クリエイターのアイデアの引き出し

司会:ありがとうございます。ちょっとお題を変えてみようかなと思います。佐藤さんも含めて、皆さん普段お仕事とか家庭でこういう問題があったときにこうしたらいいかなとかいろいろ考えると思うんですけど、なかなかいつも通りのやり方が抜けなかったりするんじゃないかなと思います。

そういったときに、普段みんなが「かわいい!」って思うものとか、「うわっ!」って感動するものとか、「ぶっ飛んでんな」みたいなことをつくっている3人から、どういうところにアイデアの引き出しを求めていっているか。アイデアのネタ探しみたいなものをお一人ずつ簡単に言ってもらって、そこからディスカッションできたらなと思います。最初、千原さんから。

千原徹也氏(以下、千原):急にこっちに(笑)。ネタ探しですか?

司会:ネタ探しにどういうところに探しに行くんですか?

千原:やっぱりどこからヒントを得るかが一番大事じゃないですか。僕は事務所に本とか雑誌とか買うんですけど、いつも買ったものとか並べているものはリハビリ作業にしてるんですよ。

司会:リハビリ。

千原:朝起きて脳みそが回っていなかったりとか、あと何かおもしろいアイデア考えなきゃいけないなと思うのに全然何も思いつかないときとかに、ペラペラめくるとだんだんテンションが上がってきてクリエイティブな脳みそになっていくんですよ。だからそれ用に置いているという感じで。

そうなってきた段階で、子どもの頃に観た映画とか中学生のときに買ったレコードとか、そういうものを結びつけていって、そこからリスペクトの意味を込めて参考にするというか。そういうのがネタになることは多いですけど。

司会:ありがとうございます。たぶんファッションというところと、昔の映画みたいなちょっと違うなというジャンルがあると思うんですけど、あえてそういう違うところから常に紐付け作業を無意識に、意識的にも、やられているのかなと。

千原:そうですね。やっぱり遠ければ遠いほどおもしろいアイデアが出てくるんじゃないかなと思うんですけど。

自分の好き嫌いがひっくりかえる瞬間

司会:ありがとうございます。真部さん、どうですか? そういう全然違うジャンルから引っ張ってきたりとか、ご自身の普段のネタ探し含めてどんな感じで考えられてますか?

真部脩一氏(以下、真部):僕は本当に生活のなかで順不同でインプットしていって出てきたものが身になっているもの、ぐらいに考えています。

司会:意識的に情報を取りにいったりとかってあるんですか? 曲づくりに対して。

真部:曲づくりに対してですか。わがままな話なんですけど、結局自分の興味の対象じゃないと血肉にならないので。自分の純粋な好き嫌いを尊重しないと意味がないじゃないですか。

ただ、そんななかで自分の好き嫌いがひっくりかえる瞬間というか自分の嫌いなものが好きになったり、好きなものが突然嫌いになったり、「ん?」って思ったり。そういう瞬間に価値があると思っていて。

そういったものを自分なりに掘り下げていくっていうのが自分にとっての外部からの刺激を受けるということかなと思っています。

司会:ありがとうございます。たぶんこれ本当ビジネスでも使えるなと思っていて。自分の好きなテーマだけだとそのアプローチしかできないけど、自分の嫌いなものってたぶん違うアプローチで行われているから最初嫌いだと思うんですけど。そういうのでビジネスに関してもアプローチするとおもしろいかもしれません。

ネタ探しは「人と会うこと」

司会:佐藤さんは実際に自らつくっているわけじゃないですけども、その人たちと一緒に何かをつくるとか、引きあわせたりしながらビジネスを考えていると思うんですけど、普段「つくる」に対するヒント探しってどういうところでしているんですか?

佐藤詳悟氏(以下、佐藤):僕はわりと人にすごい会うので。

司会:それ自体が?

佐藤:そうですね。うちでいうと今90〜100人ぐらいの方のお手伝い、コミュニケーションをとらせていただいていて、これからもっと深くコミュニケーションをとらせていただくと思うんですけど。業界というか職業が一緒の方がいないというか、全然バラバラなので、そういう人たちのお話聞いているだけでも。

脳科学者と町工場のおじさんなのに「最近流行ってるもの何ですか?」って聞くと(2人とも)「最近『かわいい』ってきてるんでしょ?」って言ってたり。全然違うのにそういうふうに言ってるってことは「かわいい」ってくるじゃん、とか。いろんな人と会う機会があるので、それがインプットとしてはかなり自分としてはくるかなと思いますね。

僕はつくる方々をお手伝いする側なんですけど、僕たぶんすごい無責任なんですよ。クリエイターの人たちと「この人たちとやる」って決めたらもう任せるっていう。

それって芸人さんとやってたときも、例えばロンブーさんで『笑っていいとも!』のレギュラー取りました、もうそこから任せるしかないっていうか。それがうまくいこうがうまくいかなかろうが、ご本人たち次第になってしまうので。結構そういうところがありますね。 ちょっと話がずれましたけど、「人と会う」ということですね。

