心の針が動いたら即アクション
人生が変わる「ノータイムポチリ」と「自分まる見せ劇場化」とは

Two life hacks which changed my life | Hirofumi Ono | TEDxUTokyo

インフィニティ・ベンチャーズLLP・小野裕史氏はダイエットのために始めたジョギングがきっかけで「マラソンジャンキー」となり、南極、北極、砂漠など世界中の過酷な地域を走り続けています。小野氏は未来を変えるためのテクニックとして、自分の心の針が少しでもおもしろいものを見つけた瞬間に何か具体的なアクションを起こす「ノータイムポチリ」と、目標や夢、悩みなどをTwitterやFacebookでダダ漏れさせる「自分まる見せ劇場化」を提案。小さな第一歩が大きな変化をもたらすのだと、自身の経験を振り返りながら語りました。(TEDxUTokyo2014 より)

メタボなおっさんからマラソンジャンキーに

小野裕史氏:皆さんは自分の人生を変えたいと思ったことはありますでしょうか? 大丈夫です、変な宗教のセミナーではありません。ご安心ください。

(会場笑)

僕はこの数年間で自分の人生が激変した一人なんです。なぜならば、僕は本来ベンチャー投資家という仕事をしているんですが、今日は全く関係ない「マラソンジャンキー」というタイトルで今日ここに立っているからです。

僕はこの数年間でさまざまなマラソン大会を走ってきました。

2012年4月には、北極点の周りをぐるぐる回るフルマラソンを走ってきました。

ちゃんとGPSで記録した証拠も残っています。

その半年後(2012年10月)には、南極大陸に行きまして100km走りました。

さらに、その5ヶ月後(2013年3月)には南米チリのアタカマ砂漠で250km(走っています)。

これは3名で一緒に250kmを走るという「チーム戦」であり、日本人で初めて世界一になることができたんです。

その結果、僕は2013年に『マラソン中毒者』という本を出すことになりました。それ以来、僕(の呼び名)は「マラソンジャンキー」なんです。ですが、この本を出す3年半前、僕はこんな人間だったんです。

今より20kgも太っていた、ただのデブのオッサンだったんです。とはいえ、皆さん(決まって)「小野さんは昔から運動得意だったんですよね? やってたんですよね?」と思うんですよね。

残念ながら、これが10歳の僕がいた現実です。体育の成績表では、運動の技能の上中下(のうち)下に丸が付いてるんです。とにかく運動が根っから大嫌いで、僕はそれ以来35年間「運動なんかしたくない」(と思っていました)。そんな人生だったんです。

そんな僕が、今では何かの病気の人間のようになってしまって。たった数年間で、なぜこんな激変が起きたのか。皆さん、この激変の裏ワザ知りたくはありませんか?

心の羅針盤に従う「ノータイムポチリ」

(会場の様子を確認して)ありがとうございます! それではこの裏ワザを1つご紹介しましょう。

「ノータイムポチリ」。なんじゃラホイと。これは、自分の心の針が少しでもおもしろいものを見つけた瞬間に何か具体的なアクションを起こすということなんです。

2009年の8月「さすがにデブりすぎた。ダイエットしなきゃ」と思った僕は、イヤイヤながらジョギングを始めてみたんです。

人間誰しもやってみて気付くことがあるんですが、僕も「あれ? 俺、運動嫌いなはずなのに、ジョギングちょっと合うかも? 俺、ドMだし楽しいな」とその時発見しちゃったんですね。この楽しくなった瞬間に、僕はノータイムポチリを行いました。

ポチっと気軽に、ネットで見つけた3ヶ月後のフルマラソンへとエントリーしたんです。これがノータイムポチリです。

(会場笑)

人間はおもしろいもので、明確な目標が生まれるとマインドセットが変わるんです。

それまで「3ヶ月後のフルマラソンなんて無理だろ」と思っていた僕が、ポチったことによって目標が生まれて「どうやれば完走できるか」なんて考えるようになった。

ただやせたかった僕が「どうすれば完走できる自分に変われるか」と考え始めた時、少し人生が変わり始めた。これがノータイムポチリだったんです。

これは、僕が初めてフルマラソンを走った時の写真です。なんだか、今よりオッサンに見えてしまうんですけども。当然苦しかった。でも、完走するとめちゃくちゃ嬉しい! そして次に

