SNSとレビューシステムが抑止力になる--シェアリングエコノミーのトラブル対応策

シェアリングエコノミーの今 #3/4

IVS 2015 Spring Miyazaki
に開催

IVS 2015 Springの本セッションを前に行われた特別インタビューに、スペースマーケット・重松大輔氏、akippa・金谷元気氏、DeNA・原田明典氏が登壇。立命館大学准教授・琴坂将広氏をモデレーターに、各社がシェアリングエコノミーの信頼性を担保するために工夫していることを紹介。akippaとスペースマーケットの2社は、ユーザー同士のトラブルが起こりがちなCtoCビジネスにおいて、SNSやレビューシステムと連動したサービスが抑止力になっていることを強調しました。

シェアリングエコノミーの信頼性について

琴坂将広氏(以下、琴坂):さて、シェアリングエコノミーがやはり大きな流れになってきましたが、それをどうサービスとして大きくしていくか、どうトラブルのないように安心なものを作っていくかというのが大きなトピックになっているかと思います。その辺りで工夫されている点はあるのでしょうか? ぜひ金谷さんからお聞きしたいんですけれども。

金谷元気氏(以下、金谷):信頼性を担保するために工夫している点として、まず管理は駐車場を貸している方がやるという部分です。私たちは借りたいっていうニーズを届けはするんですけど、管理に関しては貸したい方々が従来の駐車場と同じようにしっかり管理すると。

例えば、月極の駐車場だったら管理人の方が管理していたり、家の前の駐車場だと家の方が管理するというのが従来からありましたので。

琴坂:そうすると、あくまでakippaが管理しているのではなくて、持ってる方が管理していると。

金谷:今はそういう形になっています。管理人がいないところはないことになりますので、ある意味コインパーキングよりも管理人は充実しているという形になります。

琴坂:逆に管理人さんがサボっちゃうとか、寝坊しちゃうとかはないですか?

金谷:基本的には、ほとんどの駐車場が機械式ではなく青空駐車場なので、別にいなくても大丈夫なんですね。寝坊しても、何かあったときに対応さえしてもらえれば大丈夫なので。ただ、オーナーさん側都合のトラブルっていうのはほとんど起きないですね。

琴坂:起きないんですか?

金谷:はい。

琴坂:なぜななのでしょうか?

金谷:やっぱり駐車場って動かないですし、そこにあるだけなので。他の人が勝手に停めてるとかがない限りはそういうのは起きないんですよ。

琴坂:なるほど。スペースマーケットはいかがですか? そういったトラブルというか、問題になることは発生しないんでしょうか?

SNSと連動させてトラブルを防ぐ

重松大輔氏(以下、重松):もっとあるかなと思ったんですけど、意外とないですね。先ほどからシェアリングエコノミーが伸びている大きな要因の1つがタブレットとかスマホの進化であるという話があると思うんですけど、もう1つはSNSなんですよね。

事前に身分を明かして申し込むわけですし、場合によっては事前に一筆書いていただいたりとかもしています。

「こういう条件に同意した上で貸します」というような、基本的にはオーナー・貸し手に優しいというか、貸し手を守るような規約を作っているところがほとんどですので、何かあった場合にもちゃんと請求できるようになっています。

SNSと連動していますので、借りたい人のSNSを見て、その方の友だちリストが明らかにおかしい雰囲気の人ばっかりだったら「こいつは怪しいな」というのはありますし、Twitterとかも見て、その人のタイムラインが「殺す、殺す」みたいなネガティブなコメントで埋め尽くされている(笑)。みたいな人には貸さないほうがいいじゃないですか。そこは一応貸し手に確認していただいた上で貸してもらっています。

ユーザーとオーナーの相互評価の仕組み

ユーザーがオーナーを評価することもできるんですけど、オーナーがユーザーを評価することもできる相互評価の仕組みを入れています。ぜひうちのサイトを見ていただきたいんですが、結構レビューがついてるんですよ。本当にポジティブな。それをみなさんAirBnBみたいに実名で書いてくれるんです。特にインセンティブもないのに書いてくれるっていうのがすごく意外でした。