司会:いろんなジャンルの人と会うことがネタ探しですと。

佐藤:そうそう。

司会:人によっていろいろなアイデアの取り方はあると思うんですけど、独自のやり方やってとか、佐藤さんみたいに人に会うとか。そういうところからチャンスが見つけられるかもしれないですね。

アイデアの種を整理・共有する方法

司会:今回「アイデアノート・エディット」っていうノートのこともありまして、普段皆さんアイデアの種を探して「こんな感じだ」って考えて、それを整理する作業とかイメージ図にしたりする人が広告業界の人は多いんじゃないかなと思っていて。普段どんな感じでアイデアを整理しているか、見える化しているかを今度は真部さんから、お願いします。

真部:プロデュースという作業はすごく説明がしやすくて、選択肢をつくってそれをつぶしていく作業なんですよ。

「ドラマって何だろう?」と思うと思うんですけど、僕のなかではまず何らかの葛藤があって、それがどういう形であれ、例えば陰陽いずれかに昇華されるときに感動なりドラマが生まれると思っているんですね

そこでプロデューサーという仕事は技術を使ってわりと意図的に葛藤をつくり出してあげて、それを消化させるプロセスを持っている葛藤作成装置みたいな人っていうふうに自分は考えてますね。

司会:ありがとうございます。音楽家の方の頭の中は聞くことがないと思うので、かなり貴重な時間をいただきました。千原さんのほうでも、たぶん同じだなって思うところとこれ全然違うなって思うところと、アプローチはバラバラだと思うんですけど。

千原さんはどんな感じで自分の考えたアイデアを紙に落としているか、みんなにわかりやすく説明するときに使っている手法とかってありますか? 

千原:LINEあるでしょLINE。LINE使ってます。

司会:LINE使うんですか?

千原:はい。

司会:スタンプとか。

千原:スタンプも使います。僕のアイデア共有LINEがあるんですよ。スタッフとの。うちのスタッフ4人と僕の5人のLINEなんですけど。思いついたこととかたまたま書いた絵とかを写メに撮って、そこに流すんですね。

僕はメモで自分に持っておいたりとか、iPhoneのメモとかに入れてもそれ自体を忘れるんですよね。書いてたことを忘れちゃうので。誰かに言ってもらいたいっていうのがあって。

司会:そのアイデアに対しての感想を。

千原:そうです。うちのスタッフみんなにも、アイデアとかを千原がどういうときにどうやって考えてるのかっていうことも知ってもらえるのもあるし。あと、自分でおもしろいなって思った絵とかをノートに描いて写メ撮ってそこに流しておくと、「いいですね」っていう人もいるし、何の反応もないときもあるんですよね。何の反応もないと、「ダメなんだな」とか。

おもしろかったらみんな、事務所に僕が戻ったときとかに「あれ、千原さんすごいですね。あの絵」とかって言ってくれたりとかして。アイデアの中身を共有しているうちに、実際に何かの仕事が来たときに「あの絵とかどうですか?」という話を振ってもらえるのもあるので。

司会:アイデアの引き出しを他人にまかせるというか。

千原:そうですそうです。

司会:でも送るまでは結構アナログなんですか? パソコン使わずに。最初のラフ案とかは。

千原:そうですね。アナログですね。例えば、道歩いていてビルと空があって、ビルと空の構図がポスターになるなと思ったらそれを撮っておいて流したりとか。あとは無意識に描いた絵で、あとで見たら結構おもしろかったりしたやつを撮ってみんなのところに流したり。

司会:おもしろいですね。瞬時に描いてすぐ相手の引き出しに入れておいて、いいなと思ったら出してもらうと。

千原:そうです。5人いると誰か覚えている(笑)。それに遡れますしね。だからLINEは今欠かせない感じになってますね。

紙とペンによるアイデアの発想

司会:私個人的な話なんですが、MacBookAirを使っているんですけど中身Windowsなんですね。キーノートすら使わないっていう人間で。「クリエイティブに見えるかな」って思ってMacBook Air持ってる人間の1人なんですけど。

僕も実は昔広告にいて、ずっと紙にバーって書いて、真部さんがおっしゃってたアイデアを見える化してから、ちょっと整えてパワポにするみたいな。

自分の頭のなかのイメージを一番身近な手という相棒がペンで描いてくれるっていうので、紙ってすごくいいなと思っていて。「アナログ人間置いていかれるな」と思いながらも、2、3ヵ月前にアメリカのニュースをのぞくといいニュースがあって。

シリコンバレー、あるじゃないですか。最先端の。GoogleとかAppleに勤めている親御さんが一番通わせたい小学校って、皆さん何だと思いますか? 

最新のデバイスを使って、テクノロジーとかいろんなことを学べる学校かなと思うんですけど。実は紙とペンしか使わせない小学校が一番人気があるんですって。GoogleやAppleの人は技術がすごいって知ってるじゃないですか。でもあえて紙とペンっていう発想にフォーカスしている学校に今入れているらしくて。MacBook Airそんなに使えてなくてよかったなっていう、ちょっと個人的な話なんですけど。