エウレカが実践する人事考課と採用制度

司会:時間になりましたので、セッション2に入らせていただきたいと思います。西川さん、よろしくお願いします。

西川順氏(以下、西川):テーマは「優秀なチーム・組織作り」ということなんですが、エウレカもまだまだ足りないところがいっぱいあって、正直優秀とは思ってないですけども、今まで何をしていたかを簡単にお話して、質疑応答の時間を多めに取りたいと思います。

エウレカは起業当初から変えていないことが2つあって、大きく分けると人事考課と採用に関してです。

まず1つ目、スタートアップは評価シートとか評価面談とか、あまりやらないと思うのですが、うちは(社員が)3人くらいのときからシートをつくってきちんと評価するということをずっとやっていました。

私が会社をやろうと思った理由の1つが、サラリーマンのときに「日本企業は能力に応じた給与体系が構築されてるところが少ない」と思っていて、できる人とできない人に給与で差をつけるというのをやりたいと思ったんです。

私は外資で2社働いた経験があるんですが、給与交渉ができました。「この給与は納得できません」と言い、明確な理由を説明できるときは給与が上がっていました。もちろん、日本企業でもある一定レイヤーになると給与交渉はできるところはありますが、そもそも、年齢や職種が同じだと、給料はだいたい横並びが多く、それを変えたいと思ったのが私が起業を決意した理由の1つでした。

エウレカの成長を支える、経営者面談と評価シート

西川:なので、会社が本当に小さいときからフェアな評価制度作りには時間を費やしました。年に4回評価面談をやっていて、その回数分昇給タイミングがあります。優秀なら3ヵ月に1回昇給するという感じですね。多い人は年収が年間で100万変わる人もいますし、同じ年齢・職種でも給与が200万とか、300万違う人もいて、相当給与に差をつけてます。

年4回の面談はインターンから正社員まで全員やっていて、全員の面談に経営者が出るというのをやっています。1回計算してみたんですけど、1人あたり1時間~1時間半面談をやっているんですね。80人くらいやっていて、80時間×年4回で240時間。面談シートの記入の時間もあるので、役員陣は1年のうち2ヵ月面談をしていることになります。

外の方から「そんなに時間使う必要ないでしょ」ってよく言われるんですが、エウレカが伸びた最大の理由は、この評価面談の頻度にあると思っています。「何がダメで何が良かったか」3ヵ月間を振り返って、「こうすれば次の3ヵ月伸びるよ」ということまでかなり細かく話すので、メンバーがすごく成長しやすいんですね。

自分たちも経営者として成長しつつ、社員の成長に最初からものすごい時間を使ったというのが、短期間で社員が成長して、会社が伸びた理由の1つだと思います。

西川:(評価シートを画面を見せて)小さくて見えないと思うんですけど、これはたぶん6代目くらいの評価シートです。ものすごく細かく項目を作っていて、一番適切だと思うものに何度も変えてます。会社のステージとか人数に合わせて変えているという感じですね。

大きく分けると、専門スキルとマーケティングスキルとビジネススキルと組織構築貢献度と、管理職はマネジメントスキルというのがあります。その中でものすごく細かく分けていて、1点1万円で、(合計)何点かによって給料が決まるという仕組みです。

もう1つ、創業した年からずっとやっていることとして、賞与を年2回出してます。どういうふうに決めてるかというと、税引き後の営業利益の一定パーセントを賞与予算にしていて、その額を正社員で配分します。配分は能力に応じて係数を決めて、半期に1回算出してます。

なんでこうしているかというと、会社の営業利益が増えれば、自分たちに還元される金額が増えるという認識をつけて欲しいなと思ったので、税引き後の営業利益の一定パーセントを賞与予算にするということを決めました。

あとは予算が決まる場合、少人数で効率よく仕事をしたほうが配分額が増えるので、そういう効率よく仕事をすることも意識してほしいという思いもあります。

ちなみに創業以来、役員賞与は出したことはありません。

採用のミスマッチを防ぐために何をすべきか

西川:次に採用です。今、全体で90名いて正社員が55人なんですが、専任の採用担当がいないんですね。なので、どこの採用メディアに出稿するか、どんなクリイエイティブ・内容で出すかという判断も経営陣がやっています。

あとはヘッドハンターさんにかなりお世話になっていて、うちの会社のことを理解してくださっているヘッドハンターさんから(採用が)決まる率が非常に高いです。外部の採用コンサルの方とかも入ってもらっているんですが、基本的な戦略や方針を決めるのは全部経営陣がやっていて、自分たちでハンティングもしてます。10月から専任の人が入ってくるので、やっと求人の情報更新を私たちがしなくてもよくなるという形です。

どういうふう採用しているかというと、1回の面接は大体2時間くらいかけます。1時間は相手の話を聞いて、1時間は会社の説明をするという形ですね。とにかく会社のことを全部話します。売り上げとか会員数の伸びとか、過去から今まで全部話す、未来のことも話す感じですね。

あと会食もするんですが、なんでかというと、人としてお互いが一緒に働きたいかって、ざっくばらんに話したほうがわかると思うからです。お酒を飲むと人って本性が出る気がして、双方がそれでもこの人と働きたいって思うかどうかを見るために、会食を設定します。

