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クリエイターのための動画マーケットの現状と今後の動向解説(全4記事)

YouTubeを仕事にするって実際どうなの? ABTV荻野氏が明かす動画クリエイターの稼ぎ方

次世代の動画クリエイターの育成支援を目的としてデジタルハリウッドと業務提携をしたUUUM。ヒカキンなどのトップYouTuberを数多く抱え、マネージメントや動画作成のサポートなどを行うUUUMがデジタルハリウッドとの提携で目指すものとは何なのでしょうか。イベント後半では、実際に企業とのタイアップ動画や技術提供など、YouTubeを仕事にしているABTV Networkの荻野龍登が登壇。自身の実績を紹介しながら、動画制作の裏側を語りました。

ABTV Networkが語る「YouTubeをお仕事にする」

司会:はい。ありがとうございました。では引き続きABTV Networkさんから、実際にこれまで手がけられてきたお仕事の事例だったり、そこについてのお話を中心にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

荻野氏(以下、荻野):ABTV Networkの荻野と申します。よろしくお願いいたします。

まずちょっと、休憩がてら。結構ガッツリだったと思うので。ABTV Networkと言うチャンネルがどういう動画を上げているのかを過去にまとめたものがありますので、ちょっと息抜きに見てみてください。そこからお話を始めたいと思います。

荻野:まあ、こういった動画をつくっています。どういう動画を見せたら皆さんにわかりやすいかなと思ったんですけど、ABTV Networkはやっていることが多いというか、そもそも、あまりテーマもないので、とにかくやりたいことをどんどんつくる感じです。

大半が個人的に作りたいと思ってつくるものですが、この中には、企業さんとの案件の動画も入っています。そういう感じで非常に幅広くというか、自由にやっております。

「YouTubeをお仕事にする」というタイトルで、今日はお話させていただきます。

友人一言がきっかけでYouTubeでの動画公開をスタート

まずは「ABTV Networkが本格化するまで」ということで、今までの経緯をお話させていただきます。本日は学生さんが多いということで、かなりフランクにスライドをつくってきたので、ここから先はフランクに話しましょう。

荻野龍登(おぎの・りゅうと)と申します。年齢は27歳です。2008年4月にイラレとフォトショを独学で学びます。大学に入っていたんですけど、誰も使ってなかったので、独学で学びます。

ちなみに僕はデザイン系でもクリエイティブ系でもない大学ですけど、部室のPCに入っていたんですね。おもしろいなと思ってチョロチョロ触っていました。

当時はこんなふうに「YouTubeをやってみませんか?」なんていう時代ではなかったので、私の大学の友人がYouTubeに動画をアップしていることをすごい自慢していたんです。たった一本なんですけど。「荻野っち、俺、YouTubeに動画アップしてみたんだよね。ネットにアップするってちょっと怖いけど、すごくない?」みたいな。

僕はネットに動画をアップするという意味が、2009年の時点ではよくわかっていませんでした。なぜかというと、その当時、ブラウザとかそういう意味も全くわかっていませんでした。

2007年に大学に入ったときに、初めてパソコンの電源を付けました。だから、パソコンの電源のスイッチがどこにあるのかって、今でも新しいパソコンを買うと全然わかんなかったりするぐらい機械音痴でした。

それがきっかけで、翌年にはいきなりVFXを勉強し始めます。当時、アフターエフェクトというのを使うと、テレビドラマと同じようなことができるというのをどこかで聞いて「じゃあ、やるよ」と言って、もうなんにも技術も知らないままアフターエフェクトを買って、ここも独学で学び始めます。

2010年12月、毎日のようにアフターエフェクトを触っていて、YouTubeへの動画配信を開始します。ただ、このときはYouTuberなんていう言葉もないですし、ポートフォリオとしてしか考えていませんでした。

単純に自分がつくった作品を置いておく場所が欲しかったっていうだけです。再生回数とかも気にせず、ただ何となく見られていたんですね。ホラーショートとかをアップしていました。

