役員会議のリアル~GREE・ミクシィ編~

岡島:GREEさんはどういう感じでやってらっしゃるんですか?

田中:法的な取締役会は月1,2回です。社外役員の方とかに忙しい方が増えてくると、毎週開くとか突発的にやるってことが難しくなってくるので、布陣を固めれば固めるほどそこの機動性は低下するのかなと。やり切れていない部分に関しては、会社として利益になるかどうかというところに基準を置いて案件毎に議論していて、事前にプレ取締役会みたいなものをやることもあります。

例え意見が纏まらなくても評決を取ればいいことだし、割れても良いことはあるので、ガチンコでやるのが良いかなと考えながらやっています。ただ単なる事業執行であれば、週2くらいの経営会議で15~20人くらい集まって、その人達で共有して決めてます。最近はそれに加えて事業責任者だけを数人集めた別の会議も作っていて、事業の中だけに留まる話であればそこだけで決めちゃえばいいかなと。逆に人事制度の様に関係者が多いものは20人くらい集めて、長々と議論して、無駄を共有しながら決めていったりします。

荻野:うちはちょうどサイバーさんとGREEさんを足して÷2みたいな感じです。法定の取締役会が月1ありまして、それ以外に経営会議という執行役員8人が集まる会議を毎週火・木の2回やっています。これはもう決議の場なので、アジェンダがあってちゃんと決議をすると。本当にもう意思決定の場ですね。

それ以外に毎週月・水・金の3日間、役員5名が就業時間より1時間早い9時に集まってますが、これはもう完全な雑談です。ただ週に3日の雑談をする中で、先ほど言った「魂の形」みたいな、何を成し遂げたいのかといった価値観のすり合わせをしています。

岡島:GREEさんは雑談系は無いんですか?

田中:雑談というか、猛烈に長い会議をしています。(会場笑)。雑談もそうなんですけど、うちには完璧にアジェンダがありまして、決議事項・相談事項ってあって、話が長くなるのは相談事項です。決めなくてもいいんだけど、今こういう状況なんでご意見下さい、みたいな。

岡島:ワークスアプリケーションズさんなんかは創業以来、毎日毎日トップ3人でランチ食べてますよ。よくそんなに雑談することあるなと思いますけど、そういうのも有りかなと。

川崎:僕もミクシィ入ってびっくりしたんですけど、本当によく話すんですよ。どのくらい話すかっていうと、昨日も僕ら夜12時まで話してますから。(IVS)会場のシェラトンホテル札幌でガチンコの話してました。そういう感じで普通に飲みにも行きますし、かつ役員間での1on1ってのもあるんですよ。だから1つの脳みそが共有されてるってことについては自信ありますね。

岡野:荻野さんの考えていることは大抵わかるようになっていくって感じですかね(笑)。

ワンレイヤー下の会議について

質問者:役員会のもうワンレイヤー下のところの会議の運営とかをどうやっているかっていうのを聞かせて頂ければなと思います。

荻野:うちは先ほど申し上げたように役員会の1つ下に執行役員会と言って執行役員8人が集まる場があって、火・木の週2回あります。あとは人事系だったり、かなりエンドレスで話さなければいけないようなアジェンダがある時には、土曜にずれ込むことを覚悟で金曜日にやるとか、そんなような形です。

曽山:サイバーエージェントの場合は事業ドメインがまず広いということがありまして、まず担当役員ごとに、例えば日高でいうと何社かの子会社を担当として持っておりますので、ここでそれぞれの役員が決めた会議体があります。それとは別に新卒や中途の子会社経営者がいるので、彼らが事業規模別に集まって通称「グループ会議」をやってます。

後はスタートアップばっかりの会議っていうのを月に1回やってまして、ここには経営本部を管轄している常務の中山と私が入って、今の情報共有をして、見ています。

日高:各担当役員ごとに多分会議体があって、それぞれ違っているのかなと思います。例えば僕であれば子会社がたくさんありますので、子会社全体の会議というよりは、各社と僕との会議というものがかなり多いです。子会社毎でいえば部長クラスというか、役員の1つ下の会議というのをやっていると思いますし、事業性にも合わせて各担当役員がやっているかなと思います。

