コストをかけることなく、新規参入が可能な時代

アミット・シング氏:おはようございます。今回でAtmosphereに参加して6年目になりますけれども、毎回参加するたびにどういう変化を通じてあらゆる産業が劇的な変化を迎えているかを紹介しております。また、Google社がどういうトレンドを見てきたかということを紹介しております。

さらに、生活に対してどういうインパクトがあるか? そして皆様方のビジネスに対してどういうインパクトがあるか? をお話ししております。

ビジネスの変革の段階を迎えているわけですが、急激な成長というものが見られます。各業界はデジタルの変革によって劇的な変化を迎えております。

そしてほとんどコストも掛けずに、いろいろな業界に新規参入者がやってきているわけです。その経済性ですとかお客様の獲得の仕方、あるいはサービスの提供の仕方も変わってきているわけです。

アクティブユーザー1億人以上、画像共有サービス「Snapchat」

世界中でいろんな事例がありますけれども、1つここで紹介したいと思います。

Snapchatは若い方だったらご存じかと思います。Snapchatというのは1つのアイディアとして始まったわけです。このアイディアがスタンフォード大学で始まったのは、約5年ほど前のことでした。

写真を友達と共有するというアイディアで、ある一定の期間で画像が期限切れになるというアイディアだったわけですけど、この4年間のあいだに全くユーザーがいないところから、今や毎時間1億人以上ものアクティブユーザーを誇っております。

7億枚の画像、あるいは動画などをSnapchatで毎日共有しております。すなわち、画像だけではなく動画も扱っているのです。そして新しいサービスも紹介しており、世界で最も急成長している新しいサービスとして、また最近は「Snapcash」を通じて人々の間でお金の共有ということで、金融業界にも進出しております。

こちら会社ですが、従業員数は100名未満です。主にエンジニアの方々で構成されており、データセンターも持っておりません。

そしてGoogleを活用しているわけですが、彼らのほうでは時価総額としては200億ドル以上もの規模に5年以内に実現することができたわけです。これこそ急激な成長です。

また日本でもそういう事例があります。LINEのようなところで人々の想像力を刺激し、新しいプロダクトというものを展開し、そしてこういうクライアント・エクスペリエンスの非常に低コストでもって、ものすごい大きな規模に拡大させました。

ムーアの法則2つの勢力による業界構造の変化

なぜこういったことが可能であったかと申しますと、それはムーアの法則に遡ることができます。この法則は「コンピューターの処理能力は約2年ごとに倍増する」というものです。このようにムーアの法則の指数関数的な成長というものが見られます。

というのは、デバイスがスーパーコンピュータのようなものすごい高い処理能力を持っているためです。そして皆様方と世界との間のポータルの役割を職場においても、家庭においても、果たしているわけです。

テクノロジーの新しいアーキテクチャとしては、スマートフォンと、それからクラウドの連携です。

皆様方が日本のデベロッパーであった場合には、アプリというものを構築して、そしてそれを何十億台ものスマホに対して展開することができるわけですけれども、パブリッククラウドのインフラストラクチャーを使うことによってほとんどコストも掛けずに、あるビジネスのアイディアというものをアプリで展開することができます。

ムーアの法則の2つの勢力というものは、スマートフォンおよびパブリッククラウドのインフラストラクチャーを通じて、あらゆる業界が劇的な変化を迎えております。

テクノロジーは要求に応えるだけでなく、アシスタントの役割を果たすようになる

しかもこれはコンシューマー向けの業界だけではありません。

抜本的にコンピューターサエイエンスの問題である、自動運転の車などといったものが解決されております。今年の夏、シリコンバレーで登場します。これはコンピューターサイエンスの機械学習の問題を解決するわけであり、車がどんどんとスマート化するわけであり、しかもクラウドと接続されております。

また仮想現実、バーチャルリアリティもそうです。

そして昨年はGoogle Cardboardを導入したわけですけれども、全ての感覚を使って世界各地の体験をすることができます。

スマートフォンとそれからバーチャルリアリティのアプライアンスを作ることによって実現することができます。1年以内に100万人ものユーザーがいるわけです。

そしてExpeditionsというプロダクトを通じて、我々は学生の方々に対してこれを展開しております。教室の中でも学生達は、例えば中国の万里の長城などを体感することができます。そして非常にリアルな体験として経験することができます。

またIoTでもそうです。センサーなどを目に付けて、血糖値などを測ることができます。涙を通じて血糖値などを測ることができますので、糖尿病患者の方も使うことができます。あるいはサーモスタッドなどで、エネルギーコストを下げるために利用することができます。

それから最後に、スマートフォンというものは、よりインテリジェント化が進んでおります。そして様々な提案機能を使っております。

次の約束に行かなければならない時間になったら、スマートフォンのほうから東京の交通状況などを見て「非常に交通渋滞が激しいので、もう出発しなければならない」ということを警告してくれます。

まだ初期の段階ではありますけれども、テクノロジーというのは非常に大きなインパクトを及ぼすことが考えられます。

スマートフォン、そしてクラウドテクノロジー、それからデマンドベースモデルからの移行というものがみられます。

すなわち、テクノロジーに対して何かを要求するのではなく、もっと積極的にテクノロジーのほうから提案をするようなモデルというものが実現されようとしているわけであり、バーチャルアシスタントのような役割をテクノロジーが果たしてくれるわけです。そしてこれによってビジネスに対する大きな影響というものが考えられます。

ムーアの法則というものがコンピューティングに対して適用された場合に、なぜIT予算に対しても適用されないのでしょうか? お金をどんどん掛けているのに、企業のほうで生み出される価値はより少なくなってきているのです。