「ひょっとしたら、もっと俺やれるんじゃないか? もっとやりたい!」という新しい感情が芽生えました。

そこから、僕は次々新しい大会を見つけてはノータイムポチリをしてしまうようになっちゃったんです。

その結果、1年弱で100km走ったり、2年弱で砂漠へ250km走りに行っちゃったわけです。

そろそろ、皆さん、大抵は「いや、おもしろいもの見つけたからといって、そんなに普通ポチったりいろいろしないんじゃないですか? できないんじゃないですか?」と思うんですね。

考えてみてください、皆さんにもかつて、今よりもかわいくて純真な時代があったはずです。

(会場笑)

その時は、(「ヒーローになりたい!」というふうに)思っていたはずです。自由に自分がなりたいもの、やりたいことを思い浮かべていたでしょう。

でも、人間は経験を積むと、自分の中でできることできないことを勝手に頭で決めつけて、自分の可能性を狭めてしまいます。

でも、僕らは本来、何歳になったってやりたいことを見つけてチャレンジできるはずなんです。そんな時に便利なのが、このノータイムポチリなんです!

(会場笑)

なぜなら、できるできないを四の五の考える前に「おもしろい!」と思った瞬間にポチっと具体的なアクションをする。たったこれだけのことが、実は大きな変化をもたらすからなんです。

でも、皆さん、思うんですね。「お前、バカかと。ポチって少しは人生変わるかもしれないけれども、さすがに普通は南極北極行かねぇだろう」と。

確かにそうなんです。でも、実をいうと、僕はノータイムポチリを繰り返す中で、もう1つ別の裏ワザを編み出していたんです。それを今日、皆さんにお見せします。それでは順番に見ていきましょう。

Twitterでつぶやいた砂漠マラソンが実現

これは5年前に、僕がTwitterに投稿したつぶやきです。

「砂漠マラソン」というものが世の中にあることを初めて知って、ワクワクして「いつか出てみたい!」と思い、とりあえずTwitterで参加の宣言だけしています。読んでみましょう。「30代中にサハラマラソンを目指してみると宣言してみるテスト」。まあ、なんと超及び腰なんでしょう!

(会場笑)

残念ながら、大会のエントリーボタンはポチっとできずに、Twitterのつぶやきボタンにとどまっちゃったんです。でも、いいんです! このつぶやきが、僕の人生を結果的に激変させました。

このつぶやきを見たアライ君という若者がある時僕の目の前に現れて「僕も小野さんと同じようなマラソン歴しかないんですけども、来年砂漠マラソン出ちゃうんですよ」と言ったので、僕は「何だって!」と思わず反応しちゃいました。

この結果、僕の中で「将来、いつか」くらいに思っていた砂漠マラソンのイメージが「実は、俺も来年出れちゃうんじゃないか」と、一気に心の中でビューンと動いたんですね。ここから先は、もうノータイムポチリの出番です。

もう、これ知った49分後に「翌年のゴビ砂漠マラソンにエントリーだっ!」とポチりましたよ。

勢い余って、その6分後には、もうひとつの砂漠マラソンまでポチッとやっちゃったんですね! アホですね!

(会場笑)

SNSで夢や目標を丸見せする

なんで、こんなにおっきな話になっちゃったんでしょうか。実のところ、僕は、この行動の中にもう1つノータイムポチリとは別の裏技を知らず知らずのうちに編み出していたんです。その裏技は「自分まる見せ劇場化」といいます。

これは何かというと、僕の目標や夢、妄想やそれに対する悩みをTwitterやFacebookでバンバンバンバン丸見せするということです。

ステージに立つ人のごとく、僕はTwitterやFacebookを見ている人を全員観客のようにとらえて勝手に自身を丸見せしてたんです。それによって、僕は思いもよらないような人との出会いを作り、結果的に目標を大きく増幅することができたんです。

確かに、最初のノータイムポチリだけでも、僕の人生は少し変わり始めていました。でも、その後、北極や南極など大幅にマラソンの目標が増幅したのは、僕が一切をまる見せすることによって思いもよらない出会いを見つけた結果、新たに未来が生まれたからだったんです。

これは、僕が南極100kmマラソンを完走した時、Facebookへと行った投稿です。完全に観客を意識してステージ衣装まで着ちゃってますね!

