2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
IT のリーダーがもたらす企業のイノベーション(全1記事)
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阿部伸一氏(以下、阿部):タイトルは、Google for Workを使って、何が変わったかというところでございます。早速、ご登壇いただいたパネリストの方のご紹介を兼ねまして、お話をスタートしたいと思います。よろしくお願いいたします。
まずPwC、日本におけるコンサルティングの責任者をなさっております、鹿島さんでございます。早速ですが鹿島さん。今、クリスさんからグローバルの観点で様々な、非常に大きな社会、経済の課題に関するお話がありましたけれども、普段、鹿島さんが日本の経営者の方と接しておられて、鹿島さんの観点から今のような課題がどういうふうに見えているのか、お話いただけないでしょうか。
鹿島章氏(以下、鹿島):はい。わかりました。じゃあスライド3枚だけ、ご説明させていただきたいと思います。先ほどクリスから、非常にグローバルで、どう物事が動いていくかという話がありました。日本の企業も、ああいった動きにどう対応するかということを実際にやってこられています。
こちらが、日本の企業がどこに今お金を投資されているかのグラフなんですけれども、左に3本グラフがございます。過去10年間にどこに日本企業が投資をされてきたか、ということなんですけれども、一番下が日本です。10年間ほぼフラットなんですね。日本国内への投資はほぼ伸びていないと。
真ん中がDeveloped Market、これは伸び率ですけれども、主に北米、ヨーロッパですね。日本よりは投資をされています。絶対額はまだこちらのほうが多いんですが、先ほどクリスのスライドにもありましたが、今後経済が大きくなるところはどこかというところでいくと、やっぱりEmerging Marketsです。
なので、日本企業の皆様の投資のスピードというのは、こちらのほうにどんどん向かっておりまして、今、右のほうを見ていただくと、まだまだ北米、欧州が絶対額では多いんですけれども、今後、アジア、南米、オセアニア、アジアですかね。あと、アフリカとかも出てくると思いますが、そういったところに日本企業の投資は向かっていくと。
ここでひとつ、日本企業の大きな課題は、こういった投資をどううまく効率的にリターンに結びつけていくか。これがまずひとつ目の大きな課題ではないかなというふうに思っております。
阿部:では、次に二番目、こちらのほうなんですが、生産性ということを少しお話させていただきたいと思います。左のほうのグラフを見ていただきますと、これはOECDが調べた結果なんですけれども、労働1時間あたりのGDPというグラフです。
左のほうを見ていただきますと、1番高いのはルクセンブルグ、3番目にUSがありまして、6番目がドイツ、G7、OECD。日本は残念ながら20番目です。やはり、働き方を変えて時間あたりの生産性を変える、上げるということが日本企業のあるいは、日本人のこれからの課題、働き方をどう変えていくのか。
右のほうは、それが実際に結果として現れている利益なんですけれども、残念ながら日本企業の合計をしますと、海外で非常に効率的なオペレーションなり、いいビジネスのやり方をされている会社さんと比べるとなかなか差がついてしまっています。
なのでひとつ目は、グローバルに投資したものをどういうふうに効率的に利益に結びつけていくかということと、その中でも特に日本企業の皆様は日本の中での働き方もそうでしょうし、今後、そういった海外に投資されている以上、海外での従業員の方というのはたくさんおられますので、そういった方も含めて、うまくビジネスをやっていくにはどうしたらいいか。これは非常に日本企業の皆様が悩まれているところかなというふうに思っています。
阿部:最後のスライド、じゃあ何が違うのかということなんですけれども、PwCはグローバルな組織ですので、海外でコンサルティングをやっている事例を多々聞いておりますが、特にキーワードで言いますと、standardization、標準化ですね。こちらのほうが、やはりかなり遅れている部分があります。
ですので、グループの中で同じ言葉で話せないとか、同じデータで話せないとか、同じ仕事のやり方で物事を進められない。いろんな要因が重なっております。それが非常に明確にわかるのは、ITのインフラを見ると、グローバルで同じツールなり同じインフラを使っておられる企業さんが日本の場合は非常に少ない。
欧米系の会社は、例えば、ERPといったものを過去10年間ぐらいにわたって標準化を続けてこられて、今かなり生産性の高い仕事のやり方ができるようになっている会社がかなりあります。
