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自社の強みを知ろう: Mediumの秘密な特徴、そしてサービスの作り方(全1記事)

「誰もがストーリーを持っている」Medium Japan代表がサービスの思想を語る

日本においてブログサービス「Medium」のブランドアンバサダーおよびMedium Japanの代表を務めている坂田一倫氏が、Tech in Asiaのイベントで講演しました。Mediumはどういったサービスで、どんな思想で運営されているのかが解説されています。またその特徴的な組織の在り方についても触れています。Mediumはホロクラシーという思想のもとフラットな組織構成になっているそうです。Mediumの秘密について坂田氏が自らの経験をもとに語りました。

リクルートで働きながら、Medium japanの代表に

はじめまして坂田といいます。今日はどうもありがとうございます。今回はMedium Japanという今年1月に発足した、会社ではないんですけど、プロジェクトベースの組織になりますが、私はその代表をしているんですけど、今回は自社の強みをしろうということで、Mediumは100ストーリーというものを掲げています。

このMediumにとってストーリーがどれほど大事かというのをお話するんですけど、それとともに皆さんの組織の強さを引き出す、伝えるための方法論として、このストーリーがいかに大事かということを認識していただきたいと思っています。

まず最初に坂田と言います。私はふだんリクルートで働いているんですけども、その傍ら、Medium Japanのアンバサダーとして活動しております。あとはスタートアップのUXディレクターという形でいまファウンディング中なんですけど、やっております。

今回はリクルートとスタートアップの話は一切しません。ところがこうした形でさまざまな組織や活動を通じてやってきて、それぞれがけっこういい感じで関係しあってるというか、学ぶことが多いと思っています。

サービス作りとかサービス改善、組織の作り方、組織の考え方にも参考になりますし、さきほどのストーリーという話でいうと、いかにいろいろなエリアのものを世に伝えるかってまさにスタートアップが大事にすべき考え方みたいなのを、「BY THE TAPS」という歯ブラシを作ってるんですけど、そこで使ったりしています。

「Medium Japanをやってみないか」とスカウト

そもそもなぜ僕がMedium Japanに出会ったかというと、私は普段けっこう文章とか書くことが好きでして、かつ英語で情報発信することにも積極的でして、というのもやはり日本国内で情報発信しようとすると日本語になるんですが、読者って限られてしまうんですね。

それを英語にすることで読者の数が何十倍になる。かつコメントとかアイデアも膨れ上がるということを実感することがあったので、Mediumでストーリーを去年からずっと書いていました。

そのときにいま国際展開を担当している人がいまして、その方からコメントで、「いいストーリー書いてるね。ぜひMedium Japanでやってみないか」とお声がけいただいて、1〜2か月Skypeとかメールを通じてやり取りをして、やることになりました。それが今年の1月になります。これがMediumとの出会いで、進めているという形になります。

今日は3つのトピックがありまして、まずそもそもMediumっていう組織だったりサービスはどんなふうに形作られているのかっていう話をさせていただければと思います。

より美しい文章を書くために生まれたMedium

まず初めになぜMediumは作られたかという話なんですが、「30」という数字がキーワードになります。これはTwitterを創業したエヴァン・ウィリアムズが当時、Mediumを始める前に、彼はけっこう情熱家で文章を書くことにすごい時間を費やすんですね。

例えば文字を書くときに行間とかフォントサイズ、色とかそういったものを調整するのに彼は毎回これだけの30分という時間を費やしている。これって非常に無駄じゃないかと彼が思ったのがきっかけで、より美しい文章を書きたい、より美しい環境で文章を輝かせたいというところから誕生したのがMediumになります。

彼はMediumで積極的に@evというアカウントで書いているんですけど、ここで彼はMediumはウェブ上で文章を書くのに最適なツールである、最高のツールであると自負しています。僕もまさにそうだと思っていますし、近い将来、日本も1月から実際にこういう形でJapanというプロジェクトが立ち上がって、普及活動に努めていますけど、皆さんにとってもMediumがそんな関係になってますようにということで、日夜僕も活動を続けています。

