「ベストな結婚相手の選び方」「離婚の回避方法」など、恋愛の悩みを数学で解いてみた

The mathematics of love

運命の恋人や結婚相手など、理想のパートナーと出会うことは簡単なことではありません。果たして運命の出会いをする方法には何らかの法則があるのでしょうか。数学者のHannah Fry(ハンナ・フライ)氏によると、出会いの確率や出会いのパターンを数値化することは可能なのだと語ります。彼女は出会い系サイトの写真の選び方など、ユニークな例え話を用いながら、数学的根拠に基づいた、運命の恋人と出会う3つの秘訣について語りました。(TEDxBinghamtonUniversity2014 より)

理想の恋人と出会う確率

ハンナ・フライ氏:今日、私は恋愛における数学について、お話ししたいと思います。数学者が恋人探しに卓越しているということは周知のことと思います。これは私たちのガツガツした性格や巧みな会話スキル、あるいは優れたペンケースだけのせいではありません。

私たちはどうやってパーフェクトなパートナーを見つけるかという計算をすさまじいほどやってきたのです。

ここに「どうして私にはガールフレンドがいないのか」というタイトルの、私の好きな論文があります。

Peter Backusが自分の恋人探しついて考察したものです。ちなみにPeterがすごく高望みというわけではありません。

英国にいるフリーで交際可能な女性の中から、Peterが探したのは、彼の近くに住んでいて、

適正な年齢層で、

大学の学位を持っていて、

彼と気が合いそうで、

魅力的で、

彼のことも魅力的だと思ってくれそうな誰かです。

(会場笑)

英国全土から26人の女性がはじき出されました。いい結果とはいえませんよね。より広い視野で見てみると、これは地球外生命体nのもっとも正確な予測数の、たった400分の1にすぎません。

そして、Peterが一晩出かけてその特別な女性たちの1人に出会うチャンスはわずか285,000分の1です。これを見れば、数学者たちがわざわざ夜に出かけていって恋人探しをしない理由が明らかだと思います。

恋愛は多くのパターンに満ちている

私は個人的にはこういった悲観的な見解には同意しません。なぜなら、どんなにうまくやったとしても恋愛がそのとおりにうまく運ぶとは限らないからです。人間の感情というのは、合理的にきっちり整理整頓されてはいませんし、容易に予測することもできません。かといって、数学が無能というわけでもないと私は思います。

というのは、私たちの人生の大部分を占める恋愛というものは、多くのパターンに満ちているからです。そして数学は究極的には、パターンの学問と言っても過言ではないでしょう。

天候の予測や株式市場の変動、天体の動き、都市の成長のパターンなども、本当のところは、きっちり正確なものではなく、簡単に予測できるものではありません。

数学はとても有益で、ほぼすべてのものに新しい観点のポテンシャルを示してくれると私は思います。それがたとえ、恋愛のように神秘的なものであったとしても。

というわけで、数学がどんなに素晴らしく、卓越していて、示唆的であるかをあなたに証明するために、私が考える数学的に検証可能な恋愛に関する3つのヒントをご紹介しましょう。

自分のルックスの良し悪しは人気には影響しない

それではさっそく、1つめ。

どうやってオンラインデートを勝ち取るか。私のお気に入りのデートサイトにOkCupidというものがあります。これは数学者のグループが始めたサイトなんです。

彼らは数学者ですから、ここ10年ほどのユーザに関するデータを収集しています。そのデータを用いて、ユーザが自分自身について話す話し方やデートサイトにおいてどのように交流するかのパターンを見つけ出そうとしてきました。そして、興味深い研究結果にたどり着いたのです。

私が特に気に入っているのは、自分のルックスの良し悪しが人気には影響しないということが、このオンラインデートサイトでわかることです。そして実際、自分はルックス的にイマイチだと思っているような人が有利だったりもするのです。

どういうことか、説明しましょう。ありがたいことにOkCupidの無料セクションでは、人々があなたのルックスをどれだけ魅力的に思っているかを1-5でランク付けしてくれます。