あとは「現場の人に会いたい」と言われたら、それもすぐ設定します。逆にこっちから現場の人に会ってほしいということも多いです。やっぱり現場と相性が良くないと、双方が不幸になるので。面接するためには、できる限りなんでもやるという感じです。

ミスマッチを防ぐために、「エウレカで何ができて何ができないのか」というのをきちんと話します。今までミスマッチだった人を採用してしまって、組織的に良くなかったことが何度かあって、それから余計に面接に対してすごく気を使うようにしていています。

エウレカのダメなところ、何が足りないかということをものすごく話しますね。必要以上によく見せるということは絶対にしないようにしてます。自分が転職する側だとしても同じだと思うんですけど、何かを隠すと後で、「話が違うじゃん」というときに絶対に問題になります。うまくいかなくなってどっちみち辞めることになるので、それだけは避けるために、わりと包み隠さず話します。

創業時〜成長フェーズにおける組織の変化

西川:採用経路の変化を出してみたんですけど、起業したときはインターンがほとんどだったんですね。正社員3人に対して、インターン20人とか30人みたいな状態でした。その30人が、だいたい1ヵ月で10人ぐらいやめて、また次10人入ってくるみたいなことを最初やってたんですけど。そこから正社員が増えていって、社員紹介がすごく増えていきました。

今は求める人材のスキルがすごく高めの人になってきたので、ヘッドハンターさん経由の割合が大きくなってきたんですけど、同時にグリーさん、DeNAさんなどの会社からの転職者というのが結構増えていて、彼らは「元同僚で別の会社に行ってるけど、転職したいと言っている人がいる」って紹介してくれるパターンも最近増えてます。

社員数が増えてすごく変わったことは、創業時から30名くらいは事業=組織で、事業が動いていれば組織化とか考えなくても勢いでどうにかなって、事業モデルがすべてだったんです。私たち経営者が現場最前線に入っていたので、細かいマネジメントはあんまりしてなかった。

しかし、30~50名くらいになってくると、だんだん組織化とか組織マネジメントの重要性が出てきました。今は事業もモデルが決まっているので、その事業モデルをより成長させるにはやはり組織の力がすごい必要だなと思っています。

そうなるともっと必要になってくるのが、中間管理職の育成だと思っていて、50名を超えてから中間管理職の育成に本格的に力を入れ始めています。正社員55人しかいないんですけど、マネジメント研修を隔週でやってます。

経営学とかマネジメントのフレームワークを含めて勉強してもらうというのを、やっています。お金がすごくかかるので、そこまでやっているベンチャーってあんまりないと思うんですけど、今後それが活きてくると思うので、コストをかけてでも中間管理職層を増やします。

家賃の高いオフィスに入ると気が引き締まる?

西川:チーム、組織作りその他でやっていることは、家賃補助、海外社員旅行、オフィスにこだわるって3つあります。これは最初から全部やってますね。家賃補助はどこもやってらっしゃるところ多いんですけど、オフィスから3km以内に住めば、月額3万円の家賃補助を出しています。

最初は忙しくて通勤時間がもったいないだろうなと思ったのが始まりだったんですけど、今はみんなが会社の近くに住むことによって、仕事が忙しいので飲みに行く時間があんまりない人たちも、「帰り道が一緒だから、ちょっとご飯食べに行こうか」というのが結構増えています。

上司に相談する飲み会も、終電を気にせずに結構やっているみたいなので、家賃補助がすごいいい機会になっているなと思います。社員旅行は、去年はサンフランシスコ・シリコンバレーに行きました。ほぼ全員ですね。

一昨年は台湾で、その前はグアムです。目的は社員交流で、これも普段仕事で接しない人と海外で「あそこ行こうか、ここで遊ぼうか」ってやると、仲良くなれたりするので、業務をスムーズにする意味でやっています。今年は80名の大所帯をどこに連れて行くかを考えている最中です。

オフィスは月曜日に移転したばかりです。今回、セミナールームもつくってかなり広いオフィスに移転しました。CTOが本当にこだわって、一脚10万円くらいする椅子をめちゃくちゃ値引き交渉をして、バルクで買うから安くしてっていうのを全部交渉してくれて、長時間座っても腰が痛くない椅子を買いました。

あとはソファーがものすごくたくさんあるんですけど、今は半分は席で仕事しないで、ほとんどソファーで仕事してます。オフィスにこだわる理由は、社員のためと、もう1つは採用目的ですね。このオフィスで働きたいって思ってもらえるようにするためです。

いつも身の丈よりも上のレベルの、家賃の高いオフィスに入るようにしているんですけど、それをやることでみんなプレッシャーを感じてくれて、もっと頑張ろうというマインドになるのが一番大きいです。

実は一番プレッシャーを感じているのが経営者で、移転をするたびに家賃がすごく増えるので、私は胃が痛くてしょうがないんですね。ちょうど月曜日に移転したばかりなので、昨日まで胃が痛くて痛くて。

朝、オフィスに行くたびに、「こんな広いオフィスに入って大丈夫なんだろうか...」って毎回胃が痛いけど、もう頑張るしかないと腹をくくって1週間後には新しいオフィスに慣れるというのが毎回繰り返されています。

家賃は高いんですけど、この家賃が大した金額じゃないなというところまで頑張っていかないとなって、気を引き締めるためにもエウレカにとって移転は重要です。