ヨガで変わった囚人の心 ある刑務所の講師が語る

Yoga practice with prisoners: Brian Bergman at TEDxWesterfordHighSchool #1/2

自分のできること、好きなこと、やりたいことで世の中の役に立つことをしようじゃないか、とヨガインストラクターのブライアン・バーグマン氏は、刑務所でヨガを教えるプロジェクトを開始した。非営利ボランティア活動、人のために動くこととは人間とは何かという哲学をすることであり、自分を成長させることであると語る(TEDxWesterfordHighSchoolより)。

ブライアン・バーグマン氏:今日は私が関わってきたプロジェクトについてお話する機会をいただきました。私の属するSevaUniteという組織は、人を何か他者の役に立つことをするように応援しています。どんなことでも自分の好きなことで人助けをしようじゃないか、という試みです。

なぜこのようなことをしているかというと、人のために何かをすることで自分が人の役に立っていると感じられるようになるだけではなく、自分を変えるためなのです。人を助けると自分もうれしくなる、他者と繋がることができるという体験をしたことがある人もいらっしゃるはずです。

今日は私が何をしているかを少しお話しますが、このプロジェクトが私はとても気に入っています。毎週水曜日の朝が1週間の中でもっとも楽しく意義ある時間になりました。

何か嫌なことがあってもそこに行けばもうすっかり気分は良くなってしまう、そんな時間です。私ともうひとりのインストラクターは毎週水曜日の朝にポールスモア刑務所に行き、厳重なセキュリティを通過します。その時私はこのようにしてブザーを鳴らします。

そうすると守衛の人々も我々がヨガ・インストラクターだとすぐにわかり、「ヨガの人たち! どうぞどうぞ!」と入れてくれるんです。無害なヨガ・インストラクターだと思っていますから、検査もゆるくて何でも中に持ち込むことができるんですよ(笑)。

(会場笑)

別にこの方法を進めている訳でもありませんし、変なものを刑務所内に持ち込んだこともありません。毎週水曜にその刑務所で3クラス教えています。アドミッション・センター、というところで1つ、男性囚がいるセクションで1つ、釈放が近い人々が収容されているセクションで1つしていますが、今日はアドミッション・センターでのクラスの様子をお話したいと思います。

ヨガにハマり、囚人たちが平穏なこころを取り戻す

アドミッション・センターとは、何かが起こり警察に捕まり刑務所に収容されながら釈放されるか、裁判にかけられるのか、身の振り方が決められるのを待っている人々が集められているところです。まだ刑が決まっていない人々です。現在そこには7〜8,000人の人が収容されています。その場所はたくさんの人が詰め込まれているような状態です。

看守の数が足りないという行政側の問題で、そこに収容されている人々は1日のうち22時間から23時間は鉄格子の中から出ることができません。

たくさんの人々でごったがえす牢屋の中にほぼ1日中詰め込まれ、他の荒くれ者たちとごったがえしになる状況では、更生するも何もありません。大部屋でごったがえす部屋に詰め込まれた彼らの体は不自然な形で硬直し、身体がつらいと頭の中でもネガティブなことばかり考えてしまいますよね。

これが釈放される60パーセントの人が24時間以内に再度警察に捕まるような何かをしてしまう理由です。80パーセントは2か月以内に刑務所に逆戻りします。

ヨガは囚人の更生に効果があること、ヨガによって再度刑務所に戻ってしまう可能性を低下させることが研究で明らかになっています。人々のこころを落ち着かせるのでしょうね。

私はヨガを14年も続けていますからよくわかります。大体ここでのヨガクラスは一度に10人から35人程度の人が参加します。まったくヨガをやったことのない人からは、ものすごく怖い感じでアプローチされます。刑務所で弱虫だと思われたら、いじめの対象になってしまいますから、皆刑務所ではタフであろうとするのは当たり前ですね。絶対に刑務所に行くようなことはしないでくださいね、本当に怖いところですから。

(会場笑)

さておき、我々は彼らにヨガポーズを教え腰や背中のつらさをストレッチで緩和するシンプルなストレッチ体操を教えています。すると身体が軽くなり始め、心臓やその他内臓も正しく機能を始めます。身体の緊張をほぐしてあげると、考え方もリラックスしてきます。気持ちや感情が変わってくるのです。

呼吸法も少し教えています。こころと身体をリラックスさせるのに呼吸を整えることは最もシンプルで効果的な方法です。とてもシンプルに10分間呼吸に意識を集中させて整えるだけで、とてもリラックスできるのです。そして、自分の内面に耳を傾けてみる瞑想についても少し教えます。すると彼らは自分の中にたくさんのネガティブな感情があることに気が付き始めます。ネガティブな感情、怒り、自分がしてしまったことを内省するのです。

