ドローンの規制はどうあるべきか–朝日新聞・篠記者が語る、安全確保に関する問題点

ドローンで変わる!? 未来社会 #1/3

ドローンで変わる!? 未来社会
に開催

2015年7月28日、イノベーション分野のスペシャリストをゲストに招き、朝日新聞記者と参加者がともに社会的課題の解決へのアイデアを出し合う「朝日新聞・未来メディア塾 オープンカフェ」に、千葉大特別教授の野波健蔵氏と朝日新聞東京本社経済部の篠健一郎氏の2名が登壇。前半パートでは、近年メディアでも注目を集めるドローン(小型飛行ロボット)をテーマに、篠氏が国内市場におけるドローンの活用例と国会で議論されている規制案の問題点について語りました。

ドローンについての解説と問題提起

篠健一郎氏(以下、篠):皆さんこんばんは。朝日新聞の経済部の記者で篠と申します。今日はよろしくお願いいたします。

日頃は経済産業省の記者クラブにおりまして、担当しています。今日ドローンについて問題提起ということで、皆さんと一緒に、今ドローンついてどんなことを考えていくといいかということで、ディスカッションできればいいなと思っています。

その前に今日どんな方がいらっしゃってるのかというのを少し知りたいなと思いまして、ちょっとお尋ねなんですけども、この中にドローンを持ってらっしゃるという方。お手を挙げていただけますでしょうか。ドローンもってますよという方。

(会場挙手)

:6名ぐらいですかね。ドローンを飛んでいるのを見たことありますという方。どれぐらいいらっしゃいますか。

(会場挙手)

:半分ぐらいですね。ドローンの機械そのものを直接目で見たことがありますという方はどれぐらいですか。

(会場挙手)

:半分弱ぐらいですかね。実はドローン関係の仕事をしていますという方は? 何人かいらっしゃいますね。わかりました。

そんな感じで、皆さんの状況に合わせて、早速お話しさせていただきます。私からはドローンの問題提起ということで、今の感じだとご存知の方も多そうなんですけど、ドローンってどんなものかなっていう所からちょっと改めてお話をさせてください。

今ヤマダ電機とかビックカメラとか、そこに行くとどこでも手に入るものになっていて、価格としてはもう本当に数千円ぐらいから買えるようなものになってます。

実際空撮で使われている方が今んとこ多いのかなという感じがしますけど。写真とか動画、そういったものをセットして撮ってますね。

ドローンってなんでドローンというのかなというとこなんですけども、英語で言うと、雄の蜂ということで、バタバタバタバタ。特にマルチコプターと言われている、その複数の羽を持っているものの、飛ぶ時の音が雄の蜂に似てるということで、ドローンというふうに名前がつけられたといわれています。

GPSの機能というものをつければ、自律飛行ということで、人間が操作をしなくてもですね、自分で飛ぶことができるというふうになっています。

もともと、今でこそこういう小さいドローンが落ちたりとか、いろいろ仕事で使われたりということになってますけども、どうして発展したのかっていうところは、海外で軍事用でもともと使われておりまして、それが技術が進化して小型になったと。

よく言われるのが「スマートフォンが飛んでるようなものだ」と。実際スマートフォンで使われているGPSとか、そういった機能がドローンの中にも入ってまして、それで小型化が進んで、軍事だけじゃなくて、実際のビジネスでも使われるようになったという経緯があります。

ドローンの種類と主な活用事例

日本にどれぐらいあるのかなっていうところで見ますと、大きく4分割されるのかなと思いまして、1つが家電量販店で買えるようなホビー、おもちゃですね。それが数十万機ぐらいあると言われてます。

あとは、首相官邸の事件で使われたDJIのようなものですね。マルチコプターという複数の羽を持ってるものが日本で数万機以上あるというふうに言われています。

3つ目の小型無人飛行機。羽が固定したものなんですけども、これが大体100台ぐらいあって、最後の回転翼ということで、羽が回転する、主に農薬の散布だったりとかそういったものに使われてるんですけども、ヤマハが作ってるんです。そういったものが2,700くらいあるというふうに言われています。

実際どんなものに使われてるのかなと言いますと、けっこう身近なところで使われ始めているという状況にありまして。

例えば、箱根の噴火があったかと思うんですけど、あのときの災害調査で使われたり、こちらネパールの地震ですね。まず最初にドローンを飛ばして、どういう被害か、人が入れないんだけどもドローンであればどういう被害の実態かというのが把握できるということで使われてます。

