「すごいスピードで常識が変化する時代」を生き抜く、たった1つの考え方とは?
IVP小野裕史氏が語る

前へ、進め。未来は、いつだって自ら変えていける。 #1/2

IVS 2013 Winter Workshop
に開催

全く運動もしたことがなかったにも関わらず、たった4年で北極南極までを走破し、ランナーとして書籍も出版したベンチャーキャピタル「インフィニティベンチャーズ」の小野裕史氏。仕事においても、大学院の研究者からCAモバイルの最初の社員となり、年商180億円企業にまで育て上げた後、独立して投資家に。どう考え、どう行動することでそれらを実現させてきたのか。どんどん厳しくなる時代のなかで生き抜くために小野氏が見出した、たった一つの考え方「ノータイムポチリ」のアイデアは必読です!(IVS 2013 Winter Workshopより)

「ノータイムポチリ」とは?

小野:満員の会場、ありがとうございます。早速始めさせていただければと思います。

(会場拍手)

小野:ありがとうございます。主催者のくせにしゃべってしまうということをお許しいただければと思います。改めて、インフィニティ・ベンチャーズの小野と申します。今日はいろんなテーマで話をしようかと思ったのですが、「オモロイ未来の創り方」というテーマで話をさせていただければと思います。勝手ながらゴールを用意いたしました。

今日のゴールはこれです。聞いたことない言葉だと思うのですが、「ノータイムポチリ」とはどういう意味かと言いますと、僕らが勝手に作ったんですが、あまり深いこと考えず、即座に、時間をかけずにノータイムにポチッと具体的に何かアクションをしてみる。やってみたいとか思っていることを、思うだけじゃなくてアクションしてみると。それが「ノータイムポチリ」です。

今日は、ぜひここにいらっしゃる皆さん、この貴重な話を聞ける皆様にも、このプレゼンが終わった後、今日帰るまでに何かしら「実はやってみたいと思っていたんだけど、まだやっていないこと」を、心の羅針盤に従ってノータイムポチリ、具体的にアクションするということを今日のゴールにしてみたいと思っております。

サラリーマンから投資家へ

簡単に自己紹介を。ざっくり経歴ですが、非常にバラバラな経歴でして、もともと研究者になろうと思っていました。その後サラリーマンになって、スタートアップ、スタートアップと言っておきながらサラリーマンからスタートしたのですが、5カ月ほどで辞めて、初めてのベンチャー「CAモバイル」という会社にいて、今「インフィニティ・ベンチャーズ」という形で、今度はベンチャーに投資をするという仕事をしています。今、世界中にパートナーがいるのですが、日本と中国で主にベンチャー投資をしています。

例えば、昨日のIVS本編にも出ていた「スマートエデュケーション」という子ども向けのスマートフォンの知育アプリを作っている会社とか。

ご存じの方が多いかもしれませんが、「グルーポン」というサービスの日本の会社をゼロから立ち上げて

1年でこのくらいの会社にしたり、

こういったカンファレンス(IVS)をやったりだとかしていまして。

小林雅と田中章雄と3名のパートナーと一緒にやっています。

日本でも「食うにも困る」時代が来る!?

仕事の話は置いておいて、ところでテーマは未来ですね。未来はどうなるでしょうか。この数がわかる方、ピンと来る方いらっしゃいますか? これは日本の生産年齢人口の予測です。要は日本で働ける人口の数。2000年には8500万人いたのですが、皆さんが一般的な定年に近づく頃、2050年には劇的に減ります。

今、日本の人口はどうなっているかというと、実はもうピーク過ぎてるんです。いい悪いではなくて事実として受け止めていただきたいのですが。ずっと伸びてきた高度成長の時代があったのですが、もうピークをすぎて今は完全に下り坂ですね。2050年頃には1億人も切っていて、しかも40%の人が僕らが支えてあげなくてはいけないお年寄りばっかりになるんですね。イメージしてみてください。我々もお年寄りになる時代ですけれども、日本中お年寄りまみれになると。若い人の力がどんどん減るわけですね。

