「僕の好きなのは筋肉とスーツ」外見にこだわる男が語る、美学や粋の重要性

外見に凝ったっていいじゃない

筋トレをして体中の筋肉を鍛えたり、テイラーの元でオーダーメイドのスーツを作ったりして、徹底的に外見にこだわる男はナルシストでしょうか? 「人は外見ではなく中身だ」とよく言われますが、筋力トレーニングのトレーナーを務める星野雄三氏は「外見にこだわたっていいじゃない」と語ります。彼は筋肉を鍛え、オーダーメイドスーツを身に着けたことがきっかけで、外見を変えることで内面も変わっていくことを確信。スピーチの中で「ぜひ物にこだわりを持って欲しい」と人々に呼びかけました。職人が手間と時間をかけて作った着物やスーツを身に着けることは文化の継承にもつながります。皆さんもぜひ見た目に対する美学を持って、粋を感じるこだわりの一品を探してみてくださいね。(TEDxUTokyo2014 より)

外見にこだわたっていいじゃない

星野雄三氏:よろしくお願いします。皆さん、何かしらこだわりがあると思うんです。今日の僕は「外見にこだわたっていいじゃない」っていうタイトルで。もっとみんな外見にこだわってもいいと思ってるんです。

こんな格好で言うのもアレなんですけどね(笑)。口笛も皆さん、人生初だと思うし、ふんどしで話す奴も初めてだと思うんで、概してランチ後というのは眠くなりますから、寝ないようにしていただいてほしいなと思います。

それではプレゼンを始めさせて頂きます。よろしくお願いします。

今日は僕の2つのこだわりを話したいと思います。1つ目は筋肉。僕は筋肉の研究、生理学の研究をしているんです。僕がなぜ筋肉にこだわるのかっていうのを、まずお話ししたいと思います。

僕は高校時代、アメリカンフットボールをやっていたんです。だから、そもそも鍛えなくちゃいけなかったんですね。敵に勝つために。

僕は結果的に自分の体を自分でデザインしていくことに徐々に喜びを覚えて、筋トレを始めていったんです。

大学では怪我もあり、健康法というものを学びました。そこから筋肉が好きすぎて、僕は筋肉の研究をすることにしたんですね。毎日バナナを食べ、プロテインを飲み、筋トレをするっていう生活を毎日してたんです。

体を変えていくうちに、内面までもが変わっていく

僕のこだわりなんですけど、こだわりが昂じすぎて、トレーナーをやり始めたんです。そうやって、僕にとってのこだわりを人に伝えていったんですね。

最初の目的は、健康になるとか筋肉をつけさせるとか、脂肪を減らすとかだったんです。ただ、やってみておもしろいことに気付いたんです。

もちろん、みんな最初は「はやく痩せさせてくれよ」、「でかくなりたいんだ」って言ってるんですけど、やっていくうちに、「あ、自分の体をこういうふうに鍛えていくんだ」っていうことで、そもそもの過程を楽しみ始めちゃう。どういうふうに腕立てをやるとか(笑)。

そういうことに関して、みんなおもしろがってくれることもあります。

それがとてもおもしろいなぁって思って、アイドルとか経営者とかアーティストとかに教えていって、みんなが体を変えていくあいだに、意外に内面までもが変わっていくってことがおもしろいなって思い始めたんです。

そんなある日、僕の所に、あるお客さんが来たんです。それが今回の話のキーである、山本さんという方との出会いです。

初めから言うと、こだわりはスーツだったんですね。ただ、僕は最初はスーツに興味が無くて、彼はすごく楽しくスーツの話をしてくれるんですけど、僕はやっぱり他人事だったんです。

それはなぜか。気持ちは分かると思うんですけど、鍛えている人はだいたい分かるのですが、体を鍛え始めると、服が無くなっていくんです。

どんどん着れる服が無くなっていく。僕の体は、腕が太くて短い。首が太い。肩幅もある。足も短くてむっちりしている。服を着るの最低な体で。どんどん突っ張られたりして、おしゃれをしたくなくなるんです。だから、興味が無かった。