そこで良質なコミュニティというか、やりとりを見ればオーナーの性格もだいたいわかりますし、ユーザーからもどういうスペースなんだっていうのが多面的にわかるので、それを理解した上で貸し借りをするっていうところがトラブルを起こさなくするための1つの大事なポイントかなと思ってます。

あともう1個は、近いうちに保険サービスのようなものをやっていこうかなと思っています。そうすることで、万が一悪意のない破損とか、何かがあったときにちゃんと保険でカバーできるということになります。それで安心感がまた増えるんじゃないかと思ってます。

琴坂:現状の契約関係はどういった感じになってるんですか?

重松:基本的にAirbnbとか他のプレーヤーもそうですけども、あくまでも我々はプラットフォーマーであって、ユーザーとオーナーの直接契約なんですよね。我々が直接契約するというのは基本的にはあまりないんですよね。

琴坂:原田さん、プラットフォームがあって、その上でつながり合うという契約がやはり一般的なんでしょうか?

ネットのレビューシステム成熟化の流れ

原田明典氏(以下、原田):そうですね。だいたいCtoCですので、やはり信頼性とか、あとは品質ですね。「そういうのってどうなんだ?」という話がだいたいこのシェアリングエコノミーの話のときに出てくるテーマなんですけれども、さきほど重松さんがおっしゃられたとおり、インターネットのここ15~20年の中で、レビューシステムがどんどん成熟してきているんですね。

ネット上の書き込みは信用に足りるのか、ということはあったと思いますし、もちろんファクトもあるんですけどもそれを抽出するのが難しいということがあったと思います。

Web2.0あたりから、だんだん日本だと「食べログ」、USだと「Yelp」だとか、Amazonのレビューもそうですけども、レビューシステムが成熟化してきていて、そのレビューの信憑性を問うようなアルゴリズムが発展してきたということがあります。

さらに第3次ということで、今度はFacebookのような実名アカウントが登場してきて、従来成熟してきたレビューシステムに実名アカウントのFacebookのアカウントログインが組み合わさることによって、ネット上のレビューシステムがかなり信頼性を担保するようになってきています。

昔のヤフオクのアカウントなども点数化されて、当時は進んだシステムだったと思いますけども、今はさらにそこに実名的なところが入っていたり、アルゴリズムもさらに際立ったものが入ってきているということで、より信頼性が増している。

従来プロがやっていた審査とか面接とか、そういった評価に匹敵するクオリティになってきているというのが現状だと思います。

事故・トラブル発生時のリスク

琴坂:それでも防げないような事件・事故ってあると思うんですね。海外ですと、自分の家を荒らされちゃったですとか、車が事故しちゃったとか。そういったことが発生したときのリスクに関してはどうお考えですか?

金谷:akippaの場合は、例えばオーナーさんがマンションの住人さんである場合は住人さんの間でいろいろ会議をされて導入するか決定するんですけど、いつも結論として「コインパーキングよりも安全」とされるんですね。

なぜかというと、コインパーキングはすべて匿名じゃないですか。でもakippaの場合はクレジットカード情報を取っているので、実は個人を特定できている。事前に誰かがわかるっていうすごく強い部分は1つあるんですが、事故っていうリスクはどちらにしてもあるパターンなんですよ。

琴坂:そもそもコインパーキングにもリスクがある?