田中:僕のやっているところは、直部下の10人とか20人と1on1でミーティングを週1でしているっていうのと、後は事業別に月次の会議をやって、そこで月次業績を発表してます。後は個別に部長と本部長間での1on1とか、僕が設計すること無くどんどん勝手にやっていってますね。

役員を"辞める"基準

質問者:参考にしたいので率直にお伺いしたいんですけど、皆さんお若いじゃないですか。だいたい後何年くらいやろうと思ってるんですか? 色んな条件があるのでその通りにはならないと思いますけど。

田中:自分でこの仕事をやってることが、この会社のために全くならないと思ったら早く辞めなきゃなと思います。だから未来永劫、絶対やるんだ! って決めてるわけでも無ければ、明日すぐに辞めようと思ってるわけでも無い。後は世の中のためになるのかなっていうのが自分の中の判断基軸ではあります。

岡島:ご家族が病気になってお辞めになるみたいなことは多分無いと思うんですけど、何か自分の中でこのサインが来たら、みたいのあります?

田中:本当思うんですけど、明日交通事故に合うかもしれないし、どんなことだって起きうると思うんですよ。だから明日死ぬかもしれないって思うことが主軸ですね。

岡島:山岸さんは?

山岸:変な話ですけど、創業社長っていうのは会社がうまく行かなくなるか、潰れるか逮捕されるまで基本辞めないっていうのが世の中の常じゃないですか(笑)。特に日本においては。創業からやってる副社長って、川崎さんも一回辞めてますけど、結構途中で辞めるじゃないですか。だからそういうロールモデル的にはずっと続けている日高さんはいつ辞めるのかなとか思いますね。(会場笑)。

個人的には、ソーシャルゲームの責任者をやってる時に、結構自分向いてないなと思ってた時に吉田大成にやってもらって、俺って仕事無いかもって思ってたら去年大変になっちゃいまして、やっぱり仕事あったかもみたいな。今年もまた色々大変で俺の仕事もまたあるかなって感じなんで、辞めてくれって言われるまではとりあえずやろうかなと思ってます。

創業からずっとやってる副社長ってロールモデルが少ないですよね。あとは年配の方と最近結構お会いして、65歳でもすごい現役みたいな人もいるんで、一流のビジネスマンっていうのはこういうことを言うのかなみたいに思ったりもしました。そういう人達はプロフェッショナルな一流サラリーマンって感じの人が多くて、自分とのキャリアは違うしなと思ったりとか、とりあえず今を頑張ろうって感じです。

岡島:ソニーの井深さんと森田さんみたいにずーっと2トップで行かれるケースもあるし、川崎さんのように副社長から起業してってケースもあるし…。

山岸:ソニーとかホンダの役割分担っていうのが、モノ作り系とそれ以外、経営全般みたいな分け方だと思うんですけど、うちの場合は昔から田中が「俺はサービスもわかるし経営もわかるしすごい」とかってよく言ってるんですよ。(会場笑)。

田中:皆さんそう思いますよね?(会場笑)。

山岸:「そんな経営者はネット業界にいない」って豪語してます(笑)。僕がやっているのは、ちょっと前までは誰もやる人がいなくて、問題があったら責任取らなくちゃいけないような仕事をやろうかなと思ってて、最近は人に嫌がられる仕事をやろうかなって感じです。

それっていわゆる2人体制とはちょっと違うと思うんですよね。補完的というか、特にうちの場合は本部長以上が経営会議のメンバーなんですけど、その中だったら誰がやってもいいけど誰もやりたくないみたいなことをやるのが自分の役割ですね。

岡島:田中さん、自慢だけじゃなくて「山岸さんいて良かった」って言っといたほうが良いんじゃないですか?(笑)。

田中:会社を作って成功した要因の1個だと思いますね(笑)。運が良かったです。学生の頃のある日、あるベンチャーのアルバイトの面接に行ったらそこに座ってたのが山岸で、そこから友達になったんですよ。

