中学生・高校生の可能性を引き出すITキャンプ

水野雄介氏:中学生、高校生って皆さん子供だと思われますか。僕ですね、中学生や高校生を子供って見るのは嫌いなんですね。もちろん彼らは未熟です、未熟なんですけども彼らを子供って枠で見るだけですごく可能性がせばまっちゃう。中学生、高校生ってすごく可能性が大きくあって、僕はそれを信じて人生を生きています。

僕らは今ITのキャンプということをやっています。例えば小学6年生のオハラナリアキ君。彼はですね、算数は嫌いでゲームは好きという子で「計算RPG」というライトなアプリを作りました。計算が嫌いだったので何かゲーム化できないかというところで、敵がですね、どんどんどんどん問題を出してくる、それを答えていくとゲームをクリアーするというアプリを作って、これで1万ダウンロードぐらいされています。

「プレゼンタイマー」を作った女の子です。中2の女の子が作ったアプリで5万ダウンロードされています。(スマートフォンを手に持って画面を見せる)実際にこういう形ですごく見やすいんですね。世界中の人が使ってる。彼女もプレゼンテーションにはすごく時間が大事だと、だからわかりやすく見えるように大きくデザインされたものが必要なんだと作りました。

これは僕らがやっているキャンプで生まれている、実際にストアに出ているアプリの数々です。本当に簡単な席替えのアプリみたいなところから、今挙げたようなたくさんダウンロードされているアプリまであります。

自分の身近な問題とか、こんなのあったら良いなとか、解決できたらいいなというものを創造性あふれる彼らはたくさん形にして世の中に出す。これができるとすごく面白いです。僕らは中学生、高校生向けのITのキャンプLife is Tech!というものをやっています。実際にどんなものなのか映像にまとめてきたので、ぜひご覧ください。

(映像が映し出される)

僕らがやっているのは大学と組んで、例えば関東なら慶応のSFCと東京大学と組んでですね、夏休みとか春休み、実際今クリスマスキャンプ中なんですけど、まあこんな感じでやっています。

5人に1人くらいの大学生がそこにメンター的な役割でついて教えるという仕組みで、だいたい初めてプラグラミングやる子が8割くらい。ただですね、スキルを学ぶという場ではなくてリアルであることの価値をすごく大事にしたいなと思っていて。

例えばですね、一緒に学ぶ仲間だったりとか、後はそこで出会う先輩とか、「あぁ、こんな風になりたいな」とか、そこで研究意識をなくして「あぁ、こんな風に研究していきたいな」とか、少し社会が広がるような、しかもすごく楽しくてですね、「ディズニーランドよりもLife is Tech!に行きたい」と、そんな場を作れればなぁと思って、今やっています。

今日はLife is Tech!が描く未来について少しお話しさせていただければと思いますが、その前に、なぜ始めようと思ったのか、ちょっとお話しさせてください。

Life is Tech!を始めたきっかけ

もともと僕、慶応の大学院にいきながら高校の非常勤講師をやっていました。開成高校というところで物理を、高1の子を教えてですね、その時に結構子供たちが言ってきたんですね。「自分、ゲームを作ってるんだけどどうやって作ったらいいんですか」「プログラミングやりたいんだけど、どうやってこれやるのか」って結構聞いてくるんですね。

しかも「これ作ったんだけど見てよ」って来るんです。見てよってなにかというと、褒めてってことなんです。で、やはりちょっとオタクっぽく見られたりとか、お母さんがスマホばっかりやってて怒ったりとか。まあそういうような世界の中で、でも社会ではすごく求められる。

だけど、僕はやっぱり人って好きなものじゃないと伸びないんじゃないかとすごく思っているので、それを伸ばしてあげる。今の日本の教育をもっともっと良くして、そのためにはキッザニアとかやって、1人の教師としてやることも素晴らしいし、国から何か変えるということも素晴らしいけども、サービスとして変えてたくさんの人が受けたいものを作った方が早いんじゃないか、じゃあこのITの好きな子たちの可能性を伸ばすような仕組みを作れればと思って、このLife is Tech!を始めました。

参加者3人からのスタート

でも全然コネとかなくて、最初始めたのがグーグルで「IT教育 シリコンバレー」と検索するところから始まって、そうすると向こうではこういうキャンペーンやってます、というので実際にスタンフォードに見にいって、大学と連携してやってる仕組みとかを知って、それをコンセプトに日本でもやろうというところで3年前に会社を作りました。

コネとかも何にもないので、例えば品川女子学院の漆校長先生が新しい教育モデルをやられてて僕すごく好きだったので、講演会に行って企画書を出して「ぜひ僕らの相談にのってください」とか、後は東大の馬場先生のところにも電話をかけて企画書を送って、「ぜひ一緒にやらせてください」って話をしたり。