金谷:そもそもあります。もし起こった場合はマンションとユーザーさんの間で解決することになるんですけども、コインパーキングだったら匿名なので逃げられてもわからないんですよね、調査しないと。でもakippaの場合は個人が特定できているので、結果事故などがあったときも安心っていう部分があります。

シェアリングエコノミーってあんまり安心を担保できないような心配をよくされるんですけど、akippaの場合は既存の業界が匿名制なので、匿名制のところに実名で乗り込むという形でやっています。

琴坂:それは確かにありますよね。もともと家を貸したらボコボコにされたりするかもしれないですし、車でもそうですから。逆にこうやって注目を浴びてるからこそ少しそこら辺が言われているっていうのはあるかもしれないですよね。

金谷:そうですね、やっぱり海外のサービスがどんどんオプトアウトで進めていってトラブルが起きているというのがあるので、そういった部分も影響はしてると思うんですけど。

重松:まぁ新しいものは叩かれると思うんですよね。

琴坂:そういうのありますよね。

重松:この前インドかどこかでUberの運転手が女性を乱暴したみたいなニュースがワッと流れたじゃないですか。でも、日本でも最近普通のタクシーの運転手が酔っ払った女性を……とかっていうのがニュースで流れてましたので、現実社会でも何ら変わることなくあるわけなんですよね。

ただシェアリングエコノミーがいいのは、原田さんがおっしゃったようないろんなレビューシステムだったり、あとはカードでの事前決済を前提としていて個人が特定できるので、エビデンスさえあればちゃんと追いかけられるんですよね。

例えばホテルでも、現金で泊まったら誰だかわからないじゃないですか。台帳も「免許証見せてください」とかIDチェックが厳しくあるわけではないので、よっぽどそっちのほうが危ないと思います。

金谷:Airbnbは必ずパスポートを必ずスキャンしないとできないですよね。

サービスを提供するプラットフォームとしての対応

琴坂:プラットフォームですので、今は契約関係は提供する側と売る側が直接やると思うんですが、akippaプラスのような付加的なサービスをやったりすると、やはり契約関係は変わってきたりするんでしょうか?

金谷:akippaの場合は駐車場を借りたい人とスペースを貸したい人なんですけど、akippaプラスになると空き時間を提供したい人が相手になりますので、やっぱり契約はまったく別になってきますね。保険もまったく別で準備はしています。

琴坂:昔、百貨店で問題になったのが、百貨店の店子とお客さんとの契約の問題です。お客さんは、たしかにその店子と直接契約したんだけども、百貨店の名前のおかげで契約したのだから、百貨店にも責任があるというような判断があったと聞いていますが、そういった問題は起きたりしないでしょうか?

契約関係は確かに結んではいないというか、プラットフォームとして提供しているだけなんですけれども、プラットフォームの責任が問われるような事態は想定しているんでしょうか?

金谷:akippaプラスの場合はやはり人なので、しっかり間に入るようにしています。CtoCというのもakippaが提供するサービスとして提供してますので、事故があった場合もすべてakippa加入の保険で対応はしていきます。

一方でスペースの場合はそういったことがないように契約にもしっかり示していますし、そもそもコインパーキングで事故があったときにまずタイムズさんに電話する人なんて実はいなくて、警察に当然電話するので、そのあたりは常識の範囲内で判定していただいています。ですので、そういった問い合わせは一切ないですね。

現在の利用者はリテラシーの高いイノベーター層が主流

琴坂:なるほど、スペースマーケットはいかがですか?

重松:我々の場合、例えばユーザーがオーナーとやりとりをしたときにオーナーが全然連絡が取れなくなってしまったような場合に関しては、我々が間に入って仲裁のようなことをやっています。万が一のために、我々を守るような保険にも一応入っていますね。使ったことはないですけど。

琴坂:なるほど。この辺の流れというのは、業界で各社が努力をしていったというのが中心だと思うんですけども。原田さんにお聞きしたいんですけども、ここら辺のどこを自治体であったり政府が絡んでいくというか、検討していくだとか方向性を指し示していくのかっていうところでお考えがあればお聞きしたいんですが。

原田:今は提供者も利用者もイノベーター層だと思うんですね。なのでリテラシーもあり、お行儀もよく、いろいろなことを理解し、自分で調べることもできる人たちだと思うんです。

シェアリングエコノミーがもっと社会に浸透してくると、今度はマジョリティの方が使うようになってくる。そうなってくると、やはり提供者は「我々はプラットフォームです」というのは通用しなくなってきて、レスポンシビリティが大きくなっていくというのは流れだと思います。

