「母なる宇宙は私たちを待っている」宇宙飛行士・山崎直子氏が語る、大気圏外での体験

宇宙から見た地球 | 山崎 直子 | TEDxHaneda

宇宙飛行士の山崎直子氏がTEDxHanedaのステージに登壇。国際宇宙ステーション組み立てミッション参加のためスペースシャトル・ディスカバリーに搭乗した経験を持つ彼女が、宇宙から見た地球の風景や、無重力の宇宙空間での感覚、地上に降り立ったときに感じた思いについて語りました。山崎氏は初めて宇宙に着いたときに、「宇宙は馴染みのある場所」だという感覚を抱きます。人間を含め、地球上のあらゆる生物は皆、星の欠片から構成されています。つまり、宇宙は私たちにとって、遠い存在ではないのです。山崎氏はスピーチの最後に「さらに多くの人が宇宙に行けるよう、尽力をしたい」と今後の思いについて語りました。(TEDxHaneda2015 より)

私たちは薄い脆弱な大気層によって守られている

山崎直子氏:こんにちは。ほとんどの皆様がSF映画をご覧になっていると思います。『スター・トレック』や『スター・ウォーズ』のような映画をご覧になっていると思います。でも、今お見せしているのはSF映画ではありません。コンピュータ・グラフィックスでもありません。

これは本物のビデオで、私と私の乗員仲間がスペースシャトル、ディスカバリーに乗船しているときに撮った映像です。これは2010年のことで、国際宇宙ステーション(ISS)から切り離されたときから撮っている映像です。

ISSは未だに地球の周りをマッハ25で周回をしています。これは秒速8kmの速度です。今お見せしているのも、実際の速度であり、早送りをしていません。

今日は、皆様と3つのことを共有したいと思っています。まずは、地球の美しさです。このビデオでご覧頂きます通り、すばらしい自然を見ることができます。山、川、白い雲、そして青い海。

そして、ときには、北極・南極ではすばらしいオーロラを見ることもできます。本当に息を呑むばかりです。でも同時に、驚くべきことなんですけれども、地球を取り巻く大気層があまりにも薄いということです。そして、私たちは皆、この薄い脆弱な大気層によって守られているということを知ると驚きます。

太陽が昇り、そして落ちるまで、これは90分に1回起こるんですけれども、大気層の薄い層が虹のように光ります。とても美しいです。バックミンスター・フラー氏は、かつて地球のことを「宇宙船地球号」と述べました。私自身は、地球は宇宙船だと感じました。もちろん大きいのですけれども、無限でもない。土地も資源も有限であるという意味で宇宙船と感じました。

宇宙船地球号をより良い方法で使っていかなければならない

宇宙船地球号をより良い方法で使っていかなければなりません。というのも、世界人口もエネルギー消費量もどんどん増えているからです。ですので、宇宙船地球号を自分たちの持てる資源で対立をするのではなく、積極的に使えるように、うまく使いこなしていかなければなりません。

2つ目に共有したいアイディアとしては、人間の力の話です。日中、すばらしい自然が目の前に展開します。でも夜は都市の照明が輝いて美しいのです。これは人間の文明の象徴かのようです。

ISSを見てびっくりしたことがあるのです、ISSに対して近づいていって、ビデオで見ているように、ISSから離れているときに驚いたんですけれども、幅100メートル、長さ75メートルのISSは、ちょうどサッカー場と同じぐらい巨大なものなのですけれども、これは国際的な協力無しではできないことです。人間の国境を越えた協力の賜物です。

ISSプロジェクトは1980年代に西洋諸国が始めたプロジェクトです。ヨーロッパ、アメリカ、カナダ、日本が主要国です。冷戦が終わったあと、1990年初頭、ロシアが参加を始めました。ということで、事態はどんどん変わっていきます。

将来の有人宇宙探査船に関して、様々な多くの国々がきっと協力をすると思います。例えば、月や、それより遠い所に、宇宙探査船を送ることに関してです。火星に探査船を送るようなプロジェクトは、一国ではやり切れません。

より大規模な国際協力が必要です。そのためにもグローバル経済・政治はより安定していなければなりません。私たちは、ボーダーレスな、より国境を越えた協力が必要です。

多分、宇宙探査船の中のような国境が無い所でも、国境を越えた協力をしていくと、もっとより良いことが起きていくと思います。このような、より良いシナジー効果が、益々、地上と、そして宇宙の間で進むことを願っています。

初めて宇宙に着いたとき、馴染みのある所だと感じた

最近、私は感銘を受けたことがあります。冥王星の写真を見たからです。ニュー・ホライズンズ探査機が撮った映像ですけれども、この達成にたいして、おめでとうと申し上げたいと思います。世界中の人々が、このスペースミッションに対して貢献して下さり、そしてサポートしてきて下さったことにたいしての感謝を申し上げます。

最後に、もう1点共有したい点があります。母なる宇宙、マザースペースです。初めて宇宙に到達して、無重力を経験したとき、これはちょうどディスカバリーが打ち上げられて、8分30秒後のことだったんですけれども、本当にびっくりしました。

無重力に入ると、宙返りは何回もできるのです。天井からは自由にぶら下がれます。天井に立つことも問題なくできます。絶対的な上・下というは無いのです。皆さんの体勢に応じて、上と下が決まってきます。

人によって体勢が違うので、「あなたの場合の上のほうを向いて」あるいは「あなたの場合の下を向いて」というふうに言わなければなりませんでした。本当に目から鱗が落ちるような経験でした。他の人の立場に立たない限り、自分たちはコミュニケーションができなかったのです。

感銘を受けたのは、初めて宇宙に着いたときに、馴染みのある所だと感じたことです。初めての場所なのに身近な場所だと感じたのです。私たちは皆、星の欠片からできています。

太陽、地球、そしてどの生物、私たちも含めて、皆、星の欠片から構成されています。つまり、宇宙は私たちにとって、遠い存在ではありません。多分、私たちの故郷なのです。だからこそ、多分、身近に宇宙を感じたんだと思います。

「マザースペース」は私たちの平和と幸せを祈ってくれている

だから私は、宇宙を「マザースペース」と呼びたいと感じています。マザースペースは私たちのために平和と幸せを祈ってくれているはずです。ちょうど親が子の幸せを祈るかのようにです。

あるいは、教師が子供の幸せを願うようにです。そして、母なる宇宙、マザースペースは、私たちが成長して更に成熟した姿を見たいはずです。マザースペースは、私たちが互いに気を使い合って、前向きに手を携えて、地上でもがんばるところを見たいはずです。

宇宙は本当に美しく、でも、地上に戻ってきたときに風を感じました。そして景観を見ました。小さな草花の匂いをかいだときに、本当に嬉しく、幸福感がありました。本当の幸福感は私たちの周囲にあるんだと思います。遠い所にあるわけではありません。

そういったことを考えると、国々はより国境を越えて、繋がっていくと思います。地上と宇宙も繋がっていくに違いありません。マザースペースは、私たちがもっと協力することを待っていると思っています。協力をして、私たちがもっと頻度を多く、宇宙に行ける。

そして、彼女に会いに行くことを望んでいるんだと思います。ですので、私はさらに多くの人々が宇宙に行けるように尽力をしたいと思います。それは、国境の無い世界により貢献をしていくと思います。母なる宇宙、マザースペースは私たちを待っていて下さると思います。

ご清聴ありがとうございます。皆さん、TEDの主催者の方々、ご尽力をありがとうございます。

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