組織は「ホロクラシー思想」のもとフラットに

Mediumという組織なんですけど、設立されて3年目を今年で迎えます。人数はだいたい100人ほどの組織で、ヘッドクオーターはサンフランシスコにオフィスを置いています。100人ってわりと多いかなと思うんですが、あとでお話するんですが、組織の構造が非常に特徴的で、その中でひとりひとりのアイデンティティですとか、組織内の動き方みたいなものが特徴的だというのを後々ご紹介させていただきます。

Mediumはストーリーを大事にしているというのがありまして、ひとりひとりの社員にスポットを当てる「Team Medium」というページがあります。ここでもひとりひとりがどういう背景でMediumに入ったのか、その人の人間性を、こういった形で一個一個のストーリーで展開しているんです。これがまず1つ面白いなと思いました。

なのでもちろんこの人の肩書はこうかもしれないけど、こういう背景があるとか、こういうことに関心があるというのをストーリーとして提示することによって、ストレートに人間性がすっと入ってくるんですね。こういった形が非常に特徴的だと思いました。

「1」という数字なんですが、さきほど組織の構造の話をしましたが、Mediumの組織というのはホロクラシーという思想のもと運営されています。このホロクラシーというのはヒエラルキーのアンチテーゼのような組織の考え方なので、Mediumにはマネージャーがいません。基本は役員と従業員それだけです。

なのでそういった場合どうなるかというと、ひとりひとりが意思決定を持っております。肩書とか役職ではなくて、役割を与えられているので、例えば私がよく一番身近で仕事をしている国際展開を担当している人であれば、ローカライズの機能についてこういうのがいいんじゃないかと話すんですけど、その場で意思決定がなされる。それは彼に権限が与えられているということです。

ヒエラルキーはどっちかというとピラミッド構造になっているんですけど、Mediumは丸がいっぱいあるというふうにイメージしていただいた方が早いかと思いまして、例えばプロダクトデベロップメントという1つの大きな円があるんですけど、その中にMediumの場合ですと、リーディング、ディスカバリーという2つの円があります。

その中にコンテンツの担当でしたり、開発の担当だったりとか、そういったものの中でデザイナーとエンジニア軍団というよりも、あなたがたはリーディングとディスカバリーをフォーカスして、組織を運営しなさいという役割を与えられているんですね。なのでそれを元にひとりひとりが意思決定をしていくということです。

マネージャーがいないので意思決定が早いですね。自分の役割に影響があるのは誰か。すぐそこで役割が与えられているのでわかりやすい。ミーティングもその人と1対1ですればいいし、下手に意思決定のためのミーティングを何重にする必要がないんです。とてつもなく早く組織が運用されています。

なので長らくMediumを使っている人はわかると思うんですけど、ほぼウィーク単位で機能とかユーザーインターフェースが変わっています。そこが1つの特徴であることがわかります。

ホロクラシーは、実はそれを推奨している公式団体がありまして、アバウトホロクラシーというところに彼らの公式のブログといいますか、記事が掲載されています。気になる方がいればぜひ見てみてください。

大物編集者が続々と集まる会社

オフィスはこんな感じでして、サンフランシスコにあります。まさにストーリーを書くというのはインスピレーションを受けなければならないということで、雑誌もたくさんありますし、小道具もたくさんある。

あと椅子とかの配置が役割ごとに分かれていて、デベロッパーで固まるということをしません。なので基本フリーアドレスの体裁をとっていて、それぞれがその日に気分的にどこに座りたいか決めて座っている。そんな形の配置になっています。

Mediumのもう1つの特徴は役員といいますか、エグゼクティブの中に編集者が非常に多いんです。もちろんストーリーを大事にしている、文章を書くのを大事にしてるサービスなので、その中でもこういった方々、もともとWiredの編集長をやっていたりだとか、あとはGQの編集長をやっていた人がシニアエディターという形で入ってきたりしています。

