GoogleやFacebookの見えないフィルターに警鐘
あなたに届く情報は、知らないうちに選別されている

Beware online "filter bubbles"

FacebookのタイムラインやGoogleの検索など、現在のWebでは個人ごとに最適化された画面が閲覧できるようなアルゴリズムが組まれています。一見便利な機能のように思えますが、そこにはさまざまな危険がはらんでいます。Eli Pariser(イーライ・パリサー)氏は、どんな情報がフィルター機能を通過するのかを伝えられていない状況に警鐘を鳴らし、サービスの管理者が一般の人々にある程度の管理能力に与えるよう、うったえかけました。(TED2011 より)

Webの情報は様々な方法で選別され、個別化されている

イーライ・パリサー氏:ある新聞記者が、マーク・ザッカーバーグ氏にニュース配信について質問しました。その記者が「なぜそれはそんなに重要なのですか?」と問うと、ザッカーバーグ氏は「きっと今あなたが関心があるのは、アフリカで死に瀕している人々のことよりも、自分の家の庭先で死にかけているリスのことだろうからです」と答えました。

そこで今日は、関連させるというアイデアをもとに作られたWebとはどういうものになるのかということを話したいと思います。

メイン州の田舎で育った子供時代、私にとってインターネットとはとても特別なものでした。それは世界と繋がれるものでした。皆を1つにまとめてくれるものでした。

そして私は、これは民主主義国や社会にとって素晴らしいものになると確信していました。しかしある時、見えない所で情報の流れが変化しました。

注意しておかないと、大きな問題になりうるのです。私がこれに最初に気がついたのは、私がいつも長い時間を費やす場所であるFacebookでした。

意外にも私は政治的には革新派ですが、枠を飛び越え、保守派の人々とも交流するようにしています。彼らの意見を聞いたり、彼らがどんなことにリンクしているかを見て、色々と学ぶことが好きだからです。ですから、私はとても驚いたのです。

ある日保守派の人々が私のFacebook配信から消えたからです。何が起こったかというと、私がどのリンクをクリックしているかをFacebookが見ていて、私が保守派の友人のリンクよりも民主主義派の友人のリンクを多くクリックしていることに気がついたのです。

そして私に一言の断りもなく編集され、削除されてしまったのです。

ただ、このような目に見えないアルゴリズム的な編集を行うWebはFacebookだけではありません。Googleも同じことをしています。もし私とあなたがたった今、同じ何かを検索しても、その検索結果はとても違うものでしょう。

あるエンジニアが言うには、例えログアウトしていても、私たちがどんな種類のコンピューターを使っているか? ブラウザは何を使っているか? 現在地はどこか? など、あなたに合った検索結果を提供するため、Googleは57種類ものシグナルをチェックしているそうです。

ちょっと考えてみてください。つまりもう標準的なGoogleなどないということです。そしてこれのおもしろい所は、それを確かめるのは大変だということです。自分の検索結果と他人の検索結果を比べることなどまずないですからね。

しかし数週間前、私は大勢の友人に「エジプト」とグーグルで検索して、その検索結果をスクリーンショットに撮って送ってほしいと頼みました。これが友人のスコットが送ってくれたスクリーンショットです。そしてこっちがダニエルのスクリーンショットです。

この2つを並べると、リンクを読まなくてもこの2つが明らかに違うことが見て取れると思います。しかし実際にリンクを読むと、驚くべきことが分かるのです。

ダニエルのグーグル検索結果の最初のページにはエジプトでの抗議について何も見つけることができません。しかし、スコットの方はその事だらけです。

この当時この事は大きな話題だったにも関わらず、検索結果はこんなにも違ったのです。

そして更に言えば、これはグーグルとフェイスブックだけがしていることではありません。これはWeb全体で起こっていることなのです。

多くの企業がこのように個別化を行っています。インターネット上で最大のニュースサイトであるヤフーニュースも個別化されています。人によって内容が違うのです。

ハフィントン・ポスト、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ……全て様々な方法で選別され、個別化されています。そしてこれは、インターネットが私たちが見たいであろうと予測したものを表示する世界へと急速に移行しているわけですが、必ずしもそれが私たちが見るべき情報だとは限らないのです。

エリック・シュミットが「これからは人それぞれに個別化されていないものを見たり利用するのは、とても難しくなるだろう」と言うように。私はこれは深刻な問題であると考えます。

これらの選り分けられたものやアルゴリズムをまとめると、そこにできあがるのは選別された世界なのです。そしてこの選別された世界は、あなたがインターネット上で住んでいる個人的で唯一な情報世界なのです。