新卒で入った会社を2カ月で辞めてフリーの道に

2012年1月。僕は一応大学院まで出ています。あんなバカみたいなことをやっていますけど、一応、すごい勉強してきました。在学中大学院に上がってから、YouTubeにABTV Networkとしてコメディアニメを配信開始します。

2012年1月になるまで、僕はアニメーションなんて一個もつくったことがなかったんですけど、1月1日に思いついて、1月4日に1本目をアップしました。

で、その年の12月、YouTubeパートナー支援プログラムNextUp2012というのに入賞しました。これはデジタルハリウッドさんと提携したプログラムですよね。なので当時、作品を手伝ってくれた方もいらしていますけど、第二の母校でございます。

2013年1月、YouTube Space Tokyoというのが六本木ヒルズの森ビルに入っているんですけれども、それのオープニング作品に、VFXアドバイザーとして参加しました。

卒業後、YouTubeで暮らしていくということは、そもそも考えてなかったんですが、なぜか機械系のコンサルに入社しました。営業でしたね。ただ、つまらなくて2カ月で退社します。引継ぎも何もなかったので、2カ月で「辞めます」と言って退社します。

でもそのときにお仕事があったかというと別になくて、「フリーランスの映像クリエイターっていう名前でやっていっても大丈夫かな? お父さん」みたいな感じで辞めました。

で、ABTV Networkとして開始しました。当時は並行しながらちょっとはお仕事があったんですけど、いろいろあって現在という感じでございます。

オリジナルコンテンツと企業タイアップの2本柱

では次に「そもそもABTV Networkとは」。

活動期間は2012年1月から。登録者数は7万人近くですね。再生回数は1千万回、アップロード動画数は3年間で450本ぐらい。扱っている動画はアニメだとか、チュートリアルだとか、お悩み相談ラジオだとか、あと起業支援だとか。毎週月曜日と水曜日に動画をアップしています。

具体的なお仕事としては、オリジナルコンテンツの配信、タイアップ。あと他のYouTuberの方への技術提供、オリジナルグッズの販売、講師活動などですね。そういうことをやっています。

それぞれちょっと説明していきます。

オリジナルコンテンツの配信。これは自分が自由に作った動画です。先ほど一番最初に流れていました、ほどよく長いとか、そういう動画は、とにかく個人的につくっているものです。

企業タイアップは商品とかサービスを紹介する動画なんですけれども、具体的に見ていただきましょう。

荻野:こちらは中古マンションを買ってくださいというよりかは、中古マンションを買うにあたって、どんな問題があるのかというのを、全6回に渡ってシリーズ化しているものです。この「まいことあいこ」というシリーズで動画をアップしています。

こういうシリーズ化をするんですけれども、そもそも、なぜこれをシリーズ化しようというお話なったかというと、最初は1本で動画をつくってくというお話だったんです。

でも、中古マンションを買うに至るまで、ものすごい問題があるだろうと。ということは、それを複数回に分割してやったほうが全体的な情報を網羅できるんじゃないかと。

6カ月、半年間にわたってやるから、例えば、どんどん動画が埋もれていく中で、新しいシリーズがバンバン出ていったら、またそれで昔の動画も見てもらえるんじゃないかということで、逆に提案させていただいたんですね。

お金の話となりますと、そこは1本ぶんじゃないですね。6本分です。金額です。でもそういう提案の仕方もあります。

元の映像が使えない場合はパロディで

他にも企業タイアップで、先ほどは一つの商品で複数の動画に分けるって言いましたけれども、企業タイアップ用につくったキャラクターで、カラフル家族というキャラクターもございます。

このカラフル家族というのは、今、多分16本ぐらいABTV Networkにアップされているんですけど、カラフル家族を知らなくてもわかるやつを見てみましょう。

荻野:こうやってカラフル家族という家族の視点でいろんな企業さんとタイアップするんですが、これは家族の目線だったら説得力もあるからです。実際にこの動画をつくるときに自分の家族に聞いたりするわけです。「どんなことがあったらいい?」みたいな。

こういうタイアップの方法もあります。実際にあのキャラクターを一からつくってタイアップをするときに「どんな方法でやりたいですか?」というのを逆に求められたりもするので、「じゃあ、今家族のシリーズが結構人気があるし、つくり慣れているので、家族のネタで今回やってみますか」と逆に提案してみたり、そういうこともやります。

