パフェにおけるコーンフレーク問題

能町みね子氏(以下、能町):あと「コーンフレーク問題」っていうのも。

斧屋氏(以下、斧屋):コーンフレーク問題。やっぱりコーンフレークって、わりと悪者なんですよ。

能町:わかる。

斧屋:パフェ食って「コーンフレークおいしかったな」ってならないじゃないですか。

能町:どっちかっていうとかさ増しのために使われている。

斧屋:そう。「脇役のくせに何出てきてんの?」みたいになってしまう食材なんで、逆に言うとかわいそうなんですね。もっと上手く使ってあげればいいのに。

少なくとも、量を変えたらいい。量を少なくしたらいいし、できればあれをさらに砕いたり、薄くはできないかもしれないですけど、要はノイズとして小さくなっていくような使い方をすればいいですね。

だからフルーツパーラーさんとかでコーンフレークを使うところもありますけど、量を極端に少なくしたりしています。ちょっとだけ香ばしさと食感だけ欲しいっていう感じですかね。

横山シンスケ氏(以下、横山):じゃあ、砕くとか、企業努力をしてほしいっていう。

斧屋:まあ一番手に入りやすいんで、どうしても使う感じにはなっちゃうとは思うんですけど、やっぱりそのまま使うとね。コーンフレークを使って「すごい美味しいな〜」っていうパフェって非常にレアだなと、自分の経験では思ってしまいますね。

横山:あと、「パフェに入れてみたい材料ありますか?」という質問では、「八ッ橋」っていうのが多かったです。

斧屋:八ッ橋いいと思います。京都とかでありそうですね。

横山:あとチーズも多かったですね。

能町:チーズのパフェは意外とないね。あります?

斧屋:中層に仕込む場合は結構あります。タカノとかでも、チーズムースみたいなものはありますよ。チーズパフェっていうのはあまりないかな。でも西村とかでも、チーズ使ったのが出ています。

パフェの写真、上から撮るか、横から撮るか

東京パフェ学

横山:あと、「今回、本の写真がすごく全部素敵でしたが、斧屋さんが撮ったやつもありますか?」っていう質問が。

斧屋:自分が撮ったやつは、あまり綺麗じゃないんですよ。

横山:やっぱりプロは全然違いますか?

斧屋:全然違います。アラタケンジさんっていうカメラマンさんの方が、初めの方の綺麗な写真は全部撮ってまして。銀座のところと、後ろのガイドのところが自分なんで、全然綺麗さが違うと思うはずです。

だんだん「こうしたらいいかな?」みたいなのは、わかってはきますけど、やっぱりカメラマンさんは全然違います。

もう1つはパフェの撮り方って難しくて、層を写したいけど上からの図も撮りたいし、どの角度で撮ったらいいのかは悩みますね。その場で見る感じと、平面の1枚の写真で見るのとは、全然受ける感じも違うから。

能町:これからはInstagram時代だから、撮り方をコーチしていかないといけないんじゃないですか?

斧屋:だけど、その場で見る美しさって、やっぱりちょっと違うのかなと思います。

横山:パフェを食べてどうですか? パフェは食べられましたか?

斧屋:なかなかやってくれたなっていうか(笑)。やっぱり難しいな〜。

能町:でもオリオンに関しては自分で実験している時、入れなかったの?

斧屋:入れてなかった。あとで思いつきで「これはイケる」みたいな。

能町:思いつきは良くないってことですね。

斧屋:やっぱりちゃんと考えなきゃ駄目だね。

能町:そりゃそうだわ(笑)。

斧屋:しかも頭の中だけじゃ駄目。やっぱり頭でっかちは駄目だってことですよ。実際に自分でやれと。

能町:パティスリーがいかにすごいかってことですよね。

斧屋:いや、本当にすごいんで、食べに行ってください。

札幌では夜にパフェを食べる文化がある

横山:あとすごく多い質問で、ベーシック、まずはここに行けばっていうのを、教えてほしいと。

斧屋:ベーシックは、さっき言っちゃいましたけど、タカノとロイホでしょうね。あとは千疋屋系も、銀座千疋屋とか。

横山:千疋屋のあまおうパフェはすごく多いですね。

斧屋:千疋屋は銀座千疋屋と千疋屋総本店と、京橋千疋屋と、3種類千疋屋さんあるんですけど、どこもメニューが違って。

能町:地方のパフェは、この間北陸に行ったぐらいしか、まだあさってない?

