがとうございました。

会社の価値が「チームワーク」だと気づいたきっかけ

質問者4:そのチームワークっていうのが、「うちの会社が提供している価値だ!」っていうふうに降ってきたのには、どういう経緯があったんでしょうか?

椋田:それはお客様の声ですね。サイボウズを使っていただいているお客様が「サイボウズを使って仕事の効率が上がって、私たちのチームワークが良くなりました」っていうのを青野がたまたま見つけて。

下方修正出したとかって言いましたけど、その本当に落ち込んでいる時期にそういった言葉を見つけて、「モノからコトへ」ってよく言いますけど、「私たちが提供できる価値は、チームワークじゃないか」ってことを真剣に考え出したのがきっかけですね。

質問者4:「チームワークが価値かな」っていうのが定まってくるまでは結構期間があったんですか?

椋田:そうですね、3年ぐらいありました(笑)。一番最初に見せた、「チームワークあふれる」ってあの青い画面。これができたのが2010年。こんなにきれいにできたのが2010年ぐらいですね。

2008年に初めて第1回のベストチーム・オブ・ザ・イヤーをやって、そのときは製品プロモーションの一環でやったんですよね。サイボウズはチームワークを良くする会社だから、みなさん製品買ってくださいよーっていう(笑)。

もうイベントの中でそのときのベストチーム、星野社長(星野佳路氏)などチームワークを進めているリーダーを表彰するみたいな感じで、製品プロモーションとしてやってたんですけども。

それがきっかけですけど、やっぱり製品とチームワークってすごく結びつけるのが難しくて。そこを結びつけるのをやめようと。PRイベントにしようとしたのが2012年なんですけども。チームワークだって言い始めてからこれができるまでは、2年から3年かかっています。

質問者4:ありがとうございます。

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