あとはパロディですね。映画やドラマ、ゲームなどのキャラクターを使って、パロディをする。実際にパロディをやることのメリットとしては、そもそもストーリーがありますよね。

例えばトランスフォーマーだったら、一瞬でパッとわかるし、大体トランスフォーマーは知っているだろうと。トランスフォーマーのキャラクターがいるという前提で、自由にネタをつくる。実際に映画のワンシーンのパロディ化したりしています。

あとはゲームをパロディ化したりします。

あとはもうひとつ問題があって、例えば元映像を使えるかどうか。使える場合は、キャラクターが何かわからなくても、一番最初に「こういう映画がありますよ」と実際に映像を差し込めます。

ただ、元々の映像の素材が使えないときにどうやってプロモーションをするかといったら、パロディしかないよね、ということでパロディをしたわけです。それでも非常に人気がありました。実際にそのドラマという元ネタがあるとわかったかどうかはわかりませんけれども、このネタ的には人気はありました。

YouTubeはあまり前例がないのでクリエイターの意見が通りやすい

あと企業タイアップの例として、動画の二次利用というのを考えています。例えば、TrueViewというYouTubeを見ると一番最初に流れる広告ですね。あとはサイト埋め込み、店頭ディスプレイとか。

こちらは、今おそらく全国の文房具屋さんにあると思います。僕もたまに文房具屋に行きますけど、自分がポロッと映っていたりするので。こういう取り組みをしてますよ、ということを動画外に出すわけですね。そういうこともやっています。

あとは、これは多分どこかのサイトに埋め込まれているやつで、例えば展示会用の映像だったり。YouTubeでもアップするけども、YouTubeだけを考えてつくってはいません。外に出ても、YouTubeを知らない人たちが見てもわかるような動画構成を最初からしていたりします。

僕はパチンコ屋に行かないんですけど、これはパチンコ屋さんで流れているらしいです。パチンコ屋にあるWi-Fiの映像をやっていたりします。YouTubeにも、ABTV Networkではないですけど、アップされていたりします。

企業タイアップのメリットについては、やはり試験的に投入している企業も非常に多いので、まだ未開な部分が多いです。なので比較的、27歳のペーペーが「こんなことをやりたいです」なんて言って通るのかなと思っても、結構通るんですよね。

実際にこちら、映像はないんですけど、猫犬田実彦というラジオ番組を毎週月曜日にアップしています。そのときに、このHISさんからお仕事のお話があったわけですね。

1本の動画にするという前提で最初お話をしていたんですけど、1本の動画にするだけじゃおもしろくないから、CMを既存の番組にはさんじゃおうかと。そうすれば、例えば動画の尺も短くて済むし、2週に渡って猫犬田の動画の中に入れてもいいよというお約束をしました。既存の規格の中にCMを入れてみたいと、逆に企業側に提案して、「それでOK」と実現したという例もあります。

いろいろ提案が通りやすいです。こんなことをしてみたい、あんなことをしてみたいというのが、本当にわがままがきくというとあれですけれど。

無償で作った作品が後の仕事に繋がることも

あとはYouTuberへの技術提供もお仕事としてあります。必ずしもお仕事ではないですけどね。ただでつくるものもあります。今後のクリエイター同士の交流も考慮して「いいですよ」と。「宣伝してくれたら、つくりますよ」ということでつくったりだとかもします。

その他にも、完全に編集代行をすることもあります。YouTuberといっても、必ずしも動画がつくれる人ばっかりではありません。動画が全くつくれない人も中にはいます。そういう人たちからのお仕事も実際にあります。

あとは、人の作品にVFXで参加することも、僕はVFXを専門に学んでいるわけじゃないのにやっています。さきほどYouTube Space Tokyoのオープニング企画があるとお話したんですけど、その際につくった作品では、撮影とかは僕は携わっていません。編集だけです。

荻野:ちなみにこの作品は、僕がまだYouTube駆け出しのころ携わった作品で、ノーギャラで1カ月間付きっきりでやっています。でもノーギャラにする意味もあったんですね。そのとき、それができる人がYouTubeでは僕しかいないっていわれたんですよ。