ここでひとつ、クラウドというものが出てきてますので、日本企業の皆様は欧米の会社がやった、自社のシステムをずっと構築していくというところから、いかにクラウドを使って追いかけるときの距離を縮めることができるか、というのがひとつの課題かなと思っているのと、先ほど、生産性を上げるためにコミュニケーションをうまくとらないといけない、と。
日本企業の働き方ですと、やはり、段階的に誰かが作業したものを少しずつフィードバックをもらってやっていくという、比較的時間のかかる仕事の仕方をされています。
これを海外で働いておられる従業員の方も含めて、キーワードでいうとリアルタイムに情報交換なりアイデアの交換なりをして、いかにここのスピードを上げていくかというようなところが、日本企業がグローバルで効率のいいオペレーションをやるための大きな課題になっているのではないかなということで、真のグローバル化はまだまだ道半ばかな、と考えております。
阿部:ありがとうございます。今、課題だけをうかがっていますと、ゼロ金利で金融緩和でお金が借りられるんだったら、欧米の企業に投資したり海外にどんどん投資したほうがいいと思うんですけれど、当然、課題があれば、その課題を解決するために取り組んでおられる日本企業の皆様がいらっしゃいますので、ここからちょっと、そういう企業で実際に問題解決に取り組まれている、あるいは、新しいことに取り組まれている方々のお話をお客様からいただいていきたいと思います。
まず最初にJTBの野々垣さん、お願いいたします。野々垣さんなんですけれど、Googleにとっては初めてGoogle Appsの数万人規模の導入事例になっていただいた、我々にとってはある意味本当に大事なお客様であり、ある意味モニュメンタルな存在でもあるんですけれど、野々垣さんのほうから、Googleを導入していただいたきっかけについて、改めてお話いただけないでしょうか。
野々垣典男氏(以下、野々垣):はい。JTBの野々垣でございます。今、スライドにありますように、2009年7月に導入をしました。もう丸6年になります。来月で7年目に入ります。
導入のきっかけですが、2010年8月に自社で所有をしておりますメールサーバーの更新時期ということで、2007年4月からではありますけど、次期メールシステムをどうするかというような検討を始めていました。
そのときたまたま、『日経コンピュータ』に日本大学さんでGoogle Apps、それも独自ドメインで利用開始になる、というような記事が出ていました。これを自社でも使えないのかなというようなことで研究を始め、2009年7月に導入したということであります。
最も大きな理由は、やはりコストということです。圧倒的にコストが安いというところで導入を決定したというところでございます。
阿部:ありがとうございます。では、一旦私がお預かりして、続きまして、ミサワホームの宮本様からお話いただきたいんですが、これまで我々はどちらかというとデスクワーカーの働き方を、生産性を……とやっていたんですが、ミサワホームでは、さらに一歩踏み込んでいただいて、フィールドで働かれている方にもGoogle Appsを積極的にご活用いただいております。
宮本さん、導入のきっかけについて、まずお話いただけないでしょうか。
宮本眞一氏(以下、宮本):はい。私どもミサワホームは、このGoogleの仕組みを入れて本格的に使い始めたのは2012年の1月からです。2011年に採用を決めたんですが、当時の問題意識として、グループ会社各社がバラバラのITの投資をしておりました。重複投資もありましたので、何かひとつの基盤に統一していこうと。その中で、このGoogleを選択いたしました。
先ほどちょっとお話もありましたが、我々は住宅メーカーですから、営業の社員は日中お客様のところを飛び回っています。
それから、建設の現場の管理者は一戸建てですので、比較的郊外の建築地と市街地の中にある会社を行き来する。この移動も非常に時間がかかりますので、どこででも仕事ができる、これがひとつのポイントでした。
当然、マルチデバイスで使えること、それから当時もうすでにコンシューマーITがいろいろと出ておりました。Googleのユーザーも個人的に使っている人はたくさんいた。システム部門として、そういったものを禁止していくよりも、便利なものはできるだけ取り入れていきたい。且つ、セキュリティは担保していかなければいけない。
住宅メーカーですから、お客様のお名前、住所だけではなくて、住宅ローンのお取り次ぎもしますので、年収とか親御さんから資金援助をいただけるのかとか、かなりセンシティブなやりとりをしています。
例えば、そういった情報がメールの形でパソコンに残っていて、そんなものがウイルス感染して外に出ていったら……と考えるだけでもゾッとします。セキュリティをいちハウスメーカーがやるよりも、きちんとプロの皆さんに守っていただける。そういうことも採用の決め手でした。