その平均スコアや、受け取ったメッセージ数を比較すれば、オンラインデートサイトにおいて、魅力が人気とどう関連するかがなんとなくわかってくるでしょう。

OkCupidにより作成されたグラフで、重要なことに気づかせてくれます。あなたのルックスが魅力的であるほど、より多くのメッセージを受け取るわけではないということです。

そうするとここにある疑問が浮かび上がってきます。

ルックス魅力度のスコアが同じなのに、下の赤いエリアの人々とより多くのメッセージを受け取っている上の青いエリア人々との違いは何でしょうか? 単刀直入に、ルックスだけが重要ではないということです。ひとつの例を挙げて、説明してみましょう。

例えば、誰もが美人と認めるポーシャ・デ・ロッシのような女性がいるとします。

彼女を不細工だという人はいませんが、スーパーモデルというほどでもありません。

ポーシャ・デ・ロッシとサラ・ジェシカ・パーカーを比べた時に、

私も含め多くの人々が、サラ・ジェシカ・パーカーは、本気で素晴らしく、考えようによっては地球上を歩行する最も美しい生き物だと思っています。でも一部分の人々は、例えば、インターネットなんかで、彼女はちょっぴり馬に似ているなんて言われているのを見かけます。

(会場笑)

出会い系サイトでは自分をよく見せようとしないほうがうまくいく

さて、もしみなさんにサラ・ジェシカ・パーカーやポーシャ・デ・ロッシのルックス魅力度を1-5のスコアで評価していただいた場合、おそらく彼女たちの平均スコアはだいたい同じくらいになるでしょう。

でも個々の評価は全然違っていると思うのです。つまりポーシャのスコアはみんなが彼女は美人であると認めているので、だいたい4ぐらいが集中するでしょう。それに対し、サラ・ジェシカ・パーカーの場合、意見は二分し、スコアにも大きな開きが出るでしょう。

実は、この開きが重要なんです。この開きこそが、オンラインのデートサイトにおいて、あなたの人気を上げてくれるのです。つまり、あなたのルックスを魅力的だと思う人が一部分いるのであれば、魅力的だと思わない圧倒的多数の人がいたとしても、あなたにとってはベターなのです。全員に隣の家のかわいい子と思われるよりずっといいのです。

これは、メッセージを送る人々の観点から考えてみると、より道理にかなっています。あなたが誰かのことを魅力的だと思ったとして、他の人々は必ずしもその人に興味がなさそうだとします。それはあなたにとってライバルがより少なく、連絡を取り合う上で有利だということを意味するのです。

それに対し、あなたが誰かを魅力だと思ったとして、でもみんなもその人のことを魅力的だと思いそうな場合、素直に考えると、フラれることを心配しませんか? ここからがおもしろいところです。

なぜならみんな、オンラインのデートサイトに使う写真は、できるだけ人々が魅力的ではないと思わなそうな写真を選ぶからです。

典型的な例を挙げると、例えば、ぽっちゃりさんは念入りにすごくトリミングされた写真を選んだり、あるいは、はげた男性ならわざと帽子をかぶった写真を選んだりします。

でも実は、うまくやるためには、まったく逆のことをすべきなのです。自分をよく見せようとする代わりに、他の人たちとの違いをアピールするのです。

たとえそれが、あなたにとってはコンプレックスだとしても。なぜなら、あなたに魅力を感じる人々はいずれにしてもあなたに魅力を感じるし、それ以外の人々はあなたの表面的な長所しか見ていないのです。

どうやってパーフェクトなパートナーを選ぶか

では2つめです。

どうやってパーフェクトなパートナーを選ぶか。デートがすごくうまくいったとしましょう。ここで、どうやってこの成功を長期的な幸せへと切り替えるか、とりわけどうやって今が落ち着き時だと決心すればいいのかという疑問がわきます。

一般的に、あなたに興味を示しうまくいった最初の人とさっさと結婚してしまうのは賢明ではありません。しかしながら、長期的な幸せを手に入れるチャンスを最大限にしたいのであれば、いつまでも独り身でいたくもないでしょう。