農業で、これは種まきとかです。実際に農薬の散布だとか、そういったところというのは、日本でかなり実は、世界の中でも技術が進んでおりまして、この分野では盛んに使われてます。

物流宅配ってことで、ここは今後かなり期待されている分野です。新聞販売店を使って、この絵だと少しわかりづらいんですけれども、地方の新聞販売店がやろうとしてるサービスなんですけども、その新聞をとってくださってる方に、ドローンを使って食べ物だったりそういったものを運ぶですとか。

これは「空飛ぶカモメ宅配便」っていう、クラウドファンディングを使った取り組みなんですけども、離島と離島をドローンで結んで、例えば医薬品だとかそういったものを運ぶというものに活用され始めています。ご存知の方も多いと思うんですけど、Amazonも宅配に使おうと、カナダのほうで今いろいろ実験を始めているという状況があります。

インフラ点検と測量ということで、この絵は橋なんですけども、橋が老朽化して部品の交換だとか何か変えなきゃいけない時に、人間がいちいち見るのだと中々見づらい、大変だって時にドローンを使って見るということがすでに行われています。

あとはこれ(右の絵)は造船なんですけど、船を作るときにドローンを飛ばして、実際に人間だと目が行き届かないところで、しっかり船が作れてるかっていうところをドローン使って見てるという例がすでにあります。

あとは警備ということで、セコムのドローンなのですけども、実際に人が侵入してきたとき、また車が入ってきたときとかに感知をして、それを知らせるというような仕組みです。

これは海外のサイトにあったのですけども、ドローンを捕まえるドローンというので、悪用されるということも懸念されてると思うんですけども、それに対して捕まえてしまうドローンを開発されたりということもしています。

今申し上げたのですけど、実際日本でどれぐらいの市場規模があるんだっていうと、今2015年だと16億円くらいの規模があるというふうに、ある調査会社の市場予測なんですけどされてまして、それが5年後、オリンピックのときには約10倍くらいになるというふうな予測がされています。よく言われるんですけども、「空の産業革命」というふうにドローンの登場について言われたりします。

今少しお話したんですけども、実際いろいろ使われてますと話をしたんですけれども、どんなものに使われてるのっていうところで、現在2015年段階だと、農薬散布が7割ということで、基本的にいろいろ使われてますというふうにお話したんですけれども、実際は農薬散布が主なんですね。

今後、先ほどお話したようなインフラの点検だったり、測量だったり、災害調査だったり、警備だったり、そういったとこで用途が拡大していくんじゃないかというふうに言われています。

日本で議論されているドローンの規制案

今日、この辺を皆さんとお話できればいいなと思って考えてきたんです。規制のお話です。今まさに国会でドローンについての規制が話し合われています。

大きくどういう規制案が今検討されてるのかっていうところなんですけども、1つは基本的なルールとしては、下のほうになりますけども、夜は飛ばしてはいけません。日中だけですね。まずそれが1つ大きいところ。

あとは目視で監視できる範囲まで。目で見える範囲しか飛ばしてはいけませんよ。あとは、人や建物との距離を保って飛ばしましょう。つまり人の密集地とか、そういうところは危ないのでやめましょうね、というふうになっています。

まだ法律の中には入っていないんですけども、今後考えていかなきゃいけないテーマとしてこんなものが挙げられるんではないかというふうに、いくつか挙げさせていただきました。

1つがですね、機体の登録や免許制ということで、ドローンも車と同じように1台1台、免許制なんですけども、実際操作をする人に免許を与えてはどうかと。誰でもかれでも操作をしてしまうと落ちてしまう危険性もあるし、免許を設けたらどうかと。

またはこれも車と同じように、1台1台登録をして、落ちた時にこれは誰のドローンなんだということがわかるような仕組みにしてはどうだろうかというような議論もされ始めています。

あとは一方で、家の中を覗かれるだとかそういった、どこでも入り込んでしまう余地があるので、プライバシーの保護をどんなふうに考えたほうがいいんだろうというところも、1つ検討しなきゃいけないところかなというふうにされています。

あとは実際誰が買ったのかっていうところ、誰が使っているのか、そういったものを国なり、または第三者機関なり、そういったとこに届け出する仕組みはどうだろうかということも検討されています。

世界各国で異なるドローンの規制

日本は今申し上げた通りなんですけど、海外はどんなふうになってんだろうということで簡単にまとめさせていただきました。

例えばアメリカですと、商用の利用は原則禁止ということで、例えば「ビジネスで使いたいです」といった場合でも、勝手にやってはいけないんです。

日本であれば、例えば空撮をしてそれをビジネスにしてる方っていうのもいらっしゃるんですけども、一つひとつ国に届け出をして、それで許可が出ないとビジネスにはしてはいけないと、そんなふうな決まりになっています。

