全国に拡がるプレゼン型勉強会の輪
高専カンファレンスが作った継続開催のための仕組みとは

高専カンファレンスで考えたこと取り組んだこと | Daichi Obinata | TEDxMatsumoto

高専生とその卒業生によるプレゼン型技術勉強会「高専カンファレンス」。発起人であり代表の大日向大地氏がTEDxMatsumotoのステージに登壇し、高専カンファレンスが始まったきっかけや今までの活動内容について語りました。2008年に開始され、現在では日本各地でイベントが開催されるなど年々規模の拡大が続いている高専カンファレンスですが、スタートのきっかけは大日方氏がエイプリルフールに書いたブログでした。新しいことを始めたい、はじめの一歩を踏み出したい人におすすめのスピーチです。(TEDxMatsumoto2015 より)

技術者としての専門教育を5年間受ける「高専」

大日向大地氏:みなさんこんにちは、大日向と申します。今日は高専カンファレンスで考えたこと取り組んだこと、というテーマで少しお話をさせてもらおうかなと思います。

まずですね、高等専門学校という学校が日本にはあるんですけれども、ご存知の方どれくらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

結構いらっしゃいますね。高等専門学校、略して高専と呼ばれる学校なんですけれども。中学校を卒業して多くの方は高校へ進む。

さらに大学へ進む方も多くいらっしゃると思うんですが、高専という学校は中学を卒業した後に高校ではなくて高専という道に進む。そこは機械工学とか電気工学といった、技術者としての専門教育を5年間受ける学校です。

15年前は、私も長野にある長野高専の学生でした。そこの学生というのはですね、卒業した後は各地で技術者として、あるいは技術の知識や経験をベースにいろんな仕事に就いていくんですけども、わりと高専というキーワードで、全国どこの仲間とも仲良くなれる性質があります。

そういった高専の卒業生が社会に出てどんな仕事をしているかとか、活動をしているかとか、あるいは趣味でどんなものを作ったりしているか。

そういったものをお互いに発表しあって仲良くなろう、そこでいろんな技術の知識・経験の交換をし合いましょうというコンセプトで、7年前から高専カンファレンスというものをやっております。

高専カンファレンスの取り組み

その高専カンファレンスというものがどう始まって今どうなっているかというのを、これからお話ししたいと思います。

具体的にどんなことやってるかといいますと、今日のこの会場みたいにホールに集まって、何人かこういうふうにステージに上って、スライドを使いながら、私こういうことやってますとか、こういう仕事してます、こういうもの作りました、そういった発表をし合う。そういったものがベースになるんですけれども。

他にはですね、何人か登壇していただいて、パネルディスカッションみたいなことをやったりもしています。

始めた当初から、オンラインコミュニケーションというものを重視していまして。今日もYouTubeでこれ配信していますけれども、2008年のころからUstreamとかそういったメディアを使って発表の様子を配信したりですとか。

Twitterもその頃はもう始まっていたのでTwitterを使ったり、それ以外のWebの媒体を使ってコミュニケーションをとりながら、カンファレンス中も発表に対する質問をしたりですとか。

終わった後もブログにまとめを書いて「こういう発表があったから私は次こういうことを喋ってみたいです」とか、そういったことを表明し合ったり、そういったことをやってきました。

それから人数が多い集まりになりますと、準備自体も多少コストがかかります。

その準備活動も結構楽しいもので、10人とか20人とかのチームで3ヶ月くらいかけて準備をして、開催を整えていくと。そういったことも、楽しみの1つとして挙げられます。

きっかけはエイプリルフールのネタだった

最近は、そういった発表会形式の勉強会以外の活動もやってきてまして。自分たちの活動を紙の媒体で出してみようということで、フリーペーパーの発行ですとか、普段のカンファレンスだと期間が空くから、じゃあみんなでリレー形式でブログを書きましょうとか、そういったことをやったりですとか。

あと、高専カンファレンスは各地に仲間がいました。その仲間が4年前の震災で被災したときには義援金を集めあって、高専機構を通じて支援するとか。それから他の団体が行う同種の活動に対して様々なリソースを提供して支援するといった、そういった活動も行ってきています。

この高専カンファレンスはどのように始まったのかっていうのをざっくりとお話しますと、2008年、7年前なんですけれども、その頃はIT系、コンピューターとかWebとか、そういったところで働く技術者たちが草の根的に勉強会を立ち上げて、技術的な交流をしていくっていう、そういうのがブームになってました。

その場所にはですね、わりと一定の確率で高専の出身者がちらほらいると。そこに気付いた人間がですね、「じゃあ高専生で集まって、こういう勉強の場を設けたらおもしろいんじゃないの?」っていうのを発案したんですね。ただ、具体的に動き出す人間がいない。

そうしている間にですね、私が2008年の4月1日エイプリルフールに、ネタのつもりでブログに「じゃあやってみましょう。6月にやります」というふうに宣言しました。そうしたらですね、わりと乗っかってくる人がいまして、エイプリルフールのネタじゃなくなってしまったと。