なので「じゃあやる」と言って、卒業論文を書きながら、毎日YouTube Space Tokyoに行って編集をしていました。YouTube Space Tokyoが開く前の話です

先生に「あんた、それをやってもいいけど、卒論が書けなかったら卒業させないからね」と尻を叩かれながら、家に帰って卒論を書き、卒論発表のために一旦編集をやめて学校に行き、みたいな生活をずっとしていました。

でも、タダでやったけれど非常にそのあとの伸びがあって、ああいう感じで作品をつくってくださいと言われることもあります。

荻野:こちらはパンダ君ですね。パン田一郎はアルバイトのお仕事に繋がったりもしたので、本当にタダでやって良かったなと。チャンスをもらって、いいきっかけでした。

オリジナルグッズの製作・販売も手がける

あとはオリジナルグッズの販売です。ABTV Networkは、言ってもオリジナルのコンテンツを持っていますので、グッズの販売などもチョロチョロやっています。

販売を行うんですけど、これは比較的、僕の趣味でやっているような感じがありまして、つくりたいときにつくっています。実際にこれで儲けようとかは、あんまり考えてないというか。「つくってください」と言われたら「はい、つくります」と言う感じで、よくつくります。

昔、AVIVAさんとタイアップした際には、タイアップで「無料でプレゼントしますよ」というのもやりました。こういうのもオリジナルの力なので、やっています。

他には、今回みたいな講師活動ですね。最近ではYouTubeについて、「実際どういう取り組みをしていますか」というお話もありますけれども、技術的な講師もやります。アニメーションの基本的なつくり方とか、そういう講師もします。

動画を用意していないんですけども、ABTV Network VFXクラスというチュートリアル動画もアップしておりまして、その動画から実際に頼まれて開講した講座です。

VFXクラスという動画の中でやったことを、今講義でもやっています。

あと外部制作としては、テレビCMとか、ミュージックビデオとかですね。こちらはミュージックビデオの1本目で、アコーディオンニストのcobaさんという方の「Libertango」です。

あとはイラストなどです。こういったホームページのイラストとか、ブックカバーとか、LINEスタンプとか、そういったものもやっています。

YouTubeはポートフォリオとして使いやすい

舞台映像もやっています。こちらも一番最初に舞台映像をつくった、ルミネ座吉本の、藤井隆さんと大島さんの舞台の舞台映像です。これも実を言うとYouTubeを見て、「こういう感じでつくって欲しい」ということで依頼が来てやったのがきっかけです。

要するに、皆さまの一番身近なワードだと、ポートフォリオとしてまさに活用してほしいなと。

就職活動に向けてというのもありますし、クライアントさんへの提案に向けて。他にも、他のクリエイターさんとのコラボに向けてという感じで、ポートフォリオとして活用していっていただきたいなと思います。

とにかく就活に向けては、試しにつくってみる。実は僕も大学のときにデザインのポートフォリオをつくっていたんですけれども、やっぱり本にしたんですよね。本にしたんですけど、実際にものすごいお金もかかりますし、あんまり効果的ではないです。直接渡せるというメリットはありますけれどね。

だから、とにかく音楽でも、動画でも、イラストでも、なんでも動画にできるわけですよね。動画にして、こんな作品をつくってきましたとか、こんな取り組みをしてきましたという、ポートフォリオができるわけです。

実際、自分が例えば学会とかで発表した映像をそのまま動画にして「こんな研究をしていました」というポートフォリオとして残すこともできます。あまり壁がないというか、決まりがない。

もう一つ、クリエイターとして一人でも多くの人に見てもらい、評価してもらうことが大事です。僕はクリエイターの皆さん、つくる人とよく話しますけど、まあ頭が固いですよね。ものすごく。

「これがこんなんでいいと思うんだよね」とか話したりする人が僕の友達にもいますけど、でもそれはお前だけしか思っていないよと。視聴者の人、一般の人たちから見たら、そんなふうには思ってないですから。