この選別された世界は、あなたがどんな人なのか、何をしているのかによって変わってきます。

どんなものが入ってくるのかを個人が決めることはできない

しかし問題なのは、どんなものが入ってくるのかをあなたが決めることはできないということです。更に重要なのは、どんなものが削除されているのかを見ることもできないということです。

この選別された世界の問題の1つが、ネットフリックスの調査で明らかになりました。彼らはネットフリックスの待機リストを見ていておもしろいことに気がついたのです。

もうこのことに気がついている方も大勢いると思いますが、ネットフリックスで映画を注文すると、映画によってはすぐに家に届くことがあります。待機リストに載ると、瞬く間に届くのです。

そうすると『アイアンマン』はすぐ届くのに『ウェイティング・フォー・スーパーマン』は長い時間待たなけれないけないということが起こるのです。

ここで明らかになったことは、ネットフリックスの待機リストの中で利用者の自身を向上させたいという意欲と、もっと衝撃的な欲望が大きく対立していたのです。『羅生門』を見たことがある人になりたいと思っている一方で、今はやはり4回目の『エース・ベンチュラ』が見たいわけです。

(会場笑)

一番良い編集はどちらも少しずつ見せることです。

少しのジャスティン・ビーバーと、少しのアフガニスタン。少し野菜の情報を提供したら、その後は少しデザートの情報といった具合です。

このように個別化されたアルゴリズム的フィルターの難しい点は、私たちが最初にクリックしたものに重点が置かれてしまうので、バランスが取れないことです。

バランスの取れた情報摂取の代わりに、ジャンクな情報ばかりに囲まれるという結果を招くのです。このことが示しているのは、インターネットというものを私たちは間違えて捉えてしまっているかもしれないということです。

放送業界では、創立神話はこのように語られています。放送業界には編集者という門番がいて、彼らが情報の流れを制御していました。しかしそこにインターネットが普及して、彼らを一掃してしまいました。そしてそれは私たちが繋がることを許可してくれる素晴らしいものでした。

アルゴリズム的門番に倫理は組み込まれていない

しかし現実には、今そのようなことは起こっていません。実際は、人間の門番からアルゴリズム的門番に松明が渡されるのを見ているようなものなのです。

そして問題なのは、アルゴリズム的門番には人間の編集者が持っていたような倫理は組み込まれていないということです。

ということはつまり、もしアルゴリズム的門番が私たちのために世界をまとめ、私たちが何を見るべきで何を見ないべきかを決めるのであれば、私たちはそれが関連性だけを重要視するのではないということを確認しておかなければいけません。

私たちにとって不快なことも、難しいことも、重要なことも私たちにきちんと見せてくれるようにしておかないといけないのです。これはTEDがしていることですよね、別の角度からの見解を知ることです。

実は、私たちはこれと同じ状況を過去に経験しています。1915年、新聞は市民としての義務を意識していませんでした。しかし、人々は新聞がとても重要な役割を果たしていることに気がついたのです。

市民に情報の流れが上手く行き届かないと、民主主義はきちんと機能しないということです。そして情報を選り分ける新聞は重要でした。そしてジャーナリズムの倫理というものが発達したのです。

それは完璧ではありませんでしたが、前世紀の間私たちはこの方法でやり過ごしてきました。ですから私たちは今、Web上でまた1915年をやり直しているようなものなのです。そして、私たちにはこのような責任をエンコードに組み込むことができる新しい門番が必要でしょう。

今日ここにはFacebookやGoogleからたくさんの方が来ていらっしゃるのは知っています。ラリーやセルゲイなど、今あるWeb構築の一端を担ってきた方々です。

私はその功績にとても感謝しています。しかし、これらのアルゴリズムに一般的な生活感や市民の責任感が組み込まれているかを確認してもらいたいのです。

どんな情報が私たちのフィルター機能を通過するのかを決める規則を、十分明白にしてもらいたいと思います。そして私たちが自分で何がフィルターを通って何が通らないかを決められるように、ある程度の管理能力を私たちに与えて欲しいと思います。

なぜなら、インターネットに私たちが夢見ている理想形になって欲しいからです。

私たちを繋ぎ、1つにまとめてくれるようなインターネット。そして、私たちに新しい発想や新しい人々、いつもと違う考え方などを紹介してくれるようなインターネットが必要なのです。

そして、もし私たちが1つのWebの中で孤立してしまっては、それは叶わないでしょう。

ありがとうございました。

(会場拍手)

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