人体への影響を知るには、人を使って治験する方法しかない

デイヴィッド・シュワルツ氏:「ビタミン剤を取ることが体にいい」とか、「悪い」だとか、「新しく見つかったハーブが記憶力に良い」だとか、「肝臓には良くない」とか、「新しいガン細胞への記事」など、色々な研究によって、様々な結果が生まれては、消えています。

日々、科学的研究によって、興味がわくようなニュースが生まれています。しかし、研究とはどのようなことを指しているでしょうか。どのように行われ、信頼される研究だと認知されるのでしょうか。

食事や医療の分野で、動物や個体の細胞に関する研究結果は、その先に繋がるような全体の方向性として示すことに過ぎません。

つまり、人体への影響を知る唯一の方法は、人間を使って治験することしかないことを覚えておかなければなりません。

治験において、基礎的とされる方法はランダムに選ばれた臨床試験となります。この臨床試験のポイントは、対象者をグループにわける時にあくまでランダムにわけることです。

さらには対象者を目が見えない状況にしておきます。なぜならばグループ間の違いを、研究したい内容だけにフォーカスしたいからです。

例えば、新しい頭痛薬のテストでは、頭痛持ちの人をランダムに2つのグループにわけ、その1つのグループには実際の薬を渡し、もう1つのグループには偽の薬を渡します。

きちんとランダムにわかれていれば、2つのグループ間の差は、薬がきちんと投与されたかどうかで明らかになり、他に影響を与える要因はないことになります。

このようなランダムな臨床試験は画期的な方法であり、事実、アメリカ食品医薬局では新しい薬を販売する前に、このようなランダムな臨床試験を少なくとも2回は実施するように求めます。

ただ、このような臨床試験を行うことが困難な場合も存在します。

その理由としては、現実的ではなかったり、被験者が余りに多く必要となる場合があるからです。

そのような場合は、疫学的な研究を行います。この研究とは、被験者の日常の行動をシンプルに観察する方法です。被験者を集め、ランダムにグループ分けを行うことはしません。

疫学的な研究方法とは

例えば、市販のハーブが悪影響を及ぼすかを調べるとします。

その場合には、そのハーブをわざわざ投与するのではなく、普段からこのハーブを接種している人を集めるのです。

この普段接種している人のグループをコホートと呼び、接種していない人のグループと比較し、統計的な数値を出します。

接種しているグループのほうが悪影響を及ぼす数値が高ければ、そのサプリメントと悪影響の関係性が示唆されます。

疫学研究は、健康に影響するほぼ全てのものに対して有効的です。

被験者となる人の生活に介入することがないので、プライベートが暴露されるリスクもありません。

しかし、なぜこのような有効的な研究にも関わらず、成分と健康への影響との因果的関係を明らかにできないのでしょうか。

なぜならば、残念なことに、疫学的研究を適切に実施しても、本質的な欠点を抱えているからです。それはテストとなる被験者がランダムに選ばれないということです。

例えばハーブの研究において、コホートが健康の為に、サプリメントを摂取している人ばかりだったら、既に悪影響を及ぼす可能性はその対するグループよりも高いかもしれません。

あるいは、コホートは健康食品店を使い、特別な食生活や医療サービスを享受しているかもしれません。

研究目的の要因に加えて、結果に影響しそうなこれらの原因を変数と呼びます。

これらの大きな落とし穴としては、利益相反といった危険と共に疫学的研究の結果を疑わしいものにすることです。

明白な疫学研究においては、このようなエラーを排除するための手順を示さなければなりません。

しかし、いくらこれが注意を払われて実施されたとしても、疫学研究そのものの性質が、既に摂取しているグループ間の違いを調べるだけなので、平等な条件にある被験者に対して、意図的に差異を生じるものではありません。

ですので、単一の研究では、その対象物質と健康との相関関係が示されるだけであり、本当の意味での因果関係があるかどうかまではわからないのです。

それでも結論としては、疫学研究は人間の健康に関する優れた方向性を示し、健康に致命的であるタバコや、アスペクト、鉛を初めとする多くの物質に対する警告をもたらしました。

このことで、適切に実施された複数の疫学研究による結果は、全て同じ結論に達すということがわかりました。

ですので、次に「新しい奇跡的な治療法」であるとか「身の回りのとても危険な物質」というニュースの見出しを見たら、そのリソースとなる研究を確かめ、疫学研究や臨床試験の限界を思い出して、急いで結論に至ることは避けてください。