一方で全世界を見てみると、とんでもないことが今起きているんです。これは人口の推移で過去からさかのぼって、今ここ(右端を指して)にいるんですが、たった数十年の間に爆発的に人口が増えてるんですね。こんな狭い地球の中で。2050年を前に100億人近くに達するんじゃないかという予測もあります。こんなことは全人類味わったことがないんですね。どうなってしまうんだろうと。めちゃくちゃ人口が増えると。

一方で何が起きてるか。よく「フラット化する世界」という話がありますけども、これは何の図かというと、東南アジアだとかアフリカだとかの一人当たりの所得の推移を出してるんです。単純に見てみると、昔は高所得者とそうでない国と、貧しい国と富める国が分かれていた、人もそうだったんですが、どんどん平均値が上がっていってるんですね。富める者もそうでない者も、教育受けている者もそうでない者も、その差が少なくなってきていると。

イメージしてみてください。バカみたいに人口が増えて、どんどんライバルと僕らを追いかけてきている人たちがどんどん迫ってきているんですね。どういうことが起きるでしょうか。単純に考えると、非常に競争が激しくなってくると思います。下手したら食うのにも困る、食べるものを探すのも、飲む水を探すのも、難しくなる時代が来るかもしれない。事実としてそういう実態があります。

"常識"がすごいスピードで変化する時代

あともう一つの視点で、未来はこんな風に変わってきていると。これは何を示しているかというと、「3Dプリンター」って聞いたことがある方、どのくらいいらっしゃいますか?(挙手)結構いますね。自宅のテーブルの上で、3Dのものをプリンティングできるという技術があって、ちょっと大げさですけど、昔だったらこういうものでしか物が作れなかったけれど、家で簡単に物を作ることができる時代が来るわけですね。

しかもこの3Dプリンターはアメリカの Kickstarter と言って、インターネット上で匿名で「こういう3Dプリンターを作りたいからお金をください」と匿名でお金を集めて、3億円近くも。プリンターを作る人を応援する人たちからお金を集めたんですね。お金を集めるのは大変だという話だったのですが、インターネット上で匿名でお金を集めることができる時代なのですね。

何が言いたいかというと、これまで大企業にしか手にすることができなかったお金だとか、物だとか、場合によっては人も今はインターネット上で集めることができます。そういうことができる時代になってきたわけですね。人口が増えていく中で、個人でも企業と戦えるような時代がやってきていると。

また一方で何が起きているか、さっき「大企業、最高」という話がありましたけれども、パナソニックという会社は「人が資産で絶対に人を切らない」と言っていた松下幸之助さんの話があったんですが、今は残念ながら、実態として本社を半分にするということが起きているわけです。一方でデトロイトのように、車の産業で栄えた街が丸ごと倒産してしまうと。何が言いたいかというと、大企業であろうと、場合によっては国であろうと、未来はどうなるかわからないんですね。

もっと言うと、こんな奴も出てきてるんです。競争がドンドン激しくなってくるという話がありましたが、13歳で起業して3億円以上もお金を集める彼みたいな人(米、ジェイレン・ブレッドソー君)も出てきています。

要は何が言いたいかというと、さっきnanapiの古川さんの話もありましたが、この世界は常識がどんどんスピーディーに変わっていくと。その中で住む場所も日本にいてはますます厳しくなるかもしれないですし、働く場所も、オフィスじゃなくて家で物が作れるかもしれないし、稼ぎ方とか生き方そのものがかなり多様化します。

ひょっとしたら、皆さんの親とか先生とかが当たり前に「こうですよ」と言ってきた常識は、もうすでに非常識になっているかもしれないと。そうすると、どうして生きていけばいいかと考えると、僕なりの一つの答えは、自分で考えて、選んで、試して、正解はないので切り開いていかないといけないという話なんですが、そんなこと言ったってどうすりゃいいの? という話です。じゃあチャレンジすればいいじゃないかと。チャレンジこそが未来を変えると言われるわけですが。

