サイボウズが行っているブランディング活動

椋田亜砂美氏(以下、椋田):まずは第1部「ブランディングとPR・メディアとの関係」ということで、最近行っているサイボウズのブランディング活動についてお話をさせていただきたい思います。

まずは自己紹介を。私は今サイボウズで、ビジネスマーケティング本部のコーポレートブランディング部で、チームワークブランディングをしてます。

私はサイボウズで3社目なんですけれども、新卒から人事を担当しておりましたので、基本は人事畑の人間です。

「人事で仕事をしてくれ」ということで入社したんですけれども、2010年に人事異動で広報になりました。なので、広報歴はまだ5年ぐらいです。企業広報、製品広報をしていたんですけれども、去年ぐらいから基本的にはブランディング中心に動いています、という流れです。

広報の体制として、サイボウズでは広報を、製品広報と企業広報の2つにわけております。私たちの主たる業務は、知っている方も多いと思うんですけども、グループウェアというソフトウェアを販売・開発している会社ですので、そちらの広報活動が一番重要なわけです。

その内訳ですが、製品広報はターゲットが日経コンピュータとかBCNとかITメディアとかIT系ですね。多分みなさんとほとんど同じで、IT系の媒体に載せるという、ある意味媒体が限られていて、かつ内容も完全に製品の話をするということです。

一方で企業広報は、その製品広報以外のことをするので、ターゲットも伝えたい相手も、あと載りたい媒体もガラッと変わってきます。

2、3年前から広報体制をわけました。企業広報は、社長とかオフィスとかロゴとかさまざまなことを、マスを含めて、いろいろな媒体に載せていくということを行っています。

私は2010年から広報に異動して、最初は(製品広報と企業広報を)両方していて、プレスリリースとかも随分(たくさん)書いたりしながら、企業広報もたまに行っていました。ですが企業広報のほうにどんどん力を入れていくようになり、こちらのほうにシフトをして、現在は企業広報兼ブランディングみたいな形となっています。

コーポレートブランディング部の役割

先ほどご紹介した、コーポレートブランディング部の位置づけなんですけども。ちょっとカタカナが多い部署なんですが、ビジネスマーケティング本部というところがありまして、ここが主に製品の宣伝・販促をしているところですね。

製品広報はこちらの製品プロモーションのほうと一緒に活動しておます。コーポレートブランディング部っていうのは完全に企業広報、企業コミュニケーションに特化した部署です。

コーポレートブランディング部、ブランディングの役割は、基本的にサイボウズを知らない人にサイボウズを知ってもらうこと、認知、興味を持ってもらうまでが私たちの役割ですね。

製品広報のほうはサイボウズを知っている人、私たちが売りたい相手に行うということで、やはり対象がガラッと変わります。なので、こういうわけ方を明確にしているほうが多分、わかりやすいかなと思っています。

コーポレートブランディング部の内訳なんですけれども、今6名程います。先ほど受付にいたのが私の上司なんですけれども(笑)。

大槻(大槻幸夫氏)が「サイボウズ式」の初代編集長で、「サイボウズLive」のPMを行っています。先ほど流していたムービーのPMを行っている大槻を筆頭に、現在の2代目サイボウズ式編集長、私、「サイボウズ式」のコンテンツをつくっている社員、企業広報、あとインターンも含めて約10名で行っているという形です。

ブランディング活動の3つの主軸

主に今、みなさんの目に見えているサイボウズのブランディングというところは、その「サイボウズ式」というオウンドメディアの部分と、働き方に特化した部分、あとチームワークというところの部分が表に出ている部分じゃないかなと思います。実際、私たちもこの3つにわかれてさまざまな活動を行っています。

コーポレートブランディング部の現在の思いとしては、「社会課題に向き合う企業でありたい」というところを軸においてさまざまな活動をしています。

ということで、やっとアジェンダになります。今日これからこの後ササッと入っていくんですけども、何でそういうことを軸においてやっているのかということと、じゃあ具体的に何をしているのか? そして成果はどうなのか? 今のところの学びは何なの? というところをお話させていただきたいと思っています。

