思い込みが世界を変える
ホームレスを生まない日本を目指す女性が語る、やりたいことの見つけ方

Believing motivates you: Kana Kawaguchi at TEDxYouth@Kyoto 2013

中学時代にホームレス問題について調べていた川口加奈氏は、路上で凍死や餓死をしてしまうホームレスの数が大阪市内だけで多くて年間217人もいること知ります。川口氏はこの状況を変えるために、高校生からホームレス問題についてボランティアや講演会に取り組み、19歳のときにNPO法人「Homedoor」を立ち上げました。ホームレスの特技である自転車修理を生かし、ホームレスと共にレンタサイクルサービス、HUBchari(ハブチャリ)の事業を開始。彼女は、ホームレス問題の解決のためにチャレンジをし続けます。( TEDxYouth@Kyoto 2013 より)

世界を変えるキーポイントは「思い込み」

川口加奈氏:昨日、怪我しました。昨日 旅行でここに来る途中で、バスから落ちてしまって……。はい。そんな感じですけど。

私は去年、60本ぐらい講演をしたんですね。講演が本業ではないんで、そんなに多い方ではないんですけど、講演をすると必ず、後の懇親会とかで言われることがあります。

「僕、何かしたいんですけど、何もできてなくて、どうしたらいいんですかね?」みたいな。別にどうしたらいいとか、私が答えられるわけじゃないんですけど。

今日、会場におられる意識の高いみなさんも、今までのスピーカーの話を聞かれて、刺激を受けて、そう感じる方も多くおられると思います。そんな方にお話をさせていただけたらなと思います。

私は世界を変えるとき「思い込み」っていうのがひとつのキーポイントになってるんじゃないかな、と思っています。

大阪市内の路上で死亡するホームレスの数は年間217人

14歳のとき、私はホームレス問題に出会いました。中学生になって、大阪市内の学校に通うようになって、大阪市の外に住んでたんですけど「大阪市内ってホームレスの人多いんだ」そんな疑問を抱くようになりました。しかし親や友達からは「危ないからホームレスに近づいちゃいけないよ」そんなふうに言ってきます。

でも14歳、反抗期、近づくなと言われるとどんどん近づいてみたくなってきて、もしかしたらホームレスの人は何か国家機密を持ってる、レジスタンスなんかじゃないだろうか、何か秘密を握ってるんじゃないか、そんなふうに考えて、インターネットで調べて。

ホームレスの人には、炊き出しに行けば会えるんじゃないか、そんな情報をもとに炊き出しに行きました。すると、こんな衝撃的な数字に出合いました。

217人。これは大阪市内で最も多い時の、ホームレスの人が路上で凍死や餓死される人数です。

「日本の路上で人って死ぬんだ」って正直、思いました。それまで、心のどこかで「ホームレスって楽だからホームレスしてるんじゃないかな」ってずっと思ってたんですね。

でも、大阪市内で217人も、大阪市内で死んでしまう環境のどこが楽なんだろうか? どこが、怠けているんだろうか? そんなことを感じて、何かできることはないかな? そんなふうに、探し始めました。

ちょうどその時、私も、自分って何かできるかな? でも何したらいいかわからない。そんな症候群にあったものなんで、もしかしたらこれは何か、神様のお導きかもしれない……、別にキリスト教でも何でもないんですけど。

そんな運命を感じて、自分にできることはないかなっていうので、インターネットで調べ始めました。

すると、自分と同世代の中高生たちが「ホームレスは社会のゴミだ。俺たちはゴミ掃除。いいことをしているんだ」そう言って、夜な夜な襲って殺している。そんな新聞記事を見つけました。

その少年たち、少女たちにも、自分と同じように炊き出しに参加してホームレスの人と触れ合ってもらったら、そんな事件、起こるはずがないのに。

そんなふうに感じて、それだったら、私がせっかく知った問題だからちゃんと次の人に伝えていこう。そう感じて、全校集会で中学の先生に頼んで、ホームレス問題について話させてもらいました。

でも、みなさんも経験あると思うんですけど、全校集会って寝るものみたいになってませんでした? みなさんも、今起きておられますけど、きっと寝てたと思います。

そんな感じで、私けっこう夜な夜な原稿を書いてきたのに、目の前の友達が寝てるんですよね。すごい衝撃、ショックを受けて、一生懸命、こんな伝えたいのにどうして伝わらないんだろう? もうやめちゃおうかな。もうどうせ、私、何もできないし。

そんなふうに思ったんですけど、もしも今私が何もしなかったら日本の路上で人間が、凍死や餓死する。そんな事実が変わらないじゃないか。そういうふうに思って、

でも今何かをしたら、大きな変化は起こせないかもしれないけど、何かちょっとは変わるかもしれない。

ホームレスを生み出す日本の構造を変えたい

そして私は、講演じゃなくて今度は書いて伝えよう、話じゃなくて、ホームレス問題に関する新聞を発行したりだとか、「お米BOX」っていう、学校内にお米を集めるBOXを置いたりとか、