その動画を実際に人が見たときにどう評価されるのかを見るためにも、YouTubeとかにアップするのは、非常に効果的だと思います。

あとはクライアントさんへの提案に向けて。3年前までは就職活動に向けてというつくり方でした。でも今では、クライアントさんの提案に向けてつくります。

実績をすぐに見せることができますし、さきほど言ったようにホームページ、製本の必要もなしです。

他のYouTuberとコラボレーションするメリットとは

ほかにも、他のクリエイターさんとのコラボに向けて。ただ、例えば今皆さん、在学生の方たちだったら、身の回りに動画をつくったりデザインをする人たちがいっぱいいるわけですよね。

僕がいた学生のときとは全く環境が違います。僕のときは、YouTubeをやっている子は、きっかけをくれた同期一人しかいなかったので。その他の子たちは、今でも「YouTubeでどうやって食ってんの?」って言われるぐらい。

僕は周りに少なかったんですけど、皆さんの場合は周りにいっぱいいるので、例えば「自分はこんな動画をつくったんだけど、今度コラボしない?」とか「音声がいないんだけどやってもらえない?」みたいな、そういう感じでコミュニティを広げていける環境が今はあるわけですからね。

例えばYouTube上で活動しているアーティストさんとのコラボというので、昔からお世話になっているアメリカのARGOFOXさんという、ダンスミュージックですね。EDM系の音楽を扱っているサイトがあります。

そこに、つたない英語で「この音楽を使いたい」と交渉したんですね。そしたら「じゃあ、まずは試しに使ってみていいよ」ということで使ったんですね。

そしたらABTVの視聴者さんから「この曲何? この曲何?」という感じでARGOFOXさんに流れて行ったんでしょうね。ARGOFOXの代表の方が「本当だったらお金を払わなきゃ見れないものだけど、使っていいよ」と言っていただいて、ABTV Networkは特別に使える曲というのを何曲か提供していただいています。

なので、実を言うとABTV Networkが使用している楽曲はすべて無料です。そういう可能性も、流れをつくることができれば可能なわけです。持ちつ持たれつな関係が、YouTubeでは可能だと思います。

YouTubeというのは、こういうふうにクリエイター同士が繋がるいい場所だなと思っています。

今ABTV Networkのチャンネル登録者数が約6万人で、7万人は行きそうな感じです。ABTV NetworkがコラボレーションしたYouTuberの合計登録者数は、延べ700万人いるということが、最近数えてみてわかりました。

この人たちが全部こっちに流れてくるわけじゃないですけど、視聴の可能性は大きくなります。

ABTV Networkも一応約束していることがあります。例えば「クレジットに乗っけておいてね」とか。コラボした先で興味を持った人がABTV Networkに来てくれたら、それは結構コアユーザーなので、いいなと。

こんな感じで、とにかくポートフォリオですね。皆さんが一つの手段としてYouTubeを使うのは、十分にやる価値があると思いますので、ぜひやってみてください。と言うわけで、ご清聴ありがとうございました。

1本の動画にどのくらい時間をかけるのか

司会:ありがとうございました。本当にクオリティもさることながら、活動の幅の広さもすごいですね。

本編に関しては以上になりますが、限られたお時間ですけどの、皆さんのほうから、本日のゲストのお二人にご質問などありましたら、出させていただければと思います。

じゃあ、一番手前の方から。

質問者:荻野さんに聞きたいんですけど、ABTV Networkがものすごく大好きで。

荻野:ありがとうございます。

質問者:よく動画を見ているんですけど、その中でもゴキブリの話が出てくる動画が、すごく話とか言葉の使い方とかが凝っていて、大好きで。作品によると思いますけど、自分の大好きなあのゴキブリの動画は大体どれぐらいでつくられるんですか?

