性差別解消へ 男性と共に進める「HeForShe」とは

An invitation to men who want a better world for women #1/2

HeForSheという政策をご存じでしょうか? これは男性同士または女性との結束を深めることにより、ジェンダーの平等に対する共有ビジョンを創り出す政策です。幼い頃に「青いユニフォーム」を着た女性に恩恵を受け、その影響で国連に勤めることにしたエリザベス・ニャマヤロ氏はこのHeForSheに携わっています。現在、HeForSheは大手企業にも影響し、また各国の大統領も参加するなど、世界中に大きな広がりを見せています。エリザベス・ニャマヤロ氏はジェンダーによって人間が定義されるのではなく、ジェンダーを超えた共有された人間性によって定義されるべきだと語ります。HeForSheが創り出す、女性と男性の垣根を超えた世界とは一体どのようなものなのでしょうか?(TEDWomen 2015より)

他人に貢献できるようになりたい

エリザベス・ニャマヤロ氏:青いユニフォームを着たある女性に初めて出会ったときのことは、一生忘れられません。私は当時8歳で、村に祖母と一緒に住んでいました。祖母は他の子どもと一緒に私を育ててくれました。

飢饉が私の故郷であるジンバブエを襲い、我々は満足に食べることができなくなりました。飢えていました。そんなときに、その青いユニフォームの女性が、子どもたちに食糧を与えに国連とともに村にやって来たのです。

彼女からポリッジ(オートミールなどを牛乳や水で煮ておかゆにしたもの)をもらったとき、なぜそこに来たのかを尋ねました。すると彼女はためらうこともなく、「アフリカ人として、私たちはアフリカのみんなの生活を向上させなければいけないの」と言いました。私には彼女の言っていることの意味がまったくわかりませんでしたが。

(会場笑)

でも彼女の言葉は、私のなかにずっと残っていました。2年後、2回目の飢饉がやって来ました。祖母は私を、街に住む会ったこともない叔母に預けざるを得ませんでした。

10歳になって初めて、私は学校に通いました。都会の学校では、不平等を経験しました。村ではみんなが平等でした。しかし他の子どもたちの目と心には、私は平等には映っていなかったのです。

私は英語がしゃべれませんでした。それに読み書きも他の子と比べて遅れていました。しかしこの不平等の感覚は、より複雑になっていったのです。村で祖母と過ごす休暇のたびに、この特殊な環境が私の家族に不平等をもたらしていたのだと気づくようになりました。私は突然村の他の人たちよりも、多くのものを持つようになったのです。そして彼らの目には、もはや私は平等には映っていませんでした。

私は罪悪感を覚えていました。しかし、青いユニフォームの女性のことを思い出し、改めて考えてみました。「私は彼女のようになりたいんだ。彼女のように、他人に貢献できる人に」と。この幼少期の経験から、国連に入り、現在のUN Womenでの仕事につながっています。世界の半分以上の人に影響する最大の不平等のひとつ、女性に対する不平等の解決に取り組む仕事です。

HeForSheが創り出す、ジェンダーの平等に対する共有ビジョン

今日は我々みんながともに向上していくための、シンプルなアイデアを共有したいと思います。8ヶ月前、UN Women代表であるプムジレ・ムランボ-ヌクカの先見の明に満ちたリーダーシップのもと、HeForSheという革新的な新政策がローンチされました。世界中から男性を招待し、男性同士または女性との結束を深めることにより、ジェンダーの平等に対する共有ビジョンを創り出します。これは女性と男性の平等を信じる人々や、それに気づいていない人々を招待するものです。

提案はシンプルなアイデアにもとづいています。我々が共有するものは、我々を隔てるものよりももっと強力だ、という考えです。我々はみな同じ物事を感じ、同じ物事を欲します。それらが言葉に表されないときでさえです。HeForSheは、我々全員に貢献します。女性も男性も同じです。ジェンダー平等のターニングポイントに我々を導きます。

真ん中で水平線に隔てられている、空白のページを想像してください。女性はこちら側に、男性はこちら側に表されているとします。

HeForSheは、現在の世界の男性人口である32億人を動かそうとしています。1人ずつ動かして境界線を越え、最終的には男性に女性と同じ側に立ってもらい、21世紀の現実の世界でジェンダー平等を実現するという歴史をともに作っていこうとしています。

しかし、この運動への男性の参加に対しては少々反論もあります。なぜ男を入れるのか? 男が問題の原因だろう、と。

(会場笑)