そんなもんは当たり前でして、困った皆さんのために解答をひとつ用意しました。それがこれでございます。真面目に言っております。笑うところですよ(笑)。ノータイムポチリ。深く考えずにアクションするというのが僕なりのひとつの答えです。

35年間走ったことのない男がマラソン本を出版

改めて、経歴の話の前に、スタートアップの話を聞きたい人たちがたくさん集まっている中で、趣味の話をさせていただきます(笑)。私、趣味でランニングをしています。実は4年前まで35年間全く運動してなかったんですけど、ちょっとしたきっかけからランニングをやりはじめたんです。

4年後の今年、なんと文芸春秋から本を出させていただくことになって『マラソン中毒者』という名前です。まさか素人の僕が、マラソンというタイトルで本を書いてしまったんです。

なんでこうなったかというところを紐解くと、35年間全く運動をしたことなかったし、運動が苦手だったのですが、ちょっとしたきっかけからランを始めてみたところ、苦手意識のあったはずのランニングが、やってみると「あれ、なんか楽しいぞ」と気がついたんです。

やってみて楽しくて、ここでノータイムポチリをしたんです。せっかくだったら、ちょっとレースに出てみようと。ランニングを始めて2カ月、3カ月後、できるかできないか、わからなかったのですが、とりあえず何も考えずにハーフマラソンとフルマラソンをポチッと押してしまいました。

初めてフルマラソンに出たとき、とにかく苦しかったんです。当たり前なのですが、あまり走ったことのなかった人間がいきなりフルマラソンをやったので。でも達成してゴールすると、とても嬉しいんです。やればできるじゃん。そうすると何が起きたかというと、「もっと俺タイム伸ばせるんじゃないか」とか、発想が変わってくるんです。やれるかやれないかわからなかったけれども、やってみたら「なんだ、できたじゃん」「だったらもっと上手くなりたい」とか、「もっと速くなりたい」という感情が初めて芽生えて、どうなったかというと。

ランニングを開始して2年目に、中国のゴビ砂漠250キロを走りにいきました。ありえないんですけど、やっぱりやれるか、やれないかって思ったんですけど、これもノータイムポチリで、やってみたいと思ってポチッとやってしまったんですね。

このレースは7日間で250キロを走るわけですが、1週間分の荷物を背中に10キロほど担いで、砂漠は寒かったり暑かったり、ときには感染症になったりしたのですが、

おかげさまで完走することができました。しかも、150人中19位と。「なんだ、俺って結構できるじゃん」「やってみたらできるじゃん」「もっともっとできるんじゃないか」と思って、また調子に乗るんです。

4カ月後、今度はエジプトのサハラ砂漠に行ってしまいました(笑)。250キロをまた走りに行ったんです。このときもいろんなトラブルに見舞われて、お腹を痛めて号泣しながら暗闇のなか砂漠を走ったりしましたが、終わってみれば、なんと総合8位。

「やった、なんだできるじゃん」と。ランニングなんかできるはずのなかった自分が、やってみたら意外にできるということを学んでいったわけです。そうすると人間はだんだん調子に乗ってきます。また新しいチャレンジを求めて、こんなことをするんですね。

これは大根のコスプレで大阪マラソンを走りに行った時の姿ですが……。あんまり笑いが起きないですね(笑)。大阪では笑いが起きたんですが。

どんどん強い刺激を求める自分が現れた

単純に砂漠みたいなところに行って非日常的なレースをすると、その刺激では満足できない自分が現れて、いろんなことを試してみる。コスプレして走ってみたりとか、どんどん刺激に飢えてくるんです。

そのときに見つけてしまった写真がこれです。

これは何の写真かというと、北極点でフルマラソンする奴がいるんですね。そのときの写真なんですけど、なんてバカなんだと思って、思わず即座にノータイムポチリして行ってしまいました。去年の4月のことです。日本から5つのフライトを乗り継いで北極に行けるんです。で、着きました。

