退屈な思春期を過ごすのはもったいない--大切なのは「学校」や「家庭」以外の世界から学ぶこと

Community Education Will Change the Future of Japan | Yuichiro Nagai | TEDxICU

子どもの世界は「家庭」「学校」がほとんどを占めています。スマートドライブ・永井雄一郎氏は「子どもが家庭と学校の外にいる大人たちからインプットを受けられれば、人生は違ったものになるんじゃないか」と気付き、子どもと一般の大人がWeb上とリアルでコミュニケーションできる「コミュニティ・エデュケーション」の仕組みを構想。日本の未来を変える教育改革を目指します。(TEDxICU2015 より)

子どもの世界は「家庭」「学校」がほとんどを占めている

永井雄一郎氏:これは当時、僕が小学3年生だった頃の写真ではもちろんないんですけども。

(会場笑)

今日お話させていただく「コミュニケーション」というコンセプトに関しては、僕が高校1年生の時に頭を抱えていた体験がもとになっています。

高校1年生の時に何があったかというと、簡単に言えば部活をやめたことが大きかった。それまで中学の3年間運動部に所属していて、日中は授業受けて、放課後に部活をするという生活をずっと続けてました。

毎日が怒涛のように過ぎて「高校でもずっとそういう生活が続くんだろうな」と思ってたんですけど、いろいろあって高校1年生の秋頃に部活をやめることになりました。

(それから)何があったかというと、部活をやめた後、やることがなくなってものすごく暇になったんですね。当時の僕は、勉強に全然モチベーションが湧かなかったんで、右肩下がりに綺麗に成績が下がっていきましたが、食べる量は(以前と)変わらないので体重は右肩上がりに綺麗に増えていく(笑)。

(会場笑)

そんな状況で、時間ばかりが過ぎていって。「どうしよう、どうしよう」と本を読んでみたり、映画を観たりといろいろするんですけど、(どうも)やっぱりおもしろくない。

同じような帰宅部の人たちと遊んでみたりもするんだけど、それも(また)おもしろくない。「どうすればいいんだろう?」ってことで、本当に悩んだわけです。

その時に、日本の教育では、子どもたちにとって「家庭」「学校」という2つの世界がほとんどを占めていると思ったんですね。

子どもたちは家庭と学校を行き来しながら生活していると思いますが、僕の当時の環境だったり、要は「目標を失ってこれからどうすればいいんだ?」という時に、この2つの世界から(納得いく)答えを得られなかった。

答えじゃなくてもアイデアだったりヒントだったりインプットが得られなかったということは、今振り返ると大きかったなと思いました。「その状況をどうにかしたいな」という思いがあったんですね。

学校にはいろんなおもしろい先生がいるんですけど、基本的に大学を卒業して先生になってずっとそのまま先生をやってこられているので、学校現場の外のことはやはり疎い方が多かったりとか、ビジネスの世界や世の中で今どういったことが起こっているかということに関してあまり知らなかったりするんですね。

かたや(子どもたちの)家庭に行くと、親御さんも自分たちがやってきたこと、業界分野、自分たちが生きてきた時代に関してはもちろん知識や知見はありますけど、その枠の外に関してはなかなか触れていなかったり。

親なので、自分の子どもにいろんな期待とか「こうなって欲しい」という理想像を持つため、どうしても第三者的な立場からなかなか話ができなかったりする。

子どもたちは子どもたちで、思春期だったりするとなかなか話や意見(自体)が聞けなかったりします。(そうしたこともあり)子どもにとって、この2つの世界から必要なインプットを得るのはなかなか難しいんじゃないかなと思っています。

世の中で何が起こっているかをインプットしたかった

では「何が必要なのか」ということをずっと考えてきたんですけど、当時のやっぱり僕(の経験)を振り返って思うのは、できればその当時に「今世の中ではどんなことが起こっていて」「大人たちはどんな仕事にエキサイトして」「世の中でどんなテクノロジーがホットか」ということをとにかくインプットしたかった。

それで、自分の知的好奇心に火をつけて奮起させて、具体的に将来のことを考えて「自分は本当は人生でどんなことをしていきたいのか」ということを高校生なり中学生なりの早い段階から決めていきたかったんです。