最後にリラックスタイムを設けていますが、彼らの半分以上は深く眠ってしまいます。

彼らの表情は柔らかくなり、彼らの脅すような態度も緩和します。とても平穏で落ち着いた態度になります。そして私がとても楽しみにしている時間はクラスの後に彼らと個人的に話をすることです。彼らは私に非常に興味深い人生のストーリーを語ってくれるのです。

それがとても価値ある時間であると思っています。私がここへ行くのは他者とどのように深く繋がることができるのか学ぶためですから。私はヨガのインストラクターであり、彼らは囚人、ヨガの先生と生徒、私があなたたちを助け、あなたたちは助けられる側であるといった外的要因を取っ払い、人と人としていかに繋がることができるかを学びたいのです。そのような役割を超えて、人と人として話をすると素晴らしい瞬間を体験することができるのです。

彼らは彼らの個人的なストーリーを私と共有してくれます。その中のひとり、ジョンはヨガでいかに助けられたかを手紙に書いて私にくれました。

クラスの終わりにはヨガのマニュアルを皆に渡しています。ヨガは広いスペースも必要としませんし、科学的にも立証された実践的でシンプルな人を劇的に良い方向に変える方法です。多くの人々はこの刑務所から他に移送されますので、このマニュアルを使って一人でもヨガを実践することができるようにしています。ヨガを習った人々はお互いに手紙のやり取りをして、自分たちでヨガグループを結成しているのです。ある時知らない人からマニュアルが欲しいという手紙が来たこともあります。

このようにラスタファリアンのグループは毎月7日に集合し、ストレッチ、呼吸法、瞑想をしてから皆で祈りを捧げています。守衛に言われました「あいつらに何を教えたんだ? あいつらは昔とは違う」と。「本当ですか? 何が違うのですか?」「彼らは毎朝4時に起床し、2時間ヨガをやっているんだ。10人も」と彼は言いました。彼らが自ら率先してヨガグループをつくって実践していると聞いて、とても嬉しかったです。

人を助けることとは、自分を知ること、自分を成長させること

ここまで私が自分ができることを使って人を助け学んだことをお話しましたが、ここからは皆さんが何ができるかについてお話をしたいと思います。

私の真似をしてヨガの先生になって、刑務所でヨガを教える必要は必ずしもありません。自分の中で世界に対してこうなって欲しいと思うことを考えてみてください。きっとそれが皆さんがやるべきことなのだと思います。まずは自分に何ができるか考えてみてください。そしてその答えを他人に訪ねたりせずに自分のこころに聞いてみます。他者に貢献することとは、自分をより良く知ることでもあり、多くの困難を乗り越え、色々試してみながら自分のやるべきことを見つけることですから。こうすることで、自分の内面を知り、自らを動機付け、自分を強くするのです。

これによってわかることは、自分にも世界に貢献できる力が備わっているということです。直観です。自分のこころの中の声を良く聞き、それを信じられるようになれば、欲しいものすべては手に入らないかもしれないけれど、必要なものはすべて手に入るようになります。そして自分に必要なものとは、自らを成長させてくれるものであり、学校に行ってこれを学ぶだとか、社会的役割やラベル以上のものを発見させてくれるものです。

一般的な「教育」ではなく人間の教育が成されない理由がわかりません。人間でいるとはどういうことなのかを学ぶ機会が少ないと思います。人間とは何かを学ぼうとすればするほど、人間とは何なのかわからなくなりますが、それに伴い人間とは何かとはもっと知りたいと思う神秘になりました。この神秘はとてもおもしろいもので、人間とは何かという神秘を探求していくと自由を発見する道へと繋がります。この自由とは、人生がどんな状況なのか、どこに住んでいるか、それは牢獄の中にいようが外の世界にいようが、どこにいようが関係なく自由に人間でいられる自由です。これは探求する価値があるものだと思います。

今私が話したように自由への道を探求してみたいと思われた方は、今週家族のことを考えてみて、彼らに皆さんが自由への道を探求しようとしていること、他者を手助けするために自分ができることは何なのかを知ろうとしているとは知らせずに、お父さんやお母さん、お姉さんの1日を普段より良いものにできるように手伝ってみてください。

1週間の終わりに、どんな1週間だったか、何を学んだか、どんな気持ちになったかを振り返ってみてください。それがよい体験であった場合は、家族以外の人を助けてみてください。ありがとうございました。

<続きは近日公開>

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TED(テッド)

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