他社と競合している内定者の口説き方

須藤憲司氏(以下、須藤):採用術ということなので……特に新卒だと競合していったり、みんな欲しいターゲットに向かうので、内定を出すと当然(他の会社と)重複しているっていう。なので最後に口説きのところが入ってくると思うんですけど、そのへんで「ウチはこうやってるよ」みたいなのってあります?

田中弦氏(以下、田中):ポリシーの問題なんですけど、年間で100回は行かないかもしれないけど、どんな小さいセミナーだろうがイベントには必ず僕が行ってます。

須藤:採用のですか?

田中:そうそう。採用のイベントっていろいろあるじゃないですか。わかりづらい会社だから、僕がとりあえず行かないと。行ってブワーッと話すと、100人に1人くらい「この人おもしろい」みたいな感じで来るんですよね。そういう感じです。

須藤:完全に個人技じゃないですか!(笑)

田中:結構ずっとそれをやってて、去年もハイシーズンは土日がほぼない感じで。

須藤:田中さんが人事をやってるってことですよね。

田中:最初のとっかかりは、はい。京都とかに行って、よくわからないところで50人くらいの前で「寝てんじゃねえ!」みたいな感じで。

須藤:(笑)。でも、それで採れる方って競合するというよりそこで働くのがはっきりしてる。

田中:そうそう。ぜんぜんかぶらないというのはあります。

スタートアップの採用はゲリラ戦

須藤:宇佐美さん何かあります? 競合したときにどういうふうに口説いていくかみたいな。

宇佐美進典氏(以下、宇佐美):新卒採用に関していうと、「接触タイミング」と「接触頻度」と「接触時間」。タイミングをいかに早くするかであったり、回数を多くするかであったり、接触してるときの密度、質をいかに高めるかであったり、あと物理的な時間をどう多くするか。そういうところで選んでくれるかどうかという結果が決まるなと思っています。

我々の場合は、新卒採用に関してはインターンを比較的早めのタイミングにやって、接触のタイミングを早める。どちらかというと事業を知ってもらうんじゃなくて人を知ってもらうというのを目的としているので、それで社員と触れ合う機会を作ってます。「こんな人が働いてるんだな」「こういう人と一緒に働きたいな」と思ってもらえるようにしていくと。

須藤:「質を高める」ってところは結構みんな知りたいところだと思うんですけど、何か工夫されているところはありますか?

宇佐美:インターンシップは、密度の高い時間を作る意味でも非常に重要だと思ってまして。なのでプログラムの中身をいかに濃い感じにするか。

田中:すごくコストがかかってそうな感じが……。

須藤:僕もたまに見たりするんですけど、すごくコストをかけてますよね?

宇佐美:でも、今はだいぶコストが下がりましたけどね。昔と比べると。

須藤:コストってお金もそうですけど、時間とか工夫も含めると相当練り込んでらっしゃるんじゃないかなって。

宇佐美:そうですね。毎回(コストを)かけてますね。労力はかけてます。やっぱり採用って、同じような規模のベンチャーであったりスタートアップと取り合いになったりする。

そのときにどうやって差別化をするかといったら、結局いかに他の会社がやってないことをやるかという。

社内でよく言うのが「ゲリラ戦」だと。大企業みたいにバッと網を広げて採用するんじゃなくて、全部ゲリラ戦、オーダーメイドで学生一人ひとりに合わせて採用を行っています。

なのでインターンシップでもかなり独自の取り組みをやりますし、中身に関しても独自のものをやっていくという感じですね。

最後の一押しの口説き方

須藤:最後で迷ってるみたいな子を口説くときって、どういうことをされてるんですか?

宇佐美:正直、僕は口説きの最後の場面に出ることってなくて……。

田中:そうなんですか? 宇佐美さんが最後に「俺とやろうぜ」みたいな感じじゃないんですか?

須藤:僕もそういうイメージがあった(笑)。

宇佐美:どちらかというと、人事のほうから「彼(彼女)は握手ができる状況です」って言われて……。

須藤:あ、仕上がってから(笑)。

宇佐美:そこで僕が握手をしにいくっていう形で。手前のところでほぼほぼ握れてるって状態を作ってもらっていますね。

田中:それはウチも一緒かもしれないですね。95パーセントくらい決まっててあと5パーセント埋めるみたいなところが。

須藤:逆に、そこが埋まってない人をどうやって……誰かに対応させてるんですか?

宇佐美:クローザーがいるんですよ。

須藤:クローザーがいる!?(笑) それはちょっと聞きたいですね。どういう方がクローザーに向いてるというか。

宇佐美:熱い男ですよね。

須藤:熱い男?

宇佐美:熱い気持ちを持ってる。

須藤:それは男性なんですか? 女性でもそういう人はいる?

宇佐美:男性ですね。でも特殊技能みたいなもので、なかなかそういう素養のある人はいないので職人芸に近いです。なので、中継ぎの人が中継ぎをやってもらい、クローザーにクロージングしてもらって僕は最後の仕上がりをおいしくいただくっていう(笑)。

須藤:すばらしい体制じゃないですか(笑)。

田中:できてますねー。

須藤:田中さんのところはクローザーいるんですか?

田中:なるべく仕上げてもらうようにはしますけど、まだクローザーってとこまでの人はいなくて。なので、そこまで仕上がらない人はそこで落としちゃいますね。

須藤:なるほど。切って絞って。

田中:切って絞っちゃいます。

リクルート時代の無茶振り話

須藤:私はリクルートのときにまさにクローザーとして駆り出されてまして、「この人迷ってるんで、なんとかしてください」みたいな無茶振りがくるんですよ。

もう時効なのでいいと思うんですけど、Coineyの佐俣奈緒子さんが新卒のときに、まあ彼女はPayPalに行かれますけど、「彼女がPayPalとリクルートで迷ってるので、口説いてください」ということで僕が出たんですよ。

で、30秒で「無理だ」って言って(笑)。

田中・宇佐美:(笑)。

須藤:人事に「お前、これは無理だよ」って電話したのを覚えてるんですけど。まあ、要は対人にちょっと強い若手の人が出て行って「何したいの?」みたいな話をしながらやっていく。

僕は対人がそれなりに強かったと思うんですけど、30秒くらいで無理だというのを悟って、あとは楽しく話すみたいな。

「頑張ってね」みたいに送り出したのを覚えてますね(笑)。そういうところですよね。対人が強いとか、アピーリングできる人がやっていく感じ。

ブログを見て、直接スカウト

少し時間もアレなので、中途の話をしたいと思います。中途の採用では皆さんいろんな苦労をされてると思うんですけど、一番多いのは「良い人はどこにいるの」というか、どうやって探してますかというのを皆さん聞きたいんじゃないかと思いまして。何かあります? 独自の方法とか。

宇佐美:今は会社の規模も大きくなってきて、人材紹介会社を使うことが多いです。8割くらいが人材紹介会社経由で、あとは社員の紹介とかがある感じですね。

規模が小さいときは社員の紹介が半分くらいのときもありましたし、あとはブログを見てておもしろそうなことを書いてると、僕とかがメールを送って。

須藤:すごいですね! スカウト。

宇佐美:スカウト。「飯食いませんか」みたいな(笑)。そういうのも初期の頃はやってましたね。