あとはケイト・リーというコンテンツのディレクターの責任者がいまして、彼女がどちらかというとMediumの中のスポンサーをしている記事の編集をしたりとか、そういったものをやってマネタイズをまわしている仕組みを考えています。

こういった方々がMediumにジョインして、まさにMediumの中で保たれているストーリーのブランドとか品質を担保しています。

これも非常に面白いなと思っていまして、これはMediumだけではないんですけど、最近もともと編集者をやっていた方がIT企業に転職して、そういったウェブサービス内のメールマガジンやテキスト、コピーを考えるケースが非常に増えています。編集者としての新しいキャリアプランだと思います。

Mediumは世界10カ国に展開、日本は重要地域

私はJapanの人間なんですけど、他にも実は10カ国でMediumは展開されています。本社がサンフランシスコなのはもちろんなんですけど、主にヨーロッパをベースにこれだけの数のローカルアンバサダーがいまして、計10人でいまSlackで意見交換をしながら日々、テキスト上の、言語上の問題なので特に日本語、ロシア、そのアルファベット以外の言語でどういったMediumというブランドを育てていくのかを日々ディスカッションしています。

いまは10カ国でやっていて、これからも増える予定ではありますが、日本は非常に特徴的でして、マーケットも非常に大きいので、アメリカとスペインに次ぐ成長性を実現している状態です。

で、各アンバサダーはいったい何をやっているのか?とよく聞かれます。もちろんプロモーションというのが1つあるんですけど、主にMediumに関して3つのミッションが与えられています。

まず1つが、さきほどケイト・リーさんとか優良な編集者が担当している、あるいは他の方々が関わっている英語のコンテンツを各国に展開すること。

あとはグロースハックというもので、そういったコンテンツをSNSや口コミを介して、Mediumというブランド、あるいはストーリーの重要性だったりとか、共感していただくための仕組みみたいなものを作ったりしています。

最後にまだプロジェクトベースでやっているという話をしましたけど、いずれ公開するさまざまな機能をどういった方法でローカライズしていけば、その国の人たちが使ってくれるのか、書いてくれるのか、読んでくれるのかというのを検討しています。

主にこういった3つのミッションでやっております。

Medium Japanの具体的な役割とは

Mediumでは頻繁にニュースとか機能のリリースがありまして、Medium Japanで2つの媒体を持っています。まず1つが公式のパブリケーションという形で「Japanese Official」。

ここではまずさきほどのミッションの1つである優良なコンテンツを翻訳して展開する。もちろんその中に一部ボランティアで参加していただいているライターさんなどの記事も紹介しています。

もう1つは「for Shirius」というものなんですけど、ここではMediumが展開している公式なアナウンス、機能とかお知らせみたいなのを共有して、皆さんにとって読みやすくなるように、書きやすくなるように記事を紹介しています。evanの記事も見ることができますので、ぜひ覗いてみてください。

Medium Japanという組織なんですけど、いま現在、私を含めて7名で運営しています。主に翻訳やボランティアの方が参加していて、いま(講演の)この中にも何名か来ていただいております。

これは他の国と比べるとわりと多いほうでして、少ないところは3名とかでやっています。さきほども話したとおり、日本というマーケットはアメリカとかスペインに次ぐ伸び率を実現しておりますので、Mediumのほうでも力を入れていきたいということで7名体制でやっております。

「ブログツールではありません、ネットワークです」

次にMediumとは何かという話なんですけど、やっぱり最初にローンチした当初は「ブログなんじゃないの」とか「いや、そうではない」とかいう話があったんですけど、Evanも最近こんな記事を書いていました。「Mediumはブログではありません。Mediumは編集ツールではなく、ネットワークだ」と。