なぜそうなのかというと、それはレガシーの問題があるからです。実はITの支出というのは、80パーセントもの部分がレガシーシステムの維持に使われているわけです。

素晴らしいISV、そしてそういったところをどうしても使っていくわけですけれども、これは過去に囚われていると言っても過言ではないと思います。イノベーションには使われてないということになるわけです。

ビジネスだけでなく従業員の意識も変化する

様々なデジタルテクノロジーのランドスケープというのが、今どんどんと変わっています。そしてそれが変わっているからこそ、皆さんのビジネスを変えたり、それからまた革新的な進化をもたらしたり、これまでにないようなスピードをもたらしてるわけです。

例えば東京で小さなビジネスをWeb上で作ったとして、その製品のサービスとか商品といったものをデータセンターを持たなくても、データウェアハウスを持たなくても、ただ単にWebプラットフォームのバックボーンにそれを作るだけで、世界中で仕事をすることができます。

これまでとは全く違うビジネスの仕方が、テクノロジーによってもたらされるのです。これはただ単にビジネスが変化するというわけではありません。従業員の意識も変わってきます。

今日の学生というのはインターネット上で勉強します。そして彼らはWikipediaでいろんなことを調べます。宿題とか、そういったものも携帯電話でやってしまいます。

しかし、職場になってしまうと一挙にそれが元に戻ってしまう。過去の技術を使うということになってしまうわけです。

そこによってクリエイティビティがなかなか発揮できないということになります。従業員達のクリエイティビティをもっとフリーにして、そしてオープンにするために、会社もリアルタイムに進んでいかなければなりません。

そこでGoogle for Workという私達のビジョンは過去6年間ずっとこの問題を解決しようとしてきました。皆さん方の仕事に、最高のGoogleを提供したいと思ったわけです。経営陣にも、そして一般の従業員にもこういったものを提供したいと思いました。

GmailやYouTubeだけではない、Google信頼のサービス

まとめてもう1度説明してみましょう。いろいろなインフラを構築し、そして全く同じスケーラビリティ、それから信頼性とパフォーマンスをGmailやYouTubeやGoogle Searchと同じようなレベルで手に入れることができます。そして、リアルタイムのイノベーションいっぱいの会社になることができるのです。

WebコンピューティングはGoogle Appsを使うことによって手に入るわけです。Unlimited StorageなどをWebや自分の好きなどのデバイスからでも使いこなすことができるようになります。

それからChromeに移行することによって、より信頼性の高い、そしてまたセキュリティの高い、そしてスピーディなものを手に入れることができます。

ブラウザとしては、ビジネスにおいて1番多く導入されているのがChromeです。Android for Workも最近追加いたしました。

従業員達が自分達のデバイスでこういった仕事をしたとしても、セキュリティを掛けることができる。そしてそのセキュリティの管理というのは、本社の企業の中でやっていくことができるというものです。それからGoogle.comでGoogleSearchをやっているような感じでこういったものを使いこなしていくことができるわけです。

それからまた、ロケーションデータの力というものもあります。サプライチェーンの中で、このロケーションの情報を使うことによって次に顧客となる人達を簡単に見つけることができます。

こういった毎日使い慣れてる製品が、そのまま職場にセキュリティの高い形で、そしてまた認証のある形で拡張されます。

「セキュリティは決して足枷にならない」

私達はこれまでエネルギーと力、そして時間を使って様々なコンプライアンスを研究してきました。こういったものがその地域、国の規制、法律に準拠している、ということを全て確認してきております。

それからまた、これまであまり注目を得なかったのがセキュリティの部分です。ここでの課題というのは、例えば年金基金の問題であるとか、それから政府全体にハッキングが行われているとかいろんな問題がありますが、私達はクラウドは最終的にはセキュリティがあるからこそ勝てると思っています。セキュリティは決して足枷にはなりません。

何百人というエンジニア達がこのクラウドを研究し、そしてサードパーティのアプリケーション、それから暗号化、それからデータシャーディングそれとマネージング、そして脅威といったものを全部見ています。

ただ単にGoogleだけではなく、サードパーティのものも含めてやっているわけです。それによって職場にこういった機能を持ち込むことができます。

「実験精神」のあるカルチャーを築こう

最後にいくつかまとめて申し上げます。私達は指数関数的にテクノロジーを進化させてきました。そして今、これを職場に持ち込むことができるのです。そうすることによって企業が世界市場で戦うことができるようになります。

そして私達がGoogleでやっていることは、ユーザーにフォーカスすることです。そしていろいろな障害を会社の中に持たせず、クリエイティビティのある会社にするということです。

2番目に、ただ単に少しずつビジネスプロセスを改善するということは考えず、10倍に一挙に飛び越える進化を考えるということです。全くないところから何かを作るときに、または、もう野心的で考えられないようなゴールを設定する、そんなことだって可能になります。

そして最後に実験精神のあるカルチャーを築くことです。先にも申し上げましたように、何か新しいことを試すのにお金はいりません。

そして今こそ、皆さん方はこのムーアの法則を使って、そしてパブリッククラウド、そしていろんなクラウドを使いながら自分が自分の会社、そして自分の従業員に変化をもたらすことができるという、その新しいことを試してみてください。

Googleは日本市場に大変力を入れております。世界の中においても最も大きな市場の1つで、阿部さんをリーダーとする非常に多くのチームのメンバーが日本の市場のために仕事をしています。ぜひ、日本のデジタルカルチャーをこれから先みんなで牽引していきましょう。どうもありがとうございました。

制作協力:VoXT