でも、山本さんは僕がトレーニングについての熱意を語りながら、ポソっと僕に聞いてくれるような言葉で、「星野くんは類まれなるムキムキの体を持っているわけで、実はそれこそがオーダーメイドスーツを着ると、肩幅もあるし、君だけの体とファッションを表現できるんだよ」って言ってくれたんです。

他にも、山本さんはどういうふうに着るかとか、今の職人がどういう問題を持っているかということをいろいろ教えてくれたんですけど。

一番何が僕にとって印象的だったかというと、着る服が無くてくそ面倒くさいって思ってたことが、自分だからこそ、この体だからこそ、表現できるファッションがあるということに気付いたってことなんです。

それが2年前、全くスーツに興味が無かった所から、スーツに興味を持ち始めて、今ではオーダースーツを頼んで、その過程を楽しむ所までチェンジしたんです。

実は僕は来月から1年間スーツの留学をしてきます。俗に言う、筋肉スーツ留学ってやつですね(笑)。よくあるやつです。新しい分野が開拓されたわけです。

僕は2年間を通して、山本さんとこだわりの交換というのを行ってきたわけです。彼は僕にスーツというものを教えてくれたし、今でも彼は朝から駒沢公園で10km走っていますが、僕よりも長距離ランニングをしています。こうやって価値の交換を。僕は今日それを皆さんに伝えたいんです。

オーダースーツが作られる過程を楽しみたい

最初、僕は筋肉という肩書で、服を着ずに来たんですけど、今日は実は「外見に凝ったってていいじゃない」。その2つ目のタイトルは、皆さんにスーツの魅力を伝えたい。

僕はスーツに関わって、2つのことに気付いたんです。1つ目は、外見から変えられる自分がある。トレーニングを通して、みんな外見から内面に変わって来たし、僕自身もこうやって、自分をおしゃれにすることで、より人前で話すのが楽しくなった。

僕がおもしろいと思ったのは、みんなスーツにこだわればこだわるほど、手間が掛かるんです。まず、皆さん最初は量販店で買いますよね。ここも学生が多いから、それが一番最初だと思います。

オーダースーツというものの入り口を一回踏むと、3~5万円かもしれないですけど、1回借り着というものを着て、結局頼んでから自分の体のサイズを確かめにいかなきゃいけない。

フルオーダーっていう手作りのやつは、2回行かなきゃいけない。そうすると、服が欲しいと思ったときに、2か月後に入って来る。

もっと興味を持ち始めて、ナポリとかミラノのディーラーから頼むと、3か月、半年、1年とか掛かるんです。僕がもし留学でスーツを作りたいってナポリで頼んで、1年経ったら帰って来ちゃう。すごく時間掛かるんです。

でも、そこまでやって、彼らは何をしたいかというと、過程を楽しんでいるんです。僕も、最初はボタンがどうとか難しかったですし、着こなしですとかが面倒くさい。

僕が初めてスーツを作ったときの人たちの工房があるんですけど、そこではバーがあって、サロンみたいな感じで、着こなしを覚えて、新しいグッズを買ったり報告しに行ったりすると、お酒がタダで出て、スーツの会話を楽しんでいるんですね。

このスーツも留学が受かってから、注文して2か月ぐらい楽しんで待ってたんですけど、結局その方も、こうやってTEDの話とかを後日報告しに来るってことになったんですね。

僕が今日伝えたかったのは、ナポリとかの注文をしている人たちは、3か月、半年掛けて50万円とか100万円の注文を毎回していただいている。

僕の知人の方が一言言ったのは、「僕が欲しいのはスーツそのものじゃなくて、ナポリの彼が持って来る生地や提案が楽しみで、お金を払っている」。静的な物を手に入れるってことじゃなくて、その過程を楽しむこだわりっていうのを、今日皆さんに伝えたいんです。確かに、お金を払えば物はすぐ手に入るんですけど、物のやり取りというのは、そういうことじゃ無いんだよっていうのを伝えたいんです。

