2024.12.10
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テーマ「新科目『公共』の学び方」について(全1記事)
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堀潤氏(以下、堀):さぁ、続いて若新さん、お願いします。
若新雄純氏(以下、若新):はい。
(テーマ「新科目『公共』の学び方」について)
脊山麻理子氏(以下、脊山):2020年度に小中高校で順にスタートする新学習指導要領について、文部科学省は今月5日(8月5日)、2022年度をめどに高校の必修科目に「公共」など新科目を設ける案を公表しました。
堀:さて、新科目案「公共」。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことを受けて、選挙など政治参加について学習。社会保障や契約、家族制度、雇用、消費行動といった社会で必要なことを学びます。一方で、必修科目の倫理などがなくなる可能性もあるということです。
堀:さぁ、この「公共」ですけども。公共の概念をどう教えるかということですけども。ちょっと間違えてしまうと、まさに「公の秩序」。「秩序を保ちなさい」という話に振れていきそうですけども。
一方で、「公共の福祉」なんて考え方は、互いに互いの人権を侵害し合わないとかですね。もう少し、我々一人ひとりの行動責任が問われる話になりますけれども。
どうやって教えていくのかという話ですね。
若新:ちょっとまとめると。こういうふうに変えたらいいんじゃないかというのが文科省で議論されているみたいなんですね。特に僕は、「公民」を「公共」にって話を取り上げたいんですけど。
これ、結構実は重要な観点が含まれていて。今までの公民の教育っていうのは、ほとんど暗記だったんですよ。
堀:あぁ、確かに!
若新:何年にどうなったかとか、国会ってどうなってますかとか、何年頃にどういう経済が動きましたか。全部暗記で。年表を覚えたりとか、言葉を覚えたりとか、そういうことだったんですよね。
ところが、今度やろうとしている「公共」っていうのは、そういう暗記することじゃなくて、「社会の様々な問題、これから複雑になっていくので、それをあなたはどう考えますか?」っていう、一人ひとり「主権者教育」とも言ってますけど。
「社会に参画する上で、物事を自分ならどうかってことを、考えられる力を持とう」つまり、暗記するんじゃなくて、社会に関わる一員として議論に参加していけるような力をつけましょうって話なんですね。
これまた、とても大切なことだけれども、現場で教員一人ひとりがこういうふうにダイナミックな転換が起きるので、教え方が全く変わるわけですよ。結構、このアクティブラーニングの話とか、今までもここで取り上げてますけど。
つまり、先生が教科書を持ってきて「覚えましたか?」じゃなくて、クラス何十人っている中で、一人ひとりいろいろな意見がある中で、「このテーマどう考えますか?」ってことを扱っていかなきゃいけない。
中途半端にやると、社会参画している人たちは政治があるので、1つの政党とか、その時の与党の考え方や法案の事例に偏り過ぎるんじゃないかとか。政治的に子供たちを誘導することにならないかとか。いろんな指摘がされてるんですね。
若新:この勉強の仕方について、実はちょうど2日ほど前に、この公共って科目について、千葉大学の先生がこういうことを読売で書かれていたんですよ。
この公共っていう授業を扱うべきでは。新しい教科の「公共」についての公共を言っているんですけど。ディベートっていうものも取り上げるべきだと。
「社会とか政治ってこうなってるよ」っていうことの情報を与えて、関心を持たせるってことじゃなくて、生かせればいいということじゃなくて。
具体的な政策課題について多様だと。答えが1つじゃないんで、いろんな意見があるっていうので、議論できる力を育てることが必要だと。だから、この人は「ディベート甲子園」っていうのを押しているんですけど。ディベートっていうのをどんどん使っていって。
教科書を見て暗記するってものから比べると、ディベートっていうのは、まだまだ一般的じゃないので「これをやろう」と。
でも、僕は、さらにディベートはとても大事だと思うんですけど、もう1つ突っ込んだことを。
堀:お! 提案が。
若新:話したくて。
中学くらいから、僕もディベートのプログラム、高校もあって。日本でもちょっとずつディベートやり始めてるんですよ。