それであれよこれよと手探りしながら準備をして、2008年の6月に、東京の渋谷で30名ほどが集まって開催することができました。

このとき参加してくれた方々。いろんな技術的なネタですとか、学生時代のちょっとした高専生あるあるみたいな思い出話とか。そういったものを持ち寄ってこれくらいの人数で発表しあったんですけれども、終わった後すごい楽しかったっていう反応が多いんですね。

フォロワーがつくことでムーブメントが起きる

今日このTEDxMatsumotoが始まるときに、ムーブメントの起こし方というビデオがありました。最初の1人が踊りだしてその後フォロワーがつくことでムーブメントが起きると。

その高専カンファレンスにおける最初の踊る1人のバカが私でした。そうするとやっぱフォロワーが現れるんですね。その東京で開催した3ヶ月後に、東京で配信してたの見たら面白かったから、北海道でもやりますって人が現れました。

それが2008年の9月です。私も北海道に駆けつけてこの会に参加しました。そうするとやっぱり、「楽しかった」「次もまたやりたい」そういう声がでてきます。そうするとじゃあこれもまた続けるべきでないかっていう、自分の中で、私や周囲の人間の中で気持ちとして高まって上がってきます。

そして2008年の12月にですね、再び東京で集まりました。

このときは50人ほどが集まったんですけれども、1日で3回枠が埋まってしまうという、そういう大変な事態になってしまいまして。

みんな楽しくて集まってくるし、集まった人たちがそれぞれ地元に帰ってそれぞれの地元でやろうっていう機運が高まってきます。また1日で埋まってしまったということで、本当に参加したいっていう人が大勢いるんだなってことがわかりました。

そこでですね、この流れを続くようにしたい、この高専カンファレンスを各地でいろんな人が開催して、誰でもいつでも参加できる流れを作りたい。

そういうふうに考えました。そのためにその後、高専カンファレンス各地で行われるんですけれども、その中でテーマを持って、「継続開催の仕組み作り」というテーマで活動していきました。

各地で行われる高専カンファレンスに対して、直接出向いてその準備をフォローしたりですとか、高専カンファレンスをこういうふうにしていきたいのでみなさんぜひ参加してくださいっていうのをアピールしたり、それからその活動の中でいろんなノウハウを蓄積して文章化していく。

そういったものを更に誰でも使いやすい形にしていく中で、誰でも開催して、高専カンファレンスが、私が直接動かなくてもできる、そういった仕組み作りをしていきました。

その結果が現在高専カンファレンスのWebで、開催ノウハウとしての文章としてたまっています。また高専カンファレンスの特徴として、こういった横繋がりの運営モデルがあります。

基本は高専カンファレンスの個々のイベント、開催したいという人同士が横の繋がりで準備をして、開催して、そのノウハウを展開するということをやっていくんですが、中には経験がなくてできない人もいる。

それから、せっかく過去に開催したものがあるんだからそれも上手く使いたい、そういったことを手助けするために、事務局、あるいは経験豊富な有志がですね、ノウハウを提供する。そういった顧問的なシステムを作りました。

ですので、高専カンファレンスというのはトップに組織があって、その下で個々の開催があるのではなく、個々の開催がやりたいというのを経験豊富な人間が支えるという、そういう仕組みで動いています。

また、ここの経験豊富なメンバーは、高専カンファレンス以外のイベントですとか組織とのやり取りの窓口にもなって、個々でやりたいとしている人たちを上手く支えたり、コミュニケーションをリレーする、そういった役目を持っています。

これまで7年間この活動を続けてきまして、およそ80回の開催をして、およそ1000件のそういう技術的なトーク、スピーチがありました。

またトータルで4000人ほどの、これは延べ人数ですけれども、4000人ほどの参加者がありました。まあこの4000人の内30人くらい私なんですけれども。

(会場笑)

「NatureStyle」と「地産地消」から生まれるワクワク感

こういった活動を続けてきて、2つのキーワードが、私は得られています。それがこちらです。

「NatureStyle」それから「地産地消」、この2つから得られるワクワク感。これが高専カンファレンスの醍醐味だと、私は感じています。ではその「NatureStyle」とは何なのか。過去に1000件ほど技術的なトークありましたと申し上げましたが、それの例を抜粋したものがこちらになります。

専門的な研究の話から、学生生活はこういったこと頑張りましたとか、高専女子は少ないんですけども、高専の中で女子はどう生き抜くか、そういった発表とか。そういったものがありました。これが具体的にどんな感じに進んでいくかといいますと。

例えばですね、これは長野高専の物理の先生がはやぶさの帰還を観測したときのデータを、こういうデータ得られましたっていう本当に研究の話をしてくれたときなんですけれども。そういったよくある学会形式の話とか。

これはですね、電波の発生とその伝播をコンピューターでシミュレーションして、実際にシチュエーションを設定して、方程式こうなってるからこういうふうに伝播するんですよっていうのを絵に見せながら、物語形式で発表するといった、そういったことがあったりします。