(会場笑)

その時は2位という結果だったんですが、この投稿に対して実にたくさんのコメントがありました。

中には「世界2位の次の目標はなんだろう?」(というものもありました)。(観客からの)1位への期待を感じますね。「このストーリーおもしろいけれども、本にする予定はないの?」(という声も目に入りました)。実は僕のこういった丸見せによって、勝手に自分の次なる目標を呼び込んでいたんです。

何の話をしているかというと、まさに今回の「TEDxUTokyo」のテーマでもある「縁」のことなんです。僕は全てを丸見せすることによって、自分を変えてくれるような人との縁を勝手に呼び込んでいました。

小さい頃はコミュニケーション下手だった

皆さん信じられないかもしれませんが、こんなベラベラしゃべっている僕ですけど、実をいうと、小さい頃はコミュニケーション障害の人間だったんです。

これは国語の成績、話すという技能については、上中下のうち下に丸が付いています。僕はあまりにもしゃべれないため、小学校時代に登校拒否を起こして入院していました。これは本当の話です。

高校までずっとしゃべり下手でした。でも、中学校、高校といい出会いがあり、縁があり、少しずつ時間をかけてここまでしゃべれるように変わっていったんです。しかし、正直、すごく長い時間がかかりました。

でも、皆さん。今はインターネットの時代であり、ソーシャルメディアがあるんです。自分を丸見せすることによって、自分を劇的に変えるかも知れない縁を、急速に世界の裏側にだって広げていくことができる時代なんです。

たった3年半ほどで、ただのデブでインドアだった人間が(マラソンで)世界一になることができたり、そのストーリーが本にまでなっちゃったりと、そんな思いもよらぬ未来が生まれたのは、まさに僕が自分を丸見せにしていたからだったんです。

でも、皆さん、ノータイムポチリして自分を丸見せすることっていうのは、非常にチャレンジングである分、ハードルも上がるんですね。

そうなると、僕もたまには怖くなって逃げたくなったりします。途中で泣きたくなったり、止めたくなったり、そんな経験だってたくさんあります。

その時に「僕はなぜ頑張ってこれたのか」と考えたりします。実は、ここにも自分丸見せ劇場化の効果があったんです。

東京から新潟まで520km寝ないで走るレース

僕は2013年のゴールデンウィークに、東京から新潟まで520km走るという、とても頭のよろしくないレースに出ました。

(会場笑)

ほとんど寝ないで走るんですね。まずスタート地点のTwitterのつぶやきです。

「ちょっくら新潟行ってきまふ」と、もう観客意識していますね。残念ながら拍手は全然起こらず、リツイートもリプライも何ももらっていません。

これは331km地点に到達した時、あまりにも眠くて、寒くて、疲れて、思わず目の前にあったラブホテルに一人で駆け込んで仮眠を取って目覚めた時の投稿なんです。

本当に死にたくなるくらい辛かったので「誰かに助けて欲しい。おもしろいとこ見せて観客から応援してもらいたい」と思って、あんまり記憶に残ってないですが必死につぶやきました。目の前にあったカラオケのマイクを取って、鏡に映る自分をパシャリと撮ってTwitterに上げたわけです。

ここで、4リツイートにリプライと、少しずつパラパラと拍手起こってます。でも、この少しの拍手が、死にそうになって「もう止めたい」と思っている僕を勇気づけてくれるんですね。もうひとつ、ここでおもしろい事象が起きています。

「みんなにおもしろい姿を見せたい」と考えている自分は、実のところ、自分を客観視しているんですね。

まさに鏡に映っている自分を見ているように、自分を客観視することによって「何、俺、こんなバカなこと、おもしろいことやってんだろう」と、超絶苦しい状況にあるはずなのに少しだけ楽しい状況に変えることができるんです。これが、自分丸見せ劇場化が持つ(もうひとつの)効果だったんです。

結局、僕はふらふらになりながらも520kmを完走することができ、その(報告の)投稿をすることでまたたくさんの拍手をもらうことができたため、また次のチャレンジを続けていったわけです。

でも、もちろん、うまくいくときばっかりじゃなく、失敗する時だってあるんです。ジャングルマラソン250kmを走りに行った時は、5日目でリタイアしてしまいました。正直、すごい悔しくて、恥ずかしくて、悲しかったです。

でも、この事実も丸見せしたところ、今までにないくらいの応援、拍手「感動した!」というコメントをもらえたんです。

それによって、僕は「なんだ。失敗は怖いものじゃなくて、見せびらかしていいものなんだ。もっと次につながるチャレンジのエネルギーにすればいいんだ」という、当たり前のことを学ぶことができたんです。