これが先ほどのストーリーの話に関係してきますので、ご紹介していきたいと思います。これが一番覚えていただきたいものなんですけど、私がこの半年間Medium Japanとして活動してきて、かつ本社の人間と対話をすることで感じたのは彼らのやりたいことは「もう1つのウェブを実現すること」なんじゃないかと思っています。

よくMediumを表す言葉として、「プラッティッシャー」という言葉があります。これは「プラットフォーム」という言葉と、あと編集者や書く人「パブリッシャー」を掛けあわせた造語なんです。

1つはそういったストーリーとか自分の想いを書くためのプラットフォームを実現すること。まさにそれは自分にとって有益な読み手、読者を獲得したりとか、自分が書いたアイデアとかストーリーが無限に広がっていくようなものを作りたい。

そこでなぜストーリーなのかという話になりますが、私も普段さまざまなMediumに書かれているストーリーを読んでいますけど、思ったのは「誰が書いたか」は実はストーリーには関係ないんじゃないかなと。

それは読み手からすれば誰が書いたものでもいいと思っている。もちろん著名な方であればそれは気にするかもしれませんけども、わりとMediumのインターフェイスを見ていただけるとわかるんですが、作者とか作成日はあまり目立たなくなっているんですね。

そういった時系列とか誰が書いたかを忘れさせて、コンテンツにフォーカスをさせる。そういったインターフェイスにしています。なぜならばその背景にあるのはストーリーをいつ書いたかは重要ではありませんし、誰が書いたかも関係ない。優れたストーリーであれば時間が経過しても読んでもらえる。

そういったものを彼らは実現しようとしているし、それがちゃんと実現できるような環境を作るのがMediumの使命であるというところに行き着くと思います。

Mediumの特徴的な機能を紹介

その彼らが掲げているバリューなんですけど、Mediumのユーザーは2種類いまして、まずは書く人、エディターといいます。彼らとしてもなぜMediumを使うのかという話をさせていただきます。自分にとって有効な読者を獲得できる。それによって書き手として成長できる。この2つがあるからかなと思っています。

たとえば既存のブログとかで自分の話を展開するときは不特定多数ですけど、Mediumの場合はある程度不特定なんですけど、その中でさらにターゲットを絞ることもできます。自分のストーリーをカテゴライズして提供できる情報空間。あとは自分が尊敬する人とか友人と一緒に共同編集して、1つのストーリーを投稿することもできます。

どういう反応があったか? それはコメントという機能があるんですけど、その中で特に印象に残った言葉、共感していただいて新しいストーリーが生まれたりとか、そのための「レスポンス」という機能があります。

あとは日本でも公開したんですけど、「レター」という新機能があります。これはウェブのなかで、流通が激しい情報量のなかで埋もれないように、あくまで手紙で普段書いて渡すかのような感覚を養うために、あたかもそういったアンチテーゼのようなコンセプトで出したのがこのレターという機能です。これもパブリケーションをやっている人は使えますので、ぜひ使ってみてください。

読み手の数ですが、間違いなくなんでも読めばいいというものではないと思います。皆さんの中でも気になる範囲とか情報みたいなものがあると思いますけど、そういったものが簡単に入手できること。あるいは自分に関係ないと思うかもしれませんが、さらにそういった関心を掻き立ててくれる、関係領域を広げられることがあります。

その1つにパブリケーションというものがありますけど、「タグ」という機能がMediumにはありまして、それから独自のアルゴリズムで、この記事を読んだらこの記事も読んだほうがいいよとレコメンドされることによって、あくまでもそういった特定の情報とかコンテンツに左右されない、可能性を広げてくれる機能が存在しています。

この両者の機能とか関係によって保たれるのがMediumという情報空間だと思います。そのなかではストーリーがその世界を実現してくれてるんだろうなと思っています。

「ストーリー」は紀元前2000年前からある普遍的なもの

やはりストーリーというのは、先ほどもお話したんですけど、誰が書いたかはあまり関係ありませんし、時間の経過も関係ないと思っています。実際に裏に書かれている、これはカービングされてるんですけど、人類で最古の文学と言われているものは紀元前2000年前にさかのぼるんですね。