私の大好きな作家、ジェーン・オースティンが「27歳の未婚女性はもう2度と愛情やときめきを感じられる望みはない」と言っています。

(会場笑)

ジェーン、どうもありがとう。愛についてよくご存じですね。

問題は自分の人生において与えられたデート期間内で、どうやって今が潮時だと知ることができるかです。幸いここにも私たちを救ってくれる「最適停止問題」と呼ばれる実におもしろい数学的なヒントがあります。ではイメージしてください。

15歳で初めてデートをして、理想的には35歳までには結婚したいと仮定します。あなたの人生を通してデートする可能性があり長所のレベルも幅広い人々が多く現れます。

結婚できるのは一度だけというルールの下では、その先にある可能性を知る由もないし、同時に、心変わりをしたからといって戻ってくることもできません。少なくとも私の経験では、たいていの人は他の人を選んで立ち去った後に、再度呼び戻されるのは好まないものです。

ですから数学は、真剣に結婚する可能性があるすべての人のうち、最初の37%の人まではプロポーズを断るべきだと説いています。

(会場笑)

そして次に現れるこれまで出会った誰よりもすてきな人を選ぶのです。

ここに例があります。あなたがこの理論を実行して数学的に証明することができれば、事実、パーフェクトなパートナーを探すにあたって、チャンスを最大限にするベストな方法なのです。

1つ残念なことに、この方法にはリスクが伴うことをお伝えしておかなくてはなりません。例えば、最初の37%の中にあなたにとってパーフェクトなパートナーが現れてしまったらどうします?

不幸なことに、あなたは振らなくてはいけないんです。

(会場笑)

数学に従うなら、それまで出会った誰よりもすてきな人はもう現れないでしょうから、あなたはすべての人を振り続け、1人ぼっちで死ぬことになります。

(会場笑)

おそらく、猫たちがあなたに寄り添ってくれるでしょう。もう1つのリスクについてです。むしろ、最初にデートした37%の人たちが冴えない、退屈な、酷い人々だったら、どうでしょう? 

あなたはその時、「振る」フェーズにいるわけですから、問題はありませんよね。あなたはその人たちを振ります。でも想像してみてください。

次にやってくるのが、今まで出会った誰よりも辛うじて少ししか退屈じゃなくて、少ししか冴えなくて、少ししかひどくない人だとしたら。

数学に従うなら、あなたはいわゆる準最適なその人と結婚しなければなりません。本当に気の毒なんですが。でもHallmark(グリーティング商品メーカー)にとっては商売の好機ですよね。

「私の愛する旦那様。あなたは、私がデートした最初の37%の人々よりほんのちょっぴりしかひどくなかったの」なんていうバレンタインデイのカードとか。

(会場笑)

普通よりロマンティックですよね?

この方法は100%の確率で成功するわけではありませんが、他のどんな戦略にも勝るものではあります。そして実際、自然界にはこの戦略を採用するある種の魚が存在します。

その魚たちは、交配時期に出合った最初の37%の恋の相手は拒絶し、次に現れるこれまで出会ったどの魚よりも大きくて頑丈な魚を選ぶのです。

人間もある程度、潜在的に同じことをしているのだと思います。私たちは若い時に、フィールドに出て少しの間、市場というものを肌で感じます。そして20代半ばから後半に差し掛かる頃、本気で潜在的な結婚相手を探し始めるのです。

これはすべての人の脳に、数学的な思考回路が予め配線されているのだという決定的な証拠だと思います。というのが、2つめでした。

離婚を避けるにはどうしたらいいか

そして3つめです。

どうやって離婚を避けるか。では想像してみましょう。あなたはパーフェクトなパートナーを選び、その相手と人生を通した関係を築こうとしています。すべての人は理想的には離婚を避けたいと思っていると思います。ピアース・モーガンの奥様は別かもしれませんが。

でも悲しいかな、現代社会において、米国内の2組に1組の夫婦は離婚をしていますし、その他の国においても、ほとんど変わらないのが実状です。さて、結婚を破綻に導く口げんかは理想的な数学の研究対象ではないとお思いになるかもしれません。