その時に、家庭や学校といった世界の外の大人たちからどうにかしてインプットを受けられれば、(人生が)全然違ったものになるんじゃないかなと感じるんですね。

ただ皆さんもそうだと思うんですけど、現状で両者には断絶があって、子どものうちに家族でも親戚でもない、全然知らない大人たちと知り合ってコミュニケーションを取る機会っていうのは基本的にないんですね。「これはすごくもったいないことだな」と僕は思っています。

今までの家庭と学校という2つの世界がほとんどを占めている中に、一般の大人たちを第3のコンポーネントとして入れたらどうだろうかと。厳選されたキレキレのプロフェッショナルでも、すごい人たちってわけでもなくて、幅広いいろんな大人たちがいていいと思うんですね。

いろんな仕事をし、いろんな価値観を持った彼らがコミュニティ(内部)の子どもたちの育成に関わっていく。子どもたちはいろんな人たちの生き方や価値観、どんなことにワクワクして、どんなテクノロジーが今熱いのかということに触れて、それをインプットする。

そのことによって、(子どもたちは)「自分はこの後将来どんなことをしていきたいのか。何を頑張っていきたいのか」という将来に関することを、中学生、高校生といった早い段階からもっと前倒しに考えていくようになる。(そうすればやがて)子どもたちの育つ環境が全然違ってくるんじゃないかなと思っています。

ここですごく重要なのは、例えば都内のどこかにいる人しか受けられないサービスとかではなくて、日本全国、極端にいえば各地方自治体にこういう仕組みを用意することです。

子どもたちが人生をリカバーして生きられる仕組みを作りたい

こうした仕組みがWeb上とリアル(双方)にあり、子どもたちがそこにいつでもアクセスできるということが実際に起こったとすると、すごいインパクトをもたらすと思うんですね。

インターネットの発達によって、最近では本当に質の高い、無料の教育のコンテンツがあふれているわけです。インターネットさえあれば、世界どこにいても edX, Coursera, Udacity のようなコンテンツにアクセスできる。

そのこと自体は素敵なことなんですけど、ただ素晴らしいコンテンツがあれば子どもたちは使うかというとやっぱりそんなことはなくて。

急に子どもが朝起きて「今日、ちょっと俺 edX で人工知能の講義を受けてみようかな」とか言わないわけですよね。

(会場笑)

そういう子どもはなかなかいないと。結局、子どもたちが身近に接しているもの、使っているものに人工知能がどういうふうに使われていて、なぜそれがおもしろいのか、それが発達したらどんなおもしろいことが起こるのかについて、大人とのコミュニケーションを図ったり、実際に使ってみる。

そうした経験を通じて、子どもたちの知的好奇心が喚起されて「自分でももっと勉強してみたい」と思った時に、素晴らしいコンテンツがあると学びたいと思うはずなんです。

(だから)コンテンツが(ただ)あるだけではダメで、そこに子どもたちを向かわせるコンテクストが必要なんですよね。そのコンテクストを作るのが大人たちの役割じゃないかと僕は思っています。

この「コミュニティ・エデュケーション」というアイデアはまだコンセプト段階であり、もちろん「ビジネスモデルどうするの?」だとか「出会い系的な形に使われないだろうか?」とか運用上の課題があるわけですが、これをスケールさせる形で作っていくつもりです。

大人たちという、まだあまり使われていない、もったいない社会のリソースを使って、子どもたちの教育にテコ入れする。

素晴らしい家庭環境に生まれてくる子どもたちもいれば、ダメでかわいそうな家庭に生まれてくる子どもたちもいるのはしょうがないことです。

(ただ僕は、最終的に)どんな家庭に生まれたとしても、子どもたちが将来や未来に希望を持って人生をリカバーして生きていけるような仕組みやサポートを日本社会で提供すべきだと考えています。

「コミュニティ・エデュケーション」の仕組みを通して子どもたちの教育を変えることによって、日本の未来は絶対大きく変わるはずですし、本当にエキサイティングな日本の未来がその先に待ってるんじゃないかなと思います。

ご清聴ありがとうございました。

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