これが実際に最初に書かれたストーリーなんですけど、当時栄えていた文明の王の人生を綴ったものなんですけど、ただ綴っただけではなくて、生きている意味は何なのかだったりとか、階級制度の話だとか、ただ単に情報として王のことではなくて、こう生きるべきなのかみたいな示唆に富んでいる。

それがストーリーということで、かつこれがある事件で燃えてしまったんですけど、復刻していま読めるようになっている。なので時間とか、紀元前2000年前に書かれているけど、書かれている内容は普遍的なんじゃないかなと思います。

こういったものをMediumでも実現したいと思っていますし、パブリッシャーの方にも知ってほしいと思います。

Medium全体で1日に書かれるストーリーは約2000

最後にMedium Japanとしてはどんな成長率になっているのかという話をさせていただきますと、Medium全体で1日に書かれるストーリーの数はだいたい2000くらいです。そのなかでまあプロもいるんですけど、そのうちのほぼ95%がプロじゃない人によって書かれていることがわかっています。それだけ意欲的に書かれている方が多いんですね。

その2000という数字がありますけど、そのうち日本で書かれているストーリーがどれくらいかというと、だいたい多くて40くらい。平均すると30〜40の間。これ少ないように見えるんですけど、毎日書かれている方はほぼいないので、毎日違う方が書いているかと思うと、けっこうすごい数かなと思っています。

そしてMedium Japanが今年始まったというのもありまして、その数はこの半年間で倍増しています。ちなみに私は毎日書かれている日本語のストーリーをいま毎朝読んでるんですけど、読みながら思ったのは、やはり書かれている方が意欲的な方が多いというのと、そして相対的に書く時間というのが伸びてきている。そうなってくるとストーリーというのはそこに書くことに費やした時間と注目度が比例してくることがわかっています。

なので昔は簡単にメモ程度に書いていたことがだんだんと長文になってきたりとか、時間をかけて読みやすくする方が増えてきているのが印象的かなと思っています。

そのきっかけにMediumでは3人を呼んだんですけど、そういった書く力、ライターとしての能力とかスキルみたいなものがMediumを支えてくれる。いまではこういった方々が実際にMediumのユーザーなんですけど、プロの編集者として活躍している方もおります。

たとえばスティーブ・ジョブズの著者のように、Mediumからスキルが買われ、本を書いたという人もいますし、自身の本を書き始めるようなプロダクト、サービスを開発した人もいますし、実際に編集長として雇われた人もいます。

なので先ほどストーリーを書くことの力を支えてくれる環境がMediumにある1つの特徴かもしれません。

なぜ、「ストーリー」なのか?

最後に私がお伝えしたいのはなぜMediumなのか、なぜストーリーなのかというお話なのですが、3つポイントを挙げさせてください。これもEvanが必ず言っていることなんですけど、1週間でMediumは必ず何か変化をしないといけないと言っています。機能もほぼ1か月1回新しいものが世に出されています。

けっこう戸惑う方もいるんですけど、私からしてみれば常に進化しているサービスほど嬉しいものはないと思っています。ですが、変化するというのはいいことでもありますし、ただMediumの場合は書くことと、読むことを邪魔しない程度に変化をしていることがまず1つ安心できるところかなと思います。

2つ目はインターフェイスを見ていただけるとわかると思うんですけど、書くことと読むこと、言葉に集中させてくれることです。なので無駄な装飾はありませんし、読むときも無駄なヘッダー・フッターが消えますし、そういったところで真っ白な画面で書きたいだけ書きなさいと、集中させてくれる環境であることがサービスにのめり込みやすいっていうのは背景があるかなと思います。