その頃社内で我々が標榜したスローガンで、「周回遅れからトップランナーへ」というものがあり、私がまだ情報システム部長になりたてで、「張り切るのはいいけど、ちょっと大きく出たな」とも言われたんですけれど、私は、これはできると思ったんです。
実際にGoogleが最先端のソリューションを提供している。あとはそれを採用できるかどうかというのは、ユーザー企業側の考え方ひとつ。情報システム部の中でしか通じない何か妙なこだわりで、クラウドはどうなんだとか、そういうことをきちんと合理的に考え直せば、これは実現できると、そのように社内で説明した経緯があります。
阿部:ありがとうございます。いつもですと、こういう形で採用いただいて、何で導入したかというところで終わっているんですけれども、今日はもう一歩踏み込んで、実際に導入して使ってみて、皆さん、いかがでしたでしょうかということについて伺いたいと思います。
また一旦、野々垣さんにお話いただきたいんですけれど、具体的にいろんな方、経営者の方、ITマネージメントの方や、当然、ユーザーさんがいらっしゃるんですけれど、何が一番変わったと思いますか。
野々垣:そうですね。まず、ユーザーの立場で言いますと、やはり使い勝手があったりとか、デバイスとか場所を選ばない。そういった、今のグローバル化、あるいは、スピードのある経営、ビジネスをしていかないといけないというようなところを考えると、まさしく、導入した2009年以降の日本、グローバルの動きの中で非常にうまく活用できているんだと思います。
あと、今日いらっしゃっている方の中で、CIOの方とかシステム部長の方もいらっしゃると思うんですけど、どうですか、皆さん。自分自身が本当にその役割を果たせているか。
私もJTBの本社でシステム部長やっていましたし、今、システム子会社の社長という立場なんですけど、例えばシステムの障害であったりとか、あるいは開発そのものが必ずしもうまくいかないことがある。
そういった、本来であればシステムの投資を行って、それがうまくビジネスで活用できるメリットがあるような形にしていくのが本来の仕事ではあるんですけれど、そうじゃないしがらみというか、非常に難しい部分が多いということで、今回、メールのシステムが外に出たということで、そういった手間が全くなくなったんですね。
例えば、経営の立場ではなくて、システムの運用、インフラの担当者の声を聞くと、従来ですと、メールサーバー、何らかのプログラムの改修等のバッチを当てるにしても、夜間作業でやっていたということが今回はなくなったこととか、本来やるべき仕事を傾注できる。これは経営の立場も、スタッフも皆さんそうなんですけど、やっぱり、そういったことに切り換えていく、変えていくという、非常にいいきっかけになったと思います。
阿部:ありがとうございます。同様の質問で、宮本さんからも、何が変わりましたでしょうか、という観点でお願いします。
宮本:はい。いわゆる隙間時間の活用が非常に上手にできるようになったと思います。例えば、私も今日朝早くからここに来てるんですけど、今までであれば、こうやって半日外へ出て行って会社に戻ると、いろいろな仕事が、それから始まるということでたまっているわけですが、今は本当に少しの隙間があればデバイスを使ってメールを確認して、共有の文書を呼び出して、それも直して……ということがあらかたできます。
チームのメンバーのカレンダーもわかりますし、その予約もできると。テレワークとか在宅勤務とか、そこまで大きく構えなくても、本当にその細々した時間にいろんなことができるというのは非常に便利だと、やはり実感するケースが多いです。
東日本大震災が起きたときに、私たちは会社に行かないとなかなか仕事ができないので、数時間かけて通勤したりということがありましたけれど、今ならもっと上手にできるだろうなと思いますし、そこまで大きな災害ではなくても、毎年のように台風が来れば電車が止まったりとか、今はインフルエンザで熱が下がっても3日間ぐらい会社に行っちゃけないとかで、4日目に会社に行くと山のように仕事がたまっていて、かえって体が悪くなるという感じになりますけれど(笑)、そういったことが、家からでも、出先からでも、どこからでも仕事ができるようになるというのがメリットですね。
それから、冒頭にグローバルの話がありましたけれども、本当に我々住宅メーカーって国内産業なんですが、もうどんどん市場が小さくなっていく中で、いろいろと多様化の先を模索しています。
M&Aでグループ内に入ってくる会社もあるんですが、そういったときにこのGoogleの基盤であれば、非常に簡単にシステムを拡大できるのをメリットとして大きく感じています。