ところが、実は、欧米の今主流になってるルールに比べて、日本の中学高校で使われているディベートのルールでは、大きな欠点というか、僕からすると大きな間違いが1個あって。
「肯定派」「否定派」って別れますよね。もちろん、「肯定派」「否定派」は、自分の好みになく決められちゃうっていうのが当たり前なんですけど。
自分が事前に「肯定派」「否定派」かどっちかか別れて、資料を読み込んだりとか、提案を作りこんでいくんですよ。肯定の立場なりに1週間くらい準備して。これも、ルールとして遅れているんですね。
実は、欧米のディベートで主流なところは、今、ルールがガラッと変わっていて、「肯定派」「否定派」かっていうのは、実は、ディベート大会の当日にくじ引きで決まるんですよ。
ずっと日本人がやってきてる、中学校高校でやっているディベートは、今までの詰め込みと一緒で、いかに事前準備をきっちりしたかと。「僕は、肯定派なんだから!」みたいな感じで、そっちの立場に偏って考えるんです。
でも、今、世界基準のディベートっていうのは、「肯定派」になるか「否定派」になるか、当日までわからないんですよ。
つまり、両方の意見を総合的に見ておいて、「肯定だったら、こうかな」とか、「否定だったら、こうかな」。つまり、政治で言うと、「野党から見たらこうかもしれないけど、与党から見たらこうかもしれない」とか。
今、日本でも、いろんな国際的な問題扱ってますけど、「こいつは右なのか? 左なのか?」とか、「お前はこっち擁護派か?」とか言って、白黒とか立場をはっきりとつけすぎていて、「お前はこっちだから、こういう視点だろう」とか、「俺は、こっち側なんだ」と。
そうじゃなくて、今大事なのは、「この問題にはこういう見方もあれば、こういう見方をする必要もある」っていう。自分がどっちの立場かなのではなくて、どっちの立場に立ってもその問題を語れるようにならないと思うんですよ。
僕、このルールを取り入れずに、ディベートをやったとしても、結局は自分の立場を守る、ポジショントークに強くなる人間を作っちゃうだけだと思うし、あんまり意味ないと思うんですね。
若新:欧米なんかでこれが発達してると、会議なんかでも、その時議論してるのは、人格の否定ではなくて、あくまで自分は今この立場で言っただけだから、ガチンコでバトルしても、会議終わった瞬間にスマイリーになって、コーヒー飲みに行くらしいんですけど。
日本だと、ガチンコバトルすると、「あいつ、マジおかしいよね!」みたいな感じで険悪なムードになると。
だから、この「公共」って科目をもし取り入れるんであれば、是非、自分が肯定か否定かとか、YESかNOかっていう片方によるんじゃなくて、常に自分の中に、肯定派と否定派の2つの視点、もしくは、2つだけじゃなくてもいいんですよ。
その違いを自分の中に内包できて、「こういう立場もあれば、こういう立場もある」「今の会議では、僕は、例えば、こっちの立場になってみると、こうだよ」ってことでガチンコで議論できる人を作らないと、さっき言ったような社会参画っていうのは、扱われているニュースなんか、難しすぎますからね。
何か芸能人が発言すると、「あの芸能人は、こっちの立場なんだ!」みたいな。いや、そっちの立場もあれば、こっちの立場もあるってことで、問題を扱えるようにならなきゃなと思って。
堀:大学入試のあり方も変えたほうがいいかもしれないですよね。
若新:事前にしっかり準備して、詰め込んだどうかじゃなくて、欧米のディベートは、限りなく即興に近くなってるけど、普段のトレーニングは、もう違うと。
高橋浩祐氏(以下、高橋):僕、大学時代ESS(English Speaking Society )に入ってて、ディベートもそうだけど、ディスカッションっていうのがあって。
ディスカッションの場合は、敵味方じゃなくて、建設的に意見をまとめていくっていうそういうノウハウもあるのがあるんですよね。ディスカッションも、是非やってほしいですね。
若新:倒して、誰が勝ったか、負けたかじゃないってことですよね。いろんな視点の人によって議論を発展させるとか。
堀:Twitter見てると、「ディベートが一番できてないのが国会だと思う」っていう。
(スタジオ笑)
若新:ポジショントークに偏り過ぎで。これを中学生くらいからやるってことで、僕らのリテラシーっていうのが高まっていくんじゃないかなと思っていて。
脊山:国立の小学校だったのであったんですけど、立場を入れ替えるっていうやつが大切かなって。
堀:本日のオピニオンCROSSは、以上とさせていただきます。
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