あと3つ目はストーリーテリングっていう言葉がありますけど、余計な設定ですとか、過剰な装飾などが気にならないほどの既存の設定がMediumにはできていると思っています。そういったものがあると安心して書けるわけです。そういった安心感が自分の中に芽生えると、ありのままの自分というものを表現できたりとか、ストーリーとして表現できる。

この3つがMediumとしてのポイントなんじゃないかなと思っています。これはMediumの例ですけど、みなさんが使っているサービスですとか、仕事の中でもこういったことを意識していると改善につながるのかなと思っています。

コミュニケーションは原点回帰へ向かう

で、Mediumの目指すところなんですけども、歴史をたどるとコミュニケーションとか情報の質ってこのように変わってきてると思っていまして、昔はそれこそ彫刻を彫ったりとかやっていたのが、そこから徐々に紙になったりとか、記号になったりですとか、ブロードキャストされたりとか、いまではFacebookもありますし、最近はInstagramがわりと注目されているんですけど、テキストが音声になって、それが画像になって、動くものになって次はどこか?という話になってくると思うんですけど、私はこれが原点回帰するんじゃないかなと思います。

ウェブサイトやっている人間としてはわかるんですけど、ユーザーって読むんですね。文字が一番信頼できる情報だと僕は思っています。書かれていることがすべてだということですね。なので言葉というものを変えれば、人の行動も変えられますし、コミュニケーションも伝わりやすくなると思っています。

あくまでもそういった動画だったりとか写真とかは副次的な情報に過ぎないと思っていて、またあらためてテキストで会話する、文字でコミュニケーションする価値を探ることができる。それを気づかせてくれるのがMediumなんじゃないかなと思っています。

参考までにウェブサイトでコピーライトとか文字に変わる情報を再考したり、見直すことでこれだけのコンバージョンとか人の行動とかが変わるんですね。あくまでこれは参考ですけど、やはりパッと見たときに飛び込んでくるものは言葉なんですね。

言葉を介して、何を言いたいのかが伝わっていないと意味がない。なのでどうやって伝わるようにすればいいのかと考えたときに、先ほどのストーリーを書くという感覚が一番近いかなと思っています。

誰にだってストーリーはある

最後にいつもEvanがいつも言っている言葉で締めたいんですけど、やっぱりストーリーっていうとたぶん物語を書くのは難しいんじゃないかなと思う方も多いと思うんですが、私が本日お話させていただいた通り、Mediumとの出会いですとか、なぜMediumが生まれたのかっていうのをただの情報ではなくて、伝わりやすくするために、その自分ごと化せずにナレーションのような形で話すっていうのは誰でも持っていることだと思います。

自分の人生とか、旅とか、そういったものって日々あると思うんですね。ただEvanも言ってますけど、ただそれを聞いてくれる人がいないっていうのが1つ残念なところかなと思っています。ひとりひとりにはあるんですけど、それを開示できていない。そのためにMediumが生まれたというのがEvanの気持ちでもあります。

なので皆さんの中にも必ずストーリーがあると思っています。ぜひMediumで今度は皆さんのストーリーを書いて、聞かせてみてくれたらと思います。必ず読者がいますし、必ず誰かが反応してくれますし、誰かのためになります。そのための空間にMediumはしていきたいと思います。

これからもMediumは積極的に活動していきます。日々の情報発信としてはTwitterFacebookをやっておりますし、あとはMediumの公式アカウントもありますので、レコメンドとかもしています。まだMediumはほぼ英語の記事なのでフォローしていただければ、日本語の記事がレコメンドされて読むことができますので、フォローしていただければと思います。

ちなみに私のおすすめの読み方はiPadで読むことです。iOSアプリがあるんですけど、iPad miniのサイズだと雑誌よりも小さいので片手で次々と読む環境ができるので、非常におすすめです。

あとはこれからも積極的にそういったいいストーリーを展開していきたいと思っていますので、もし素敵なストーリーを寄せていただけるライターの方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください。では私の話は以上となります。ありがとうございました。

(講演のスライド資料はこちら

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