荻野:一日です。一日かからないですね。あれぐらいだったら、多分10時間ぐらいで作っているんじゃないですかね。録音から、イラスト描いてから完成までに。

ABTV Networkの動画は比較的動きが単純ですよね。顔だけが音に合わせて動くっていう。そういう手法を使っているので、思い付いてつくり始めて、アニメーションさせる時間で言えばたった5分です。イラストを描く時間のほうが長いです。

動きは、アフターエフェクトとか使われている方だったらわかると思うんですけれども、エクスプレッションで音声に合わせて、アニメーションをキーフレームで動かしているだけなので。

アニメーションだけなら5分。そのあと音楽とかBGMとかを付けて編集するのに大体2時間とかで、イラスト描くのに2時間、ネタを考えるので1時間、録音するので1時間だから、10時間かかってないかもしれないですね。

今流れた、王冠をかぶった動画はちょうど10時間ぐらいですね。イラストを描くのに結構時間がかかるので。

質問者:ありがとうございます。

映像のネタはいつ思いつく?

質問者:貴重なお話ありがとうございました。いろいろな作品をつくられていると思うんですけど、そういう作品を「これをちょっと映像にしよう」というのは、どういうときに思いつくのか、それから、それを思いついたときに制作にあたるまでにどういうストックの仕方をしているのか教えてください。

荻野:今ストックというお話があったんですが、ABTV Networkに通常アップされている動画は、完全に僕の趣味であり、ABTV Networkというものがずっと生きているんだよと見せるものなので、基本的にストックはものすごいいっぱいあります。

例えばクリエイティブをどんどん追求したい人にとっては、ネタを思い付いたらすぐつくるというのは意に反するかもしれないですけど、YouTubeに関しては、思い付いたらすぐにつくっちゃう。

先ほどのゴキブリのネタも思い付いてすぐつくりました。すぐつくって、とにかくABTV Networkというのが常に生きているんだよ、息をしているんだよと見せるために、つくったらもうとにかく描き出しちゃって、いつアップするかわかんないけどストックをする。

例えば最近アップされている動画は、8カ月ぐらい前につくったものも結構あって、「新しい動画を待っていました!」って喜んでいただけるんですけど、「1年前に作ったやつなんだよね、これ」っていうのも結構あります。

ただ本当に、思い付いたらすぐつくるというスタンスがYouTubeには向いているんじゃないかなと思います。

質問者:わかりました。ありがとうございます。

UUUMが東南アジアに進出する可能性

司会:最後にあともう1人ぐらい。

質問者:鎌田さんに質問です。東南アジアからの留学生のネットワークを構築して就職の支援を行なっている者なんですけど、海外の進出などは考えていらっしゃるんでしょうか。

鎌田:それは例えば東南アジアにですか?

質問者:はい。

鎌田:考えてないと言うともちろん嘘になるんですけど、例えばタイだと去年YouTubeがローンチしたりとか、YouTubeのサービス自体がそもそも提供されているかというのもありますよね。中国ではYouTubeはなくて、別の動画サイトがあったりとかするので。

そういった中で、僕も会社をつくったときぐらいは、単純に海外に法人をつくろうというイメージは強かったんですけど、けどそれは僕の中でやっていることを否定している気がしていて、日本にいるけど海外で見てもらうコンテンツは当然つくれると思っていますし、最近はそういうふうに考えが変わってきています。

強いて言えば、自分が法人をつくってもいいと思ってはいるんですけど、それこそベトナムとかだったら、僕らみたいな会社がもうあったりする。

そういうような状況があるので、どっちかというと、そういう会社さんと提携を強めていくような状態になっています。

アジアじゃなくてアメリカで言うと、もう僕らみたいな会社が10年ぐらい前からあったりするので、今さら行ってどうやってやるんだという話です。

でも別に、そこに行かなくても見てもらえばよくて、コンテンツもそうですし、僕が今直近に考えている提携もそうですよね。僕らみたいな会社さんとクリエイターと、一緒になって動画をつくりましょう、という関係もある。

先ほど荻野さんが言っていましたけれども、それ自体でお互いの流入を絡めていきましょうというのも一つですし。

日本から海外に行きたい会社さんがコンテンツとか商品を海外の人に見てもらいたいう場合には、僕らが取次ぎをして海外のYouTuberに動画をつくってもらう、というようなビジネスが直近で考えているところです。

こんな感じであってますか?

質問者:はい。大丈夫です。ありがとうございます。

司会:ありがとうございました。では、お時間になりましたので以上となります。

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