吉本興業を辞めてクリエイターエージェントを創業

司会:まず3人の方に自己紹介をお願いしたいと思います。クリエイターエージェント代表佐藤氏から簡単に自己紹介をお願いします。

佐藤詳悟氏(以下、佐藤):クリエイターエージェントの佐藤と申します。今年の1月までずっと吉本興業で働いていました。

10年間ぐらい吉本にいて、最初の6年間ぐらいはマネジメントをやっていました。芸人さんでいうと、ナインティナインさんとか。あと長かったのはロンドンブーツ1号2号、ロバート、ハリセンボン、COWCOWとか。

ナイナイさんのマネジメントを1年やって、ロンブーさんのマネジメントを5年間ぐらいずっとやっていました。最後の3年間ぐらいは、吉本のなかでもわりと新規事業のような部署にいました。

例えば、吉本のなかにパパの芸人さんたちがいっぱいいて、パパ芸人だけのエージェントをつくりました。車メーカーさんがファミリー向けにプロモーションをしたいときにそのエージェントを通していただいて、僕らのチームが吉本のパパ芸人たちをキャスティングして、全国の車の販売店さんにトークイベントをやりにいくとか。

あとは、ファミリー向けのカメラの商品をプロモーションするような番組をつくらせていただくとか、最後の3年間はそういった複合的なものをやっていました。

そういうときにベンチャーの経営者の方とか職人さんとか、クリエイティブな方々にお会いする機会がすごく多くなってきまして。吉本のときに、そういった方々から相談を受けていたのが、「書籍の話が来たんですけど、印税ってこれで合ってますかね?」とか「テレビの番組に出たいんですけど、何とかしてくれませんかね?」とか。

そういう個人の方で、「自分がもう少しこういうふうに大きくなりたい」とか「自分がやっているビジネスをもう少し大きくしたい」という悩みがあって。

この時代って、テレビに出てスターになること以外に、例えばWebとか広告代理店とかそういったところに活躍する場が増えてきている時代なので。

そういったときに、事務所に所属すると専属で全部やってくれる代わりに、仕事を全部通さなきゃいけないという空気があって。

個人の方がもう少し大きいことをやりたいときに、簡単に軽く相談できる会社やプロデューサーの人たちが今の日本国内にはいないなと。自分が吉本にいたときにすごく思って。

それで今年の2月に吉本を辞めて、専属マネジメント会社ではなくて非専属のエージェントとして、真部さんも千原さんもそうですけど、『情熱大陸』とか『プロフェッショナル 仕事の流儀』に出てきそうな個人の方、研究者の方や経営者の方、会社員の方も契約させていただいています。

そういった個人の方々の営業やプロモーションのお手伝いをしている会社をつくらせていただきまして、5ヵ月ぐらい経ちます。

司会:ありがとうございます。では続いて真部さん、自己紹介をお願いします。

バンドの作曲から企業CMのプロデュースまで

真部脩一氏(以下、真部):ミュージシャンの真部脩一です。

司会:よろしくお願いします。

(相対性理論の『地獄先生』が流れる)

司会:いま流れているのが、真部さんがつくられている曲でして。ちょっと聴いていただければと思います。これはプロデュースを全部やられているんですか?

真部:いや、これはバンドなんですよ。

司会:これって真部さんがいつつくられた曲ですか?

真部:これはたぶん2008年ぐらいだと思います。

司会:そのバンドの活動を終えてからは、企業のCMの音楽などをつくられていると。

真部:はい。企業CMや他のアーティストさんのプロデュースや楽曲提供を主にさせていただいております。

司会:ありがとうございます。では千原さん、お願いします。

デザインと名の付くものはなんでもやる

千原徹也氏(以下、千原):れもんらいふというデザイン会社をやっておりまして、広告のデザイン、CDジャケットのデザイン、たまにミュージックビデオを撮ったりとか、あとは本の装丁とか。デザインと名の付くものはなんでもやるみたいな感じの会社をやっています。