考えてみてください。北極点って全人類が100年前にようやくたどり着いたところに、今は簡単にフライトで行けてしまうんです。「こんなところでフルマラソンできるなんてとんでもない!」と思って、普通に走るにはもったいないと思って考えて……。

忍者コスプレで走ったんです。本当に頭がおかしい人だと思っていただいて構わないのですが、何か面白いことをやってみたいと思ったんです。で、これで走ってみました。

50人くらいいたのですが、結果としては4位だったんです。忍者コスプレでの完走は人類初めて、という快挙を成し遂げたんです。

このときのGPSの記録がこれです。走った場所がよくわかりますね(笑)。

北極点に行ったので、なんとなくこのときに持っていた忍者刀を刺してみたんです。これもたぶん、僕が調べた限りでは人類史上初めてなのですが、このときにまた新たな発見があったんです。

ハッと気がついたんです。北極点にバサッと忍者刀を刺して、南極からも刺したら、なんかすごいことが起きるんじゃないかと勘違いするんですね。バカですね。そこでノータイムポチリをやっちゃいました。

今度は南極に行ったんですね(笑)。去年の11月、北極に行ってから半年後に南極に行ってしまったんです。頭がおかしいですね。ご覧ください。

画面内アナウンサー:世界各国のランナーがマラソンに挑戦する大会が開かれました。

小野:右側に注目ください。一番右側です。ペンギンが走っております。これ、私でございます(笑)。

これを見ていただきたかっただけなのですが、先ほどペンギンで走ったのは、あれはさすがにセレモニーランでして。実際には真面目に、忍者の格好で走りました。全世界から、わざわざ南極で100キロ走りたいという、頭のおかしい9人のスタート地点なんです。9人で走ったんです。

忍者姿で走りまして、おかげさまで100キロ完走しました。忍者コスプレで、これも初めてグサッとやったわけです。

このときもちゃんとGPSで。この辺を走ったわけなんですね。ちゃんと走りました。

2位になれたら1位になりたくなった

このときは実は9名中2位という結果になって、自分としてもなかなか満足いったんですけど、やっぱりちょっと悔しいんですね。「2位ってもうちょっとで1位じゃないか」と。「ひょっとしたら1位になれたチャンスがあったんじゃないか」と。悔しくなっていろいろ考えたんです。

どうやったら世界一が獲れるかって考えはじめたんです。

そこで見つけたのが、今年の3月に行ってきたんです。今度はチリのアタカマ砂漠というところに250キロ走りに行きました。

このときはさすがに個人だと1位を穫ることができないということで、チーム戦を選択したんです。この3名で250キロを一緒に走ると。

このときは本当にいろんなところを走ったのですが、藪をこいだり、川を渡ったり、砂丘を下ったり、こんなすごいところを走り続けるわけなんですが、ときには塩湖を走りながら、おかげさまで日本人で初めてチーム戦世界一を穫ることができました。(会場拍手)ありがとうございます。

運動すらしたことがなかったのに、何でこうなったのか?

で、ここまでやれば十分だろうと思ったんですが、今年の10月も行ってきまして、ブラジルのジャングルマラソン250キロというのに行ってきました。残念ながらこれはリタイアに終わったんですけど、とりあえずジャングルを走ってきました。

そろそろ皆さん勘違いしてると思うんですが、これはすべて趣味の話をしております。

私、職業はランナーではございません(笑)

インフィニティ・ベンチャーズという仕事をちゃんとやってるんです。

何が言いたいかというと、「なんでこんな風になっちゃったのかな」ということです。「未来はわからないよ」という話からスタートしたのですが、僕にとっても、ランニングなんてしたことなくて、運動したことなかったのに、なんでこんなふうになったかという話を紐解いてみたいと思います。