それからステージの上に人を何人か呼んでですね、ちょっとした言葉の掛け合いで人間がどう動くか、それを実際のデモをしながら人間がいかに騙されやすいかってものを実際にやってみる、そういったものですね。

それからこれはプレゼン形式の発表とはちょっと違って、これデモ展示なんですけれども。高専カンファレンスに来ている仲間の1人が、宇宙エレベーターの開発をやっています。その宇宙エレベータのプロトタイプを持ってきて、実際に展示して動かしてみるっていうことをやったりしています。

それからですね、温泉みたいな場所にですね、みんなで合宿形式で集まりまして、ご飯を食べてお酒を飲みながら、その前でプレゼンをすると。プレゼンに対しては酔っ払った人間が茶々を入れて、またおもしろいことが生まれてくる、ということもやったりしています。

いろんな話、発表が集まってくる

それから高専カンファレンス、日本各地でやってきています。また全国60校ほど高専あるんですけれども、いろんなそれぞれの各校の出身者が各地に集まってきています。例えばこれ東京でやったときなんですけれども。

私はこの高専の出身ですっていうのを、付箋を参加者のみんながペタペタって貼っていくんですね。そうすると地図の上にこういうマーカーがたまっていって、どこからどれだけの人が来ているかっていうことが可視化されます。

そういったものをツールとして、参加者同士の横のコミュニケーションというものにも、役立っている。

実際高専カンファレンスが終わった後も、楽しかったねっていうところから始まって、それぞれが仲良くなって、また新しい活動を始める、なんてことの流れにもなっていきます。

学術誌『Nature』っていう論文誌があるのをご存知の方は多いと思うんですけれども、あれはいろんな分野の論文が集まってくるんですね。

同じように高専カンファレンスも1つの技術テーマだけではなくて、また技術に限らず、高専生だっていうものがテーマであれば、いろんな話、発表が集まってくるスタイル、そういうものができあがっています。

それから2つめのキーワード「地産地消」なんですけれども、先ほども申し上げたように高専は全国に60校ほどあります。

1つの都道府県に1校くらい。無い都道府県もありますし、複数の学校がある都道府県もありますけれど、全国にそれくらいの数の学校があります。

高専という学校、わりと地域、地場思考があるんですね。例えば私は長野ですけど、長野高専のOBが長野で高専カンファレンスをやりたい。

長野の人たちに参加してもらって、高専というものを知ってもらったり、長野高専の学生が1歩外の世界に出るための足がかりにしてほしい。そういう思いを持って開催することが多いです。

またその地域に対して、長野に対して全国各地から人が集まってくる。長野で開催をして、長野の人たちがそれを利用する。そこに全国から人が寄ってくる。

そういった、「地産地消」というふうにキーワードとして呼んでいますけれども、そういうモデルが今できてきています。

何か発表すると、そこで得られるものがある

私がですね、高専カンファレンスを始めたときに、最初は本当に手探りでした。本当にこんなものが続くのかどうかっていうのがあったんですけれども、第1回の高専カンファレンスをやったとき、その感想としてブログにこういうことを書いたんですね。

いずれは各地方に開催ノウハウを持った担い手がいて、各地を巡って開催できるようになればおもしろい。こう思い描いたものが今、実際にできています。

実際できていて、2つのキーワード「NatureStyle」と「地産地消」、この2つのキーワードから生まれるワクワク感、いろんな人が集まってきて、各地から集まってくる。

各地に出かけて行って話を聞く。いろんなテーマの話がある。それを聞いていろんなワクワクをしてくる。そのワクワク感をベースに、今度自分が何かするときのモチベーションにしていこうという、そういうサイクルができてきています。

それで次は何に向かうか。「NatureStyle」と「地産地消」から生まれるワクワク感、から生まれる新しい何か。

これが今の私たちの、新しい活動のテーマです。新しい何かが何であるかは、まだわかりません。各自が高専カンファレンスでの経験、人との繋がりを使って、新しい取り組みをしようとしています。

私も高専カンファレンスからさらに1歩進んだ活動をやろうと頑張っているところでもあります。次何が生まれるか、ぜひ楽しみにしていってもらいたいと思います。

また今日ですね、TEDの会場に来て、いろんな方の話を聞いて、私も何かやってみたいと思ってる方がいると思います。

ぜひ何かやってみて、それでまた、TEDでもいいですし、私たちの高専カンファレンス来ていただいてもいいかもしれませんが、何か発表してみると、またそこで得られるものがあるんじゃないかなと思います。

発表はどんな形でも簡単にできます。プロジェクターとスクリーンがあればできますし、ノートパソコンだけでもいいです、タブレットだけでもいいです。

今の時代、そういったもので簡単に発表することができますので、自分で何かやってみたら、ぜひそれを人に伝えてみてください。

そこから新しいワクワク感が生まれて、次の何かが生まれるかもしれません。私もがんばります。皆さんもぜひ、何か手を動かしてやってみてください。ありがとうございます。

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