「これは大変」だと思うんじゃなくて、これに感謝するということだと思いますね。それだけ社会的に責任を負えるような事業体になってきたんだということで、感謝してしっかり向き合っていくということだと思います。

そうすると自然と自治体や省庁の方からお声がかかるようなこともあるでしょうし、逆に困ったときにどんどん頼っていくというようなことをやりながら新しい社会に合った法制度を一緒に考えていくということになれば、しっかり社会に浸透すると思います。

なので「プラットフォームです」という立場でやれるのは初期の間で、今はイノベーター層がお互い使っているという段階ですが、これがだんだんそれじゃ済まなくなってきたというフェーズまで来れば、これは産業としてむしろしめたもの、という言い方はあれなんですけども。

かたやこっち側(サービスの提供者のこと)を雇ってるぐらいの責任を負ってくるときもいずれ来るんじゃないかなと思います。

シェアリングエコノミーの成長ステージ

琴坂:各社どうお考えですか?

重松:やはりそれは次のステージに上がるということだと思っていまして、今はいろいろ検証してる段階ですよね。

我々も今はノウハウがない中、いろいろと貸してみて、成功事例をどんどん溜めている時期なんですよね。「こういうことはやっちゃいけないのかな」とか、「こういう問い合わせがくるんだったら、この内容を事前に盛り込んでおこう」とか、そういう小さなPDCAをガンガン回してるっていう状況です。

それで市民権を得てきたというのは次の段階に進んだということなので、そこはちゃんと責任をもって対応するのは当然ですし、我々にバリューが付くと、いろいろな保険のサービスしかり、いろんなパートナーがそれをサポートしてくれるようになってきます。

前職のフォトクリエイトでも「勝手に写真撮って売って、ふざけんな」みたいに言われていた時代から、今やなくてはならないサービスになって、それはやっぱり段階があったんですよね。

ある程度のステージを超えるとサポートしてくれる人もいて、それなりに責任も求められるようになって、そしていろんな法律的なものを準備して、というのはやっぱりベンチャーが必ず通るステージですよね。

琴坂:シェアリングエコノミーと言われているもの全体が、周りの人たちを巻き込み始めている段階であるっていうのは確かにあるということなんですかね。ここはご自身からこういうレギュレーションというか規制を提言していくというような、会社側から言っていくような動きっていうのはあるんでしょうか。

重松:今我々が積極的にやっているかと言ったらそういうことはないんですが、やっぱり業界のトレンドとして、やっぱりいろいろロビイングされてるようなプレーヤーさんっていうのはいますよ。政府、特に民泊のところとか。Airbnbとかは今ちょっとグレーな感じなんですけども(笑)。

一同:(笑)。

重松:Airbnb自体は問題ないんですけども、利用している方が旅館業法に違反している、違法な状態じゃないですか。そこを今改善しようとしているところです。昨日今日でちょうど自民党が政府に意見書を出したみたいな感じです。そういうロビイングに関しては動いていますよね。我々もお声がけがあればそういうところには乗って行きたいなと思いますね。

琴坂:そこら辺のいわゆるグレーゾーンについてはどうお考えなんでしょうか?

金谷:akippaの場合は法規制には一切引っかからないんです。駐車場法っていうのが結構緩くて。あとは業界に関しても、実は最大手の業者が駐車場の業界団体のどこにも属していなかったりして、言い方は悪いかもしれないですけどあんまり邪魔が入らないというか、そういうところなんですが。

ただ1つ、固定資産税とか税金の部分で、かなり儲かってくるオーナーが出てきたときに、やはりその部分は特例で何かできたほうがいいとは思うので、現状からいろいろ調べてはいます。

琴坂:シェアリングエコノミーはグレーゾーンとか言われながらも少しずついろんなステークホルダーを巻き込んでいって、そして法規制との折り合いをつけながら成長してきているという形ですね。

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