きっかけはWii Fit

4年前はこんな姿でございました。20キロくらい太っていたんです。同一人物です。35年間本当に運動ゼロでした。

なんですが、今はこんな風に、痩せてなかなかカッコ良くなったと思うんですけど……(会場拍手)。ありがとうございます。

おかげさまで、本も出して、こんなに平積みされたんです。1カ所だけ平積みされていたのを勝手に4つおいただけなのですが(会場笑)、なかなか売れてるように見えますね。

実際にはこんな風に並べていただいてる書店もあったり、

なんならNHKさんに全国に報道いただいたり、

さっきの世界一になった記録がDVD化されたり。もうジャニーズかっていう勢いなんですが、なんでこうなったのかという元々のきっかけが衝撃でして。これなんですね。

まさかのWii Fitからのスタートだったんですね。先ほどデブっていた写真がありましたが、本当に超インドア生活で、「ゲーム大好き」「インターネット大好き」「一歩も外に出たくない」というなかでブクブク太っていったわけです。さすがに太り過ぎかなと思って、自分が好きなゲームでダイエットができると思って買ってみたんです。ゲーム大好きなんで。で、やってみたんです。Wii Fitの中で走るメニューがあるんです。やってみたら、部屋の中で動かずにこうやって走っていると、さすがにちょっと空しくなってきて、ちょっと外に出てみようかと。

Wii Fitからウォーキングとランニングを。走るといってもほとんど走り方が分からなかったので、せいぜい1〜2キロウォーキングをやってみたら、少しずつ走れるようになって。

先ほどもありましたが、やってみたら自分に合うなというのを発見して、ノータイムポチリでハーフを走ったり、

フルを走ったり。フルを走れるようになったら、もっとやりたいなと思って、

100キロ走ってみたり。今度100キロやってみたら、意外にやれちゃったぞと。今度は何を思ったかというと、

コスプレで100キロ走ってみようと。これもやったんですけど(笑)

こんなことをやっていくうちに砂漠に行ったり、北極に行ったりしていて、世界一になって、それがなんと本になってしまったという話なんです。

大事なことは、最初からこのおデブちゃんだった僕が、将来本を書くなんて、まさか世界一を穫るなんて、当然考えてもいなかったんです。なぜこうなったのかと今振り返ると、いろんなきっかけがあったんです。デブっていたからゲームで痩せようとか、外に出てみたらランニングが合うからもうちょっと走ってみよう、走ってみたらまたさらに走れるからと、どんどんいろんなきっかけが出てきて、自らきっかけに乗っかることで新たなきっかけが生まれて、乗っかり続けたらこうなった……というだけなんです。

苦手を避けて、"向いてる"方へ

実はランニングの話をしておりますが、たまたま僕の経歴でも共通するところがありました。

先ほど冒頭でありましたが、もともと研究者を目指していたんですね。これが、サラリーマンになって、ベンチャーになって、投資家になって、とバラバラな人生のように見えるんですけど、もともとこんな研究をしていたんですね。

大学院で脳みそを作る遺伝子の研究をずっとやっていて、その遺伝子をオタマジャクシにプチュッと刺すと頭が2つ出来るみたいな、脳みその研究をしていたのですが、

そのときに研究室にたまたまあったコンピューターに、今はどの研究室にもあると思うんですが、まさにこのMacがあったんです。インターネットは当時流行りはじめていたんだけど、今では信じられないかもしれませんが、家では電話回線でピーヒョロヒョロとインターネットをしていた時代がかつてあったんです。大学ではインターネットが使い放題ということで触ってみたら面白くなって、「じゃあちょっとサイトでも作ってみるか」と思って最初のインターネットのサイトを作ったりしていたんです。

やってみたらこれがだんだん面白くなっていったのですが、またその当時、いいきっかけがありました。99年の2月に、今じゃ当たり前のスマートフォンの原型みたいな、世界で初めてのモバイルインターネットが誕生したんです。僕の大好きなインターネットが、いつでもどこでもできるって「これはひょっとしたら何か起こるんじゃないか」と思って、当時の僕にとっては結構高価な買い物だったんですね。貧乏学生だったのですが、5万円くらいの携帯端末をノータイムポチリで買いに行ったんです。