後は、ホームレスの方が多い街のツアーをしたりだとかいろんな活動をしていきました。

すると1人、また1人と、友達が一緒に炊き出しに行ってくれるようになって、そしてどんどん、自分の学校だけじゃなくて、いろんな学校にもその活動が広がっていきました。

そして高校2年生の時に、私はボランティアの親善大使に選ばれました。

そして、ワシントンDCで各国から親善大使が集まる国際会議に参加する。そんな経験もしてきたんですけれども、でも、ふと自分の活動を振り返ってみると、やっぱり、自分が活動する前と後で、別にホームレスの人が路上で凍死する人数が減ったのかって言われても、別にそうじゃなかったんですね。

あんまり役に立ってない活動をしていたんじゃないかなって、ネガティブな私は そういうふうに思うようになっていきました。

でもそこで、また私は思い込み始めました。ホームレス状態を、単に良くする活動ばっかりだからだめなんじゃないか。ホームレスそのものを生み出さない日本の構造に私がしていくことが、今必要なんじゃないかな。

そんなことを思いながら、それだったら、じゃあ自分が一番ホームレス問題について詳しくなろうということで、大阪市立大学っていう、ホームレス研究が日本で一番進む大学に進学しました。

ホームレスの特技「自転車修理」を生かした事業を立ち上げる

そして19歳の時、14歳でホームレス問題に出合ってから 5年後、NPO法人「Homedoor」という団体を立ち上げました。

ホームドアでは、一番メインの事業としてHUBchariというものをやっています。これは、大阪市内にいくつか拠点があって、その拠点のどこで自転車を借りても返してもいい、レンタサイクルの進化版のような仕組みです。

もともと、ヨーロッパの方で自転車問題を解決するために生まれたようなシステムで、それをホームレス問題を掛け合わせて、大阪の二大問題である自転車問題とホームレス問題、この二大問題を一挙に解決していこう、そんなプロジェクトをやっています。

なぜHUBchariが生まれたのかというと、ホームレスのおっちゃんたちは、自転車修理が得意だからです。

なぜなら、日本のホームレスは缶を集めて生計を立てています。1日、缶を集めるために自転車でずっと回っても、800円。でも使っている自転車はボロボロ。でも、800円からパンク修理で500円とか出してれない。

そういう中で自分で修理する技術を身につけていく。というのが、日本のホームレスに共通の特技としてあったんですね。じゃあそれを生かして何か事業をできないか、おっちゃんたちの特技を事業にして行けないか、ということでHUBchariが生まれました。

HUBchariを始めて、じゃあどうやってHUBchariを広げていくか、どこにHUBchariの拠点を置いておくかというのは、軒先貢献ということで、軒先に空いているデッドスペースを提供してもらう、そんなふうな形で始めて行きました。

しかし、当時学生で、大学2年生で全く実績がない中、なかなか会社さんも場所を提供してくれません。

ここまで来れたのは「思い込み」のおかげ

そういう中で、おっちゃんたちが「働きたいねん」って言ってくれる言葉、そして「自分がやらなきゃ、誰がやるんだ」。そんな「思い込み」でずっと進んできました。

初めて拠点を開設することができて、おっちゃんたちは、最初は4人、働き始めました。すると、HUBchariはまだまだ広報が足りていないということで、おっちゃんがこんな看板を作ってきてくれました。

ホームレスのおっちゃんらしく、全部拾いもので作ってくれました。タイヤもどっから取ってきたのか、スターバックスを意識したような看板を作ってきてくれました(笑)。

そんな形でHUBchariも広がってきて、10拠点で大阪市内で実施しています。今まで52名のおっちゃんが働いて、半年間の就労支援プログラムを経て、卒業していったおっちゃんたちの半数が、次の仕事が見つかって進んでいきました。

私は、本当に「思い込み」だけでここまで来ました。自分しかできない、自分がやるべきだ。これは本当に勝手な勘違いかもしれなくて、他の人がやったほうがいいってこともあったと思います。

でも、今自分がやることが必要なんじゃないかな、そんな「思い込み」でずっと洗脳して来る形でやってきました。みなさんも、もし今、何をしようかな?何ができるんだろう?って、どうせ自分はできないんだろうとか。

そんなネガティブに考えるくらいだったら「自分がこの問題を解決するんだ」。たとえば、ゴミ問題とかでも何でも、指差して、なんか当たった問題とかでもいいと思うんですね。

指差して当たっただけでも、それは運命なんで。それが自分の使命だって勝手に思い込んで、それを刷り込んで、何をやったらいい。何をやるかわからない人は、やっていったらいいんじゃないかなと思っています。

もちろん、今私が「自分の足がすぐ治る」って思い込んでも治らないんで。ただ、思い込んだ後に、ちゃんと解決するためにどう行動していくか、っていうのを考えながら。

思い込んだ後は考えながら、そして活動しながら、自分の問題を見つけてやっていってもらえたらと思います。

ありがとうございました。

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