ブランディングに取り組むようになった背景

何でブランディングに本格的に取り組むようになったんですか? と。何で製品のことを言わない、コミュニケーションに取り組んでいるんですか? ということなんですけども。

そもそもそういうことを始めたのは、自分たちの企業の立ち位置を振り返るところから始まっています。

ご存知のように、サイボウズは500人ぐらいのまだ中規模の会社で、グループウェアに特化した完全なるBtoB企業です。

グループウェアではシェア3割を取っていて日本一、こうした実績は創業してから積み重ねていっています。

ただ、BtoBでよくあると思うんですが、2006年ぐらいから売上が伸び悩んでおりまして、完全な横ばいになっていたんですね。特にグループウェアというのは、私たちが参入した97年から市場規模が大体300億円と言われていて、そこから市場自体もあまり大きく伸びていないんですね。

サイボウズはその中小(企業)というところを武器に売上を伸ばしていったんですけれども、頭打ちになっていたというところがこの背景にまずあります。

グループウェアという言葉も当然ながら専門用語なので、検索する人もそんなに多くはなく、年々下がっていっていると。まあ興味もなし、みたいなところですね。BtoBの扱う商品は大体そういうものかなと思っています。

今までの「勝ちパターン」が通用しない

こういった踊り場のときにどういった危機感を持っていたかということなんですけども。実際、私たちが主たる領域としている製品プロモーションの課題としては、これまでの右肩上がりで売上が上ってきたときの「勝ちパターン」がもう通用しなくなっていると。

あと、やっぱり新規顧客ということを常に言うんですけども。どういうふうにしていけばいいのかもわからなければ、今まで情報システム部というところに特化して宣伝と広報を行ってきたので、一般的なブランド認知(が低く)、特に新卒はBtoBがゆえ、サイボウズを知らないということもありましたので、この辺りが大きな課題となっていました。これが2006、2007、2008年ぐらいですね。じゃあこれまでの勝ちパターンって何だったのか? ということなんですけども。

これは新聞広告なんですけれど、こういった奇抜な広告を出して、とにかく「目立つ」ということをやっていたんですね。

これはバナー広告。これ、黒塗りをしたのはわざとで、このまま新聞に広告を「Office4ですよー」みたいな形であげていったりだとか。とにかく奇抜なパターンで、「これは何だ?」とクリックをさせて、興味を持ってもらうっていうことのトライアル誘導をずっとしてきたのが、サイボウズのプロモーションでした。

2012年もこういった「cybozu.com」という弊社のクラウド製品が1000社を達成したときに、1000社を達成したということで、じゃあ1000社、センシャ、戦車……ということで、戦車を走らせるという、まずは目立つみたいなことをしました。これは六本木ヒルズに戦車を走らせたというプロモーションです。

あの『ぼくらの七日間戦争』という映画で使われた、角川さんが過去に持っていた戦車(注:61式戦車の実寸大レプリカ)を貸してくださいと言って使わせていただいたという(笑)。こういったことをして、とりあえずとにかく目立つことを、製品の宣伝でも広報でも行っていました。これが勝ちパターンだったんです。

製品のほうは、クラウドということで月500円から使えますというふうに、大きなビジネス転換を図ってきていました。

先ほど、3割の導入(実績)があって日本一だってお話したんですけれども、大企業に対しての認知は、やっぱりエンタープライズに対してはそんなに大きくなくて、サイボウズよりもIBMとかマイクロソフトをどうしても大企業さんのほうでは導入しがちになると。

なのでサイボウズといえば、「あれは中小企業のものでしょ?」ということを言われるのがほとんどでした。

そんな中で、現在もやっていますけれども、「サイボウズLive」という個人向けの無料製品を出してみたり。これも新規につながればいいなということでやったものなんですけども。こういったことも開始したりしていました。