実際、男性はそんなこと気にしていないと言われていますが。HeForSheを立ち上げたとき、驚くべきことが起こりました。たったの3日で10万人以上の男性がサインアップして、平等の変革に取り組むと宣言してくれたのです。その最初の週のうちに、世界のすべての国から少なくとも1人が参加し、HeForSheはソーシャルメディア上で12億以上の会話をつくり出しました。大量のメールをいただき、その数は1日千通にものぼりました。

HeForSheによって実際に行動に移す人たち

ジンバブエ出身の男性は、HeForSheのことを聞いた後、「夫の学校」を作ったそうです。

(会場笑)

彼は文字通り村を歩きまわり、パートナーに暴力的な男性をピックアップして、良き夫であり父になるように約束させました。

インドのプネーでは、ある若者が革新的なバイクラリーの開催を提唱しました。700人のサイクリストを動員して、彼らのコミュニティでHeForSheのメッセージをシェアしました。

こんな話はまだあります。ある男性から、彼のコミュニティで起こったことに関するとても個人的な内容の手紙をいただきました。「私の隣の家の男は、奥さんにずっと暴力を振るっています。2週間前ラジオを聞いていると、あなたの声が聞こえてきました。HeForSheについての話で、男性の役割の必要性を語っていました。それから数時間すると、隣の家の女性が泣く声が聞こえてきました。そこで初めて、私はただ座ったままでいることができなくなりました。何かしなければと思ったのです。家を出て、その夫に立ち向かいました。それから2週間が経ちましたが、それ以来彼女の泣く声は聞こえてきません。私に声を与えてくれてありがとうございます」

(会場笑)

これらのような個々のインパクトあるストーリーは、我々の活動が男性に浸透してきていることを示しています。しかし世界を女性と男性が平等な場所にするには、男性を原因にするだけでは不十分です。政治的、経済的、社会的な男女の現実を平等化できる、具体的で、システマティックで構造的な変化を求めているのです。

我々は男性に具体的なアクションを求めています。また、個人レベルで介入し、行動を変えることを求めています。政府や企業、大学にもポリシーを変更するよう働きかけています。男性のリーダーにロールモデルになってもらい、その組織のメンバーたちを変えてほしいのです。

世界中の人々に広がり、隔たりを超えて女性と男性の夢を広げる

すでに一定数の傑出した男性やリーダーたちがステップアップし、HeForSheに貢献してくださっています。先進的なフランスのサービス会社であるAccordの成功事例を紹介します。Accordは、2020年までに全18万人の雇用者に対する賃金格差をなくすと明言しました。

(拍手)

スウェーデン政府は、現在のフェミニスト政権のもと、すべての国民に対して任期内に雇用と賃金の格差を埋めると宣言しました。日本では、名古屋大学がHeFoeSheの活動の一部として、先進的なジェンダーリサーチセンターを立ち上げています。

8ヶ月前、我々の活動はスタートしました。あらゆる職業の男性たちが、世界の至るところからサインアップするのを見てきました。国連事務総長のバン・ギムンから、NATOの事務総長やEU理事会、ブータン首相やシエラレオネの大統領までです。

ヨーロッパだけでも、EU委員やスウェーデン議会のメンバー、アイスランド政府のすべての男性がHeForSheにサインアップしています。実際、アイスランドでは20人に1人の男性が、この運動に加わっています。我々の情熱的な親善大使であるエマ・ワトソンの声によって、50億以上のメディア・インプレッションを獲得しました。また世界中の何百何千という学生たちを動員し、100以上のHeForSheの学生団体をつくることができました。

我々の望む世界へのHeForSheのビジョンはまだ始まったばかりです。アインシュタインはこう言いました。「人類は全体の一部である。しかし人は自分自身や自分の考え、感情を他のものから分離した何かのように経験する。この思い違いは我々にとって監獄のようなものだ。我々の課題は共感の輪を広げることにより、この監獄から我々自身を開放することだ」

アインシュタインが言ったように、もし女性と男性が大いなる全体の一部だとしたら、HeForSheが我々を解放する助けになることを願っています。我々を定義するのはジェンダーではなく、究極的には共有された人間性なのだということを気づかせてくれることです。HeForSheは女性と男性の夢を広げます。その夢は我々自身のためのものであり、家族や子ども、友人やコミュニティに向けたものでもあります。

これで私からの話は終わりです。HeForSheは我々みんなの生活を向上させていきます。

ありがとうございました。

(拍手)

(編集協力:伊藤勇斗)

<続きは近日公開>

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