斧屋:岡山ちょっと食べたのと、北陸と。

能町:北海道はある? 北海道ヤバイっていう噂があるんですけど。

斧屋:1回食べたことあるんだけど。昨日Twitterでも話題になったけど、札幌は、夜にパフェを食べる文化があるって。

横山:「ペンギン堂」っていうのが。

斧屋:あと、「ぴーぷる・ぴーぷ」とか。でも、夜に食うってことは基本日帰りじゃ駄目っていうことで、なかなかハードルが。

能町:っていうか、そもそも北海道に日帰りで行くか(笑)?

斧屋:北海道には日帰りでアイドル観に行ったことあるんですけど、その時にパフェをちょっと食べたっていう、それぐらいなんで。

能町:アイドルとパフェを楽しんで帰って来たことがあるんだ? 日帰りで? すごいなぁ……。

個人的に前から本人にも言っていて、私自身も行ってなくて行ってみたいのは、佐賀駅の喫茶店で。佐賀に行った時に、佐賀駅の小さな駅ビルにある店に女子高生が30〜40人並んでるんですよ。佐賀駅なんて本当に人がいないんだけど、そこに女子高生だけがものすごい並んでいて、何だろうと思ったらパフェの店で、ガラスケースに全部グラスとかも違う形の、かなり工夫を凝らしたパフェが50種類ぐらい並んでて。

これはぜひ、いずれパフェ評論家が行くべきじゃないかと思ってる。ちょっと店の名前忘れちゃったけど、駅の中だからたぶんすぐわかると思う。

北陸にはパフェの名店が多い

横山:「佐賀 パフェ」で検索すれば出てくるかも。そういう地方にある、東京には情報が入ってこないところにもいっぱいあるんですね。

斧屋:パフェって、すごい検索しづらいんですよね。さっき検索できるって言いましたけど、「パフェのお店」っていう打ち出し方をあまりしないじゃないですか。あくまでメニューの一つとしてっていう感じなので、結構埋もれているいいパフェがあるに違いないんですよ。

北陸は本当にいい店が多くて。北陸はなぜか知らないですけどアイスクリームの消費量が全国トップクラスで。石川とか富山が、アイスクリームの消費量が、毎年日本一を争っているっていう。そういう文化も絡んで、たぶんパフェが多いんだろうと解釈していますけど。

地方は地方で結構ありそう。神戸もいいですね。

横山:確かに夜パフェって言っているところ多いですね。

斧屋:ジェラート屋さんとかも夜まで開いていて、そこでパフェ出してたり。ジェラテリア・マルゲラとか。イタリアとかだと夜に通りでジェラートを食べる文化があるらしくて、夜にアイスを食うっていうのも文化的に全然ありなんじゃないかなって感じですね。

ウッドベリーズマルシェのパフェは健康的

斧屋:……ちょっとテンションが低くなってきました。

能町:自分のパフェ食べたせいでテンションが低くなってるんじゃん。

斧屋:頭の中にオリオンが残ってるんですよ。

横山:でも、オリオンのラムネの味が良かった言ってる人もいますよ。

能町:良かったって言っている人もいるの? 優しい人ですね。

斧屋:ちょっと優しすぎるんじゃないかな〜?

横山:あとは「甘いものが止められない」っていう悩みがすごく多いですけど、これをパフェで解決してください。

斧屋:甘くないパフェはあるわけで、少しずつスライドしていけばいいのかもしれないですけどね。チョコレート系も和系も、甘さオンリーじゃないパフェがありますから。

甘ったるいものだとあれですけど、要は健康にいいパフェを食べていけばいいわけですよね。お悩みの中にダイエットがどうのとかいろいろありましたけど、例えば吉祥寺の「ウッドベリーズマルシェ」とか、ヨーグルトを使った、いいフルーツパフェを出しているので、普通に健康的な食事になり得る。

食事って言っても重たくはないんですけど、健康的に問題ないパフェとして。「ウッドベリーズマルシェ」っていう、吉祥寺から徒歩でそんなにかからないところにあるお店ですね。

能町:健康のために食べるパフェがあってもいいって本にも書いてありますね。

斧屋:そう。だから、甘いものが止められない人は、少しずつ、甘いのかなと思いつつ、若干甘くないパフェにシフトしていきつつ、身体をそっちに慣れさせていく。そんな感じですかね。

コンビニのパフェなら、ミニストップのマンゴーパフェが最高

横山:あと、コンビニのパフェに関する意見がすごくあるんですけど、コンビニの話ってあとで出ますか?

