「頑張る・我慢・自粛」が日本文化の強み--日米ハーフの社会評論家が語る、世界が日本に学ぶべきところ

TEDxHaneda「文化は革命を起こす」 #1/2

TED×Hanedaで社会評論家のローランド・ケルツ氏が登壇しました。日本人の母を持つケルツ氏は、幼い頃から日本の文化には非常に強い力があると感じていました。バブル崩壊後、日本経済は停滞していると言われていましたが、彼は日本の文化は堅牢であり、また日本経済は持続可能性があると思ったそうです。なぜ日本の土台は強いのか。その理由は、「我慢」や「自粛」といった強い精神力を持つ日本文化にあるとケルツ氏は言います。日本では「困った状況でも文句を言わず頑張る」という文化が根付いており、これはアメリカとは正反対の文化です。ケルツ氏は、このような日本人の精神力、調和と安定性を大切にする文化こそが日本の強みであり、日本人はこれを世界へもっと拡散していくべきだと語りました。(TED×Hanedaより)

先進国の中でも日本はなぜ強いのか

ローランド・ケルツ氏:光栄なことだと思っております。私の普段の話、自分の大事にしている主題についてお話しを致します。

私の母が日本人でして、父はアメリカ人です。そして、私はアメリカのボストンの北部、イングランドという所で育ちました。

本当に当時は周りが真っ白でした。雪が多いというだけではありません。白人の多いコミュニティーで育ちました。私の母以外そして母の家族以外、日本人は周りにはいませんでしたし、周りに私のようなハーフという人は見当たりませんでした。

私は子供の頃、ホッケーをしていました。ベンチに座っていた時に、なかなかこういう所に来ない母親が、父親と来たのですが、その時仲間に、「わー! お母さんが中国人だなんて知らなかった!」というふうに言われたんですね。でも私は、あえて訂正はしませんでした。訂正をする必要性も感じなかったのです。

でも、また別の機会に、「日本人のお母さんで日本人の家族だったら、例えば、魚を生で食べるの?」と言われたことがあります。そう言われて、たちどころに思い浮かべたのが、生の魚を頭から尻尾を(スピーカーが魚を持ち上げる真似をして)こうやって持ち上げて(笑)、そして口をパクパクさせているような魚をガリガリかじっている自分の姿でした。ですが、そんなものは食べられないですよね。

子供の頃、そう言いながらも自分は、日本の文化はすごく強い、強い精神力があるなというふうに感じていました。

私が成人して日本に住むようになったのですが、これは、バブルが崩壊して随分後のことです。皆さんは、日本の経済が随分停滞をしているというふうに、その当時言っていました。でも、私は、その当時の日本の経済はかなり持続可能性がある、そして、文化的にかなり堅牢だというふうに思ったんですね。

なので、停滞や沈滞しており、アジアの病人だと言われているアジアの中での日本というのは、どうしてこのように強くあるのか、というふうに考えました。

そういうことで、私は本当に、日本には土台としても非常に強い力があると思ったのです。なので、この土台としての力というのは、これが日本の停滞なのか沈滞なのか、それとも、これは持続可能性という力なのかということを考え始めました。

特に、先進諸国では日本と同じような状態にある国が多いです。人口減少、そして貧困の上昇というような。そういった仲間の国の中でも日本が強いのはどうしてかということを考え始めました。

日本人は困った状況でも文句を言わずに頑張る

日本に住んでいらっしゃる方はよくわかると思うのですが……。

例えば、「頑張る」という言葉があります。英語で言えば、「一生懸命戦う」「どんな状況でも最善を尽くす」というような意味合いです。

これは、東北の大地震の後のボランティアの皆さんの写真です。このときの「頑張る」というような掛け声というのは、もうこういった困った状況でも最善を出すといったような、そう言った意味合いで使われる言葉です。

でも、日常的に使われる言葉でもあります。

「頑張る」という言葉。絵が示しているようなのですが(笑)。毎日日常的にサラリーマンが通勤をするときに、サラリーマンのお父さんに家族の人達が「頑張ってね」と「いってらっしゃい」というような言葉を言うわけです。これは本当に随分長く遅くまで働くので、本当に頑張る、一生懸命しなければいけない、といった状況が発生します。

もう一つ、注目する言葉として、「我慢」という言葉があります。英語では、例えば、「堪え忍ぶ」といったような意味合いです。この原理原則というのは、何でも堪え忍ぶということです。それは、文句を言ったり泣きをいれたりすることなく「頑張る」と言うことです。

例えば東京のような都市の中で、満員の通勤電車の中に入るとびっくりします。

(会場笑)

日本の方々が、この混雑の中で携帯を回したり読めるようにしたり、或いは……。

本当に驚いてしまいます。アメリカのニューヨーク、サンフランシスコで本当に人がいっぱいの通勤電車が来ると、人は乗らないんです。タクシーに乗ったり、諦めるわけです。でも、日本は違います。日本では、人はどれほど通勤電車が混んでいても、我慢して乗ります。

「自粛」の文化は、日本社会を持続可能へ導く

次の言葉は、「自粛」です。ご存じの方もいるかとは思うのですが、これは、抑制をする。自己抑制をするということです。自分の欲望、思っていることを抑制するということですね。

この考え方というのは、例えば電気を消す。近所が電気が足りないということであれば、節約するために電気を消して、PCの画面の明かりだけで何とかしのぐということをします。

アメリカのコンセプトでは、「頑張る」と、「でも欲しいものは得よう」といったような考え方が大きく蔓延っています(笑)。

(会場笑)

この「自粛」というのは、全く逆の方向を言っています。こういった日本のコンセプトを合わせてみると、これがもしかしたら日本の社会の調和を持続可能性へ導いているものではないかと思うのです。

日本の強みは、調和と安定性が大事にされる文化

日本は今、停滞、沈滞をしていると言われています。失業率は、3.4%。歴史的に(経済が)低い所に沈滞はしていても、失業率は低い。そして、犯罪率から考えても、日本はとても安全な所だと言われております。

これを考えると、どの文化でも日本が見舞われるような課題に見舞われるはずであります。

そして、私はポップカルチャーについて、例えば、アニメ・漫画・コスプレ(笑)のようなことを、日本に関して書いてもいます。

日本は今、「クールジャパン・キャンペーン」というものを実行中です。「クールジャパン」ということで、日本の文化の「クールさ」というのを、文化を、ポップカルチャーを通じて拡散しています。

でも、私としては、日本の政府に対して、そして日本に住んでいる皆様に対して(笑)、お願いがあります。「クールジャパン」だけではなく、日本の持っている、もっと深い強みというものを拡散してほしいと思うのです。そして、調和と安定性が大事にされている文化がどれほど強いかということを皆さんに是非拡散してほしいと思っております。

ありがとうございます。

(会場拍手)

(編集協力:柴田美郁)

<続きは近日公開>

Published at

TED(テッド)

TED(テッド)に関するログをまとめています。コミュニティをフォローすることで、TED(テッド)に関する新着ログが公開された際に、通知を受け取ることができます。

このログの連載記事

1 「頑張る・我慢・自粛」が日本文化の強み--日米ハーフの社会評論家が語る、世界が日本に学ぶべきところ
2 近日公開予定

スピーカーをフォロー

関連タグ

人気ログ

人気スピーカー

人気コミュニティ

ピックアップ

編集部のオススメ

ログミーBizをフォローして最新情報をチェックしよう!

人気ログ

人気スピーカー

人気コミュニティ

ピックアップ

編集部のオススメ

そのイベント、ログしないなんて
もったいない!
苦労して企画や集客したイベント「その場限り」になっていませんか?