“こだわり”には粋や美学が存在する

さきほど登場した山本さんやナポリ人、その他の日本人のスーツ好きの人に聞いてみると、やっぱり問題があって、それは後継者不足っていうことなんです。

これは世界的な問題です。当然イタリアも。僕が来月行くのも、その問題を何とか解決しなければならないと思って行くんですけど、要するに、みんな今作っているのはおじいちゃん。

テイラーとかいって、30~40代のおしゃれなお兄さんが対応しているけど、実はうしろで作っているのはおじいちゃん。だから、もし僕やここに居る若い人たちがお金を稼いで、注文しようとしたときには、もしかしたら後継者がもう無くなっているかもしれないんです。

だから、こだわりたいときに物がもう手に入らないかもしれない。僕はそこに危機感を覚えています。

ただ、後継者が不足しているっていうのはその裏に問題があって、それはこだわる人が減ったっていうことなんです。みんな、どんどんインスタントに物を手に入れたがっていうるし、そっちのほうが簡単なんです。

さっき言ったように、最初は面倒くさい。でも、僕はそのこだわりに粋とか美学というものが存在すると思うし、もっとみんなかっこよくなれるポテンシャルがある。

だから、僕の今のテーマというのは、どうやったら、服もしくは物事全てにこだわれる人間が増えるかなっていうことなんです。

僕なりに考えていて、どうやったら人に魅力を伝えられるのかな。それはこうやって人に話すっていうことですよね。

一流のものを目指す人が粋だと思われる世の中にしたい

あとは日本にも同じ問題が存在して、それは例えば着物とか伝統文化とかですよね。友達に「星野くん、ぜひ来て下さい」って新潟県の十日町の人に呼ばれたんです。十日町って何が有名か知ってますか?

1つ目はコシヒカリですよね。これは当然おいしいからみんな食べるんです。もう1つはコメから作られる日本酒。

そしてもう1つは、衣食住の衣ですけど、カラムシっていう麻の一種です。これは昔着物として着られていたんですけど、当然皆さん、ここに着物を着ている人はひとりも居ないです。

居たら教えてほしいですけど、着物を着ている人は居ないわけです。だからスーツよりも危機的な状況なんですね。誰も注文しない。

僕は日本の魅力をイタリアに伝えられたら。もっとおもしろい思うし、イタリアの魅力を皆さんに伝えるために、僕はここに立っています。だから、今は何をしようかなって悩んでいる最中なんです。

趣味の延長もあって、今日はふんどしを着けてみたんです(笑)。それがこれです。

縄文時代からある麻・稲というものを使って、着物は当たり前ですけど、こういう下着にもできるし、実は今風のスーツにもできるんです。

これは大変申し訳ないですけど、ミャンマーの工場に依頼して、届くはずだったんですけど、トラブルがあって、今日は皆さんに見せられなくて、大変悔しい限りです。

彼も着せるつもりで、ここに呼んだんですけど、結果的にこういう思いをしているんです(笑)。

今日僕が皆さんに伝えたかったのは、本当にただ、こだわりを知ってほしいということなんです。僕は筋肉を研究して、今スーツを研究しようとしています。

そんな僕だからこそ言えることは、筋肉を変えれば自分が変わってくるし、スーツを着ることで、もっと自分の物への態度というのが変わると思います。

僕は、例えば、そういう洗練されたものや一流のものを目指す人が粋、かっこいいねって思われるような、みんなが尊重し合うような社会になればいいと思います。

もし良ければ、皆さん、今後もスーツを楽しんでほしいし、スーツに関して話しましたけど、全ての物に対して言えることなので、ぜひ物にこだわりを持ってほしいっていうのが、今日皆さんに伝えたいことでした。

ありがとうございました。

Published at

スピーカーをフォロー

関連タグ

人気ログ

人気スピーカー

人気コミュニティ

ピックアップ

編集部のオススメ

ログミーBizをフォローして最新情報をチェックしよう!

人気ログ

人気スピーカー

人気コミュニティ

ピックアップ

編集部のオススメ

そのイベント、ログしないなんて
もったいない!
苦労して企画や集客したイベント「その場限り」になっていませんか?