1つには、計測したり定量化するのが大変困難です。でも心理学者のジョン・ゴットマンはそれで挫けることはありませんでした。まさにそれをやってのけたのです。ゴットマンは数百組のカップルが会話する様子の思いつく限りあらゆることを観察し、記録しました。

彼は、会話の中で何が言われているのかを記録し、各カップルの肌の伝導力を記録し、顔の表情を記録し、心拍数や血圧、基本的に妻がいつも正しいということはさておき、すべてのことを記録しました。ちなみに言うなら、妻がいつだって正しいのですが。

そしてゴットマンとそのチームは、あるカップルが離婚するかどうかの最も重要な予測の判断材料の1つは、会話の中でそれぞれがどれだけポジティブか、ネガティブかだということに気づきました。

離婚するリスクが低いというスコアが出たカップルはゴットマンの基準におけるポジティブなポイントが、ネガティブなポイントよりはるかに多かったのです。

一方で、よくない関係、つまり離婚しそうなカップルにおいては、負のスパイラルに入り込んでしまっていました。これらのシンプルなアイディアを用いて、ゴットマンとそのグループはどのカップルが離婚しそうか90%の正確さで予見することができます。

数学者ジェームス・マレーと共同で、なにが負のスパイラルを引き起こすのか、どうやって引き起こされるのかの推測が進められました。彼らが導き出した結果は、びっくりするほどシンプルで興味深いものです。

この方程式は妻や夫が会話の次の自分の番の時に、どう返答するか、どれだけポジティブあるいはどれだけネガティブかを予測するものです。これは彼ら自身の気分やパートナーと一緒にいるときの気分によっても変わるのですが、最も重要なのは、どれだけ妻や夫が相手の気分に影響を与え合っているかということです。

離婚の瀬戸際の夫婦は、核戦争を始めようとしている国と同じ状況

ここで指摘しておきたいのは、これらの方程式は2国間で起きている軍備競争を完璧に描写しているということです。

(会場笑)

つまり、口論から負のスパイラルに入り込み、離婚の瀬戸際で危うい状況にあるカップルは、数学的には核戦争を始めようとしているのに等しいのです。

(会場笑)

しかし、この方程式において本当に重要なのは、人々のお互いに対する影響、特にネガティブの閾値と呼ばれるものです。ネガティブの閾値というのは、夫がどれだけイライラさせれば妻が出て行くかといったことです。逆もまた然り。

私は常々、よい結婚とは妥協と理解、そして自分らしくいるための余地を相手に許すことだと思っていました。ですから、よりよい関係におけるネガティブの閾値(しきいち)はそれは高いのだと考えていたのです。

たいていのことは受け流し、大事なことだけ議題に上げるカップルのように。でも実は、数学や後続の研究結果によると、事実は全く逆でした。ベストカップル、または多くのうまくいっているカップルのネガティブの閾値はとても低いのです。

うまくいっているカップルは、どんなことも受け流したりせずに、お互いに不満を言い合う余地を残しています。継続的に関係を修復しようと試み、結婚に対する見解もはるかにポジティブです。どんな些細なことも受け流さないことが、結果的に大きな違いになるのです。

もちろんよりよい関係を築くにあたって、ネガティブの閾値を低くして妥協しないことだけでは十分とは言えません。でも数学的に「怒りを溜め込むべきではない」ということが証明できるなんて、すごくおもしろいと思いませんか?

これらが私のご紹介する、恋愛やその後の関係において、役立つかもしれない3つのヒントです。でもこのヒントと一緒に、ほんの少しでも数学の力の素晴らしさをあなたに知っていただけたらうれしいです。

なぜなら私にとって、方程式や記号はただの「もの」ではないのです。それは素晴らしく豊かな自然や、私たちすべてを取り囲む、曲がりくねってねじれながら進化するパターンの驚くほどのシンプルさをずばり語る声なのです。

どんなふうに世界が動き、どんなふうに我々は在るのか。カップルのみなさんにおいては、恋愛に関する数学の洞察の一部が、ほんの少しでも数学への愛につながりますように。ありがとうございました。

(会場拍手)

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