「働く」とは、自分の命を使うこと

堀潤氏(以下、堀):俳優で、リバースプロジェクト代表の伊勢谷友介さんです。よろしくお願いします。

伊勢谷友介氏(以下、伊勢谷): こんばんは。よろしくお願いします。

:伊勢谷さんは、ニコ生ってよくやるんでしたっけ?

伊勢谷:よくはやらないですね。

:出ることはあるんですか?

伊勢谷:何回か出させていただいたことあります。

:今日は、コメントを色々拾いながらやっていきたいと思うんですけれども。今日はまさにテーマがですね、「働く」ということについて。まず、率直に言って、伊勢谷さんは「働く」ってことについてどんな考え方を持っている人なんですか?

伊勢谷:これは僕が若いときから持っていたものではなくて、ある程度、俳優をやったその後、リバースをやってから思うことなんですけど。まず最初の捉え方として、『働く』っていうことは人生のなかで一番、大きなアクションになっていくと思うんですね、社会的に関わっていくと。

であるから、要は命を、一番どこの、何のために、使うか。そのために活動することだと思っているんですよね。だから、それが「働く=お金」の人が多いなかで、そういうふうな形じゃない目線で僕は見ているのかな、と思います。

:まさにリバースプロジェクトでは、社会の問題を一つずつ問題を掘り起こして、みんなで集まって変えていくようなことっていうのをずっとやられていますよね。

伊勢谷:そうですね。楽しいですよ。でもまあ、楽しいというのもちょっと語弊があるのかな。あまりにもたくさん問題がありすぎて、僕らの場合はアイデアを必ずそのエグゼキューション(実施)にきちんとしないかぎり、アイデアなんかクソだ、っていうふうに思っていまして。

:ほう。つまりどういうことですか。

自分で実行していくことの重要性

伊勢谷:思ってるだけでもダメなんですよ。たとえば「愛してる」と言ってるだけでもダメ。ちゃんと形に、行動にしてあげないと、人には伝わらないものなんですよね。普段から色々つぶやく人っているじゃないですか。それに行動が伴って、自信持ってやってくれている人を見るとすごく嬉しいんです。

簡単に言うと、たとえば「劇場型の政治」ってよく言われていますよね。僕が感じているのは、一般である我々っていうのは、どうしたって直接的に政治に関わるっていうことがなかなか出来ない状態だということ。実際に投票率も60%を切っていて、これだと間接民主主義という形が、本当に「民主主義(として機能している状態)なんだろうか?」と思ってしまう。

要は、ちゃんと自分で実行していくというような形が成立してないものっていうのは、あまり意味はないんじゃないかな、と考えているところですね。

:まさに、この間の参議院選挙(2013年7月の参院選、結果は自公の大勝)では、伊勢谷さんと一緒に参議院選挙の特番やったんですよね。

伊勢谷:すいません。お邪魔しました。

:本当に、テレビ神奈川の番組なんですけど、テレビ神奈川の画面がすごい豪華になるっていう……。

伊勢谷:いえいえ、とんでもない。そんなことないです。

:神奈川県民のみなさん、すごい喜んでいましたけど。結構、面白い特番でしたよね。ひたすら政局を伝えるんじゃなくて、政策について議論する選挙特番、という形で。やっぱり当事者制の話とか結構出てきましたもんね。

伊勢谷:そうですよね。もうそれこそ、青木大和君が、まさかの未成年なのに、あれだけの。

:未成年で投票の権利がないにもかかわらず、選挙特番でコメンテーイターとして入っているという。

伊勢谷:うん、それだけの意識のある子が育ってきている、っていうことだとは僕は思うんですよね。

全人類に「正しい」と思われることをしたかった

:伊勢谷さんは俳優業をされていらっしゃって、そのなかで具体的にこうして「社会を直接的に変えていく」というようなメッセージを発信していく活動を始められました。俳優業の世界でも、それをやるほうと、そうじゃないほうに分かれると思うんですね。

ハリウッドに行くと普通にNPO持っていたりとか、慈善活動やったりとか、色んなアクションとるんですけれども、日本はまだまだ少ないと思うんですよ。そういうなかで、伊勢谷さんはなぜ、そういう道を選択したのですか?

伊勢谷:はい。僕自身がですね、実は映画を作るっていうために俳優を始めた、その俳優をやるためにモデルをやった、という経緯があったんです。そしたら27の時に『カクト』という自分の映画を撮らせてもらえて、無事公開し終わることが出来た。そこでまあ、監督をするっていうのは達成したわけじゃないですか。そのとき「じゃあ、僕自身は何のために生きているのか」っていうのを、もう一度、自分に聞いたことがあったんです。

じゃあまず、僕はどういう風になりたいの、って考えたときに、もうすごい単純なんですけど、「色んな人に好かれたい」とか「仲間がいっぱい欲しい」みたいな、誰もが考える普通のことを思ったんです。そこから始まって考えていくときに、じゃあ、誰からも否定されない「目的」っていうのを持ちたいなと。

それって誰からも否定されない、全人類が「それは正しいよ」と言えることですよね。つまり人類が地球に生き残るためのこと。その行動をしている人になりたい、って考えたんです。