これ、出ているやつの説明をしますと、最近原宿のキャットストリートにオープンしたアディダスのお店の広告ビジュアルなんですけど。アディダスのショップ自体は日本にできるフラッグショップになるということで、一番大きなお店なんです。そのお店自体をどうするのか、どんなお店にするのか、というところから一緒にやっていきました。

川上未映子さんという小説家の方がいらっしゃいまして、彼女の本の装丁とかもやっています。彼女に日本の若者に対する言葉とかをいただいて、それをグラフィック化してお店の看板にしたのがこの仕事です。

司会:ありがとうございます。今回、日頃いろんなカテゴリで活躍しているクリエイターの人たちと一緒に、佐藤氏を中心に企んでいる会社で……ここで挨拶が始まりましたけど(笑)。

千原さんはアドリレーションというカテゴリのなかで、先ほどのアディダスとかメガネのメーカーのプロモーションビデオとか、いろいろなところに携わられている方です。

真部さんは先ほどお見せしたように、もともと「相対性理論」のメンバーだったので、ああいう楽曲とか、今は企業のCMとか。普段音を聞かないところってあまりないと思うんですけど、そういったところでクリエイティブなるものを使いながら、皆さんとの距離を縮めていく仕事をされている方です。

佐藤氏が考える「クリエイター」の定義とは

司会:そんないろんなクリエイターの方たちを会社として手伝っている佐藤さん。会社が動き出して5ヵ月間の話もそうですし、もともと吉本でいろんなぶっ飛んだことをやった(ロンドンブーツの)淳さんとかを見ているなかで、何かを生み出している人、クリエイターの魅力ってどこにあるんですかね?

佐藤:クリエイターさんのすごいところって、具体というか……。例えば道路をつくるときに、そこが水でグチャグチャになっていたらそれをきれいにすることはできるんですけど、プロデューサーって具体的に道路を敷くっていうところのイメージがなかなか見えない部分があるんです。

それをクリエイターの方々は、千原さんだったらデザインというところ、真部さんだったら音楽というところで、具体的にユーザーの方々に届けるものをつくれるというのがあります。

僕が今クリエイターと呼ばせていただいている方々は、そういうクリエイティブなものをできる方々を呼ばせていただいているので。まだいないんですけど、農家の方やお医者さんもいわゆるクリエイターだなと思っていて。

それは僕自身がすごいざっくりな人で、具体がないっていうコンプレックスがあるんですけど。なので、そういった具体的なモノをつくられる方々をクリエイターだと思っています。

司会:ありがとうございます。世の中的にもちょっとオシャレなものとか、目に付くものがクリエイティブなんじゃないかっていうイメージはあると思うんですけど、決してそんなことはなくて。農家の方でも、新しい作業方法を見つけ出したとか、近所のおばちゃんの上手い活用の仕方を考え出したら、それはもうクリエイティブだと思うんですね。

たぶんいろんなところにクリエイティブって落ちていて、それをクリエイティブって呼んでいないだけで、創造することって生まれてくるんじゃないかなと思います。

クリエイティブって何ですか?

司会:うちと全然違うカテゴリで活躍している方なので、3名に再度格言的なところから聞いてみたいなと思います。ちょっと大喜利になっちゃうかもしれないんですけど、クリエイティブって何ですか?

千原:広いですね。

司会:絶対広いなって言われると思ったので(笑)。ちょっと佐藤さんのほうからクリエイティブって……。

佐藤:僕ばっかりしゃべってますよ(笑)。僕はクリエイターじゃないので。吉本にいた時点では自分が「クリエイターになりたい」と思ってたんですよ。

ただ、例えば番組をつくっているクリエイターの方がいて、その方って編集所に4日間とかこもれるんですよ。自分が好きなものを具体的につくるために。僕って、編集所とかパソコンもそうですけど、1時間とかも無理なんですよ。何かを完成させるためにやるというのは。

そのタイミングで僕はクリエイターは無理だなっていうコンプレックスで、だったらそのクリエイターの人たちを助けるためにプロデューサーになろうってこの10年ぐらい頑張ってきたんですけど。たぶん僕が言うクリエイティブと皆さんが言うクリエイティブって全然違うと思います。