会社の成長スピードに追いつけなくなったら辞め時

日高:僕は会社作ってからもうずっとしんどいんです。(会場笑)。ノリでサイバーエージェントやってみようって藤田から誘われて、面白そうだなって片足突っ込んだまま15年経ったなっていう感じ。それでネット業界もサイバーエージェントも大きくなってすごく面白いんですけど、自分が仕事に向いてない部分もたくさんあると常に思っています。

いつも思っているのは「いつでも辞めれる」ってことなので、まあ辞めれるとこまでやろうかなっていうのが僕の答えですね。「辞めたいな」って思うことはいっぱいありますし、それくらいしんどいって思ってます。

曽山:私の場合はCA8で入った役員なので、どちらかというと会社の成長角度を自分と比べた時に、その角度より下回ったら絶対外れなきゃダメだと思ってます。会社の成長っていうのは市場の相対感の中で成長していることが前提で、私が見るに、他の役員7人は自分より常に成長していると思うんですよ。なので、自分もそれ以上の成長をしないと意味が無いと思っているので、そういう状況の中でチャレンジしていってる感じです。

岡島:そんなにいつも頑張れます?

曽山:でも2年毎に任期が来ちゃいますし、それだけじゃ無くて私達の場合、明日会議っていう役員の新規事業バトルがあるんですよね。これは藤田を除く1位から7位まで毎回結果が公表されるんですけど、それが半年ごとにあるんで、任期中に4回くらい1位からビリまでランキングされるんですよ。役員がですよ? これがまた本当に辛いんですよね。

岡島:そういう仕組みですけど、でも何かのヒントにはなるっていう。

曽山:そうですね。そのおかげで新規事業がたくさん生まれてるっていうのもあるんで、後進が育ってるってのもあるとは思います。

毎日3000万円使っているプレッシャーに打ち勝つ

岡島:ミクシィさんはどうですか? いつ辞めるかっていうのを今言うと非常にマズいとは思うんですけど。(会場笑)

荻野:大前提で言うと、自分から逃げるつもりは絶対無いですね。どんだけこの後火中の栗があろうと拾いきれる自信はあるので、自分から逃げることは絶対しないです。その大前提の下なんですけど、自分は3年というのを1つの目処に考えています。

ベンチャーやられている皆さんの感覚と近いのかもしれないですけど、10年間何となく営業利益1000万円で自分の会社生きながらえようと思ってる方っていらっしゃらないと思うんですよ。3年後に然るべき成長を遂げてない、事業をやっていてIPOの成長カードが見えない、またはEXITが見えないならば、それはそれで自分から身を引くべきだし、違う角度で山に登れば絶対成功する人はいるんじゃないのかなという風に思っているので、3年後に自分の思ってるだけの成長を会社が果たせていなかった時には、そこがまず1つポイントだなと思っています。

あと、これもまたベンチャーの皆さんと似たような感覚だと思うんですけども、うちの会社の規模でいうとランニングコストが年間だいたい100億かかってます。そうすると月に9億、毎日毎日3000万燃やしていることになるんですけど、僕はベンチャー出身なので「お金が燃える」って感覚がすごいあるんです。

今日この場に来て、夜迎えるまでの間に家1軒建ってるくらいのバリューを会社に提供しなきゃ役員でいる意味は無いんですよね。最低限がそれです。それ以上の価値がないと。1週間意思決定が遅れたらもう2億なので、ビル1棟建ってなきゃおかしいっていう。

結構四半期開示ってタームが短いから辛いって話をよく聞くんですけど、逆に言うと四半期っていうともう20数億とか使っているので、逆に何も出来てなかったらばそれはもういる価値無いんじゃないのと。毎日毎日3000万燃えているっていうプレッシャーで自分がやっている仕事を正当化出来ないなら、多分その時も自分が辞めようと思う瞬間なのかなという気はします。