フランスはと言いますと、さっき日本では目視、人が見える範囲でしか飛ばしてはいけないよってふうにお伝えしたんですけども、見えない範囲も飛ばしていいですよと、そんなふうな決まりになっていたり。

カナダでは保険の加入。落ちてしまって人にけがをさせてしまったときを想定して、そういう保険に入りましょうということは義務づけられたりしてます。

ちょっとおもしろいなと思ったのはチリなんですけども、パラシュートをつけましょうと。重さは6キロ未満のものを使ってください。かつ、パラシュートをつけてくださいと。

そんなような規制を考えてる国もあれば、タイのように、カメラ使っちゃいけませんと。大体皆さんカメラ使えないってなると「ドローンの意味あるのかな?」というような気もしてきますけども、そんなような規制を考えてるところもあります。

安全確保体制の定義とは

ここはまだ固まってないとこで、まず皆さんともお話したいとこなんですけども、今先ほど申し上げた日本の政府の規制案というのは、総論なんです。細かいところが何もまだ決まっていないという状況です。

例えば、先ほど申し上げましたけども、実際機体を登録したほうがいいのか、免許を入れたほうがいいのか、ここについてはまだ何も決まっていない状況です。機体の登録をしようってなった時も、大きさで分けるべきなのか、それとも重いから登録すべきなのか、こういう性能があるから登録すべきなのか。

実際登録と言ったとしても、どういうふうにそれを分けれればいいのかっていうところについても、さらに考えなきゃいけないところとして、あるんじゃないかなと。

ほかにも、首相官邸の上を飛ばしちゃいけないとか、国会の上は駄目だとか、原子力発電所の上は駄目だとか、いろいろ禁止エリアが出ております。

例えば、自治体でもお寺とか神社とか、そういう重要文化財の上を飛ばすっていうことも禁止にして欲しいとか、各自治体からいろいろ禁止エリアについて話が上がってるそうなんです。実際、どういうところをそういうふうな禁止エリアにすべきなんだろうか。

あとは、少し細かい話になるんですけど、安全確保の体制とはどんなものか。これどういうことかと言いますと、政府の規制案ですと、さっき夜は飛ばしちゃいけないってお話したんですけど、実は例外がございまして、安全確保の体制がとれれば夜でも飛ばしていいですよ、というようなルールが今決まろうとしてるんですね。

でも、その安全確保の体制とは果たしてどんなものなのかというところは全く定められていなくて、その辺についても今後議論していかないといけないところかなと思います。

ドローン産業の発展と規制の両立が課題

いろいろ企業のメーカーの方ですとか、大学教授の方ですとか、いろんな方に「規制についてどういうふうに考えるべきなんでしょう?」と日頃取材をさせていただいてるんですけども、そのときにこんな声をよく聞きます。

「規制というのは、基本的にはあったほうがいいんだ」と、「ルールがわかんないと、どんなふうに使ったほうがいいかわからない」っていうところで、「まず、あったほうがいいんだろう」と。

なので、「産業の発展にはあったほうがいいんじゃないか。ただ、やっぱり厳しいと、産業の発展も妨げてしまうよね」と。あとは実際、「とはいえ、産業もいいけども犯罪に使われる恐れはないか」とか、そういった声を聞きます。

なので、まさにここは国も考えてるし、識者の方も考えているし、世界もみんな考えてるとこなんですけども、産業の発展、ドローン産業の発展、ドローンは確かに社会に必要なものになっていくと思うんですけど。

そこはあるんだけども、どういうふうに規制と両立を図っていけばいいんだろうかというとこについては、本当に何もまだ明確な答えがなくて。その辺について、皆さんのお話を聞きながら一緒に考えていければいいかなというふうに思っています。私からは以上です。

司会:篠記者、ありがとうございました。非常に興味深い視点ですね。また後半のディスカッションの際に詳しく伺えればと思います。

【主催】「朝日新聞 未来メディア塾」

「未来メディア塾」は人口減少や、ワークスタイル、格差問題など、現代社会のさまざまな課題に対して、朝日新聞記者と参加者が意見を交わし合い、解決への糸口を探る学びの場です。

特別セッションの「未来メディア塾 オープン・カフェ」では、毎回イノベーション分野のスペシャリストをゲストに招き、各分野における最新情報を提供しています。

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