やってみたら、モバイルのサイトをいくつか作ってみて発見したのです。自分は非常にデザインが苦手で、PCのサイトを作るよりも、この白黒のサイトを作るほうが非常に簡単で、自分に向いているじゃんと。ということで、モバイルのサイトにどんどん傾倒していったんです。これが大事なのは、普通だったら、自分の苦手分野を見つけたらそれを乗り越えようとする努力をするはずなのですが、僕はむしろ放棄して自分の向いているほうにギュッと行ったという。

でも、おかげさまでタイミングよくというか、モバイルインターネットの幕開けのタイミングで、当時自分が作った居酒屋検索サイトとか、モバゲーの随分前に作ったゲームサイトのユーザーが集まって非常に伸びて、どんどん面白くなっていったんです。

ゼロから年商180億企業をつくれた

本当は研究者を目指して大学院に入ったけれども、大学院で見つけたPCでインターネットを始めて、たまたま買ったiモードを始めてみたらちょっと面白いじゃんと。もっともっと拓けるじゃないかと思って研究者の道を諦めました。

諦めたというか、もっとやりたいものを見つけてしまったんですね。当時そういう理由でIBMに新卒で入ったんです。それまでは大学院に当たり前にいて、博士課程に行くものだと思っていたんですけど、IBMに行きました。もっともっとIT技術を学んでみたいと思ったんですね。当然これまで積み重ねてきた全人生のキャリアを捨てるということに対しては非常に抵抗があったんですけど、自分が「やってみたい」という自分の心に従ってIBMに行きました。

なんですが、先ほど冒頭にも話したとおり、5カ月間で辞めてCAモバイルという会社に行きました。CAモバイルという会社は、当時サイバーエージェントの藤田さんが「iモードが出たからモバイルインターネットは何か起こるんじゃないか」ということで、とりあえず会社作ってみたという風に聞いたんですね。僕も「モバイルインターネットの可能性あると思うんですよ」と言い、「来ませんか?」「行きます!」とノータイムポチリ転職してしまったんですね。

このときも自分の直感を信じて入ってみたのですが、入ってみたら社員もゼロで売上もゼロだったんです。僕が最初の社員でした。「なんだ、裏切られた」とびっくりしたんですね。ですけど、モバイルインターネットで何かできることはないかと市場を開拓していったら、

時流に乗ったタイミングがよかった、というのもあったのですが、これは僕が入ったときから出るときまでのCAの売上なのですが、

ゼロからスタートした会社が年間約180億円の売上を作ったり、なんならサイバーエージェントの赤字を埋めて黒字を出すぐらいの黒字会社を作ったり、従業員もほぼ1人からスタートしたのが500人くらいの会社になったりと、やってみたらこうなったんですね。

これもなかなか満足はしたのですが、もっとやれるんじゃないかとだんだん感じ始めて、

独立して今のインフィニティ・ベンチャーズっていう会社を始めました。当然インフィニティ・ベンチャーズを始めたときは、給料もゼロになりますし、税金も重くのしかかって、しかもタイミング悪くリーマンショックというのが始まって、投資をやるには最悪なタイミングだったのですが、いろんな会社にそのときのきっかけで全力で投球して作り上げていったら、VCファンド100億円規模というこの世界ではそこそこ独り立ちできるかなというところまでようやくたどり着きました。

これもさっきのランニングの話と同じかなと思っていまして、これまで培っていたキャリアを捨てるだとか、自分の苦手分野を乗り越えるんじゃなくて逃げて好きなほうに行くだとか、今までの自分だったらやらないんじゃないかなというところを乗り越えてやってみてるうちに、いろんな失敗もあったんですけど、今のところこういう仕事ができたり、こういうカンファレンスができたりという風になったんですね。

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1 「すごいスピードで常識が変化する時代」を生き抜く、たった1つの考え方とは? IVP小野裕史氏が語る
2 「大脳を使った時点で負け」 直感力で自らの常識を打ち破る、"ノータイム決断"のススメ

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