このように、自分丸見せ劇場化は、場合によっては誰も見てなかったとしても、自分で観客席を想像して「友達とか家族が見てくれるかも知れない」と思い込むことが大事です。

もしくは、もう死んでるかも知れないじいちゃん、ばあちゃんに天国から降りてきてもらうか、あるいは「将来こんなふうになりたいという理想像を夢見ていた過去の自分」を勝手に(観客席に)座らせることによって、(自然と)「見られてる! 頑張らなきゃ!」という気持ちが奮い立つんですね。これが丸見せの効果です。

もしくは観客席の位置からステージに立つ自分を客観視することによって「何やってんだ、俺。もっと頑張れるよ。おもしろいことやってんじゃないか!」と、その時おかれた苦しい状況を楽しく変えることができるんです。

酔った勢いのノータイムポチリで未来が劇的に変わった

こんな話をしても、皆さん「そんなふうに変われるのは小野さんだけじゃないんですか?」と感じてるはずなんですね。

でも、僕の周りには同じようにして変わっていった人がたくさんいるんです。今日は、時間の関係で1人だけご紹介したいと思います。

これは僕の親友の山本良太君です。彼は元々、日本の大手半導体メーカーに勤めるサラリーマンでした。

彼は非常に残念な人間で、常にグチばっかりTwitterやFacebookでつぶやいていたんですね。「日本のメーカーなんかいたってクソだ! 海外に出なきゃいけないんだ!」と言いながら「じゃ、お前、行けばいいじゃんか!」と指摘すると「いや、俺はいいんだよ」と答える。よくありがちなパターン。何もチャレンジしないタイプの人でした。

(会場笑)

この残念な彼がとあるノータイムポチリをきっかけに、未来が劇的に変わったんです。

なんと、大会の3か月前に、僕と一緒にサハラ砂漠250kmを走りに行くって宣言したんです。当時、彼は酔っ払っていたそうで、思わずポチっとエントリーしちゃったそうです。

でも、僕と同じようにポチっちゃったことによって、目標を(強制的に)課せられて「やらなきゃ!」と思い立ったんです。

しかも、彼は「ポチっちゃった、エントリーしちゃったよ」ってことから「大会近づいてきた。なんか怖くなってきた……」ってことまですべて丸見せにしてったんです。

これによって、彼はたくさんの人の共感、感動、そして声援を呼んで、(大会までの)3か月を非常に頑張った。その結果、見事完走することができたんです。

でも、彼の激変はここからがスタートだったんです。

それまで散々「海外に行かなきゃダメだ」と言いつつ、動かなかった彼が、今では中国語もロクにしゃべれないのに上海で働いているんです。しかも、彼はもっと変わりました。

彼はそれまでめちゃくちゃネガティブなことしかしゃべりませんでしたが、非常にポジティブで周りの人を勇気づけるような投稿をする人間に変わったんです。

これ見てみるといろんなことが書いてあるんですが、まとめると今までいろんなチャレンジをしてきたと。でも、大事なことは「人は思ったよりもできるもんなんです。考えるだけでは足りない、行動することが大切」という部分。まさにこれ、ノータイムポチリです。

(また、彼は)「僕は人がどれだけできるのかを示していきます。そうすると未来がちょっとおもしろくなるでしょ?」とも言ってます。まさにこれは、自分を丸見せしていくことによって変わっていくということを言っているんです。

僕や彼を含め、皆さん全員このようにちょっとした簡単なきっかけで変わっていくことができるんです。自分を劇的に変えるかも知れないきっかけというのは、実はゴロゴロあるのかも知れません。

その中で、心の針が少しでも動いた瞬間、そのきっかけを逃さないようにノータイムポチリで具体的な一歩にしていく。たったそれだけのことがとても重要なんです。

そして、その姿をどんどん丸見せしていくことによって、自分の思いもよらない縁を呼び込み、新しい未来を生んでいくということは誰にでもできるんです。

インターネットでポチるのは簡単です、今の時代だからこそできることなんです。今日この後、この会場の中から新しいノータイムポチリ、新しい自分丸見せによって激的に未来が変わっていったという方が現れて、今度は僕が観客席側に回ることを楽しみにしています。ありがとうございました!

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