ただアイデアを出すよりもサポートをする人が評価される
窓菜園プロジェクトを育てたオープンソースの文化とは

A garden in my apartment

Britta Riley(ブリッタ・ライリー)氏は都市のアパートに住みながら自分自身で野菜を育てたいと思い、NASAの水耕栽培を参考に、友人たちとペットボトルとポンプを使った栽培システムを作ります。この装置は窓際でカーテンのように縦に吊り下げるので、窓さえあれば室内でも野菜が育てられ、場所も取りません。ライリー氏は世界中の誰でもこの栽培方法が真似できるように、ソーシャルメディアサイトをつくり、仕組みをオープンソース化。これらのシステムをR&D-I-Yと名付けます。コミュニティでは、世界中の人たちが新しいアイデアを日々出し合い、システムのブラッシュアップ化を図っています。R&D-I-Yは食糧問題や環境問題を解決するだけではなく、「自分で作る楽しさ」「共同作業の楽しさ」を知ることができる画期的なシステムなのです。(TEDxManhattan2011 より)

環境のために私たちができる一番良い方法は「自分で野菜を育てる」

ブリッタ・ライリー氏:私も、多くの皆さんと同じように、世界で都市に住んでいる20億人のうちの1人です。他の方々はどうかわからないですけれども、私の人生ではほとんどすべてにおいて誰かの助けを借りていると、はっきりと感じる日があります。でも時々、助けを借りることに少し怖くなる日もまたあります。

私が今日ここで皆さんにお話ししたいことは、同じ相互依存であっても、もしオープンソースでの共同作業を利用するならば、実は非常に強力な社会インフラになるということです。この社会インフラは最も深刻な都市問題を解決するために利用できます。

数年前、ニューヨークタイムズ紙の記者マイケル・ポーランの記事を読みました。少しでもいいので自分の食物を自分自身で育てることは、環境のために私たちができる一番良い方法の1つなのだそうです。

記事を読んでいた頃はちょうど真冬の時期で、私のニューヨークのアパートに大量の土を入れる場所などまったくありませんでした。

そこで、とりあえず次号の『WIRED』を読んで、専門家たちが将来の私たちのためにどうやってこれらの問題を解決しようとするのかを調べようということに落ち着きました。しかし、この1件こそがまさにマイケル・ポーランが記事の中で指摘したことでした。食のシステムに見られる一種の混乱を引き起こすのは、私たちが環境などの問題に対する責任を専門家に引き渡す、まさにその時なのだと。

自分自身の野菜作りの仕事を通して、NASAが宇宙で植物を育てる研究のために水耕栽培をどう利用してきているかということを少し知ることになりました。植物の根系に栄養価の高い養液を流しておくことによって、最大「栄養」生産量を収穫できます。

植物たちにとって私のアパートは、まるで宇宙空間のように馴染みのないものですが、私からはいくらかの自然光と1年中通した温度管理を提供しています。

ペットボトルを使った水耕栽培

2年間のめまぐるしい変化があった後、私たちは今窓に菜園を持っていて、縦型です。屋内には食糧生産のための水耕栽培プラットフォームがあります。

どういう仕組みかというと、下にポンプがあって定期的に養液を上まで送ります。

すると養液は植物の根を少しずつ流れていき、泥を固めたペレットのところでストップします。なので、土が全く関係しません。

光と温度はそれぞれの窓の小気候によって変わるため、窓菜園には管理人が必要です。窓菜園に何の作物を植えるか、自分の食べ物を無農薬で育てるかどうかを決めなくてはいけません。

その時、窓菜園は多くの実験を必要とする技術的に複雑なアイデアではもはやなくなっていました。私は窓菜園をオープンプロジェクトにしたいと考えていました。

なぜなら水耕栽培はアメリカで今急速に広がっている特許の中の一分野であり、モンサント(遺伝子組み換え作物などを生産するバイオテクノロジー企業)のように人々の食において企業の知的財産をたくさん所持する次の分野になりうるでしょう。そこで製品を作る代わりに私がやろうとしたのは、一緒に開発に携わってくれる人たちに自分のスペースを開放することでした。