阿部:ありがとうございます。ちょっと最後に宮本さん。鹿島さんのお話のキーワードにもあったグローバル化というお話があったんですけれど、同様の話で、野々垣さんも当然、本業ですと非常にグローバル化のチャンスでもあり、影響も受けておられると思うんですけれど、どういうふうに見られているか、どういうふうに対処しているか。もし私どものアイデアになることがあれば、ぜひ教えていただけますでしょうか。
野々村:そうですね。JTBグループですと、皆さん、旅行業ということでつながりがあると思いますけれども、実は従来から、日本人の方の国内旅行であったりとか、海外旅行というところを中心に仕事をしておりましたが、今、海外から日本にいらっしゃる方が非常に増えています。
そしてそもそも、海外の方が日本以外の国に行くというところも含めたビジネス、さらに、今、交流文化事業といっているんですけれど、要は、旅行以外の周辺のビジネスを含めた事業領域、さらにグローバル化ということで、どんどん海外に目を向けてビジネスを進めているというところがあります。
そうすると、海外で駐在をしたり、出張したりというような社員もいますので、そういった社員同士のコミュニケーションであるとか、そこは従来ですと国際電話が中心だったんですけれど、今はいろんなつながり方があるので。
例えば、Appsのハングアウトを使ったりだとかいうことも含めて、非常にコミュニケーションがよくできているというのは、仕事をスムーズに進める、非常にいいコラボレーションのツールになっているのかなと思っています。
阿部:なるほど。今、お話を聞いていますと、野々垣さんの話ですと、ITとしてやるべきことを、あるいは、やりたいことをやれるようになっていった。そして、ユーザーのほうもグローバル化のところで、ある意味自然体でツールを使ってグローバル化に合わせた働き方に変わっていった。
同様な話で、宮本さんのほうからも隙間時間だとか、別に構えなくてもテレワークっていうのは、一大事業でなくても、やれるところから始めていって、それが身につくと本当に普及していくんだというようなお話を伺ったんですが、ちょっと鹿島さんにお聞きしたいことがあるんです。
よくこういうテレワークとか、さっきの壮大なプロジェクトでやったりだとか、それをやるために必要なのは、やっぱり会社の風土改革だとか、機構改革だとか、当然そういうところがスタート地点だと思うんですけれど、私どもが提供してるのはやはりツールだとかインフラ、プラットフォームの部分なんですけれど、実際に鹿島さんが現場で見ておられて、どういうアプローチが一番効果があるとお感じになりますか。
鹿島:今までのプロジェクトですと、我々はチェンジ・マネージメントといったような言い方をするんですけれど、具体的にはまずプロジェクトに関わった方、及び、今後プロジェクトというか、何かを変化させますから、その変化に適応していただかないといけない従業員の方々に、まず何が起こるのかということと、それにどう対応していただいて、どう活用していただくのかという、非常に、ある意味トレーニング、教育みたいなものを施していく必要があります。
しかし今回は、働き方のスタイルを変えるということなので、まずそういったトレーニングとかもあるんですけれども、事前にちょっとお二人とお話させていただいたときに、非常に、今回の働き方を変えるという意味でいくと、日本企業の今の働き方の文化は、Googleさんのツールを使うと、本当に、離れた人とでもリアルタイムでディスカッションもできますし、離れた人のところで一緒になってドキュメントを作ったりとかもできるんですけれども、日本企業の皆様は、あるいは、日本人がそうかもしれないですけれども、まず自分で作ってみて、少しずつ情報をシェアしていって、ある程度自信ができた段階で徐々に広げていくというようなワークスタイル、あるいは、企業文化というのが、ある程度染みついておられる会社さんとが多いのかなと。
それを、先ほどお伺いしてると、自然とこういったツールをお使いになられることによって、企業文化、働き方が変わって、スピードも上がってこられたということなので、ひとつは、プロジェクト的に時間をかけていろんな理解をしていただくのが、本当に少なくなるのかなというふうに思っているのと、本当の意味で働き方が変わって、全体の生産性が上がる。僕は、お聞きして非常に心強い内容だと思いました。
阿部:ありがとうございます。お話をしていましたら、あっという間に時間が流れてしまいまして、これで一旦お話をまとめないといけないんですけれど、本当に今日はお三方ともいいお話をどうもありがとうございました。ぜひこの続きもどこかでまたできたらと思っております。
今日は、JTBの野々垣様、ミサワホームの宮本様、そしてPwCの鹿島様のお三方にお話を伺いました。どうもありがとうございました。皆様、拍手をお願いいたします。
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