斧屋:やっぱりミニストップを話しましょうかね。

斧屋:ついに今年も発売された、ミニストップのマンゴーパフェが、やっぱりコンビニの中で最も美味しいと言いたいですね!

能町:元気になった(笑)。

横山:このテンションわかりやすいですね。

能町:フルーツの話になると、やっぱり元気になりますね。

斧屋:だってこれ美味しいんですよね。340円、税込。マンゴーっていうフルーツの一番いいところは、冷凍しても香りとか味とか、風味があまり失われない。他のフルーツだとどうしても難しい部分がありますけど、マンゴーだけは別格に冷凍でも大丈夫なフルーツです。

ご存知のようにソフトクリームも美味しいし、ソースも美味しいし、その3つのバランスが非常にいいですね。

横山:セブンイレブンってどうなっているんですか?

斧屋:他のコンビニは、パフェはそんなにレギュラーメニュー化してないんですよね。

横山:ですよね。そうしたらセブンが手を出すかもしれないですね。ドーナツとコーヒーで当てたから、次はこっちに来るなっていう。

斧屋:確かに季節ごとにちょっと出たりもして、苺とチョコレートを使ったパフェとかセブンで売っていたこともありましたけど。

品数で言うと圧倒的にミニストップが多くて、チルドコーナーにもたぶん常時数種類出ていて、その場で作る、ソフトクリームを使うやつも2種類ぐらい出て。やっぱりミニストップかなって思っちゃいますけどね。

あとは冷凍のパフェ。これは完全に赤城乳業さんの天下なんですけど。ガリガリ君で有名な赤城乳業さんが、ほぼほぼコンビニのアイス系のパフェは牛耳っている感があります。

能町:ハーゲンダッツを売っているところの下の方にあるやつだ。

斧屋:そうですね。やたらデカイやつ。あとファミリーマートにある「俺の」シリーズも、赤城乳業さんだと思います。でも基本的にはそれは、本当にいっぱい食べたい時。量が半端ないので、本当に甘いものとか冷たいものを量多く食べたいっていう時ですね。

能町:買ったことないけどど、コンビニで「俺の」シリーズ、他にもあるじゃないですか。プリンとか。あれ、いくらなんでも多すぎでしょって思っているんだけど、本当に普通の一般男性はあんなに食べたいもんですかね?

斧屋:俺のパフェも結構多いです。だから相当気合いを入れて食べる感じ。

ジャンボパフェの文化は面白いものの……

能町:何か「俺の」シリーズは量さえ多くすればいいみたいな感じが見えて、私は嫌いなんですけど。

斧屋:確かにパフェに引き付けて考えると、「パフェは量だ」っていう思想を撲滅させたい部分もあるんですよ。ただしジャンボパフェの文化って、それはそれでおもしろくて。そんなに美味しくもないけど、みんなで突っつき合って「残しちゃったな〜」とかいうのも、ワイワイしてておもしろいとは思うんですよ。

ただ、日本ってグラス先にありきみたいなことになっちゃって、それを埋めるためにどうしようってなって、コーンフレークがかわいそうなことになるんですよね。量をかさ増しするために、コーンフレークが使われちゃう。

そういう結果を生むので、グラス先にありきみたいなところは変えていかないと、おいしくないパフェが出回っちゃうかなと。

能町:なんか軽く投げると、すごい返って来るね(笑)。評論家らしいですね。

斧屋:ちょっと進めます。これもミニストップですね。なめらかプリンパフェ。これは売り上げナンバー2。

斧屋:ナンバー1はもちろんマンゴーパフェなので。

横山:ミニストップのパフェをよく食べるっていう方、どれぐらいいらっしゃいますか? どうですか?

斧屋:ミニストップ近くにない問題っていうのも若干ありますが。

能町:そんなに店舗数ないですよね。

横山:今はセブンとファミマとかで取り合いになってますからね。

能町:ミニストップあまり見ないですね。

斧屋:でもそれが故に、こういうふうに力を入れられる部分もあるのかもしれない。