最初に作ったいくつかのシステムは何とか動きました。典型的なニューヨークのアパートにある窓で、1週間に1つサラダが作れる量の野菜を育てることができました。

チェリートマトやキュウリ、その他もろもろも育てられました。しかしこれらのシステムは全て養液が漏れたうえ、エネルギー効率に無駄があったので、マーサ・スチュワート(アメリカの女性料理研究家)なら絶対に認めなかったでしょう。

(会場笑)

窓菜園が世界中に広まっている

もっと多くの開発者を育てるため私たちが行ったのは、ソーシャルメディアサイトを作って、システムの仕組みを解説する図をアップすることです。さらにはこれらのシステムの問題点を全て指摘することまでしました。

その後私たちは実験とシステムの組立を行うため、世界中から人を呼びました。現在このサイトには18,000人がいて、世界中に窓菜園を持っています。

私たちが行なっていることを、NASAや大企業ではR&D、リサーチ&デベロップメントと呼んでいます。しかし私たちはR&D-I-Y(リサーチ&ディー・アイ・ワイ)と呼んでいます。「研究と開発を自分でやってみよう」です。

たとえば、参加者のジャクソンは、水ポンプでなくエアポンプにしようと提案しました。正しく動くようにするにはシステム全体の組立がいりますが、一度作ってしまうと炭素排出量をほぼ半分まで減らすことができました。

シカゴのトニーは他の窓菜園家のように責任を持って実験に取り組んでいますが、彼は低光の状態で有機質栄養剤だけを変えることで、年間のうち9か月間イチゴの実を結ぶことができました。

また、フィンランドの農家たちは、フィンランド特有の日照時間が短い日に備えて、LEDグローライトを取り付けて窓菜園をカスタマイズしました。今彼らはオープンソース化を進めていて、プロジェクトの一部になっています。

窓菜園はソフトウェアにも似た素早い更新プロセスを通じて進化しています。あらゆるオープンソースプロジェクトにとって本当の利点とは、システムをカスタマイズしているある特定の人たちの抱えている課題と普遍的な課題とが互いに影響し合う点です。なのでコアチームと私は、本当の意味で全員のためになる改善に集中することができていますし、初めて取り組む人達のニーズにも目を向けています。

自分でやってみようという人には、十分に検証されたノウハウを無償で提供します。世界中の誰でも、どこにいても無料でシステムを組み立てられるように。また共同体特許と同じような形で、システムに関して申請中の特許があります。

プロジェクトの資金を集めるため、提携を組んで自分でシステムを作る時間のない学校や個人に売る製品を作ることもしています。

誰かのアイデアをサポートし、検証をする人のほうが評価される

今私たちのコミュニティの中で、ある文化が現れました。ただアイデアを出す人よりも、誰かのアイデアをサポートし、検証をする人のほうが評価されるという文化です。

このプロジェクトから得たことは、単に新しい電球を差し込むのではない違う方法で環境運動に貢献するという経験に加えて、自分自身のプロジェクトのために他の人のサポートを得られるということです。

私はアイリーンが、活動から私たちが得たことを最もよく表現していると思います。それは、共同作業の喜びです。ここで彼女は、地球の裏側にいる誰かが自分のアイデアを取り入れ、その上に新しいアイデアを築くことで、自分の貢献を認めてくれるという経験がどういうものかを表現しています。

もし私たちが消費者行動の大きな変化を本当に見てみたいと思うなら、環境保護主義者や食に関心を持つ立場として変化を語るのでなく、「消費者」という単語から離れて、自分で行動している人の支援をする必要があるでしょう。

オープンソースプロジェクトは、多くの場合活動に勢いをつけてくれます。R&D-I-Yは単なる窓菜園やLEDを超えて、太陽光パネルやアクアポニック・システム(魚の養殖と野菜栽培を同時に行うシステム)へと進んでいるのを私たちは目の当りにしています。

前世代が築いたイノベーションの上に積み上げ、生活を変えるために私たちを本当に必要としている次世代のことを見据えて活動をしているのです。さあ、あなたも連帯する市民の価値を再発見し、私たちはみんなパイオニアなのだと一緒に宣言していきましょう。

(会場拍手)

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