その時、漫画のワンピースがすごく好きで著者の小田先生にファンレターを書いて、「ロゴを作ってください、僕らのシャンクスになってください」。そんなことを書いて送ったんです(笑)。1ファンレターですから届かなかったとは思う、返ってはこなかったんですけど(笑)。

そんなことをやりながらどんどん進めていったところからスタートしました。最初にやったのは、3人の子供たちに来てもらってキャンプをやりました。この時、真ん中の子がプログラマーなんですけど、この子が言ってくれたことがすごく印象的ですね。

彼が言ってくれたのは、「僕はチームでこういうのいっぱいやってきたけど、できたことがなかった。今回初めてチームでやってみて『ミスター鉱物』というアプリを作れて、それができるってわかってすごく良かった」と。

なんかチームでやるって良いなとか、またそういう支えてくれる人がいるって良いな、その成長した瞬間が、僕すごく好きで、今でも一番最初にやったキャンプを覚えています。最初はこのITが好きな子のために教育の仕組みを作れればなと思っていたんですけど、10人、20人、100人と増えていく中で、ちょっと面白いことが起こってきました。

スマホの普及でITが身近な存在に

これはですね、ITが好きじゃない子です。ITが好きじゃない子もキャンプに来るようになってきたんです。例えば普通の女子高のバレー部の子だったりとか野球部の子だったり、バンドをやってる子だったり普通の子が来ます。僕らのキャンプに。

彼らは最初、例えば友達がやってたからとか、ちょっとニュースで見たからとか、ポスター貼ってあったとか、そういう理由で来てくれるんですけど。ま、これは僕の推論なんですけど、やっぱり大きくはスマートフォンの普及というものがある。

スマートフォンの普及によって彼らにとってITがすごく身近になったんです。おかげさまで最初2年前に3人からスタートしたキャンプもですね、今年は3,000人の子たちにITの教育を届ける、ということができるようになりました。僕らも、もっともっとITをやりたいっていう子がたくさんいるんですね、その子たちのためにやり易い環境を整えてあげたいなと思いました。

今年で3回、最初は10数組だった参加者が今では400を超える参加者が来てくれていて、これをやっててすごく感じたのはギリギリまでプレゼンテーションをするための準備をするんですね、彼らは。そうすると人に何か見せようとか表現しようというその気持ちが彼らの最後のところの成長を伸ばす、やっぱりアウトプットするってすごく大事だということを気づかせてくれる、プロジェクトでした。

リアルからオンラインにつなげると頑張る下地になる

もっともっと継続して学びたいという子がいて、僕たちは春休み、夏休み、冬休みしかやってなかったので、継続して学びたいという子のためにオンラインでiPhoneのアプリでプログラミングを勉強していく。マレーシアとか、これは新潟、そして北海道の子たちが九州の大学生に教えてもらっているような仕組みなんです。

反転授業の仕組みをとっていて、反転授業というのは最初に「動画でこんなことをして学んできてください」と。そして毎週火曜日のこの時間でわからないことを聞いたりディスカッションしたりする、というような授業形式でやっています。すごく伸びます。

しかもやってみて新しく気づいたことがあって、オンラインって結構1人で継続するのが大変なんですよね。すごいモチベーションないと大変なんだけど、僕らのところは最初キャンプに来てリアルにつながっていると。

それはキャンプで実際に会っていなくてもLife is Tech!に来てるんだっていう子たちがオンラインで学びだすと、少しコミュニティができあがってる状態でスタートするんです。

リアルからオンラインにつないであげると、もう一緒に頑張るっていう下地ができあがっているので、すごく彼らはこのオンラインの中のコミュニティとして学ぶ場っていうものができています。これがやってみて新しく発見したことでした。

IT界の石川遼や浅田真央を生み出したい

もっともっとヒーローとかヒロインが生まれたらいいなと思って、IT界の石川遼君、浅田真央ちゃんが生まれたらいいなと思っています。アントレプレナーシップという、これは企業家を育成するプロジェクトを始めました。

アントレプレナーシップというのは、僕は世の中のことを例えば、不満とかあるじゃないですか、それを人のせいにとか首相が悪いからとか国が悪いとか先生が悪いからとかいうんじゃなくて、自分の力で、自分で変えてやろうという独立自尊の精神をアントレプレナーシップと定義付けているんですけども、そんな子たちがもっともっと増えたらいいなと思ってこのプロジェクトをやっています。

実際に2人起業する子が出ました、15歳と16歳です。こんなところからヒーロー、ヒロインがどんどんどんどん生まれていったらいいなと思っています。

たくさんの方々にいろいろご支援をいただいて僕らはスタートできました。そして色んな企業さんに支援していただきスタートできています。これは僕らに協力してるっていうよりは、中高生の未来に対して皆さん協力してくださってるんですね。すごくありがたい、僕らはそれを中高生に還元してあげるだけだと思っています。