次に人類が地球に生き残るために、僕の命は地球に使い捨てていくものだと考えた時に、どういうふうな活動をしていけばいいのかな、って考えました。もうその当時から俳優をやらせて頂いていて、皆さんに見ていただける、そういうきっかけがあったんです。その分だけ行動したときに、人に伝えられることが多いんじゃないか。

で、そのなかで人類が地球に生き残るための株式会社、っていうふうな形態をとるようになりましたね。

日本人は集団になると変化を拒む

:これまでの議論でも、働くっていうこと、つまり「労働観」については、それぞれの立場の人が、色んな思いを描いていたんですけれども。たとえば出た話で言うと「ワークとジョブは違う」とかね。ワークっていうのは自分で何かクリエイトしていくもの。ジョブは与えられているものだ、とか。

後、ホリエモンさんとかが言っていたのは、とにかく計画を立てずに、思いついたことを全部実行していくんだ、ということ。さっきおっしゃったことに近いですよね……。逆に小利口な奴はダメだ、とかってね。

伊勢谷:それ結構、賛成しますね。

:おお、というのは?

伊勢谷:やっぱりこう、日本の官僚の方もそうですし、個人個人、日本人それぞれと会うと本当にいい人なんですよ。でも人間が企業のような集団になったときにですね、何か変化を起こそうとするものに対して、それに対する労力ってかなり大変なものになるので。後はリスクヘッジだったり、リスクを負うっていうことも、同時にしなくちゃいけないんですね。でも、集団になった瞬間に、人々っていうのは急にそれをやらなくなってくるんです。

なので私としては、やっぱりそういうふうに止める側ではなく、きちんと自分の思ったことを実行できるような人でありたいな、と思います。固着化していく会社、最終的には変化について来られない会社っていうのは潰れるべきだと僕は思うんですよ。

で、そうならない会社になるためは、何の目的のためにこの会社があってこの変化を必要としているのか、と思った瞬間に、それぞれがちゃんと自分で責任を負って、失敗できるような世の中、そうあるべきなんじゃないかな、っていうのは、すごく思っていましたね。

:さっき、一番問題なのは、リスクさえも把握できない小利口さだ、ってことをね、言っていました。それはそうだなと思いました。

伊勢谷:なるほど、リスクだけわかっててもダメですしね。

ニューヨークで気づいた、他人の優しさ

:伊勢谷さんが、どうしてそういう思考を持つようになったのかっていうの、非常に気になるんですけれども。留学もされているんですよね。

伊勢谷:そうです。23のときですね。大学院の1年生の時ですね。

:振り返ってみると、その留学体験っていうのは……。

伊勢谷:いやあ、僕にとっては、初めての海外での長期。とはいえ、1ヶ月と少しだったんですね。

:どちらへ行かれたんでしたっけ?

伊勢谷:アメリカのニューヨーク。NYUという大学で「ビギ二ング・フィルム・プロダクション」という、映画の制作を短い期間で勉強するというところでした。で、それを取らないと映像を勉強するためのアメリカの大学院に入れない、ということで受けさせてもらったんです。

:まさに、世界中から映像を目指す人が集まってくる場所ですね。

伊勢谷:そうなんです、よくご存じですね。

:僕もUCLAで映画関係の留学を、まさに去年していたんですよ。

伊勢谷:えー!

:はい。やっぱり"ニューヨーク"だなと。留学先色々見るとき、ニューヨークのNYUの話とかあって。本当にでも、すごく刺激される部分が大きかった。

伊勢谷:いやあ、とっても大きかったですね。23歳ぐらいの時って、外国人に対して何者だかわからない、怖いって思っている。多分皆さんもあると思うんですけど。よくよく考えると、みんなが食ってるものも、吸ってるものも、生えているものも、脱糞してるものも、大体似たような素材でできておりまして。彼らが必要なものも、われわれが必要なものも、あまり変わらないんですね。

それは精神的にも同じで。僕らが世界の彼らに対して、どんな行動を取る人なのかもわからない「どんな人間なんだ!?」と思うように、向こうもそう思っている、というのを実感できる時間になりましたし。後はそれこそ、たくさんの世界、国から来ているので、それぞれの人たちと会うことで、僕自身もまだ成長の過程のなかということもあり、なかなか自分で実行できなかった。

伊勢谷:「他人としての優しさ」だったりとかをもろに、自分に身体で感じさせてもらったときに、はあ、自分も優しくなれるんだ、ならなくっちゃいけないと。そうなれたことによって与えられるエネルギーって、ものすごく大きいんだ、っていうのを感じたのが、僕はすごく嬉しかったですね。

:やっぱりしんどくて、優しさを実感するような機会が結構あった、ってことですか? 人からの優しさを。

伊勢谷:そうですね、しんどくはなかったんですよね。僕自身のあけっぴろげな性格によるところもあると思うんですけれど。ただ大変だった。何が大変かなと思うと、僕、東京芸大出身なんですけど、芸大でやるよりも全然短い期間で実行しなきゃいけない課題が多いんですね。その分だけヘビーではありました、体力的に。

ただその分だけ人と関わらなくちゃいけないし、自分の中だけでコンテを描いたり、ストーリー書いたりって考えなくっちゃいけない。その充実感たるや。帰ってきて、芸大否定していましたからね、僕。

:ははは(笑)。「みんなも出て行ったほうがいいぞ!」みたいな。

伊勢谷:そうですね、より実践的だったのもありますね。